少女と花嫁   作:吉月和玖

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126.お義姉ちゃん

「じゃあ、和彦。またエッチしましょ♡んッ……ちゅっ…♡」

「カズヒコさん…私もお願い…んッ……ちゅっ…♡」

「先生!今日は気持ち良かったです!またお願いします!んッ……ちゅっ…♡」

 

部活終わりにいきなり誘われた四人での情事。それもようやく終わり、夕食まで食べて二乃と三玖と四葉の三人を家まで送り届けたところである。

三人はご機嫌な状態で僕にキスして部屋に入っていった。

 

「はぁぁ…疲れたぁ…さっさと帰って寝よ」

 

隣の自分の家まで向かおうとしたところでスマホに着信が入った。五月からだ。

 

『今から会いたいから、非常階段のところで待ってて』

 

何言われるかが怖いが、『了解』と送って非常階段に向かった。

 

「和彦さん、会いたかったぁ♡」

 

非常階段で待ってると五月がいきなり抱きついてきた。

 

「えっと…怒られると思って覚悟して待ってたんだけど…」

「怒る?何に?」

 

怒られる事を覚悟していたと五月に伝えると、五月が何の事だと抱きついたまま不思議そうな顔をしている。

 

「いや、今日あった出来事をメッセージで報告しただろ?」

「ああ、うん。立川先生のキスと二乃、三玖、四葉とのエッチだよね。ふふっ…和彦さんったらマメだよね」

 

メッセージの内容を復唱した五月であったが、怒るどころか何故か笑っている。

 

「私がお願いしたことなんだから怒るわけないよ。あ、でもヤキモチはしてるんだからね?だから、んッ…」

 

目を瞑って唇をこちらに差し出してきたのでそれに応じた。

 

「んッ……ちゅっ……はぁ……ちゅっ……はぁ……♡えへへ…和彦さんとのキスって好き♡」

 

その言葉を聞いた瞬間五月を抱きしめていた。

その後は階段に二人で座り、五月は僕の肩に頭を乗せて寄り添ってきた。手も恋人繋ぎでいる。

 

「落ち着くなぁ…」

「ああ…」

 

特に話をしている訳でもないのだが、こんな静かな時間も良いものだ。それは五月といるからなのかもしれない。

 

「ごめんね和彦さん。一応、私って和彦さんのこと見損なったことにしてるから、学校では話しかけないようにしてるの」

「ああ…二乃達から聞いたよ。わざと嫌われ役をやってるんじゃないかって三人は感じてるみたいだよ」

「そっか...やっぱり姉妹には隠せないね」

「これも五月の言ってる計画の一環?」

「うん…もう少し形になったら話すね。あ、早速なんだけど、今月末にお互いの親に挨拶しない?」

「へ?」

 

突然の申し出に驚きの声をあげてしまった。

 

「えっと…中野さんに会うのは構わないけど、うちの両親福岡だよ?」

「そこも大丈夫。根回ししてるから」

 

なんという行動力。しかし、あれだよな。娘さんを僕にください的な事を中野さんに言うんだよな…やべ、すでにビビってきた。

そんな僕の思いに気づいたのか、五月がクスクスと笑い始めた。

 

「和彦さん、すごい汗だよ」

「いやー、中野さんとは何回か話したけど中々警戒されてたから…あはは…」

「二人で頑張ろうね♪」

「ああ!」

 

それからは今日お互いにあった出来事を話した。

特に三玖がいきなり告白されたことには五月も驚いていた。

やっぱり良いなこういう時間も...

 

「と…そろそろ帰らなきゃ。明日もここで会うね」

 

明日の約束をする五月に僕は一つの提案をした。

 

「なあ、うちに来れば良いんじゃないか?勉強を教わりに来たって言えば問題ないだろ?」

「でも……ことりさんが…」

「じゃあ、ことりにだけは話さないか僕達の関係」

「え…?」

 

五月の両手を握りことりにだけは報告することを提案した。

 

「ことりなら絶対に他の人に喋らないし、協力者は多い方が良いだろ」

「うーん…」

 

五月も迷っているようだ。中々首を縦に振ってくれない。

 

「ここに毎回来てたら流石に他の姉妹も怪しむし。勉強の為って言えば問題ないしさ。ね?」

「……わかったよ。和彦さんの言う通りにする」

 

ようやく承諾してくれたのでとりあえずひと安心だ。

 

「じゃあ、明日数学準備室に二人を呼び出すから、そこで話そう」

「うん。じゃあ、おやすみのキスしてくれる?」

「ああ…」

「んッ……ちゅっ……はぁ……ちゅっ…♡」

 

軽くキスをしたら五月は微笑んでくれた。

そしてそのままお互いの家に帰ることにした。

 


 

次の日。

放課後に五月とことりを数学準備室に呼び出した。

僕と五月が並んで座り、目の前にことりがいる状態である。

 

「それで?何か用事?進路相談って雰囲気じゃないみたいだけど」

 

三人が座った直後にことりから話を切り出した。

 

「まあな。これはことりにしか話せないやつなんだ」

「ふーん…」

 

僕の言葉に隣の五月に目線を持っていった。目が合った五月は恥ずかしくなったのか、目線を下におろした。

 

「二乃が言うには、五月は兄さんに嫌悪感があるって言ってたけど、今の五月からはそんな感じしないね。昨日の朝の五月の態度もおかしかったから、二乃の話の信憑性が高かったんだけどね」

 

右膝に右肘をついて手のひらに顔を置きそんな話をことりは伝えてきた。

 

「でも……今の五月からはどちらかというと三玖たちみたいな兄さんへの想いが感じられるかな」

 

いつもの無邪気な笑みを浮かべながらことりは話した。

 

「どっちが本当の五月なんだろうね?」

「!」

 

だが次の瞬間、挑発的で不適な笑みに変わったことりの姿に、五月は目を見開いて固まってしまった。若干ではあるが威圧も感じられる。

いつもと違う雰囲気に五月も驚いているのだろう。若干震えも感じる。

そんな五月の手を握って五月に笑って見せた。

 

「大丈夫。僕が傍にいるから」

「……はい…」

 

そこで五月は深呼吸をしてことりに向き合った。

 

「お前も止めろって。いつも言ってるだろ、そんな威圧放ってたら皆ビビるって」

「ふふふ…」

 

僕が話しかけるといつもの無邪気な笑顔に変わったが、威圧は放ったままだ。

 

「えー、()()()()()の事を悪く言う人だよ?そんな人を信用するなんて無理だよぉ」

「!」

 

ことりの殺気が混ざった言葉に五月は息を飲んだ。

このことりの雰囲気久しぶりに見たなぁ。ことりは僕に対してかなり嫉妬深いところがある。だから、僕に近づく女性達にはこんな感じで牽制するのだ。

五つ子や立川先生にはしていなかったから成長したと思っていたんだが…

 

「それで?本当はどうなの五月?お兄ちゃんのこと好き?」

「はい!」

 

そんなことりの牽制に緊張した趣で五月はしっかりと返事をした。

 

「それは兄として?五月ってお兄ちゃんに甘える節があったよね?」

「……っ!いいえ。一人の男性として愛してます!」

 

自分が僕に甘えているところがあると言われた事に、五月は驚きつつもしっかりと答えた。

 

「そう……まあ、その手を握ってるのを見れば大体話の内容は想像つくよ。お兄ちゃん、五月と付き合うんだ?」

 

ヤバッ!ことりの奴目が完全に()んでる。僕の考えは甘かったのだろうか。

 

「いいえ」

「………は?」

 

そんな風に考えてると五月が付き合っていないと答えた。そんな回答にことりも間が抜けたなような顔になり、威圧も抜けていった。

 

「私たちは付き合っていません。結婚をするんです!」

「け……結婚!?」

 

五月の言葉に驚いたことりは、ばっと僕を見た。そこで僕は黙って頷いた。

 

「け、結婚って……え、まだ付き合ってもないのに?」

「お付き合いをしないと結婚はできないということはありません!」

「いや、まあそうなんだけど…」

 

先程とは打って変わり、ことりの方が混乱し取り乱し始めた。

 

「悪い、ことり。この事は誰にも言わないでくれ」

「いや、言えないよ!お父さんたちにはどう説明すんの?」

「今月末に私の父と和彦さんのご両親に報告をする段取りはついています」

「嘘でしょ?」

「本当です」

 

信じられないといった顔でことりは確認すると、五月は真剣な顔で本当だと答えた。

 

「ぷっ……あははは。凄いよ五月は。何?もうお父さんたちと話したわけ?」

「いえ。まだ和彦さんのご両親とはお話はしたことがなく…ある方に頼んで間に入ってもらったんです」

 

五月の段取りの良さにさすがのことりも威圧する気もなくなったようで、いつもの無邪気な笑顔で話している。

とは言え…

 

「ある方って?」

「あれ?お兄ちゃんも知らないの?」

「あ…ああ。情けない話、五月が全部段取りしてくれてるんだよ」

「ふーん…情けない兄でごめんね、五月」

 

おい!

確かに自分でも言ったがことりに言われると腹が立ってしまった。

 

「いえ!和彦さんには私たちの関係がバレないようにいつも通りでいるように伝えてますから。そんな和彦さんの方が心痛めてるかと…」

「ふーん…ちなみにさぁ、お互いに結婚することを決めたのっていつ?」

「昨日の朝です」

「あー…そういうこと」

 

ニヤリと笑いながらことりは僕を見た。

 

「結婚する相手がいるのに、お兄ちゃんってば昨日はお楽しみだったもんね?」

「ぐっ…」

「三人ともとても満足してたみたいだよ」

 

ふふふ、と笑いながらそんな話をしてくることり。

五月の前で止めてほしいんだが…

 

「そのお話も昨日和彦さんから聞いています。和彦さんは自分たちのことを話し、これ以上二乃たちからの誘いがないようにしようとも言ってくれました。しかし、それは私が止めて関係も続けることを許可したんです」

 

五月の言葉にさすがのことりも笑いが止まりパチパチと目を開いては閉じてを繰り返しながら、驚きの顔で固まってしまった。

 

「えっと……五月ってお兄ちゃんと結婚するんだよね?」

「はい」

「?それなのに二乃たちとの体の関係を許したの?」

「はい」

「??お兄ちゃん、どういうこと?」

 

ことりの脳内では混乱が生じているようで、僕に助けを求めてきた。

 

「いや、僕も分からなくて…なんか計画の一環らしいんだけど、それも教えてくれないんだよ」

「計画?」

 

僕の言葉を聞いたことりはまた五月を見たが、五月は何故か恥ずかしそうに下を見てしまった。

 

「それって、お兄ちゃんに害はないよね?」

 

若干威圧感が増したことりが五月に聞いた。

 

「あ、ありません!私は和彦さんに害をなすことを絶対にしません!………ことりさんにはお話するのでこちらに」

 

五月は席を立ち、少し離れたところにことりを誘導した。そのことりの耳元で五月は何やら話している。

 

「マジ!?」

「……はい……」

 

五月の話を聞き終わったことりは驚きの表情で五月を見ている。

マジで内容が気になるんだが…

そして、僕と五月を交互に見てまた五月に話しかけた。

 

「五月としてはそれで良いの!?いや、確かにお兄ちゃんに害はない…とは…思うけど…」

 

最後の間はなんだ!?本当に大丈夫なんだろうな!?いや、五月の事を疑ってる訳ではないんだが…

そんな風に考えていると、ことりは驚きの表情のまま僕の向かいに座った。隣に座った五月はいつも通りである。

 

「……いや、まあ……うーん…私としてもそれができれば一番良いとは思うけど……もしかして、昨日の二乃たちへの態度って…」

 

ことりが五月に昨日の事を問いかけると、ニコッと笑顔で頷いた。

 

「はぁーー…五月は本当にお兄ちゃんが好きなんだね」

「ええ!一生愛することをここに誓います」

「そっか...」

 

微笑みなから答える五月にことりは満足そうな笑みを浮かべた。

いや!二人だけで分かり合った感出さないでくれるかな!

 

「えっと……僕には…」

「あー…お兄ちゃんはまだ良いよ。うん、今のままで二乃たちと接しなよ」

「えぇーーー……」

 

僕には教えてくれないのか一応聞いたが、ことりは教えてくれなかった。

はぁぁ…まだ蚊帳の外な訳ね。

 

「でもさぁ、その計画を達成するには場所がないんじゃない?」

 

場所?

 

「いえ。そこもある方の協力を得て確保が出来る予定です」

 

またある方か…いったい誰なんだ?

僕が疑問に思っているとことりが代わりに質問してくれた。

 

「そのある方っていうのも内緒?」

 

ことりの質問に、顎に指を持っていき考え始めた五月。

すると、うんと頷くと話し始めた。

 

「……いえ。そのある方というのは今井さんです」

「今井?」

「え?今井っていうと結愛のクラスの?」

「そうです」

 

意外な人物の名前が出たので驚きながら確認をした。

 

「ああ、昔お兄ちゃんにプロポーズしたっていう?」

「ま…まあ…そうだな…」

 

ことりの言葉に微妙な反応をしてしまった。

 

「その今井さんにはお兄ちゃんと五月の関係は伝えてるの?」

「ええ。計画のことも」

「へぇ~…ま、協力した方がその今井さんも得と言えば得だもんね」

「?」

 

ことりの言葉の意味が分からんのだが。五月の計画に協力した方が憂にとって得ってなんだ?

五月の方を見ると照れたように下を向いている。

何なんだその計画って!?

そんな風に思っているとことりが、うーんと顎に人差し指を当てて何やら考えている。そして、ニヤリといたずらっ子のような顔になった。

そして五月の横に座り、五月の腕に自らの腕を組んでくっついてきた。

 

「こ、ことりさん!?」

「ふふふ…お兄ちゃんの奥さんになるってことは、私にとってはお義姉ちゃんってことだよね?」

「え…ええ。そ、そうなりますね」

「じゃあ、これからはお義姉ちゃんって呼ぶね♪五月みたいなお姉ちゃん欲しかったんだぁ。頼りになりそうで」

「お…お義姉ちゃん……頼りになる……は、はい!ことりさんにとって頼りになるお義姉さんになりますね♪」

 

ことりの言葉に五月は嬉しそうに答えている。まあ、姉妹では末っ子でもあるから姉という存在に憧れていただろうし、頼られる事には嬉しさもあるから仕方ないだろう。

ことりが甘えるようにすると五月のニヤニヤが止まらない。

ことりの奴は何を考えているんだ?

そんな疑問が頭を過ったところでことりがとんでもないことを言ってきた。

 

「ふふっ…お兄ちゃん。これで、私とお義姉ちゃんで姉妹丼ができるよ♡」

「ぶっ…!」

「?しまいどん…?」

 

ことりの提案に吹いてしまった。

この子は何を言い出すかねぇ…

五月は姉妹丼の意味が分からないようで、何の事だろうといった顔をしている。

 

「お前は馬鹿かっ!」

「えー、だってお兄ちゃん姉妹丼好きでしょ?」

「はぁ!?」

 

そんな性癖持った覚えないぞ。

 

「あの、ことりさん。しまいどん、とは?姉妹で丼を食べ合うということでしょうか?」

「あはは…!お義姉ちゃん、本当に分からないんだぁ。あのね、姉妹丼って言うのは──」

 

五月の言葉に笑いながら、五月の耳元で姉妹丼の説明を始めた。

五月の顔はみるみるうちに赤くなっていった。

 

「とにかく!そんなものが好きだと言ったことはないからね!」

「えー、だってお兄ちゃんってばもう二回も経験してるじゃん。三玖と四葉。二乃と三玖と四葉。て」

「それは好んでした訳じゃなくて、流れでそうなった訳であって...」

「でも、三人ともお兄ちゃんはノリノリだったって言ってたよ?」

 

あの三人には後で説教が必要のようだな。

 

「お義姉ちゃんは興味ない?姉妹丼」

「えーー!?そ…それは…なんと言いますか…やはり…初めては二人っきりが良いと言いますか…」

 

顔を赤くしながら俯きながらそんな風に五月は伝えてきた。

 

「やだー♪お義姉ちゃん可愛いぃ~~!」

 

そんな五月にことりは首に腕を回すように抱きついた。

 

「ちょっ…くすぐったいですよ、ことりさん!」

 

更にはお互いの頬をスリスリとするようにことりがするものだから、五月も驚いている。

 

「大丈夫だよ。お兄ちゃんとお義姉ちゃんの初めてはジャマしないから。その後、ちょっと三人で楽しみたいなぁっと思ってるだけだから♪」

「うーー…そもそも、そういうことはやはり二人っきりで行うものなのではないでしょうか…」

「きっと三人の方が楽しいよ♪」

 

結局その後もことりの猛アタックが続くのだが、五月が首を縦に振ることはこの日はなかった。

まあ、二人の仲が良いのはよしとするか。

そんな風に考えながら、二人の楽しそうな会話を聞いているのだった。

 

 




今回の投稿も読んでいただきありがとうございます。

今回のお話では、和彦と五月の関係をことりに話したところを中心に書かせていただきました。
そして、五月の計画について知っているのは憂とことりの二人となりました。
果たして五月の計画とは──
それを知らない和彦は大変そうではありますが……

次回は部活の話ではあるのですが、ちょっと思いつきで書いてみようと思ったものがありまして、それを書いていこうと思っています。

次回の投稿は2月25日を予定しております。
次回の投稿も読んでいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

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