貞操逆転世界の野球で『二刀流』に俺はなる!〜ガチムチ爆乳亜人メスvs一般転生ヒトオス〜   作:鎌原 や裕

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第二話 亜人とかいう外国人助っ人を遥かに越えたフィジカルエリート

2023年1/13 一才 〜俺、誕生〜

 

 俺が王谷(おうたに)勝平(しょうへい)として新たな生を受けて、1年の月日が経っているらしい。

 

 らしいってのは俺と言う自意識が芽生えたのが、本当についさっきだからだ。

 長い長い夢を見ていた、というか断片的に赤ん坊の頃から今までの出来事を俯瞰的に見ていたような感じか。

 

 この世界での母親、父親、自分の名前も、全てが違和感なく自分の頭の中にある。

 

 突然復活した自意識に多少の動揺は残っているが、とりあえずは目が覚めたことを今世のマイダディに知らせよう。

 まだまだ自由の効かない一才児の身体をもぞもぞ動かして、俺が起きたことを知らせた。

 

「おお、起きたかい勝平。ほ〜ら、お父さんだぞ〜」

「(おはよう、ダディ)」

 

 人好きのする朗らかな笑みで、赤ちゃん用のベッドから俺を抱っこする男。

 この人こそ俺の新たなマイダディ。男女の貞操観念が逆転しているのはここにも現れ、ダディが主に俺の面倒を見て、マミーが毎日仕事に出ていた。

 

「ちょうど良かった。実はお隣さんが引っ越してきてね。さっき話したら同い年の赤ちゃんがいるらしいから、一緒にご挨拶しようか」

「あう(いいね。まずは手始めに精神年齢マウントでどっちが上か分からせてあげよう)」

 

 俺を抱えたダディ……もとい、父さんは俺を落とさないようのんびりとした歩みで家を出る。

 

 赤ん坊としての記憶は曖昧だが、なんだか俺の家広くね? もしや高級マンション? あれ、チート持って転生して実家が金持ちとか俺の今世強すぎ……?

 

 勝利BGMが脳内に響き渡り、勝利を確信。

 プニプニの柔らかく愛らしい腕を天高く掲げていると、父さんがお隣のインターホンを鳴らした。

 

『はい? あ、お隣さん。どうも、何かありましたか?』

「はい、先程はご挨拶ありがとうございます。ちょうど話していた息子が目を覚ましたので、こちらからご挨拶に」

『おお! 私の娘も昼寝を嫌がって起きていたので、ちょうど良かった。少し待っていてください』

 

 インターホンから聞こえて来た女性の声、随分と逞しいというか凛々しいというか、力強いクールな声音だったな。

 ウチの母さんは前世でもよく見る可愛らしい人みたいな感じだけど、この人はきっと宝塚系のクールビューティーなんじゃ「お待たせしました」お、来た来……た……?

 

「あら、可愛らしい男の子。お名前は?」

「勝平って言います〜。うわ〜、流石は“熊人(ベアード)の赤ちゃん! 同い年なのにもうそんなに大きくなるんですね”! 名前はなんていうんですか?」

「ええ、もう。お転婆で困り物ですよ。名前は茶子です。熊人の赤ちゃんでも大きい方で、もう23kgあるんですよ」

 

 ──な、な、なんじゃごりゃぁぁああああ⁉︎

 

 で、デカぁぁああい(説明不要)! 玄関の扉を潜らないと出られない、巨体! 子供二人は座れる広い肩幅! 血管の浮き出た太い腕! 服をパッツパツに押し上げるデカい胸にデカい尻! 愛嬌のある勝ち気な笑みを浮かべた美人の頭には二つの耳! 頭に生えた、二つの耳⁉︎

 

 ピクピクと動く、紛うことなき“獣の耳”……! ヒィ、なんだその腕の中の物体!

 

 で、デカすぎんだろ……! こ、こいつが赤ん坊⁉︎ 

 さっきの会話を鵜呑みにしたら、こいつは俺と同い年の赤ん坊なんじゃないの? は? 小学一年生の間違いじゃね? 

 

 赤ちゃんらしくおしゃぶり(これもデカい)を咥えて、母親の胸にしがみつく巨大赤ちゃん……いやもうこのデカさ赤“さん”だろ……。

 

「……(じ〜)」

「あぶっ(な、なんだこの赤ん坊っ。眠たそうに半分目を閉じてるのに俺から目線を逸らさねぇ!」

 

 ていうか! こ、コイツ等は一体なんなんだ⁉︎

 こんなん聞いてないぞ! どっからどうみても“獣人”だろコレ!

 ファンタジー系で必ず登場する、動物の力を持った人型の亜人! 

 

 あ! 掌に肉球付いてるぅ。待って可愛い〜……じゃねぇんだよ! 待て待て待て、いや、そんなことはどうだっていい。

 

 おい神様! どういうことだよ、ファンタジー要素あるなんて聞いてないぞ!

 俺はこの世界でSHOHEIレベルの選手になるだけなんじゃ……ん?

 

 ──『儂の世界は貞操観念逆転異世界じゃ』

 

 貞操観念……逆転……“異世界”……じゃ?

 異世界……おい。おいおい。いや、え、ガチ? 異世界って、“ちゃんと”した方の異世界?

 

 獣人とか、もしかしたらエルフとか

龍とかが存在する方の?

 

 いや聞いてないってぇ! だってアンタ魔王とかいないって言ってたじゃあん! そんなん漫画じゃあるまいしとかほざいてたじゃあん!

 

 自意識が目覚めた時、夢のように見ていた赤ちゃんとしての今世。

 その断片的な記憶にテレビや携帯、進んだ建築技術! 母さん父さんの服装からして男女逆転だけの現代に近い世界だとばかり……! あ! 今思えば外に出た記憶が全部曖昧でよく思い出せてねぇ、ぐっ盲点……!

 

『SHOHEIになってくれ!』

 

 脳裏にこだまする神様の声。

 いや無理無理無理無理! 無理だよコレは! 本能が語りかけてきてるよ、圧倒的なパワーの前に人間はひれ伏すしかないって語りかけてきてるよ!

 

 骨格とか筋力の問題じゃねぇし! 種族が違うし! ただでさえ日本人と海外じゃあパワーに差があるって言われてたんだよ? 同じ人間同士にすら差があるのに、種族が違ったらダメだろそれは!

 

「ご出産もされて娘さんも一才、これで熊掌(くまで)さんもプロに復帰出来ますね。私の妻が聖武ライオンズのファンで、来年が楽しみと言っていましたよ」

「ええ。幸いこれからオフシーズンなので、鈍った身体を出産前のコンディションに仕上げるつもりです」

 

 せ、せいぶライオンズ? え、それってプロ野球のライオンズ? ぷ、プロ野球選手? 

 

 コレ(身長2m推定体重130kg越え)が?

 スーパーヘビー級のプロレスラーの間違いじゃないのか? こんなのがボール打ったら破裂しちゃうだろ! ゲームにならねぇよ、ルールはどうなってんだルールは!

 

「僕の妻は熊掌選手の守備がたまらんとよく言っていたので、お隣さんになった熊掌さんのプレーが僕も楽しみです」

「いやはや、これはプレッシャーがかかってしまいますね。娘にもプロ野球選手としての活躍を見せたいですし、前以上の活躍が出来るよう頑張ります」

 

 恥ずかしそうに頭をかく熊掌さん。

 手を動かすたびに筋肉の筋と血管が動く前腕。

 それを呆然と見つめる俺。

 

 この人、守備職人なの? 守備たまらんって、それ源で始まって田で終わる人では? もしかしてこの世界のたまらん担当?

 

 その体格(身長2m推定腕周り50cm以上)で?

 ホームランバッターの間違いじゃ? 年間130本くらいホームラン打ってるだろその身体は。

 なんでその身体で特筆されるのがバッティングじゃなくまず守備なんだっ!

 

 勝利を確信していたはずの俺の未来に、不穏なBGMと共に暗雲が立ち込めはじめる。

 天高く掲げた腕は、弱々しく父さんの服を掴むだけ。

 

 俺は、もしかしたらとんでもない場所に転生してしまったのかもしれない。

 

 

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