仮面ライダーシャルロック   作:大島海峡

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4.いざ夜会へ

 そして、件のオークションの開催日となった。

 一般的にオークションの中には敷居の低いところもあって、昼間から一般的に広く開放されており、参加だけなら無料、カジュアルな服装でもOKというところも少なくないが、ここは夜も半ばに開催され、参加者たちも高級感あるナイトドレスを纏っている。

 ガイドを見る限り、別段服装の指定はなかったとは思うが、ギリシャ神殿を思わせる様式の外観内装と、高級ホテルの営みの夜灯とこの田舎町随一にして唯一の歓楽街の煌びやかなネオンに挟まれるという場所柄時柄が、客人に居住まいを正させるのだろう。

 

(まぁ、中にはそういうの、分かんない御曹司(ヤツ)もいるんだが)

 と、和灯晶斗は呆れながら、ポロシャツにジーンズ姿の山村操亮を見た。

 

「……何だよ、何か言いたげだな」

「べつに」

「て言うかなんでお前の方が空気読んでんだよ」

 

 自身が場違いであるという自覚は来てから悟ったのか。そんな風に八つ当たり気味に不平を鳴らしてくる。

 しかしその指摘通り、晶斗の装いはいつものオイル滲むツナギ姿とは異なり、しっかりドレスアップしていた。スリーピースのスーツとダブルベストをダークグレーで統一しつつ、チーフやタイは赤で外す。髪もアップさせてしっかりと整えている。

 そのうえで大ぶりのアタッシュケースを提げた姿は、町の修理屋、というよりベンチャー企業の若社長、という表現がしっくり来る佇まいだった。

 

「おーっ、あらためて見るとイイ感じじゃない。和灯さん」

 と、同伴しているレフも同じく、めかし込んでいる。

 ただし晶斗とは異なり、より華麗に。より女性的、否中性的に。

 トレードマークらしいキャスケットは今日はお預け。古着屋で買い求めた、明暗に二色で整えた緑のパーティドレス。胸元にコサージュを当てたり、未成熟な骨格を骨格を誤魔化す、小賢しい意匠となっている。

 

「どーよ、僕の扮装は?」

 と幼稚な頭で必死に考案したと思しき扇状的ポーズを取りながら、挑発的にレフは意見を求めるも、

「……馬子にも衣装だな」

 と、冷ややかなコメントを晶斗は落とした。

 

「つまんないコメント」

 と呆れるレフに、

「素直じゃないんだよ」

 と操亮はフォローを入れた。

「ほら、よーく考えなよ。言い方はどうあれ答えはイエス……だぁ!?」

 

 晶斗は操亮のサンダルの指先を踏み込み、それとなくレフの横に立った。

 

「で、どうなんだよ。パッと見」

「え? あぁパッと見ね……ウン、いるね。て言うかここでも分かるくらい、肥大化してる」

 曰く、この性別不詳の探偵には、フェアリーに対するセンサーが備わっている……という。眉唾物の能力だが、鵜呑みにするより他ない。

 

「とにかく、潜入するしかないってわけだが」

 と前置きした上で、

「これは、ヤマさんからの依頼だ。あの人の身を守り、ブツ手に入れることが最優先で、『かわいそうな妖精さん』は二の次だってこと、忘れんなよ」

「……分かってるよ」

 レフはトーンを低めて答えつつ、腕を絡めた。華奢な身体押し当てた。

「だからそれまでは、エスコートよろしくね?」

 愛嬌たっぷりの上目遣いで言うレフに何かリアクションを返すことはせず、そのまま三人で並んで歩き、オークションハウスへ行った。

 

「申し訳ありませんが、中学生以下の方はご入店を固くお断りしております」

 ……そして、レフだけがペーイと弾き出されたのだった。

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