カッカッと聞こえる甲高い足音ハイヒールを履いた人だろうか、遠くに響く足音で私は目が覚めた。
私は川崎、俗に言うお嬢様だ。
「おはようございますわ〜ってもう起きてらしたのね」
そう言いながら布団から私を剥がしたこいつは、ルームメイトの品川お嬢様
貴方の足音で目が覚めましたのと伝えると、「あらあら耳が良い事ですわね〜」と言いながら靴を脱いだ。
1つ私の中で疑問符が浮かんだ。
品川お嬢様はスニーカーを履いていたのだ。
刹那、私は伏せて下さいましと叫んだ。
それとほぼ同時に、部屋のガラスが割れ、銃撃が降り注いだ。
「なんなんですの!」
理解し難い状態に品川お嬢様は動揺を隠せなかった。
寝起きの脳に鞭を入れ、状況整理を図ろうとする。
何秒経っただろうか、時間感覚は無かったが、聴覚は死が近づいてきているのを認識していたお陰か銃撃が止んだ事が分かった。
カッカッと甲高いハイヒールの音が近づく、今さっきまで目覚ましタイマー代わりだったそれは、自分に向けられた敵意の象徴だ。
「今すぐ出てきて下さいまし、そうすればお命までは頂戴いたしませんことよ〜」
外から声がする。この口調は間違いなく相手もお嬢様だ。
「川崎お嬢様…聞いたことがありますわ、未登録の違法お嬢様を取り締まる対お嬢様組織があるって」
隣で震えながら品川お嬢様がつぶやいた。
そう、私達は狩られるのだ。
相手は、私達がお嬢様と知ってしかけている。
装備も対お嬢様仕様であるとみて良いだろう。
通常の弾丸では傷ひとつつかないお嬢様の堅牢な皮膚も、対お嬢様兵器の前では普通の人間と相違無い。
「聞こえていませんの?さっさと出てきてほしいのですけれど、紅茶が冷めてしまいますわ〜」
諦めて投降したところで、施設に送られ一生労働力として使われる事が目に見えていた。
そう、取る手段は1つだ。
両脚に全身のお嬢様力を込め、外に飛び出す。
襲撃者はその行動を予見していたのか、容赦なく弾丸を川崎お嬢様に向けて放った。
弾丸に貫かれ落ちていく川崎お嬢様、その姿は見るも無惨な物になっていた。
「あゝ、大人しくと言い忘れていましたわね」と襲撃者が言いながら川崎お嬢様に近付き手を触れた瞬間であった。
「え?」
ハンターの目の前から遺体が消えたのである。
動揺している所を私は見逃さなかった、襲撃者の後頭部をお嬢様力を込めて殴りつける。
襲撃者は視覚情報と痛覚情報の2つの衝撃を受けながらも、こちらを睨みつけながら、ライフルを発砲した、今度は殺し切れた確信があった襲撃者であったが、またそこにあるべき死体が無いのである。
「な、なんなんですの…」
困惑を隠せない襲撃者の首筋へ向けて強烈な一撃を与える。
流石の襲撃者もこの一撃が決め手となり気を失った。
やりきった安堵と、お嬢様力を使いすぎた事による疲労感がどっと私に押し寄せた。
「へぇ、特異能力持ちの違法お嬢様でしたのね」
そう聞こえて振り返った時にはもう遅かった、襲撃者は2人いたのだ。
私は地面に押さえつけられた。
確実に殺されると思い震えが止まらなくなっていた。
しかし、意外な言葉が耳に入ってきた。
「貴方、ここで死ぬか、ウチで働くかどちらか選んでくださいまし」
え?私はそう声を上げていた。
「それは回答になってませんわ、要はここで死ぬか死にたく無いかですわよ」
勿論私は死にたく無いと答えた。
襲撃者は笑いながら
「そりゃそうですわよね、じゃ貴方とあの子屋で震えている子も今日から私の妹ですわ」
こうして、私は狩られる側から狩る側へと立場を移す事になった。