1.真実の戸口へ
「お前の罪を数えろ」
その言葉を唱えるたび、決意が確固たるものがある。表出せずとも憤怒の気炎は内に滾り、標となって己を導く。
フォトンファウンドライバー。
まさしく、そのベルトの名の通り師の遺した言葉が、この復讐への道こそが、月射照真が絶望の暗黒の中で己の見出した、光量子の輝きだ。
そして、ようやくに到達した。
その道の終着点に。
今こそ、彼の無念を晴らす。汚名を払拭する。
その一念の下に、彼は今度こそ必殺と決着を期して、
だがその直後、スーツの奥底で照真の心臓が大きく跳ね上がった。
「ぐっ」
照真は軽く呻いた。痛みはない。だが強烈な違和感がそこにはある。
そしてその一瞬の隙を、かの仇敵は見逃さなかった。
放電まがいの青白いエネルギーを発散させる。フォードらの視界が塗り潰される。その間際に、大きくうねり下降した邪竜が、自身の擬体や和灯晶斗を囲い込んで覆う様子が見えた。
そして閃光が抜けていった後には、彼らの姿も消失していた。
「……クソがぁ!」
吐き捨てようとも逸した機が戻ってくるはずもなし。
マスクの奥で歯噛みして地を踏み鳴らし、照真は咆えた。
そしてレイスレンズをバックルから抜き取ると、その仮面も外套も、影法師となって剥がれ落ちる。
だが霧街八雲が怖じたのは、髑髏の戦闘スーツよりもむしろ、そこから現れた鬼気迫る横顔を認めた時だっただろう。
「あー……オヤジ、一旦戻って来いってさ」
携帯片手に彼が、ひどく気遣わしげに言うのを、照真は無視して横切ろうとした。
なけなしの勇を奮って、八雲はその肩を掴み、そして諌める。
「復讐だろうとなんだろうと、どうでも良いけど……そのベルト、ウチのだろ? その義理は通せよ」
照真は胡乱げに青年を睨み返したが、反論はしなかった。
〜〜〜
看板に、無理矢理に付け加えた双見探偵事務所の名が今となっては児戯の跡形のように見えて、滑稽とさえ想える。
人間の姿で無ければ、晶斗に触れることさえままならない。
「和灯さん、しっかり……」
一旦人の
だが、そこに予想外の力が加わった。
晶斗の腕がグイとレフの細腕を逆に握り返し、位置を入れ替えながら寝台へともつれ込む。成り行き、彼がレフを押し倒すかたちとなる。今までの戯れ合いで感じたことのない強い力が、レフの襟口掴み上げていた。
「先に親父について、興味ねぇと言ったのは俺だ。だから今更筋が遠らねぇってのも分かってる」
そう前置きをしてから、彼は掠れた低い声を、レフに落とした。
「だが答えろ。お前、人間じゃなかったのか……お前が、親父を殺したのか」
前髪の加減で、晶斗の表情は窺い知れない。いや、その気になれば覗き見ることぐらいは出来たのだろうが、どうしてもそれが躊躇われた。
「――分かった、答えよう……いや、話を、させて欲しい」
それでもせめてもの責務として、首だけは逸らすことなく、晶斗の視線を偽りの身体で受け止める。
「そもそも僕は、そのためにここに来たのだから」