少女と花嫁   作:吉月和玖

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129.姉妹会議

~中野家~

 

五月が吉浦家から帰宅後、テーブルを囲むように五つ子達が座っていた。

 

「何よ話って。また何か文句でもある訳?」

「まあまあ二乃落ち着いて。五月ちゃんが話しにくくなるでしょ?」

 

姉妹に集まるように提案した五月に対して二乃はさっそく噛みついた。それを一花が宥めている。

三玖と四葉のは明日の事もあるので、ドキドキしながら五月を見ていた。

 

「……先日の屋上での件についてです。さすがに言い過ぎたと思いました。すみませんでした」

 

頭を下げる五月に他の姉妹は驚きの顔をしていた。

 

「どうしたのよ急に。何かあった訳?」

「先程、ことりさんと先生とお話をさせていただきました。確かに度が過ぎた行いでしたが、先生も誠実な方であると分かりましたので」

 

急に謝罪してきた五月に何かあるのではと二乃は怪しんだので、謝罪に至った経緯を五月は話した。

 

「先生は()()()()はしていないと。これからもその一線は越えないと言っていただきましたので」

「ふーん…」

 

五月の説明に納得したような態度を二乃は取った。

 

「えっと……そもそも何で喧嘩してたのかな?そこを私は聞かされてないんだけど…」

 

そこで一花が喧嘩の原因について四人に聞いた。

 

「そ…それは……」

「むぅ……」

「「………」」

 

一花の質問に五月は言い淀み、二乃は視線を外し、四葉は顔を赤くして下を向いてしまった。唯一、三玖だけがいつも通りであった。

 

「え?何々?そんなに話しにくいことなの?」

 

そんな三人の態度に一花は若干怖がりながらも質問をした。

 

「……私と二乃と四葉がカズヒコさんとエッチした…」

「「「!!」」」

 

そこに三玖がいつもの表情で喧嘩の原因を話したので、二乃と四葉と五月は驚きの顔を三玖に向けた。

 

「ああ、なるほどね。なんだ、三玖たちが先生とエッチしただけか………………て、え?えええええ!?」

 

いつも通りに話す三玖だった為か、一花はワンテンポ遅れて驚き、その場に立ち上がった。

 

「う……嘘でしょ?」

「本当…」

 

一花は聞き返すも、三玖は表情を変えることなく話した。そんな三玖の態度に二乃と五月は顔に手をやり呆れ、四葉は苦笑いをしていた。

 

「ちょっ…!ちょっとそれはさすがにお姉さんもやり過ぎじゃないかなって思うんだけど…そりゃあ、五月ちゃんが怒るわけだよ……うん…」

 

一花も少しは落ち着いてきたのか、また座りなおし最後には照れてしまった。仕方もないだろう。いくら一花とはいえ、そういった話をあまりしないのだから。

 

「えっと……無理やりされたとかじゃないよね…?」

「違う…私たちからお願いした…むしろカズヒコさんは断ってきた…」

「そ…そっか...それならよかっ……て!良くないよ!」

 

和彦から強引にという訳ではないことに一花は安心したが、すかさずツッコミを入れた。

 

「むぅ…良いじゃない。興味あったんだから」

 

一花のツッコミに頬を膨らませながら二乃が文句を言っている。

 

「いや、興味があるからって……そっかそれでさっき五月ちゃんは()()()()って言葉を使ったんだね。えっと…つまり三人はまだ……」

「処女…」

 

三玖の言葉に一花は胸を撫で下ろした。

 

「えっと……じゃあ、この間の四葉の恋愛相談っていうのも……」

「あながち間違っていない…エッチなことはしたけど…」

「あはは…」

 

一花の問いに三玖は少し照れて話し、四葉も照れ笑いをした。

 

「はぁぁ……じゃ、じゃあ、四葉がフータロー君を好きだって言うのも……」

 

少し緊張気味に一花は四葉に問いかけた。

 

「ごめんね一花。それは本当なんだ。前々から先生には相談してて……そしたら、先生のことも好きになってたんだ……あはは…優柔不断だよね…」

「そっか...」

 

申し訳ない顔で説明をした四葉に対して一花は複雑な気持ちで返事をした。

 

「ちなみに……上杉さんには唇ではないけどことりさんと一緒で頬にキスしたよ♪」

「え……」

 

不適な笑みで四葉は一花に報告すると、一花は驚きの顔で四葉を見た。

 

「あら♪四葉もやるじゃない♪」

「そこは褒めるところではありませんよ、二乃」

 

よくやったと言う二乃に対して五月がすかさずツッコミを入れた。

 

「ししし…上杉さんってば、惚け~って顔してて可愛かったなぁ♪」

「へぇ~…そのまま唇も奪えば良かったのに」

「うーん…なんとなくだけど、ここで止めた方が効果あるかなって思ったんだよねぇ…」

 

微笑みながら四葉が風太郎の頬にキスをした時の事を思い出しながら話すのに対して、二乃はそのまま唇も奪えば良かっただろうと話した。それに対して四葉は指を顎にあて、少し上を見ながら考えるようにその時の思いを伝えた。

 

「ふふふ…四葉も恋愛の達人になってきたね…」

「ああぁぁ~…四葉まで二乃みたいに…」

「何気にあんた失礼ね…」

 

四葉の考えを聞いた三玖は嬉しそうに話すも、五月は頭を抱えながら悩み始めた。そこには二乃もさすがにツッコミを入れた。

 

「一花ぁ♪うかうかしてられないんじゃない?」

「うっ……」

 

二乃が笑みを浮かべながら一花に伝えると、一花も同じ考えなのだろうか言葉が詰まった。

 

「いいえ。一花までそんなことになっては家庭内が崩壊しかねません。一花は一花らしくするべきです!」

「あはは…五月ちゃん必死だなぁ…」

 

(うーん…どうしたものかなぁ…)

 

二乃の言葉に五月はそのままの一花でいて問題ないと必死に訴えかけた。そんな五月の言葉に一花は今後どうすべきか悩んでいた。

そんな中、三玖は意を決したように話し始めた。

 

「みんなにお願いがある…!」

「ん?どうしたの三玖?」

 

そんな三玖に一花が問いかけた。

 

「明日、私と四葉でカズヒコさんとのお泊まりデートを許可してほしい…!」

「え、ええぇぇぇ~~~!?」

「はああぁぁ~~~!?」

「はぁぁ…」

 

三玖の言葉に一花と二乃は驚きの声をあげ、五月は頭を抱えてため息をついた。

 

「あんた!いつの間にそんな話になってるのよ!?」

 

ダンッとテーブルに両手を付いて中腰体勢にした二乃が三玖に詰めよった。

 

「今日…四葉が先生と試合形式をしてポイントを取れたら何でも願いを叶えるって…で、四葉は見事にポイントを取った…」

「なら、なんであんたもそこにいるのよ!」

「四葉が誘ってくれた…」

「四葉!?」

 

三玖が経緯を説明すると二乃は今度は四葉に詰めよった。

 

「えっと……私が先生の事を好きだって先生に言えたのは三玖のおかげだから、一緒にどうかなぁって…」

 

二乃の問いに四葉は頬をかきながら笑って答えた。

 

「ぐぬぬぬ……」

 

そんな四葉の答えには二乃も何も言い返せないでいた。

 

「しかし、初心者でもある四葉が先生からポイントを取るとは……先生は手を抜いていたのですか?」

「ううん…多分カズヒコさんの今時点での本気だったと思う。今井さんもタダヨシも驚いてたし…」

「タダヨシって……あんた、本多のこと名前で呼ぶようになったの?」

「本人にお願いされたから…それくらい良いかなって…」

「ふーん…そのまま付き合っちゃえば?」

「それはない…!」

 

五月の和彦が手を抜いていたのではないかという問いに、三玖は否定した。そんな三玖が忠義の事を名前で呼んでいたので、笑みを浮かべながら二乃がそのまま忠義と付き合えば良いと伝えると、三玖は二乃を睨みながら即答した。哀れ忠義……

 

「それにしても凄いね四葉!」

「あはは…先生の動画を何回も観返して、こうすれば良いかなって頭の中で何度もイメージトレーニングしてたんだ…でも、途中から記憶無いんだよねぇ…気づいたらいつの間にか先生の腕の中だったし、取ったポイントも増えてたし…」

 

一花の驚きの声に四葉は笑いながら答えた。

 

「どういうこと?」

「うーん……私にもよくわからなくて…今井さんが言うには、無我の境地?っていうのに入ったらしい…四葉は無意識にカズヒコさんの技を使って対抗してたみたい…」

 

四葉の記憶が無いという言葉に二乃は疑問を漏らすと、三玖が困った顔で答えた。

 

「それで、体力の限界を迎えた四葉は試合が終わると同時に倒れそうになったのをカズヒコさんが抱え込んだの…」

「へぇ~…そんなことがぁ…四葉凄いじゃん!」

「えへへ…今後は先生がしっかりと鍛えてくれるって言ってくれたよ♪」

「そうですか…」

 

三玖の説明が終わると一花は関心したように四葉を褒めると、四葉も和彦に今後も鍛えてくれると言われた事に嬉しそうに話した。

それを目を瞑り口角を上げて五月は聞いていた。

 

「私は構いませんよ。それは四葉の頑張りで得たものですから」

「五月!?」

 

平常心といった形で五月が三玖のお願いを許可した事に二乃が驚きの声をあげた。

 

「ほ…本当に?良いの?五月…」

 

四葉も信じられないといった顔で五月に問いかけた。

 

「ええ。ただし!」

 

笑みを浮かべながら答えた五月であったが、次の瞬間右手の人差し指を立てて前に出し、真剣な表情で条件を提示した。

 

「絶対に本番行為はしないこと!わかりましたね?」

「う…うん…」

「もちろんだよ!」

 

そんな五月の態度に三玖は緊張した赴きで答え、四葉は真剣に答えた。

 

「なら良いのです」

 

二人の答えに満足そうに五月は答えた。

 

「はぁぁ……五月が良いって言うなら私も反論無いわよ…くぅぅ……絶対に私も誘うんだから!」

 

五月の答えにため息混じりに二乃は答えた。そして次こそは自分がと息巻いている。

後は一花だけとなったので、三玖と四葉は反射的に一花を見た。

 

「うーん……長女としては反対したいんだけど……三玖、四葉。一つだけ聞かせてくれるかな?」

 

悩んでいる一花は、真剣な表情に変えて三玖と四葉に問いかけると、三玖と四葉も真剣な表情で頷いた。

 

「私はそういった行為は付き合ってからするものだって思ってる。このままの状態がずるずると進むのも良くないし、もしかしたら二人は先生に振られるかもしれない…もちろん、二乃だってそう…」

「「「!」」」

 

和彦に振られる。その言葉に二乃と三玖と四葉は固唾を呑んだ。

 

「そうなった時、三人は後悔しない?」

「………」

 

一花の言葉に五月は目を瞑り黙って聞いていた。

 

「ええ、私は後悔しないわ!むしろ、今動かない方が後悔する!」

「私も…!もし、カズヒコさんに振られたら……しばらくは落ち込むかもしれない…けど、私のこの気持ちは止められない…!」

「私は二人の人を好きになっちゃったから、もしかしたらずるいかもしれないけど……私が先生としたことに後悔なんてない!」

 

三人の気持ちの込もった言葉を聞いて五月は人知れず笑みを浮かべていた。

 

(はぁぁ……恋は盲目ってよく言うけど…私にもこれだけの行動力があればなぁ…)

 

一花は心の中でしみじみとそう思った。

 

「わかった...二人の外泊を許可します」

「ありがとう…一花…!」

「ありがとう!」

 

一花の許可に三玖と四葉は笑顔でお礼を伝えた。

 

「ただし!さっき五月ちゃんが言ったように本番は絶対に駄目だからね!もし妊娠なんてお父さんに知られたら、二度と会えなくなっちゃうんだから!」

「うん…!」

「わかってるよ!」

 

一花の忠告に三玖と四葉は微笑みながら頷いた。

そんな二人を見て、二乃と五月はため息を溢すのだった。

 


 

「ん…んん……」

 

朝か…

 

「すー……すー……」

 

左隣を見ると規則正しい寝息を出しながら結愛が眠っていた。

 

「あ、おはようお兄ちゃん」

 

すると、逆側からことりが挨拶をしてきた。

 

「おはようことり。今何時?」

「んー……六時過ぎってところかな…ね?おはようのキスは?」

 

近づいてきたことりからそんな問いが返ってきた。

 

「はいはい。おいで」

「うん♡んッ……ちゅっ……ちゅるッ……ちゅっ……んんッ……したもぉ…♡」

 

それはもはやおはようキスではないのでは?

そんな疑問が出てきたが、ことりのお願いに応じてしまっていた。

 

「ふふっ…♡れろッ……れろッ……ちゅるッ……ちゅっ……はぁ……あらためて、おはよお兄ちゃん♡」

「ああ…おはよう」

 

抱きついてきたことりを抱きしめ返した。

 

「ん?お兄ちゃん、スマホに着信あるみたいだよ?」

「ん?本当だ…こんな朝早く?」

 

枕元に置いていたスマホに着信がきているのをことりが気づいてくれたので、中身を見てみた。

相手は一花?

 

「げ!?昨日の夜に一花から着信きてるじゃん!」

「あー…昨日はあの後疲れて寝ちゃったもんねぇ…もしかしたら、私にもきてるかも。朝食とかの準備もあるからついでに確かめてくるよ。んッ……ちゅっ…♡」

 

軽くキスをしてきたことりはそのまま自分の部屋へと戻っていった。

 

「とりあえず、昨日はさっさと寝ちゃってたってメッセージ送っとくか…」

「ん…んー……和彦…さん…?」

 

一花へのメッセージを送っていると隣の結愛が起きたようだ。

 

「あ、悪い。起こしちゃったかな?」

「ううん…大丈夫です…んー……ちゅっ…♡」

 

起きた結愛に声をかけると結愛からキスをされた。

 

「えへへ…♡おはようのキスです♡憧れてたんですよ♡ねぇ…もっとしても良いですか?」

「仕方のないお嬢さんで…」

「んッ…♡ちゅっ……ちゅるッ……ちゅっ……はぁ……あの…舌も良いですか…?」

 

結愛まで…はぁぁ…なんか僕はどんどんこんな子を作ってるような気がしてきたよ。

自分に反省しながら結愛の懇願に応じた。

 

「ちゅっ……れろッ……ちゅるッ……はぁ……れろッ……れろッ……ちゅるッ……ちゅっ……もっと…♡ちゅるッ……れろッ……ちゅるッ……ちゅっ……♡」

 

結愛はキスが気に入ったようで中々長い。しばらく結愛のしたいようにさせているとようやく解放された。

 

「えへへ…♡和彦さん、大好きです♡」

 

抱きしめてきた結愛を抱きしめ返しながら罪悪感に包まれていた。

本当に最低だな僕って……

 

「あれ?和彦さん朝から元気ですね…昨日みたいにした方が良いですか?」

「いやいや、良いから。これは男の生理現象だからっ!すぐに収まるよ!」

「そうですか…」

 

結愛が僕の下半身の方を見ながら聞いてきたので、丁重にお断りを入れた。すると、結愛は少し残念そうな顔を見せた。

 

「そ、それより早く何か着ないと風邪引くよ」

「はい。じゃあ、ことりさんの部屋で着替えてきますね」

 

ニッコリと笑った結愛は昨日脱いだ服などを抱えて部屋を出ていった。全裸で……

 

『わ!結愛ちゃんそんな格好で歩き回らないの。はしたないよ!』

『え~…でも、この家には和彦さんとことりさんしかいないじゃん』

 

そんな会話が部屋の外から聞こえてきた。

まさか、ことりから『はしたない』と言われるとはな…

 

「まったくもう結愛ちゃんったらぁ……あ、お兄ちゃん。やっぱり私も一花から連絡きてたよ」

「そっか...何か急ぎの用でもあったのかな?」

 

すると、そこに三玖からメッセージがきた。

 

『おはようカズヒコさん。一花と二乃と五月から許可貰ったから今日は四葉と一緒によろしくね♡』

 

「げっ!?」

 

そんな三玖からのメッセージを見て堪らず声が出てしまった。

 

「どうしたの?お兄ちゃん?」

 

異変に気づいたことりが近づいてきたので、そのままメッセージをことりに見せた。

 

「あぁーあ。私は知らないからね。一花と結愛ちゃんにはちゃんと説明しなよ」

「はい……」

 

こうして僕は、朝からブルーな気持ちを送る羽目になるのだった。

 

 




今回の投稿も読んでいただきありがとうございます。

今回は、前回のお話で五月が言っていたように、二乃と三玖と四葉の三人に屋上での和彦に対する発言を謝罪するところから始まりました。
そして、とうとう一花にも姉妹達と和彦との関係がバレる事になります。
しかし、一花が言っていたようにマルオにバレたら社会的に和彦は死んでしまうでしょうね...

次回は、和彦が一花に現状を伝える話を中心に書かせていただこうかと思います。

次回の投稿は3月10日を予定しております。
次回の投稿も読んでいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

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