仮面ライダーギーツ アナザーワールドジェネレーションズ 作:Naniro
キャッスルドラン内でメイド達と共に雑務をしている1人の男がいた。
「なんでこの俺が雑務なんて面倒なことしなきゃならないんだ!」
セイバー イアソン
悪態をついているのはセイバーのサーヴァント、イアソンであり、ギリシャ神話でヘラクレス、メディア、アスクレピオスなどの多くの英雄達を引き連れて船旅をしたアルゴー号の船長である。
「愚痴ってないでちゃんと働きなさい。本来ならあなたも戦線に出向くはずだったのよ。マスターの温情に感謝しなさい」
イアソンの元妻であるメディアがイアソンにそう言い、イアソンは怯える。彼は戦闘力はほとんどなく、こうして雑用をやることになったのだが、本人は文句を垂れていた。一方でナイチンゲールがワタルに相談をしていた。
「ワタルさん、患者の数が増えてこれ以上は部屋が圧迫しそうです。他に空いている部屋はありませんか?」
「なら、今使っている部屋の隣の部屋を空けておきますのでそちらを……」
キャッスルドラン内はバタバタしていた。優斗の世界に迷い込んだ人々の保護と堕落勇者やギャングライダーズによって怪我を負った人々も多かったため、その人達の看護にデザイア、平ジェネWORLD、今いるサーヴァント達も総員で手を貸し、S.O.N.Gや錬金術協会も支援していた。もちろん優斗と蒼汰も。
「おい、消毒薬が切れそうだ!誰か持ってきてくれ!」
「ほいほい、今持ってきましたよー」
優斗が消毒薬の追加を要求すると、当夜が宙を歩いてやってきて、消毒薬の入った箱を優斗に渡した。優斗は目を見開き、唖然としていた。
「お前、なんだその能力は?」
「これは
「そ、そうか」
当夜は自身の能力を使って再び人混みの上を渡っていった。
◇
作業が一段落し、エース達は一休みしていると、なにやら揉め事が聞こえてきた。何かと思い、見てみると、清姫がツタンカーメンに問い詰めていた。
「ツタンカーメン王、あなたはあの時、嘘をつきましたね?何を隠しているのですか?」
「はて?
「そこではありませんわ。ワタルさんは病気というのが嘘だと言いたいのです。もう一度言います。何を隠しているのですか?」
「……」
清姫の問い詰めにツタンカーメンは険しい表情になる。
「……清姫殿、これ以上ワタル殿の事情を無理に深掘りするのは控えるべきでありまする」
頑なに口を割ろうとしないツタンカーメンに清姫は手から火を出す。それを見かねたデザイア、平ジェネWORLD達が止めに入った。
「おいおい、ここで乱闘とかやめてくれよ」
「別に知らなくてもいいだろ?」
彼らの説得も清姫には届かない。すると、浩司のパートナーデジモンのモノドラモンがツタンカーメンに問いかけた。
「なぁ、それってマスターであるコウヘイには害はあるのか?」
「いえ、マスター殿には害は及びませぬので、ご安心を」
モノドラモンのその問いかけにツタンカーメンは即答する。すると清姫は火を消した。
「なるほど、ますたぁには危害は及ばないと、ならいいです」
マスターには危害はないというのが分かった清姫は大人しく引き下がり、ツタンカーメンは一息をついた。
「なんであいつ、大人しく引き下がったんだ?」
「どんなことかはともかく、あいつはコウヘイに対して異常な程の好意を寄せているから、害はないってことさえ分かればいいんじゃないかなって思ったんだよ」
モノドラモンの言い分に一同は納得する。とはいえ、ツタンカーメンはワタルの何を知っているのか、気になるところだった。すると、そこへ優斗がやってくる。
「お前ら、徴収だ。今すぐ作戦室に来てくれ」
彼らは一体なんだろうと思いながら、優斗に着いていった。
◇
作戦室に全員が集まったことを確認すると、弦十郎が説明を始めた。
「かつてツヴァイウイングがライブをした会場から未知の信号をキャッチした」
「「「「えぇっ!?」」」」
S.O.N.Gがまだ特異災害対策機動部二課だった頃、ツヴァイウイングのライブを建前とした完全聖遺物ネフシュタンの鎧の起動実験に使われたあのライブ会場から未知の信号をキャッチしたことを知った響や優斗などの一部の人物が驚く。するとソーゴが弦十郎に質問をする。
「何故俺達にも言うんですか?」
「実は、あの会場の周りには君達が教えてくれたシャドウサーヴァントが複数蔓延っている。戦闘は避けられないだろう」
「なるほど、
「その通り、彼らの装者達の見る目は露骨だった。優斗君や蒼汰君といえど、骨が折れるだろう。だからこそ君達の力を借りたい。それに、ソーゴ君の世界の住人の可能性もあるからな」
弦十郎は堕落勇者達が装者達に向ける露骨な目線を危険視しており、デザイア、平ジェネWORLD達にも協力を志願したのだ。エース達はそれを了承し、装者達、デザイア、平ジェネWORLD、その他の協力者は例のライブ会場に向かう。
◇
「あれが例のライブ会場か……」
「シャドウサーヴァントがうじゃうじゃいやがるぜ」
ライブ会場から少し離れた場所に着いた一同は遠くから会場を視察しに行くと会場の周りにはたくさんのシャドウサーヴァントが蔓延っていた。
「どうする?」
「奇襲を仕掛けて正面突破といくか?」
どう切り抜けるか相談していると、ヒマジローが手を上げる。
「ボクガヤル」
「おいおい、こんだけの量をどうしようってんだよ?」
「コウスル。ヘンシン!」
JYAMATO
ヒマジローはジャマトライダーヒマワリに変身すると地面に両手を当てる。すると、会場の周りから茨が生え、シャドウサーヴァント達に巻き付き、拘束する。
「なるほどな、よし、今のうちに片付けるぞ!」
優斗がそう呼び掛けると、一同は一斉に突撃し、動けないシャドウサーヴァント達を瞬く間に全滅させた。
「周りを見てきたが、シャドウサーヴァントはもういないみたいだ」
プロペラバックルを持つデザイア達が周りの様子を見て、優斗達に報告する。
「よし、なら中に入るぞ。全員警戒を怠るな」
一同は気を引き締めて、会場の中に入った。会場内は不気味な程、静まり返っており、まるで嵐の前の静けさを思わせた。すると、ロボが前に出る。
「どうした?」
ネオディケイドが声をかける。ロボは匂いを嗅いで、周囲に何があるのか探っていた。
「グル……、ガルゥ!」
ロボは一同の方を向き、唸る。するとヘシアンが手招きをする。
「着いてこいというのか?」
ロボ後について行くと開けた場所に出る。どうやら会場のステージと観客席に出たようだ。そして観客席に人々が身を寄せ合っていた。
「誰!?」
人々を庇うように、2人の少女が現れ、構えるが、ネオディケイドとジオウの姿を確認すると、目を見開く。
「マスター!?それにソーゴまで!?」
「あら、子イヌじゃない!」
「お前らは…!」
「レジスタンスの人々がこんなところにいたのか!」
ジオウとネオディケイドも2人のことを知っているようだった。
◇
情報共有をした所、立ちはだかった2人の少女はネオディケイドが契約したサーヴァントであり、ここにシャドウサーヴァントに追われてここに避難していたのだという。コウヘイは2人のサーヴァントを紹介する。
「彼女はキャスターのエレナ・ブラヴァツキーだ」
「よろしくね!」
キャスター エレナ・ブラヴァツキー
(エレナ・ブラヴァツキー…、確か神智学者でオカルト研究家だったな)
優斗がそう思っていると、コウヘイはもう1人を紹介する。
「そして、彼女はランサーのエリザベート・バートリーだ」
「よろしく頼むわ」
ランサー エリザベート・バートリー
「何?」
その瞬間、優斗の目つきが険しくなり、エリザベートを警戒する。
「エリザベート・バートリー、自分の美貌を保つために多くの若い女性を拷問死させた大量殺人犯じゃねえか」
エリザベートを警戒する優斗をコウヘイが待ったをかける。
「待て優斗、確かにエリザベートは殺人犯だ。だが今いる彼女は殺人に手をかける前の彼女。というか当の本人もそういうことをする気はないし、自身の罪深さも自覚している」
「……本当か?」
「本当よ、はぁ…、私を知る人は皆そういう反応するのよねぇ……。まあ、仕方ないっちゃ仕方ないけど」
「……分かった。響達に手を出したりしたらただじゃおかないからな」
優斗はエリザベートが生前のような行いをするつもりはないと聞き、釘を刺しつつも少しずつ警戒を解いた。そこへ蒼汰がやってくる。
「大丈夫さ優斗、今の彼女は血の伯爵婦人じゃなくてアイドルだから響達を襲うことなんかないさ」
「大量殺人犯がアイドル!?現代色に染まっている昔の人物多すぎだろ!」
チンピラ風な金時、パリピな清少納言、アイドルのエリザベート、もはや何でもありなサーヴァントに優斗はついていけない。
「エリザベートなんてまだ扱いやすい方だよ。清姫なんか小さい嘘でもアウト判定だし」
ソーゴはエリザベートより、清姫の方が扱いにくいと説明する。
「清姫もそうだが、何かと自らを母と自称するよりみ…じゃなくて、頼光も結構危ない感じがするな…」
優斗は頼光の異常なまでの母としての振る舞いに危機感を持っていた。するとエレナが口を開いた。
「そうそう、もう1人サーヴァントがいるわ。今は見回りに行ってるけどそろそろ…あっ、戻ってきた」
エレナの指差す方向から、頭部がホワイトライオンでアメリカンヒーローのような格好をした人間とは言いがたい人物が現れた。
「な、なんだあいつは?」
「ライオン人間?」
優斗や装者達はあまりにも奇抜な見た目に目を丸くしていた。すると、ライオン頭の人物はコウヘイとソーゴを見て歓喜する。
「ん?おぉ!マスターにソーゴ君じゃないか!」
「エジソン!」
「……は?」
コウヘイのその言葉に優斗や装者達、一部のスレ民達、そして弦十郎達までもが一瞬耳を疑った。優斗が確認のためにコウヘイに聞く。
「ちょっとすまんコウヘイ、今エジソンって言ったよな?」
「あぁ」
「このライオン男が?あの発明王のエジソン?」
「あぁ」
「いかにも!私こそがトーマス・アルバ・エジソンである!!」
キャスター トーマス・エジソン
「「「えぇー!?」」」
会場は驚きの声で響いた。
「エジソン!?なんでライオン!?」
「沖田や信長が女性で十分驚いてるのにこれは予想外過ぎ!!」
「どうしてこうなった!?」
「まぁ、そういう反応するよね」
装者達やスレ民達がエジソンの見た目に疑問や驚愕で騒然し、ソーゴはそれに同情する。
◇
少し落ち着いた一同はエジソン達から話を聞く。なんでも合流したレジスタンスの人々と共に大量のシャドウサーヴァントから逃げてこの会場に逃げ込んだという。
「外にいたシャドウサーヴァント達を倒してくれたの?助かったわ、あの数ではあたし達だけでは多勢に無勢だったから」
「あんたらが救難信号を発したおかげでいち早く駆けつけることができたからな」
「えっ?救難信号?」
コウヘイが言った救難信号にエレナは身に覚えがない様子だった。
「ん?エレナ達が救難信号を発してたんじゃないのか?」
「知らないわ。ねえ、エジソン、エリエリ、知ってる?」
「はぁ?知らないわよ」
「私も知らんぞ?」
レジスタンスの人々にも聞いたが、救難信号のことは誰も知らないのだという。どうなっているんだと一同が思っていると……
ピンポンパンポーン♪
突如、館内放送が鳴り、一同は何事かと思っていると、突如、大声が響いた。
『バーカ!!まんまと引っ掛かりやがったな!!』
「その声は、ナガミか!?」
コウヘイは堕落勇者の1人であるナガミ タケオだと気付く。
『お前らが人を助けているのを利用してやったらこんなにあっさり掛かるなんてなぁ!』
それを聞いた蒼汰が事態を察する。
「まさか、救難信号を発したのは君達で、シャドウサーヴァントを使ってエジソン達をここに誘導して僕達ここに誘き出したというのか…!」
『当ったりー!』
どうやら堕落勇者の罠にハマってしまったらしい。するとスマホーンから着信が入った。
『俺だ…!イアソンだ…!』
「イアソン!?どうしたんだ!?」
『や、奴らが……襲撃し……てき……え……願……』
「イアソン!?おい!?どうした!?何があった!?」
ブツン ツー…ツー…
キャッスルドランに待機していたイアソンから緊急の連絡が入ったが、途中で途切れてしまう。
「全員、キャッスルドランに戻るぞ!急げ!」
弦十郎がそう叫び、一同は急いで会場から出ようとする。イアソンの言葉は途切れ途切れだったが、よろしくない状況なのは確かだった。
「出口だ!」
出口を発見し、そのまま外へ出ようとしたその瞬間だった。
ガン!
「痛ってぇ!?」
先頭を走っていたソーゴが何かにぶつかった。だが、どこを見ても何もない。
「まさか……」
エースがそっと手を差し出すと壁を触ったような感触がした。
「……結界か!」
「嘘だろ!?俺達閉じ込められた!?」
館内に閉じ込められてしまった一同。外には堕落勇者達がいた。するとワタルが叫んだ。
「エレオノール!クーリッジ!」
ワタルの組織に所属するダークエルフのエレオノールと魔界騎士クーリッジが堕落勇者達に囚われていた。エレオノールはやたら体を触ってくる堕落勇者達に不快感を露にしており、クーリッジはパニックになって泣き喚いていた。
「こいつら、めっちゃいい体つきしてんな」
「…………っ」
「ひぃぃぃ~!いやぁぁぁ~!」
更には和人と明日奈の娘である結、未来、意識のないララも捕まっていた。
「結!!」
「結ちゃん!!」
「未来まで…!」
和人と明日奈は結に駆け寄ろうにも結界に阻まれてしまう。咄嗟にネルムがケミーライザーを取り出す。
「だったらケミーの力で…!」
ケミーライズ! WARPTERA!
ワープテラの能力で脱出を試みたがワープゲートが開かない。
「あ、あれ?」
『プ、プテ…!?』
ワープテラ本人も能力が発動しないことに驚いていた。すると他の人達も異変に気付き始めた。
「プログライズキーが機能しない…!バカな、不具合はなかったはず!」
「あれ?変身ができない?」
「ギアを纏えないわ!どうなってるの!?」
ライダー達は変身アイテムが機能しなくなり、装者達はギアを纏えず、春雪と黒雪も姿を変えることができなくなっていた。
「■■■■■ー!!」
ヘラクレスが力技で結界を破ろうとするがびくともしない。
「無駄だ。これは俺達が力をかけ合わせて作った結界だ。いくら大英雄ヘラクレスといえど、破れない」
「それにこの結界は能力を封じる効果もあるの。アタシ達が力をかけ合わせれば、なんでもありと言っても過言じゃないことができるのよ」
「今のお前らはまさに袋のネズミだな!」
堕落勇者達がエースや優斗達を笑っていると、突如、堕落勇者達に大岩が飛んできた。
ドォオオオオオオン!!
「どわぁっ!?」
「な、なんだぁ!?」
堕落勇者達は驚き、周りを見渡す。大岩を投げた犯人はすぐに分かった。
「仁口、お前か?」
大岩を投げたのはキャッスルドランに待機していたショータだった。
「おい仁口、何故俺達がここにいると分かった?気付かれずにやった筈なんだが?」
「小さな眷属達が教えてくれたんだよ」
すると、未来、結、ララの懐からたくさんのゴチゾウが出てきた。未来はいつの間にか潜り込んでいたゴチゾウに目を丸くする。
「ゴチゾウ達の情報綱はすぐに広がる。だからすぐに分かった」
未来達に着いていたゴチゾウの一部がショータに堕落勇者達の場所を報告したのだ。
「ヘタレのお前が俺達に歯向かうのか?」
堕落勇者達はショータを嘲笑う。ショータは拳を握り締め、覚悟を決める。
「ずっと自分はヘタレだった。でも心の奥底でそれを否定したい自分もいた…。なら攻めて、お前らに一矢報いるくらい…!」
ショータは自身の腹のガヴ器官を晒けだし、ゴチゾウをガヴ器官にセットした。
バシュン!
「ワニャ~!(泣)」
「あ、あれ……?」
しかし、ゴチゾウが射出されてしまった。周囲が静まり返り、ショータは気まずくなる。
「えっとぉ……、ちょ、ちょっとタイム…!」
ショータは周りを見渡し、何かを探し出す。すると一時停止の標識が目に止まり、その標識に近づくと、力任せに引き抜いた。
「よ、よし、とりあえずこれで…!」
ショータは引き抜いた標識を武器にし、堕落勇者達と対峙する。だが、その手は恐怖によるものか、それとも緊張によるものなのか、震えていた。
「ヘタレが…随分と調子こいてんじゃねえか」
「いいぜ、かつてみたいに遊んでやるよ!」
今、優斗達やデザイア、平ジェネWORLD達は結界の中に囚われ、誰の援護も得られない。そして相手は複数。そんな厳しい状況の中にショータは立たされていた。
キャッスルドランで何が起こっていたかは次回詳しく書きます。