そこにはアイが居た。いや、アイだけじゃない。俺もルビーもいた。
10日前に『異世界通信』と言うチャンネルから投稿されたその動画は世間を震撼させるには十分の物であった。
【YOASOBI「アイドル」】と名打たれ投稿された3分46秒の動画。そこにはストーカーに殺害されたと言われるアイドルグループB小町のセンター"星野アイ"の姿があった。
もう観ることがないと思われた、本物の星野アイの姿。それはファンを喜ばせると言うより困惑させる方が強い。
24:名無しの誰か
何これどう言う事?
25:名無しの誰か
アイが生きてたってマジ?
26:名無しの誰か
そんな訳ないだろ。普通に考えて……ってか動画見ても分かるだろ。歳を取ってない事くらい。
27:名無しの誰か
静止画も多いし、過去のアーカイブとかから拾ってきたんじゃない?
28:名無しの誰か
いや、そこからあれだけの動画作るのは無理。
29:名無しの誰か
ディープフェイクでも無いみたいだな。編集はあれどほぼアイのシーンに関しては生動画だ。
生存説を唱える者、編集を疑う者。唱える物はさまざまだった。
だが、一般民衆は基本何年も前のアイドルなど記憶にあるはずも無い。世界は無常そんな物だ。しかし…ああ、確かにそんなアイドルがいた事なぞ興味が
その曲【アイドル】は大いにバズった。
数日後にネットで販売された曲も爆発的に売れていき、ランキングを総なめして行った。
YOASOBI。その名前自体は以前から良く聞かれていた。『夜に駆ける』『怪物』『祝福』全て以前に『異世界通信』を経由して出された彼女の曲だ。勿論どれも流行りに流行りまくった曲だ。しかし、今回の一件。秘密主義であった【異世界通信】にこれまでの比にならない程に関心が集まった。
何故、死人がミュージックビデオの主役として登場しているのか。否、それだけでは無い。曲やミュージックビデオに時折り映る金髪の少年少女。途中でアニメ風になったから良く分からないが確かにその瞳はアイに似てる様に見える。
視聴者は「そう言う設定」として流し観ようとした。星野アイの関係者を除いては。
(異世界通信は俺たちの秘密を知っている…?
だが、この曲このMV…まるでアイを表現した様じゃ無いか…!ここまでアイの事を知る人間なんて……)
MVの端が端まで覗き込むように睨み付ける。あり得ないことの連続だ。俺やルビーの顔が出るシーンだけアニメ画風になって助かっているがそれ以外は…ちゃんと俺だ。人間は皆、耳の形が異なると言う。鏡と照らし合わせたが一致しない筈のところで一致する。
当たり前だが、俺はこんなMVに参加した覚えもない。だが、この中に写っているアイもルビーも俺も…間違いなく。間違いなく。本人でしかない。
そしてそのシーンが映る。
………っ…
(ああ、分かってるこれはアイの言葉じゃ無い。ないんだ。
だけど他の誰かが知る筈ない。俺とルビー以外がこの言葉の意味を知ってるはずなんて。)
『ああ、やっと言えた。これは絶対嘘じゃない。「愛してる」』
「……アイ…」
もしかして、生きているのか…?それとも俺やルビーみたいに……
何もかも分からない。理解しようとすると脳が拒む。むしろ現実感がないと言うべきか。
だけど分かることがある。もうこの動画の理解はしない。でも、多分この曲が"アイ"の…星野アイの本音なんだろうとは何となく知っていた。
2話みてYOASOBIさんのMV観て二次創作読んでテンション上がって描いた奴です。マジで見切り発車で描いたので途中で「あ、無理無理無理!!書きたいけど書ける筈ない!!アニメ2話しか観てないの二次創作なんて描いてるんじゃねーよバーカ!!」って思いました。まだどうなるかも知らんのに…
誰か原作追ってる人書いて。