おバカの提督業   作:京勇樹

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報告と作戦

 

 

 

明久が雄二を参謀役として採用した翌日。

 

「……という訳で、自力で参謀役を確保しました」

 

『……中々参謀を送れないこちらに非はあるが、縁雇用はしないでほしいな……』

 

明久が経緯を説明すると、武田長官は渋面を浮かべながら告げた。

 

「以前に、参謀の育成には時間が掛かると聞いたので……」

 

「まあ、その通りなんだがね……」

 

参謀の育成には、提督の育成より時間が掛かる。

明久が受けたのは、即席コースで半年。その他に、短期育成の一年と士官学校の二年がある。

それに対して、参謀は最低で三年間必要で、最後の卒業試験で合格判定が貰えなければ、一年ずつ育成期間が延びる事になるのだ。

そこから更に、参謀として一定の成果を挙げなければ、鎮守府や警備府の参謀にはなれないのだ。

つまり、最低でも約四年は育成に掛かる。

 

『一応確認するが、その坂本雄二とやらは参謀に向いていると?』

 

「はい。僕が居た文月学園では試験召喚獣システムという物を採用していまして、テストの結果がその試験召喚獣の強さになります。それにより、テストの上限点数が撤廃されていまして、頭が良ければ、幾らでも試験召喚獣が強くなるという物でした。しかし雄二はそこに異議を唱えて、作戦で点数が低くても点数が上の相手に勝てるという事を証明しました」

 

武田長官からの問い掛けに、明久は高校時代の事を思い出しながら説明した。

 

『……そういえば、君は文月学園の出身だったね……学力重視の学校で、作戦で勝つか……』

 

明久は知らなかったが、試験召喚獣システムは少しばかり妖精さんが気まぐれで手を貸して開発されたシステムだった。

それを知っているのは、海軍でも武田長官を含めたごく一握りのみ。

 

『……分かった。今回は特例として、坂本雄二君の参謀としての雇用を認証する……次からは、事前にこちらに相談するように』

 

「分かりました、ありがとうございます。」

 

明久が深々と頭を下げると、通信は終わった。

そして、時雨と一緒に執務室に戻ると

 

「おぉ、明久。とりあえず、これが次の海域の作戦要項と考えた作戦だ」

 

と雄二が、早速書類を出してきた。

 

「早いね」

 

「まあ、資料室に今までの作戦の情報があったからな。参考にすれば、1日あれば考えられる」

 

雄二はそう言って、作戦の書類と海図を広げた。

 

「前の提督は、何度もここを攻略しようと艦隊を出してるが、まあ、作戦とも呼べない火力一辺倒によるごり押しじゃあ、戦果なんか上がらないな。結果として、自爆特攻なんて下策も下策で無闇に戦力を低下させる無能だ……だから、俺が考えたのは電撃降下作戦だ」

 

「電撃降下作戦……海上からの囮と、上空からの本隊による敵本拠地の島への奇襲……か」

 

第一段階は、海上から空母打撃艦隊で一斉に攻擊開始。敵戦力を誘引したら、一気に本命の艦娘達を陸攻で輸送し、落下傘降下。

簡単に要約すれば、こうなる。

 

「問題は、降下部隊だ。陸戦能力がある艦娘を選別しないといけないが」

 

「それなら、うってつけが居るよ」

 

雄二の言葉に、明久は背後に居た時雨達を見た。

そして、一週間後。明久の鎮守府は全力出撃を発令した。

作戦目標は、深海棲艦に占領された島の解放。

その島は、以前は絃神島の分島と呼べる島だったらしい。本来、そこに生け簀があり、魚や貝の養殖をしていて、海軍のレーダー施設もあった。

だが、前の提督が資源消費の削減と宣って哨戒艦隊を当初の4艦隊から2艦隊に減らした直後に、その2艦隊を撃滅されて、またたく間に島は深海棲艦に占領されてしまい、絃神島の漁業は大打撃を受け、レーダー施設は破壊されてしまった。

前の提督はその島を取り返そうと躍起になり、無理な作戦を繰り返した。

 

『これより、あの島の奪還を開始します! 皆の奮戦に期待します!』

 

『了解!!』

 

そうして、奪還戦が始まる。

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