少女と花嫁   作:吉月和玖

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134.涙

「という訳で。悪いんだけど、この連休は練習を見てやれなくて……その代わりと言ってはなんだが、皆にはそれぞれの練習メニューを作ってきた」

 

放課後の集まりの後。いつも通りに部活に顔を出して、今度の連休は練習を見れない事を謝った。

そして、それぞれに合った練習メニューを作ってきたので、二乃と三玖と結愛と憂に配ってもらった。

 

「すげえぇー!これ一人一人違うぞ!」

「本当だぁ!」

「これ、全部先生が作ってくれたんですか!?」

 

それぞれが渡された練習メニューを見て、他の人と違うことに驚いている部員達。そこで、酒井が代表して僕に聞いてきた。

 

「ああ。これまで見てきた君達の実力に合ったメニューになってると思う。多少キツイかもしれないが、これを連休中にやりきってくれれば、少しでも皆のレベルアップに繋がると思うよ」

「凄い!ありがとうございます、先生!」

『ありがとうございます!』

 

笑顔でお礼を言ってきた榊原に続いて部員全員からお礼を言われた。

喜んで貰えたようで何よりである。

 

「あのおぉ……し…師匠…?」

「ん?どうした、忠義?」

 

そんな中、忠義が緊張気味に手を上げて質問してきた。

 

「いや、俺や四葉先輩、それに木下のメニュー…ちょっと桁って言うか、量がおかしくないっすか?」

「そう?四葉と綾那はどう?」

 

忠義の質問に忠義の両脇にいる四葉と綾那に一応聞いてみた。

 

「大丈夫です!」

「私も問題ありません」

「だって」

「ええぇぇーー!?マジかよ!?」

 

元気に答える四葉といつも通り静かに答える綾那の答えを、そのまま忠義に繋げると滅茶苦茶驚かれた。

 

「何よ?そんなにヤバい訳?」

 

そこに二乃が忠義のメニューを覗き込んだ。

 

「………………まあ、あんたなら大丈夫でしょ」

「いや!今の間はなんすか!?ぜってえぇー、ヤバいと思ったでしょ!?」

 

忠義のメニューを覗き込んだ二乃は、笑顔で忠義の肩を叩きながら、忠義なら大丈夫だと励ました。しかし、二乃の間が気になって、忠義は二乃にツッコミを入れた。

 

「うーん…そこまでキツイのは作ったつもりはないんだけどなぁ…ちなみに、ことりはもうちょいキツ目だけどいけそう?」

「はい。問題ありませんよ、先生」

 

いつもの優等生状態のことりがニッコリと笑顔で返してきた。

 

「これよりキツイってマジかよ……」

「大丈夫だよ…」

「え?」

 

元気がなくなってきた忠義に三玖が笑顔で話しかけた。すると、忠義は三玖の方を見た。

 

「タダヨシなら大丈夫。先生もそう思って作ったんだと思うから、きっとやりきれるよ」

「三玖さん……くうぅーー……おっしゃあぁー!やってやるぜえぇ!」

 

最後にニコッと笑顔を三玖が忠義に向けると一気にテンションが上がった。

 

「うん…!頑張って…!」

「はい!連休明けの俺を楽しみにしててください、三玖さん!」

 

そんな忠義に更に笑顔で応援する三玖に対して、忠義は更にやる気に満ちていた。

 

「ホント単純な奴」

「本当に……」

 

二乃と憂の言葉に周りからは笑い声が上がった。

 

「よし!じゃあ、忠義のやる気も出てきたところで、今日の稽古も頑張っていこうか!」

『はい!』

 

僕の言葉に部員全員から元気な返事もあり、僕は満足な笑みを浮かべた。

 


 

「こんばんは……て、何されてるんですか?」

 

その日の夜。五月がまた勉強を教わる為にという理由を付けて僕に会いに来た。

出迎えた結愛に続いてリビングに入ってきた五月は僕の状態に驚きの声をあげた。

 

「あ、五月。こんばんは。あはは…驚くよね。実家ではよく見る光景だったんだけどね」

 

今の僕はことりを背中に乗せて腕立て伏せを片手でしている状況だ。なので五月の顔は見えていない。

 

「私が乗りたかったのに…私は軽すぎるんだって…」

 

結愛が自分が乗れなかった事に文句を言っている。

 

「それはある意味褒め言葉なのでは……」

「そうだよっ!兄さんってば失礼しちゃうよね!」

「そこは……仕方……ないだろ……身長……だって……違うんだし……五月……悪いね……もう少し……で……終わるから……」

「いえ、お願いしているのはこちらなのですから、気にされないでください」

 

僕の言葉に五月は答えた。椅子の音がしたのでダイニングテーブルの椅子に座ったのかもしれない。

 

「それにしても凄いですね。ことりさん全然ぶれていません」

「あはは…結構快適だよ。なんだったら、五月乗ってみる?私とそんなに体重変わんないでしょ?兄さん、ちょっと降りるね」

「え?あ…ああ…」

 

ことりは僕から降りると五月に体重を聞きに行ったようだ。

 

「ふむふむ…やっぱりそんなに変わらないね。ちょっと五月の方が重いけど、この部分かな?」

 

五月から小声で聞いたことりは、そんな事を話しながら五月の胸を鷲掴みにした。

 

「きゃっ…!ちょっ…ことりさん!」

「うーん…やっぱり大きいよねぇ…」

「うー……やっぱり和彦さんもこれくらい大きくないとって思ってるのかなぁ…」

「ちょっ…結愛ちゃんまで!」

 

ことりに続いて結愛まで、鷲掴みとまでいかないが五月の胸を揉みながらボソッと呟いた。

 

「大丈夫だよ♪あんだけ可愛がってもらったんだしさ♪」

 

結愛の呟きにことりがニッコリと笑顔で結愛に伝えた。五月の胸を揉むのは止めず。

 

「そ…そうだよね!あんなに揉んでもらったんだもん…♡はぁぁ……また揉んでもらいたいなぁ…♡」

 

ことりの言葉にうっとりしながら結愛は呟いていた。こちらも五月の胸を揉むのを止めず。

てか、そういうのを五月の前で言わないでほしいんだけど。

 

「んッ…もう!いい加減にしてください!」

 

少し感じてしまったのだろう、甘い声が少し出た後五月は大きな声を出して二人を引き離した。

 

「あはは…ごめんごめん、つい…」

「ご、ごめんなさい!」

 

胸を腕で守って二人を見ている五月に対して、ことりは頭をかきながら笑って謝り、結愛は頭を下げながら謝った。

 

「はぁぁ……それで、先生の上に座れば良いのですか?」

「ん?ああ。五月が良ければだけど」

「お、落ちたりしないでしょうか……」

「そこは大丈夫だよ♪結構楽しいよ♪」

 

落ちないか心配そうにしている五月に、ことりは明るい声で答えたので、五月は僕に近づいてきた。

 

「えっと……良いでしょうか?」

「ああ」

 

五月がおずおずといった感じで聞いてきたので明るく答えて腕立て伏せの体勢を取った。

 

「で…では……」

 

そして背中に五月が乗ってきたのを感じた。

 

「あ、足は上げてね。足が床に付いてたら意味ないから」

「は、はい!」

 

ことりの注意に緊張気味に答えたので、大丈夫と思った僕は腕立て伏せを開始した。

 

「じゃ、いくね…よっ…!」

「わっ…!本当ですねぇ…全然安定してます。ふふふ…楽しいです♪」

 

上からは楽しそうな五月の声が聞こえてきたのでとりあえず安心してそのまま腕立て伏せを続けた。

すると、首もと辺りを撫でてくる感触があった。

うーむ…これはこれで神経使うなぁ…

ある意味精神的にも鍛えられるのではないかとふと思ってしまった。

 

「ふふっ…今の五月とっても良い顔してるよ♪」

「え…!そ…そうてしょうか……」

「むうぅ…!やっぱり私も乗りたいです!」

 

ことりの優しい声に五月が驚いた声で答えた。

それが面白くないのか、結愛が乗りたいと駄々を捏ねてきた。

 

「分かったよ……今度ね……」

「やった♪」

「もおぉ……兄さんってば甘いんだから…」

「ふふっ…♪そこが先生の良いところですよ…♡」

 

今度結愛を乗せることを伝えると結愛から嬉しい声で返ってきた。

そんな僕にことりは甘いとため息混じりに話すと、そこが良いところだと五月が上機嫌な声で答えるのだった。

 

・・・・・

 

~吉浦家~

 

和彦が腕立て伏せを終えると、汗を流すためにシャワーを浴びに行ったので、五月とことりと結愛の三人はダイニングテーブルに座って、談笑しながら五月の勉強をことりが見ていた。

 

「それにしても五月さんって真面目だねぇ…終わった模試の復習するなんて」

「いえ。これくらいしないと希望の大学に行けませんから。今回は姉妹で一番でしたが、全体で見るとまだまだです」

「まあ、まだ時間もあるしね。焦らずいこう♪」

「はい♪」

 

結愛の感心するような言葉に、五月は自分はまだまだだと答えた。

確かに今回の五月の模試の結果は、五教科平均で五割といったところであった。だが、得意な理科と苦手でもある数学で六割取れているので、ことりは焦らずいこうと明るく話した。それに五月も笑顔で答えた。

 

「それにしても、和彦さんから好きって言われた時は嬉しかったなぁ…しかも、妹としてじゃなくて女性として見られてるのが特に嬉しかったな♡」

「ふふっ…そうだね。さっき飛鳥に伝えるとかなり喜んでたよ」

 

うっとりした表情で話す結愛に、ことりは微笑みながら飛鳥も喜んでいたと話した。

 

「みなさんが喜んでもらえたようで良かったです」

 

そんな二人の表情を見て、五月は嬉しそうに話した。

 

「でも良かったの?せっかく五人で一番だったのにあんなお願いで?」

 

そこで結愛が五月に今回の和彦へのお願いについて聞いた。

 

「ええ。先生の今の気持ちを聞けただけでも嬉しいですから」

「ふーん…」

 

結愛の疑問に微笑みながら答える五月に結愛は不思議に思った。

 

(私だったらデートとかに誘うのになぁ...そして…えへへ…♡)

 

急にニコニコした結愛を見て、五月とことりは結愛の考えてることが分かったのか、お互いに目を合わせてふふふっと笑った。

 

「……聞いてますよ結愛ちゃん。あなたが先生と男女の営みをされていることを」

「え……?」

 

そんな時、五月から思いもよらない言葉が出たので、結愛は固まってしまった。そんな結愛の反応を無視するかのように、五月は語り続けた。

 

「他にも、二乃と三玖。四葉に立川先生とも先生は体を重ねています」

「嘘……」

 

五月の言葉に信じられないといった言葉が結愛の口から漏れた。

 

「本当だよ。本人たちから聞いてるからね」

 

そこにことりが真剣な顔で結愛に伝えると、ショックからか結愛は下を向いてしまった。

 

「私はこの話を聞いた時、正直やはり先生も男であり、私たちの気持ちを(もてあそ)んでいたのでは、と先生に怒りをぶつけました」

「──っ!そんなことっ…!」

 

五月の語りに結愛はそんなことないと立ち上がりながら否定をした。そこには、五月に対する多少の怒りもあった。

 

「ふふふ…その事を二乃たちに伝えると今の結愛ちゃんのように怒られました。そして、姉妹喧嘩もしたものです」

「そ…そうなんだ…」

 

結愛の反応に微笑みながら語る五月の反応に、結愛は力なく椅子に座った。

 

「そして改めて先生に真意を聞いたのですが、先生は自分の快楽の為に私たちの気持ちを利用しているのではないか、と言っていました………涙を流しながら…」

「えっ…!?」

 

五月の言葉に結愛は驚きの表情になった。

 

(じゃ…じゃあ、私たちの行動が和彦さんを苦しめてたの…?)

 

「そして、私にこれ以上自分に関わるのはやめた方が良い、と忠告もしてきたのです」

 

結愛の今の気持ちを知ってか知らずか、五月は淡々と話を続けていた。

 

「その話を聞いた時、私は思いました。この人はただただ優しすぎるのだと。みなさんの想いに応える為に行為を行ってしまったのだろうと……その証拠に、最後の一線だけは越えていないと言っていましたので」

「最後の一線?」

 

五月の言葉に何の事かと結愛が質問した。

 

「ふぅ……つまりみんなの処女は守ってるってことだよ」

「あ……」

 

結愛の疑問にことりはため息をつけて説明すると、結愛は理解した。確かに自分も最後までは行っていないと。

普通の男であれば、そこまですれば最後まで行うはずが、和彦はそれをしていない事を。

 

「あの人は言っていました。ここまでの人生はただただ流されるままにキスや男女の営みを行ってきたが、その一線だけは、本当に心から愛する女性とするべきだ、と。その言葉を聞いて、私はやはりこの人は私の知っている男性とは違うと思ったのです。だから、少しでもあの人の気持ちが楽になればと、そういった行為を行う度に話を聞いて、あなたは悪くないです、と伝えてきたのです。そして、今回のお願いを通して、先生はただ欲望のままに男女の営みを行ったのではない。知らず知らずのうちに、私たちの事を好きでいた事に気づいてほしかったのです。だから、二乃たちの気持ちに応えたのだと」

「そ…そんな……」

 

目を閉じ、微笑みながら話す五月に結愛はショックを受けていた。

五月はただただ和彦を支えるために動いていた。一度は拒絶した相手にも関わらずに。では、自分はどうだろう。自分は自分を好きになってもらうために。そして、自分がしたいと思った事を和彦に強要していたのではないだろうか。そう結愛は心の中で強く反省をしていた。

 

「!待って……普通はそこまでしないよ……もしかして…五月さんって……」

 

結愛はあることに気づいて五月を見た。

すると五月は何かを伝えるのではなく、微笑みの表情で返したのだ。

 

(ああ……敵わないなぁ…私は和彦さんのことわかってたつもりだったのに…そんな風に悩み苦しんでたなんて…一緒に住むことに舞い上がって周りが見えてなかったのかも…)

 

自分と五月。お互いに和彦への想いがあるが、その想いの強さでは敵わないと結愛は悟ってしまった。

 

「ごめんね結愛ちゃん。五月は……ううん。()()()()()()は、少し前からお兄ちゃんと婚約してるの」

「え……ええぇぇー!?」

 

ことりの言葉に結愛は驚きで声を上げて立ち上がってしまった。

 

「嘘!?いつから!?」

「え……えっと…今週の頭に、プ…プロポーズ…されました…」

 

結愛の質問に恥ずかしそうに五月は答えた。

 

「今週の頭って……それじゃあ……」

「そっ…!お義姉ちゃんは自分の旦那さんになる人が他の女性との関係を持つことを許してたの。お兄ちゃんは自分たちの関係を伝えることで断るべきだって伝えたうえでね。結愛ちゃんとのだって事前に相談してたんだから」

「そ…そうだったんだ…」

 

そこで結愛は力なく椅子にまた座った。

 

(じゃあ、あの時私と二乃さんに聞いてきたのって…)

 

そこで和彦から聞かれた言葉を結愛は思い出していた。

 

──あー……もし二人のうちどっちかが僕と付き合ったとして、それでも三玖や四葉が僕にキスやそれ以上の関係を求めてきたらどうする?

 

(ははは…まったく…和彦さんらしいな…)

 

そして、自分が和彦のお嫁さんになれない事と和彦の事を理解してあげれなかった事など色々な感情が結愛の中に押し寄せてきた。

 

「ふっ…うっ……ううぅぅ……」

「結愛ちゃん……」

 

そして結愛は、目から涙を流しながら声を抑えて泣いてしまった。それをことりは切ない表情で見ていた。

 

「結愛ちゃんは今でも和彦さんの事を心から愛していますか?」

「すんっ…え……?」

 

そこに真面目な顔で五月が結愛に声をかけたので、それに驚きながらも結愛は五月を見た。結愛が見た五月の表情からは真剣さが見えたので結愛はしっかりと答えた。

 

「好き!大好き!たとえ、和彦さんに奥さんが出来てもこの気持ちはそんなにすぐ変わらないよ!」

「そうですか…」

 

結愛の真剣な気持ちに微笑んだ五月はあることを伝えた。

 

「え……?そんなこと可能なの?」

「はい。明日、みなさんに相談しようと思ってます」

 

五月の言葉を聞いた結愛は驚きの表情で問いかけると、五月は微笑みながら答えた。

 

「そ、それは嬉しいけど…五月さんは良いの…?その……」

「良いのですよ。私はそれが一番良い案だと思っていますから。あ、でもっ!」

「「?」」

 

微笑んでいた五月が急に真面目な顔になったので、ことりと結愛は不思議そうに五月を見ていた。

 

「和彦さんの奥さんは私ですからね…♡」

 

満面の笑みでそう伝えてきた五月に、ことりと結愛はお互いの顔を見て吹き出してしまった。

 

「ぷっ…あははは!たしかにそうだね!」

「ふふふ…うん!それは羨ましいかな…」

 

そして三人で明日の内容を詰める為に話し合いを始めるのだった。

 


 

~中野家・お風呂~

 

ピチョン…

 

天井から水滴落ちる音が響く中、一花は一人お風呂に浸かりながら今日の数学準備室での出来事を考えていた。

 

「あんなに真剣になってまで聞きたかった先生の気持ち……五月ちゃんは何がしたかったんだろ…」

 

そして一花は見ていた。和彦がこの場にいる女性と飛鳥の事を一人の女性として好きであると言った時の五月の表情を。

一花は和彦の事をもちろん好きではある。でもそれは、あくまでも兄とし親しみを込めた想いである。

ただ、もし風太郎がいなかったら……一花もまた和彦に惹かれていたのかもしれない。

だから、その場の誰よりも冷静にいられたのだ。

 

「あの時の五月ちゃんの顔……たしかに喜びはあったけど、どこか安堵したような……それに…」

 

五月が明日皆に時間を作ってほしいと言った後に、続くように憂が今井家の別邸を用意していると言ったことが気になっていた。

 

「あれは、あらかじめ二人で打ち合わせをしてないと出来ないよね……てことは…初めからみんなを今井さんの家に集めるつもりだった……なんのために…?」

 

そこで一花は、バシャッとお湯を顔にかけた。

五月と憂。この二人に家を貸しあうような仲になるような接点を一花には分からなかったのだ。

 

「二人に共通するものと言えばやっぱり……」

 

そこで一花の頭には和彦の顔が思い描かれた。

 

「てことは、やっぱり明日は先生の事で何かある……それは……」

 

そこで一花はふとある言葉が頭を過った。

 

──これは相手の意向だから名前は伏せるけど、実は僕はすでに付き合ってる…て言うか、プロポーズしてるんだよね。で、相手からは承諾も貰ってる。

 

──僕はこの結婚の事を他のみんなに伝えることを提案したんだけど、それは待ってほしいって言われて。しかも、もし求められたらキスやそれ以上の事も受け入れてほしいって言われたんだよ。

 

「!!」

 

そこで一花の脳内で一本の糸が結ばれた。

 

「まさかっ…!先生の結婚相手って……五月ちゃん…!?」

 

(でも、五月ちゃんって二乃たちと先生の関係で喧嘩してたよね。ああぁぁっ…!訳わかんないよおぉ…!)

 

「でも、もし五月ちゃんが先生の結婚相手だったら、あの時の笑みも納得がいくんだよねぇ……」

 

もし和彦が皆に対して好きであるという気持ちを自覚させ、それを五月が笑みを浮かべていたとすれば。

そして、誰にも自分達の関係を言わず、今まで通り接してほしいとお願いしたとなれば。

 

「まさか五月ちゃん……」

 

一花は一つの仮定を立てるのだった。

 


 

「そっか…結愛に話したんだね…」

 

五月の勉強に付き合った後、今日も五月は泊まることになったのだが、結愛があっさりと認めたので意外に思い聞いてみると、結愛に僕達の関係を話したと五月は答えた。

 

「結愛ちゃん…泣いてた……やっぱり…酷い女だよね…私って……」

 

そう言いながら五月は、並んで寝ている僕の胸に顔を埋めてきた。

 

「五月は悪くないだろ?全部僕が招いたものなんだしさ…」

 

そんな風に伝えながら五月を抱きしめ頭を撫でてあげた。

 

「ううん。和彦さんは私たちの関係を伝えるべきだって言ってくれた……でも、私は………みんなにまだ可能性があるって思わせてるだけだよ……」

 

泣いた結愛の事を思い出しているのだろう。五月の声色はどんどんと落ちていっている。

 

「五月。こっち向いて」

「え……?んッ…ちゅっ…ちゅっ…♡和彦さん……」

「五月はちゃんと皆の事も考えてるんだろ?大丈夫だよ。きっと皆分かってくれるさ」

「うん……ねえ……もっと…キス…して…♡」

「ああ。五月がしたいなら何度だってしてあげるよ」

 

潤んだ目で五月がキスを求めてきたので、僕はそれに応じた。

 

「んッ…♡ちゅっ…ちゅっ…ちゅるッ…ちゅっ…♡はぁ……ちろッ…♡」

「!」

 

いつものように啄むようなキスを続けていると、五月から舌で僕の唇を舐めてきたので、驚き目を開けると、そこには一生懸命に目を閉じて舌を出している五月の姿があった。

 

「ちゅっ…五月……良いの?」

「ちゅっ…♡うん…♡ちろッ…♡ちゅっ…♡和彦さんの舌…ちょうだい…♡んんッ…!?ちゅるッ…れろッ…れろッ…♡」

 

五月の甘い声での懇願に我慢できず、五月の舌を僕の舌で絡めた。

 

「ちゅるッ…♡はぁ……れろれろッ…ちゅっ…♡れろッ…♡れろッ…♡ちゅるッ…♡ちゅっ…はぁ……♡どうしよう…♡二乃たちが進んでしたがるのがわかっちゃったかも…♡ちゅるッ…れろッ…れろッ…♡ちゅっ…♡」

 

五月はディープキスを気に入ったようで、その後も何度も求めてきた。

 

「ちゅっ…♡はぁ……ねえぇ…?和彦さんは…私と…シたいの…?♡」

 

蕩けきった顔で五月はそんな事を言ってきた。

正直に言えば今すぐにでも抱きたい衝動がある。でも──

 

「ちゅっ…当たり前だよ。でも、今はこれで我慢しよ?」

「ちゅっ…♡私の事は気にしなくても良いんだよ…?」

「良いんだ。五月とは、きちんとした形で抱いてあげたいから。それに、今シちゃうとことり達に五月の声聞かれちゃうよ?」

「~~~っ…!そ…そうだよね……やっぱり…声…出ちゃうよね……」

 

僕の言葉に我に返ったのか、急に恥ずかしがった五月は下を向いてしまった。

そんな五月を改めて抱きしめてあげた。

 

「きっとその時は来るさ。その時にお互いに初めての経験をシよう」

「うん……♡」

 

僕の言葉に返事をした五月に満足して、そのままの状態で二人で眠りにつくのだった。

 

 




今回の投稿も読んでいただきありがとうございます。

今回のお話で第十一章の終わりといたします。

忠義への自主練の内容については皆様のご想像にお任せします。
しかし、こうやって書いていますと二乃と忠義も良いコンビなのでは、と思ってしまいます( ^ω^ )
まあ、二乃は和彦にゾッコンですので、その線はありませんが...

さて、次回より新章突入です。そして、オリジナルキャラを含めてヒロインも全員集合となります。
果たして五月の計画とは──
まあ、もうだいたいの予想は皆さん出来てると思いますが。

次回は頑張って3月31日を予定しております。(出来なかったらすみません_(._.)_)
次回の投稿も読んでいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

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