【アイドル】   作:マッキーガイア

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【アイドル】の後半を描くのが中々に楽しくない為、中々描き終わらない今日この頃。
そんなんで終わってないのに続編です。これは色々あって病んじゃったルビー(原作80話から先)が推しの子を通してアクアの正体を知って『せんせ、私16歳になったんだよ』を達成するまでのお話です。因みにこの作品は原作80話までの内容を理解していないと意味わかんない場所あるので原作読んで。
前編後編になった理由は5000文字超えたら読みにくいだろうなという気持ちと切らないとやる気が削げるなと言う気持ちが交差したからに他なりません。


元祖【推しの子】前編

「【推しの子】第1話 Mother and Children」

 

そんな動画が私…星野ルビー個人に向けて送られて来たのは宮崎のMV撮影の数日後だった。

差出人は例の『異世界通信』。正直嫌な予感はしていた。【アイドル】の件以降私は『異世界通信』のチャンネルページが開けていない。

何故かと言えば"私達"の秘密が漏らされると思ってしまったからだ、生憎と周りは近からず遠からずの話題ばかりに触れていた為に私たちの秘密についてはあまり触れられなかったけれど、正直に言えば今も怖い。見えない悪意がその中に詰まっているんじゃないかと気が気じゃなかった。

アクアはもしかしたら私たちが転生して来た理由がこの中にあるんじゃないかと言っていたけれど、私はむしろ考えない様にしていた。

 

だけどそんな事忘れる程の衝撃があった。

 

私の探していた人、『せんせ』が見つかったのだ。

鴉の鳴くジメジメとした暗闇に横たわる、骸として。

 

何かが壊れる音がした。

好きと言う言葉では片付けられない何かがそこにはあった筈なのに…壊れてしまった気がした。

 

光は闇となる。

 

そこに残るのは憎しみと怨嗟のみだった。

 

 

 

16歳になったら私の気持ちに応えてくれるって言ってくれたのに

 

ーーーー嘘吐きッ」

 

アイドルになったら推してくれるって言ってくれたのに

 

ーーーー嘘吐きッ」

 

 

 

 

 

「嘘吐き、嘘吐き、嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐き嘘吐き…………ッッ」

 

 

 

「………みーんな…嘘吐き…」

 

みんなみんな何処かで嘘を吐いている。気持ち悪い。吐き気がする。

嘘は嫌いだ。それは本物のダイヤを覆い隠す醜い汚れだから…だから、その時だけは大好きなせんせもママも醜く思えた。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「異世界通信…?ウッソぉ……」

 

先輩……『有馬かな』がそう私のケータイを覗きながら呟く。

夕暮れ時、新生B小町は只今事務所のソファーにて全員で私に送られて来た謎の動画に関して会議をしていた。

 

 

「推しの子ってあれよね。ちょっと前にウチの事務所に大厄災を齎したアレ…嫌ぁ…頭に今も電話が鳴り響いてる。思い出すだけで胃が痛むわ。」

 

「OP版があるって事はって思ったけど、ホントにあったんだね。アニメ【推しの子】」

 

ミヤコさんとMEMちょはそう呟く。ミヤコさんは胃薬を飲みながら、離れた位置でパソコンと睨めっこしていた。

 

「何はともあれウィルスには気をつけるのよ。異世界通信とか言う謎原理で動いている会社なら私たちには想像つかない様なとんでもないの送り付けかねないから!」

 

「あの噂信じてるの?ロリ先輩。

それにそんな自ら自分たちの評価下げに来るような事する訳ないでしょ。」

 

「イビるぞ!!マジで!!」

 

「うわ、1時間半もある。結構本気で作ってた感あるね。これ…」

 

「無視すんなし!!」

 

横で先輩がギャーギャー喚いている隙に動画にカーソルを合わせる。

正直、この騒がしさが丁度良い。多分1人でこれを観ようと思ったら永遠に開かないまま終わってしまうだろう。

此処に本当の事が語られてもきっと大丈夫だ。その為の"嘘"はもう用意している。

 

「じゃあ、観ようか。」

 

「それって、本当に私たち見ても良いの?ルビーに送られて来たやつでしょ?」

 

「良いんだよ。私1人じゃ絶対見ないし。」

 

「何それ怖いよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは男の独白から始まった。

『この物語はフィクションである。』と言う決まり切った問言が供えられたのちに写し出されたのは旧B小町のライブ映像のアニメ化。

 

だけどそれ以前に私は呟いた。

 

「……せんせ…だ。」

 

その独白をした人物が誰か、声で分かった。

雨宮吾郎。先日、遺体が見つかった私の大好きだった人。そのままの声でそのままの姿でたしかにそこにあった。

 

患者の病室でサイリウム振りながら布教活動してる姿が……そこにはあった。

 

「うわー、医者として無いわー。」

 

「くそぅ、言い返せねぇ…」

 

ドルオタに引きずり込んだのは私だとは言えこうなっていたとは…前世の私、一生の不覚。

 

「というかルビーさっきからこの人知ってるみたいに話すけど…知り合いか何かがモデルになってるん?」

 

MEMちょがそう私に問うが上手く返せない。

 

「あー、うん…知り合い…かな?」

 

「へー、凄いねぇ…異世界通信でアニメデビューとか前世でどんだけ徳を積んだんだか…前世の私!もっと得積んどいてよ!世界を救うくらいはさ!!」

 

「MEMちょもアニメ化したいの?」

 

「まぁ、正直ハードルは高すぎるよねー。だけどしたいちゃ、したい。」

 

「じゃあ、良かったじゃん!夢叶ったね!」

 

「ああ!!そう言えばOP版に私写ってたんだっけ?いや〜、苺プロに入っててよかった〜」

 

「変な所で実感しないで。」

 

MEMちょの言葉にミヤコさんは思わずツッコんだ。今現在、胃の痛みに悶えているミヤコに対してその元凶に返する言葉は辛辣であった。

 

「許可した私も悪かったけど、あんな爆弾投げ捨てられるとは思わないじゃない…。まったく、後片付けさせられる方にもなってほしいわ。」

 

「殆どとばっちりだったもんね。」

 

「はぁ……もう良いわ。私もう寝るから、終わったら電気消しといて。

あと、その動画終わったら私に送って。観ておかなきゃいけない事もあるし…」

 

そう言うとミヤコさんは椅子から腰を上げて、「しかも、なんなのかしらあのアニメは無駄に出来が良いのがムカつく」なんて言い残しながら奥に引っ込んでいった。今観ればいいじゃんと言おうとしたけれど、一昨日から徹夜している為か、あまり脳が働いていないんだろうと結論付けて私たちはアニメ鑑賞に戻る。

 

『ええええ!?!?アイの活動休止だとぉぉー!!??』

 

ふと画面に視線を戻すとせんせがそんな事を大声で泣きながら叫んでいた。その姿に引いた目をされながらも「ロリコン」と言われている。是非も無し。

 

「やっぱり現実に沿って物語が展開していってるのね。実際に私が産まれてすぐくらいにB小町アイが活動休止してるみたいだし。あの先生が使ってる携帯、数十世代前の奴だ。

所謂レトロ品ってやつね。」

 

「私その頃、9歳だしガッツリ物心ついてるー、ハハッ。」

 

死んだ目になってMEMちょがつぶやく。

それを私の先輩はなんとも言えずに目を逸らした。

 

『俺が研修医やったのもこの病院でな。

その頃も今みたいに患者の病室でサボってた。』

 

『働け。』

 

手痛いツッコミの声が聞こえる。

 

『その時出会った患者の1人が俺の運命を変えたんだ。』

 

ふと、再び画面に視線を戻すと映るのは私『天童寺 さりな』の病室。

出るとは思わなかった為に少し驚くが、以前の【アイドル】の件で『異世界通信』に私たちの事がバレているのは判明している。変わらず『異世界』であるのならばきっと転生云々は向こうの方がよく知っているのだろう。

 

それはそれとして"ごろーせんせ"との甘い記憶をアニメ化した事には納得していないが…

 

『もし芸能人の子供に産まれていたらって考えた事ない?』

 

画面の向こうで私がそう呟く。

嗚呼、たしかにそんな話をした。思えば今の状況がそのままその通りになっている気がする。星野アイの双子の娘として産まれて容姿やコネクションを駆使してアイドルとしてやっている。わたし(さりな)が言った通りのわたし(ルビー)になった。

 

そうだ、今まで当たり前みたいに思っていた…いや、ある意味特殊なのは理解していたけど、身近になると案外気付かない物なんだね…せんせ。

 

とは言え隣で訳知り顔で「何夢見てんのよ。」とか「そんなのなってみたらなってみたでどーせ!地獄よ!地獄!期待とプレッシャーは親より重いもの」なんて言っている先輩に『12歳の子供に対してそんなに言う?』と言う目を向けながらも、またしても私って特殊なんだなぁ…と実感した。

 

画面の向こうで『せんせ好き!結婚して!』と言っている前世の私に軽く嫉妬の念を送りながらテーブルに置いてある冷めた紅茶を一口啜った。

 

「てか、この男。性格は全く似てないけど…どっこか分かんないけど、今のアクアに似てるからか女に鼻伸ばしているとイラっとするのよねー。どうしてかは知らないけど。」

 

「アクアに似てる…?」

 

そう呟く先輩の言葉を復唱する。

 

「うん…本当に分かんないんだけどね。」

 

カラッとそう答える先輩。多分これをフィクションとして楽しんでいる節があるからか視点が私と違うのだろう。

数瞬で出て来た私の葬式はママの葬式には劣るけどそれなりに豪華だった気がする。

 

 

 

『はい。お待たせしましたっと。』

 

気怠い声で産婦人科と書かれた診察室で扉が閉まる音と共にせんせがそう言う。

 

『えっと、星野さんは初めてですね。』

 

せんせが資料に目を通しながらそう言うと『はい』と知った声が聞こえた。

 

『(お腹の具合は20週って所か。初診にしては大分遅いタイミングだな。)』

 

大きく膨れたお腹。あそこに私とアクアが居たんだなと思うと軽くドキッとした。つまり私は産まれる前にごろーせんせに会っていたと言う事になる。

 

『貴方は親御さん?』

 

『まぁ、書類上は…』

 

金髪のサングラスをした、いかにも参ったと言う顔をした男にカットが持っていかれる。見た目はヤクザだが、ちゃんと苺プロ前社長だ。顔もそっくりだし声もまんまだ。

困った顔をした社長がママの経歴をせんせに軽く語るのを聞いていると、意外とこう言うの貴重な気がしてきた。前世の知り合いと今世の知り合いが話しているシーンを観るとなんかむずむずすると言う感覚になるし。自分自身が産まれるところを途中経過で見るのは意外と楽しいらしい。

 

『(16歳、施設育ち、どっかで聞いた様な話だなぁ…)』

 

せんせがそう内心で呟きながらママを見る。まだ気付いていないようだ。

するとふと被っていた帽子を剥ぐママ、

瞬間、先生の目が死んだ。

 

「………あれこれって…アイじゃない?なんかいきなりイケナイ動画をみてる気分になったわね。」

 

「ちょっと待って、星野って…?

ルビーとアクたんの苗字って確か星野だったよね。つまりルビーとアクたんのママってB小町のアイだったの?」

 

「ウン、セヤデー。」

 

良く叫ばなかった。良く態度に出さなかった。偉いぞ雨宮吾郎。

 

『先生、どうなんでしょう?

物凄い便秘という可能性は…』

 

『だとしたら死んでますねぇ…』

 

『そっちは順調!

今日も問題なかったよ!』

 

交互に聞こえる知り合いの声。ちゃんと……ちゃんとみんなの声だ。そっくりじゃないただの本人の声の様に聞こえる。

 

「アイの声の再現度……おかしいって。そのまんまだもん。

どう言う演技をすればこうなるのよ。」

 

「そっくりにも度があるよね…流石に引く。」

 




一応、アクアが身バレした瞬間にアニメ同時視聴回は終わる予定です。二次創作で同時視聴しても楽しくないので…
因みに後半がなかなか終わらないのもこれが原因です。
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