貞操逆転世界の野球で『二刀流』に俺はなる!〜ガチムチ爆乳亜人メスvs一般転生ヒトオス〜 作:鎌原 や裕
第十一話 産まれて12年経ってはじめて学校行くってマジ?
石畳に舞う桜というのは、前世が日本人である俺からすると気持ちを和らげてくれる。
望郷の思いというか、懐かしさと言うか。
桜というのは思ったより日本人の心に深く根付いているらしい。
聖森の地から離れた俺は東京国都の中心『
──学徒の学び路。
全長150m、道幅30mという長大な聖ロゼの校門へと繋がる
栄光を祝福するように満開の桜が出迎える、名門に選ばれた者達だけが通ることを許された路だ。
いやはや、校門への道だけで150mも使うとは随分と豪勢な。
流石は中高大を同じ敷地内に持つ小都市型の聖ローゼンクロイツ学院。
数百年の歴史を持つ校舎は俺達から距離が離れているにも関わらず、それがいかに巨大であるかが容易に見て取れる。
「うひょ〜見ろよ茶子。
「流石は聖ロゼ。私と勝ちゃんにふさわしいビッグサイズ」
堂々と道のど真ん中を仁王立ちで占領した俺と茶子は腕を組み不敵な笑みを浮かべる。
ここではじめるのだ、王谷勝平伝説のプロローグ……いや、Prologue(流暢)を。
──◇◆◇◆◇◆◇◆──
野球強豪校であると同時に文武両道を掲げる聖ロゼだけあって、まぁ想定通り男は俺一人しかいない。
背の高い亜人ばかりが通うからか開放感のある広い廊下を歩けば、誰しもが俺に目を留める。
美少女達からの注目に多少の悦に浸りながらも、苦笑を浮かべた。
この世界に転生してから聖森区の外に出ることもなかったから、ここまで露骨なのははじめての経験だ。
精々が小学生の頃にリトル入団した時とか、練習試合の時くらいしかジロジロと見られたことなんてなかった。
それでもここまで露骨だったかと言えば否だ。
「(なるほどねぇ、これが気をつけろって言ってた理由かな?)」
ヒソヒソと呟きながら俺達を見る同級生や先輩方に茶子が威嚇するのを抑えながら、広い中等部学舎を歩くこと数分。
「1-11組……俺達が一年過ごすクラスか」
若干道に迷いながらも、ようやく自分のクラスへ到着。
扉の中からワイワイと騒ぐ女の子達の声。
う〜ん、男の子としては俄然テンションが上がってまいりました。
それじゃあこの世界で初めての学院生活……いいや、桃色の学院生活はじめちゃおうかなぁ!
勢いよく開けた扉を颯爽と通り抜けると、さっきまで聞こえてきていた女の子達の話し声がピタリと止んだ。
……あれ? 俺、時止めのチートなんて貰いましたっけ?
「……空気、死んだね」
「言うな……」
ボソッと囁いた茶子に言い返す。
クラス中の視線が集中線のように俺へ突き刺さった。
な、何で? 何で俺は一発ギャグで大スベリしたかのような羞恥心に苛まれなきゃならんの?
こういう時ってキャーキャー持て囃されるものってラノベで読んだんですけど!
事前に決められた席割りは確認していたので、俺はそそくさと自分の席に着く。
窓際の一番後ろ、前の席に茶子という主人公席と言える好立地なのに今は逃亡先なんて、俺は悲しい!
茶子の影にコソコソと隠れ、この一変した空気が元に戻るのを静かに待「ねぇねぇッッ‼︎」うッッるせぇッ‼︎
耳がジンジンとする声のデカさに肩を跳ね上げて、俺の鼓膜を破壊しようとした隣に座る凶悪犯に顔を向ける。
「な、なに?」
「あっ! ごめん! 声大きいかな⁉︎」
大口を開けて満面の笑みを浮かべる隣の子は、白髪の毛先に空色が混じったセミロングの癖毛を豪快にかき「あちゃ〜っ!」とこれまたデカい声で叫んだ。
耳の良い茶子は目元をピクつかせ、音を拾わないように耳をペタンと伏せている。
「私、いっつも声がデカいって言われるんだっ! ごめんね! 私、
言い終わるや否や高速で突き出される右手に思わず圧倒された俺は、おずおずと握手を交わす。
これまた残像が残る速さで握手した手をブンブンと上下に振るうと俺の手は解放された。
茶子にも同じような挨拶をしていたが、茶子は騒音レベルでうるさい声に限界が来たのか自慢の握力で駝空の手を握ったらしく「おぎゃぁぁああっっ!」という悲鳴に耳をやられていた。
挨拶も終わり話をしてみれば、裏表のない純真な子でとても親しみやすい奴だった。
というかアホだった。
常に大口を開けて笑ってるし、基本的に色々忘れてるし、というか俺が男だということも全く意識していなかった。
話してる最中に「ん? あれ⁉︎ 男の子だ⁉︎」と叫ぶ始末。鳥人はアホが多いと言われてるらしいが、納得だなコレ。
なんでこの学校に来れたんだろ。
「あれ〜? なんで男の子がこの学校にいるの?」
「ふふん、こう見えてスカウトされたんだぜ? 野球部に選手として!」
「ええ⁉︎ 凄い凄い! この学校めっちゃ強いのに、男の子で呼ばれたんだ! チョー天才だよ!」
「て、天才……? ま、まぁ〜それほどでも、ないけどね? これから、みたいなっ? いや、本当に!」
「エッグいよ! 男の子で野球してるの、私見たことない! 忘れてるだけかもしれないけど!」
「はっはっは、鳥頭ボケかコイツ〜」
俺と駝空が雑談で盛り上がる中、茶子はさっきから常に持ち歩いているメモ帳をペラペラとめくっていた。
新たな学友との触れ合いの場は貴重だぞ〜茶子。
気になった俺は茶子の肩をつつき、何をしてるのかと聞いてみた。
「……駝空凛って聞いて、もしかしてと思って調べてた」
メモ帳から目を離した茶子は、今度は自分が見ていたメモ帳を俺に“見ろ”と渡してきた。
疑問符を浮かべながらも、俺は茶子の言う通りメモ帳に書かれている駝空凛の項目に目を通す。
◆
2034年度開催、中央大陸少女野球選手権東楼大陸予選優勝。
本戦出場、2回戦敗退。
・大会成績
打率.546 10本塁打 26打点 11盗塁
『
2034年度、東楼大陸予選優勝……は⁉︎ コイツ、聖森に勝ったチームの女か⁉︎
アホ面のくせになんだこの成績ィッ! バケモンじゃねぇかッ! この学校に来れた理由これじゃんッ!