遊戯王GX〜社畜童貞のオッサン、糞上司の悪意でキマイラと共に転生する〜   作:SOD

221 / 223
ようやく一年生編に終わりが見えてきました。
運が良ければ今年中に終わる可能性も見えてきますねえ。


最高の二人

 「バトルフェイズ! 極戦機王ヴァルバロイドで、サイバー・エンド・ドラゴンに攻撃!!」

 

 

 極戦機王ヴァルバロイド ATK8000 VS サイバー・エンド・ドラゴン ATK4000

 

 

 「この攻撃が通れば、翔の勝ちだ!!!!」

 

 「行け……っ、もうここまで来たら行っちまえ……!! 勝て、翔。勝てぇーー!!!!」

 

 「行けえ!! 翔ーー!!!!」

 

 「気張れええええええーー!!!!」

 

 

 戦友(トモ)の最後の攻撃一撃に、三沢、万丈目、十代、隼人が声を上げる。ここまで来た。来たのだ。勝ってエンディングを迎えろと。

 

 

 ヴァルバロイドの超攻撃力の一撃が、サイバー・エンド・ドラゴンに肉薄する。届く。きっと届く。

 一秒先の勝利よ来い。誰かの握りしめた拳が思わず音を立てたその瞬間。

 

 

 「ダメージ計算前、リバースカードオープン。速攻魔法『聖遺物を巡る戦い』!!」

 

 ①自分フィールドの表側表示モンスター1体をエンドフェイズまで除外し、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

 その相手モンスターの攻撃力・守備力は、このカードを発動するために除外したモンスターのそれぞれの元々の数値分ダウンする。 

 

 

 「オレのサイバー・エンド・ドラゴンをエンドフェイズまで除外して、翔のサイバー・ドラゴン・インフィニティの攻撃力を0にする!!」

 

 サイバー・ドラゴン・インフィニティ ATK0

 

 ”カイザー! そんなことをしたら、ヴァルバロイドの攻撃が直接来るぞ!!”

 ”何でサイバー・ドラゴン・インフィニティなんだ!? ”

 

 一部の無学な生徒達の悲鳴のような声が道化のように響く。

 

 そんな心配を他所に、フィールドから姿を消したサイバー・エンド・ドラゴン。そして、ヴァルバロイドの攻撃は、亮とすれ違うように横切る。

 凄まじい数値の暴力によって生まれた攻撃は空振りに終わったが、その衝撃が部屋全体を襲い地震のように跳ね上がった。

 

 

 「…………」

 

 丸藤亮 LP1000

 

 

 ”お、オイ見ろ! カイザーのライフが無傷だぞ!”

 ”嬉しいけどそれどころじゃねえよ!?”

 ”天井から砂ぼこりとか落ちて来たんだが!?!? これただの立体映像だよな!??”

 ”何で立体映像の攻撃で建物への衝撃だけ実体化してんだよおおおー!?”

 

 

 「…………ちょっと、威力が高すぎたっスかね。やっぱり『パワーボンド』は、僕には過ぎたカードだったのかもしれない」

 

 「……オレは、そうは思わん。お前ならいつか必ず今以上に『パワーボンド』を使いこなせるさ」

 

 「ありがとう、お兄さん」

 

 状況はあの時と同じだった。使用したパワーボンド。強化された機械族の融合モンスター。伏せカード一枚で阻まれる攻撃。無傷の敵モンスター。

 

 それでも、兄から弟へ託された言葉はまるで真逆で……。

 

 

 (翔の場に攻撃力のあるモンスターはもういない。パワーボンドのデメリットにより、4000ポイントのダメージを受けてこのデュエルは幕を下ろす。

 

 だが、このデュエル。オレは決して今のお前に『パワーボンド』が相応しくないとは思わな--) 

 

 

 「僕は墓地から罠カード発動。『ダメージダイエット』。

 

 このターンの効果ダメージを半分にする」

 

 翔の行動に、その場の全員が目を丸くした。

 

 (転回操車のコストで、手札を墓地へ送っていた。あの時の一枚……)

 

 「…………ターンエンド」

 

 丸藤翔 LP900

 

 翔のエンド宣言と共に、帝王のエースが帰還する。三年間、帝王(カイザー)の象徴として君臨した機皇竜が。

 

 

 

 「翔……お前」

 

 「………………敗者は負け方を選べない。いつか偽遊君が言ってたんす。

 

 だから、パワーボンドのデメリットでは負けない。パワーボンドで召喚したヴァルバロイドも無傷のまま。サイバー・エンド・ドラゴンの攻撃で負けるんだ。

 これが、僕の我が儘を通しきった僕への…………僕自身に対する、勝利宣言ッス」

 

 悔しさを滲ませて、それでも無理やり笑う翔の姿。それは正しく、誇り高き真のデュエリストだった。

 

 

 「…………ドロー!!!!

 

 バトル!! サイバー・エンド・ドラゴンで、サイバー・ドラゴン・インフィニティに攻撃」 

 

 

 サイバー・エンド・ドラゴン ATK4000 VS サイバー・ドラゴン・インフィニティATK0

 

 

 「ダメージ計算前、速攻魔法『リミッター解除』発動!!!!」

 

 

 「はは。容赦ねー。

 

 チェーンは無いっす」

 

 

 サイバー・エンド・ドラゴン ATK8000

 

 

 「エターナル・エヴォリューション・バーストオオオオオオオオオォォォーーーー!!!!!!」 

 

 亮の最大限の尊敬(リスペクト)を込めた極光が翔の全身を焼き包む。

 ライフポイントは灰となり、それでも翔の乗り物(ヴァルバロイド)は新車同様の威厳と輝きを放ち続ける。

 

 

 

 

 轟音と光が静まった頃。室内は二人のデュエリストへの敬意(リスペクト)に満ちた拍手で、埋め尽くされたのだった。

 

 

 丸藤翔 LP0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夕方。デュエルアカデミア学食にて。

 

 仲間内で集まり、コップを持って乾杯を待っている。

 音頭を取るのは、普段と違って正装(ズボンとワイシャツ)の虚路居偽遊。普段着はポチの行動で全て死んだ。

 

 

 「はい。と言うわけで、負け犬翔君が特にどんでん返しも無く順当に敗けて帰ってきたので、予定通り『丸藤兄弟の出涸らしの方を慰めてあげる慈悲深い会』を始めマース。カンパーイ」

 

 「それが全身全霊で決闘して来た弟子に、開口一番かける言葉か虚路居偽遊ゴルァアアアアアアアアアアアアアアアアーーーー!!!!」

 

 壁にはささやかな飾り付けを。机の上には獲れたて新鮮な海老で作った尾頭付きのエビフライを始め、贅沢なご馳走の数々。

 学生主催のお疲れ様会にしては、馬鹿みたいに金が掛かっていた。

 

 

 

 「素直じゃねえなあ、偽遊のヤツ。こんなすっげえご馳走用意しておいてさあ~モグモグ」

 

 「偽遊が素直じゃないのは、今更なんだなぁ。言葉でウソついてカラダは正直。いつも通りの偽遊だぞ、モグモグ」

 

 「……二人とも、主賓の翔を差し置いてモリモリ食べてて良いのか?」

 

 「良いんじゃねえのか、三沢。これだけ量があっちゃあ、流石の十代サマも食いきれたもんじゃねえさ。モグモグ」

 

 「万丈目……お前もか。

 

 ええい、もう良い。オレも頂こう。モグモグ。む、このトリュフの入ったパスタ美味いな……」

 

 

 「はいは~い、みんな次の料理が上がったよー!

 

 今夜はアタシが腕によりをかけて作ってあげるからね! たらふく食べておくれ!」

 

 「わーい! トメさんありがとう!! おおっ!! マグロの手巻き寿司だ!」

 

 「!? お、おいちょっと待て。これもしかしてホンマグロじゃないのか!?

 王(キマイラ)はどこから持って来たんだこんな高級品!?」

 

 「ああ、偽遊ちゃんが釣ってきたんだよ」

 

 「釣ってきたぁ!?!? そんなバカなことがあるか!! ホンマグロが個人の釣り竿で釣れるわけがねえ!!!! しかもこのデュエルアカデミアで!!」

 

 「ウフフフフ。偽遊ちゃんったらねえ? 

 

 『偶(・)然(・)釣(・)れ(・)た(・)の(・)で(・)、(・)差(・)し(・)上(・)げ(・)ま(・)す(・)。(・)要(・)ら(・)な(・)い(・)切(・)れ(・)端(・)で(・)も(・)あ(・)っ(・)た(・)ら(・)今(・)夜(・)の(・)料(・)理(・)に(・)で(・)も(・)使(・)っ(・)て(・)や(・)っ(・)て(・)く(・)だ(・)さ(・)い(・)』

 

 だって☆ ほんとに素敵な子だねえ、偽遊ちゃんは。将来のお嫁さんは幸せもんだよ」

 

 「「「「やめてくださいトメさん。血の雨が降ってしまいます」」」」

 

 「アラやだ、私ったら。若い子の恋バナにオバチャンが横やり入れちゃダメよねえ☆ ついうっかり~」

 

 「「「「違うそうじゃない」」」」

  

 「え、じゃあ参加させてもらってもいいかい?」

 

 「「「「だからそうじゃなくてー!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…………ねえ偽遊君。今日の僕のデュエル、どうだったっスか?」

 

 「--中途半端。

 グスタフを使いたいんなら先攻で二体立てて4000バーンで速攻した方が良いからそういう構築にしろ。

 二巡目で冠被せられてバレットが走行不能になった件だって、他の火力不足でエクシーズして『フライング・ランチャー』出せば、機械族の召喚権の獲得と魔法罠の除去の権利が同時に買えた。フライングに冠被せられた所で、バレットが走ればツインを殴れた」

 

 「はいはいはいはい! 秒で問題点と改善点が浮かんで凄いっすねえ!? 覚えておきますよこん畜生!!」

 

 「でも、それじゃああのエンディングにはならなかった……」

 

 「え……?」

 

 「三巡目。ヒューサポでライ半しながら吸収でドローパンのコスト確保して逆転ツモってのは、俺じゃあ千年研鑽したって再現出来ない。

 ましてあそこからパワボン引き込んだのは、ロマンの観点から真剣(マジ)で褒めちぎってやる」

 

 「…………ど、ども」

 

 「お前はまだ、強くなる」

 

 「でも、伸びしろは使いきったんでしょ?」

 

 「人に2・3教わって改善する程度の成長はな。ここからは、地獄の一丁目だ」

 

 「は? 地獄??」

 

 「そう。地獄。

 

 人から教わって改善・成長する余白を俺は伸びしろと呼ぶ。或いは無知か怠惰の無駄スペースだ」

 

 「……うわあ、何かまた偽遊節が始まったッス」

 

 「ここから先は『地獄』だ。

 夜の海を進むが如く。灯台の明かりも羅針盤の針もなく、岩礁に乗り上げる危険と常に隣り合わせ。それでも止まらず。

 進むことを諦めなかった奴だけが限界を越える機会を得る」

 

 「大袈裟過ぎやしませんかい?」

 

 「そう思うか? お前は今日、亮と戦うまでに何を見たよ?」

 

 「…………まあ、ジープはマジで絶対一生忘れてやんねーっす」

 

 「それでいい。才能が無いやつがそれでも上を目指すことを諦めらんねえなら、登竜門を登る鯉のように死ぬ気で這い上がれ。ハエタタキで叩き落されるハエになってもなお一瞬のチャンスに人生を賭け捨てろ。

  

 そうして翔。地獄を愉しめ……」

 

 十代のガッチャのサインを翔に向ける偽遊。その瞳は、普段の気だるげなものでも、獣のような眼光とも違う。

 

 滅多に見せることの無い、暖かい人の目だった。

 

 

 「…………ハイっス」

 

 「じゃあ、そう言うことで。俺はそろそろ帰る。クレしんとボーボボの録画するの忘れてた」

 

 「こーゆー奴なんすよねえ……虚路居偽遊」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 AM0:00

 

 デュエルアカデミア灯台下。

 

 

 丸藤亮は、デュエルアカデミア灯台部の最後の活動をしていた。

 思えば自室のベットより長くお世話になっていたことだろう。そんな、明日にはフェリーに乗ってこの学園を去る彼がこの場所に立つことは、想像に難くなかった。

 

 

 「……………………………………………………………………………………」

 

 カラン、コロンと下駄を履いたような足音がする。

 

 亮は自身の左腕のデュエルディスクを展開した。

 

 敵意を感じて? まさか。感じたのはただ純粋な闘気のみ。

 

 後ろを振り返る。当然、奴がいた。

 

  

 

 「偽遊」

 

 

 灯台の明かりで見える偽遊は、普段のダボダボなノースリーブとは違う和装の出で立ちだった。

 

 「イメチェンにしても、思い切ったな……」

 

 「聞いて驚け。アニマルズ、動画収益で俺の服とオリジナルデザインのデュエルディスクまで作ってやがったぞ。

 服はともかく、デュエルディスクは正直テンション上がっちゃったぜ……男の子だもん」

 

 「そうか……その、なんと言うか。服の方もノリノリな気がするんだが?」

 

 「………………布がさ、お高くって。気持ちいいんだコレ。何だろうな、カシミア?? 知らんけど。

 俺今なら、イエスがもう生ぬるいパンツには戻れないって言ってずっとパンツを冷蔵庫で冷やしてた気持ちが少し分かる気がする」

 

 そう言うと、偽遊は左腕を上げて指を鳴らした。

 

 「何だ、急に?」

 

 「男の子のロマンだ」

 

 「何も説明になっていない。ふむ、いつも通りだ」

 

 亮が呆れながら納得していると、偽遊の前に何かが降ってきて突き刺さった。

 

 「お、マジで来たんだ。指パッチン型召喚式デュエルディスク。なお普段の置き場は俺の部屋」

 

 「また随分と自由なことに…………」

 

 偽遊が左腕を翳すと、烈火の●の雷神のような触手が動き、偽遊の腕に固定。デュエルの準備が整った。

 

 「…………そんじゃ、行くぜ」

 「ああ」

 

 了承など要らない、打ち合わせも不要。この二人はいつもそうやって、双方に出来ない理由が無い限り気分でデュエルを吹っかけあって来た。

 

 「ラストゲーム、一本」

 「お前が卒業するまで、だろうがな」

 

 「「--決闘(デュエル)!!!!」」

 

 

 虚路居偽遊 LP8000

 丸藤亮 LP8000

 

 「何? ライフポイントが8000だと」

 「へえ、デュエルディスクの粋な計らいかね。流石空気を読むタイプ。決闘者たちの相棒だ……そんじゃあ、本気で行くぜ」

 「来い!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……………………偽遊……」

 

 「卒業祝い、お前への贈り物を考えていたんだがな」

 

 

 

 

 虚路居偽遊 LP8000

 手札1

 

 場

 幻獣魔王バフォメット ATK2400 黒き竜のエクレシア DEF2500 呪雷神ジュラ DEF3100 黒き混沌の魔術師ブラックカオス DEF2800

 

 クリムゾン・ヘルガイア 伏せ×2

 

 墓地『幻爪の王ガゼル』『ヴィジョン・リゾネーター』『コーンフィールドコアトル』×2『ミラーソードナイト』『幻獣王キマイラ』『白の聖女エクレシア』『紅蓮の王者』『白き竜の落胤』『混沌の魔王-スカル・デーモン』『光と闇の儀式』『ダークネス・リゾネーター』『ハーピィの羽根帚』

 

 

 丸藤亮 LP8000

 手札5(サイバー・ドラゴン)

 

 墓地『サイバー・ドラゴン・ヘルツ』

 

 

 

 「--絶望を送ろうか。

 

 さあ、亮。地獄を愉しめ……」

 

 「最高の夜に……なりそうだ」

 

 

 

 




 さあ、一年生編最後のデュエルだ!!!!

 イメージ的には、

 ゴジラVSスペースゴジラVSデストロイヤーVSキングギドラVSダークライ

 みたくなる予定です。

 こう……アニメ放送中に大規模な災害が起きたら100%ブッ殺されるような感じに、爽快に。


 ならなかったら全カットですね。頑張れ、未来の俺

 
 未来の俺『叙々苑奢りな』



 下は偽遊の和服とデュエルディスクのイメージです。AIでブリブリ出しました。

小物やら服飾やらのデザインは作者には出来なくてもう……

 
【挿絵表示】

 
【挿絵表示】

翔とカイザーのデュエル楽しかった人ー

  • 楽しかった
  • 詰まんなかった
  • 文章だと複雑過ぎてついて行けない
  • 最高だった
  • こんなん翔じゃないやろ
  • 偽遊のデュエルはよ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。