少女と花嫁   作:吉月和玖

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140.結婚

「それで?今回の集まりはどういった趣旨があのですかな?」

 

薫さんの挨拶の後、父さんがいきなり話を切り出した。

 

「よく見るとうちの馬鹿息子がいるようですから、今井さんに何かしでかしましたかな?がっはっはっはっ!」

 

そして、さっきの事を根に持っているようで僕の事を罵倒し始めた。

それしたらただ単に自分の評価が下がるっていうの学習しないのかねぇ……

そんな父さんの罵倒に対していつもの如く、ことりと母さんが反発した。

 

「お父さんって本当に最低!お兄ちゃんの事をそんな風に言うなんて!嫌い!」

「え……?」

 

頬を膨らませながら話すことりの態度に父さんは固まってしまった。

 

「そうよねぇ…私の和彦を馬鹿呼ばわりなんて……」

「「ねえぇぇ~?ふん!!」」

 

そこに母さんも呆れながら話した後、ことりと目を合わせて笑顔で同意すると、二人とも頬を膨らませて顔を逸らした。

 

「え……あ……いや…あれだぞ!?何と言うか…この場を盛り上げようと……」

 

父さんが二人に対して必死に釈明をしようにも、二人は父さんと目を合わせようともしなかった。

 

「くうぅぅ~…」

 

そして僕に何か言いたげな視線を送ってくるのだった。

僕に文句言うのはお門違いだろ…

 

「なんか……和彦の実家の様子が目に見えてわかったわ……」

「あはは…だね……」

 

そんな僕達家族のやり取りを見て、二乃が呟き、それに乾いた笑い声を出しながら四葉も同意した。

 

「はっはっはっ!吉浦先生。そんな事はないですぞ。和彦殿には、我が娘憂を気にかけてくれてるのは勿論。達郎の孫である綾那を弟子として指南していただけてますからな!それに、ご自身も今年の全日本空手大会にも予選にエントリーしていますし」

「ほぉ……」

「あら♡」

 

僕達家族のやり取りが面白かったのか、上機嫌な薫さんは現在の僕の状況を伝えてきた。

それに、僅かだが中野さんが興味を持ち、母さんは嬉しそうにしていた。

 

「ふんっ!何年も離れていた者がそうそう勝てる訳無かろうに。大会に参加するだけ無駄な時間だ。敗け無しとちはほやされていたが、結局は敗けるのが怖くなって逃げただけだしな──っ!?」

「待てッ…!!」

 

父さんにとっては面白くないのだろう、僕の悪口を目を瞑って面白おかしく話しているところに、ことりと四葉と綾那が父さんに向かって攻撃を仕掛けていたのでそれを止めた。

 

「うっ………」

 

ことりの左足の蹴りが父さんの顔面寸前で止まり、綾那の左足の蹴りが父さんの後頭部寸前で止まり、四葉の正拳突きが父さんの胸の前で止まっていた。

それに驚きの表情で父さんは固まっている。

 

「「でも!」」「しかし!」

 

僕の待ての指示に不服そうに三人はこちらを見てきたので、闘気を少し放ちながら睨みをきかせた。

 

「待てと言っている」

「「「うっ……はい……」」」

 

僕の言葉にようやく父さんから離れた三人を見た後、薫さんに向かって両拳を床につけて頭を下げた。

 

「薫様。私の弟子達が粗相をしてしまい、申し訳ありませんでした」

「いやいや、気にするな。自分の師匠が侮辱されたのだ。そこで怒らない弟子などおらんよ。むしろ、吉浦先生が大人気ないと俺は思うね」

「うっ……」

 

僕の謝罪に薫さんは笑顔で返してくれた。そんな薫さんの言葉に父さんはぐうの音も出なかった。

 

「本当よねえぇぇ~…自分だって中学生になった和彦に敗け続けて、いじけて大会出るの辞めたくせにねえぇぇ~…」

「おまっ…!それをここで言わなくても良いだろ!」

 

そこに追い討ちをかけるように、不機嫌そうに母さんが父さんの黒歴史を暴露した。

そんな母さんに父さんはタジタジである。

 

「はっはっはっ!それはそれは、吉浦先生も形無しではないですか。しかし驚いた。やはり先程の俺の圧を平然と受けていたのはまぐれではなかったか。そこの緑のリボンの娘。名は何と言う?」

 

父さんの黒歴史を聞いてご満悦な薫さんは四葉に興味を持ち声をかけた。

 

「は、はい!な、中野四葉です!」

 

名前を聞かれた四葉は気をつけをして名前を名乗った。

 

「中野?おや、中野さんの娘さんに空手の経験者がいたとは初耳ですな」

 

四葉の名乗りに、薫さんは中野さんを見ながら話しかけた。

 

「……私も初めて知りました。まさか四葉君が空手をしていたなんてね」

「恐れながら…四葉は空手を始めてまだ一週間程しか経っておりません。中野さんが把握されていないのもそのせいかと…」

 

自分の娘の事を把握出来ていないのはマズイと思った僕は、中野さんの事をフォローする為に発言をした。

 

「なんと!それであの動きなのか!」

「はい。四葉には天性の才能があります。なので、僕の全てをこの子に伝授したいと考えております」

 

四葉の空手歴の浅さに驚いた薫さんに、僕の全てを四葉に伝授する事を伝えた。

 

「ほおぉぉ…それは面白いな……達郎」

「はっ!」

 

そこで薫さんは面白そうな顔で顎を肘置きに置いている手で撫でながら達郎さんに声をかけた。

 

「今度の高校空手大会地区予選……それから全国大会まで、全ての日程を空けておけ」

「はっ!」

「ふっ…和彦殿の試合の日程も空けていたが、こちらも面白そうだ」

「薫様の期待に応えられるよう、この三人は勿論。部の生徒達全員にしっかりと指導して参ります」

「おう!楽しみにしている」

 

上機嫌な薫さんに対して、また両拳を床につけて頭を下げながら伝えると、楽しみな声が返ってきた。

 

「はぁぁ…横から失礼します。ご存知とは思いますが、私はこの馬鹿な男の秘書を勤めております立花茂と申します」

「お前まで──」

「黙ってろ」

はい…

 

おじさんが黒淵眼鏡のブリッジをくいっと右人差し指で上げながら薫さんに話しかけると、馬鹿と言われた父さんが横やりをいれようとした。しかし、おじさんは眼鏡の奥から鋭い眼光を放ち父さんを黙らせた。

 

「先程から我が身内が粗相をしてしまい申し訳ありません。それで、結局のところこの集まりの主旨はなんでしょうか?私の娘達の姿もありますが……」

 

そこで更にこちらにおじさんは目線を向けてきた。

父さんの事で気苦労をかけて申し訳ない。

 

「ふむ…そうだったな。実は俺は今回ここにいる皆さんをお呼びする為の、謂わば仲介人のようなもの。本当に用があるのはそこの二人だ」

 

おじさんの言葉に説明を始めると、右手に持っていた扇子で僕と五月を指してきた。

 

「和彦君…ですか…」

「……」

 

薫さんの説明におじさんが言葉を溢し、中野さんに至っては変わらず目を瞑り黙って成り行きを見守っていた。

注目が集まった僕は正座に座り直しながら五月に目線を配り、五月と頷き合った後、お互いに正座で頭を下げた。

 

「この度はお集まりいただきましてありがとうございます。本日は皆様に……と言うよりも、父さんと母さん。そして、中野さんにお願いがあり今井薫様にお願いをして集まっていただきました」

「ほおぉぉ…」

「あら♪」

「………」

 

顔を上げると、僕の言葉に父さんと母さんは言葉を溢しながら僕と五月を見て、中野さんは目を開き無表情な顔でこちらを見ていた。

 

「お三方にお願いするのはただ一つ。(わたくし)吉浦和彦と、隣に座ります中野五月さんの結婚をお許ししていただきたく思っております!」

「なっ……!?」

「ふーん…♪」

「「───っ!」」

 

驚きの言葉と共にこちらを見る父さんと面白そうな顔で見る母さん。そして、いつもは冷静沈着なおじさんと無表情であった中野さんもさすがに驚きの表情でこちらを見ていた。

そんな中でも僕と五月は真剣な顔で前を見据えていた。

 

「おまっ…!正気か!?横に座っている女性はどう見ても学生ではないか!まさかとは思うが、お前の教え子ではないだろうな?」

「ああ。担任をしている生徒だ」

「ふざけるなあぁぁっ……!」

 

さすがの父さんも限界を迎えて闘気丸出しでこちらを睨んでいる。

 

「「ひえぇっ…!!」」

 

そんな父さんの様子に、芹菜さんの両親が怯えながら抱きしめあっている。

それに、五月も恐怖の顔になっていて、向かいの中野さんも驚きの表情でいた。

綾那と達郎さんも厳戒態勢で立ち上がっている。

たくっ……一般人がいる中で………っ!!

そんな愚痴を心の中で呟きながら、父さんにだけ向けて本気の闘気を放った。

 

「ぐうぅぅっ…」

 

僕の闘気が父さんの闘気を押し返し逆に父さんが怯んでいる。

そんな様子が面白いのか、薫さんは上機嫌な顔で状況を見守っていた。

 

「ふざけていない。至って真面目だ。僕は五月の事を愛し、これからも彼女の笑顔を守っていくと本気で想っている」

 

そう伝えながら五月の右手に僕の左手を添えた。

五月はそんな僕の左手に、そっと自分の左手を添えてきた。

 

「隠れてコソコソと付き合うよりも、籍を置き堂々と五月の夫である、という態度でありたいんだ。おじさん?法律的に問題あるかな?」

「い…いや……両家の親が承諾すれば問題はなくはないが……はぁぁ…本気のようだね…」

 

おじさんに話しかけると、混乱するように話していたが、僕の目から本気である事が分かったようで、ある程度落ち着いてきていた。

 

「五月さん」

「はい!」

 

そこに真剣な表情で母さんが五月に声をかけた。こんな表情をする母さんは本当に久しぶりかもしれない。

 

「貴女は和彦が好き?」

「はい!誰よりも和彦さんを愛していると自負してます。それが例え和彦さんのお母様であってもです!」

 

五月の答えに満足そうな微笑みを向けた母さんは言葉を続けた。

 

「ふふふ…♪でしょうね。あの時の貴女からはそれを感じられた。何があっても和彦の傍で支えていく、とね……良いでしょう。吉浦家はこの結婚を認めます!薫様。証人者となっていただけますか?」

「ふっ…無論だ」

 

優しい笑みを五月に向けて話していた母さんであったが、また真剣な顔となり僕と五月の結婚を吉浦家として認めると宣言し、薫さんに証人としてなってもらうように伝えた。

そんな母さんの言葉に笑みを溢しながら薫さんは認めた。

 

「ちょっ…!文香!何を勝手に──!」

「あなたは少し黙っていなさい。先程からの態度といい、大人気ないにも程があります!今回の件は全て私で判断いたします。良いですね」

「──っ!わ…分かった……」

 

勝手に話を進める母さんに父さんは待ったをかけるが、母さんの一睨みで父さんは黙ってしまった。

普段は自由気ままな母さんではあるが、冷静な態度と周囲の状況を的確に判断が出来る人でもある。また、僕に空手を教えたのも母さんでもあるので、実は本気を出せば父さんよりも強い。

気分屋でもあるために、今日のような真面目な態度を取ることがほとんどないのがたまに傷なのだが…

母さんが父さんを黙らせたことでしんっとなった部屋の中で、誰もが注目している人はただ目を瞑り黙っていた。

 

「お父さん……」

 

そんなところに、心配そうな五月の声が中野さんに届き目を開いた。

 

「はぁぁ……僕は君達五人のお母さんから、君達五人の幸せを託された。だが、僕はそんな彼女の想いに応えられなかったのかもしれない。君達五人を見ていると彼女の死が頭を過り、胸が張り裂けそうな気持ちになってしまい、君達と向き合う事が出来なかったからだ……」

「パパ……」

 

弱音を吐く中野さんに二乃の口から哀しみの声が漏れた。

 

「だが、それでも!それでも、僕は娘達の幸せを願わないという事は一度だってなかった…」

「はい。分かっています。お父さんの私たちへの想い、しっかりと心に届いていました」

「……っ!」

 

中野さんの言葉に五月は微笑みながら肯定した。

そんな五月の言葉に中野さんは驚きの表情を向けてきた。

 

「と言っても…気づけたのは最近なのですが……人を愛し、その人の為に何かしてあげたい。そう想えるようになってから、今までの事を振り返りました。ああ……きっとお父さんは、ただ不器用なだけなんだなって…細かなところできちんと私たちを見てくれている。そう想えました。それも、和彦さんのお陰です。だから、この人とならどんな事でも乗りきっていけると思えたんです」

「そうか……」

 

五月の言葉に中野さんは口角を上げて前を見据えた。

 

「吉浦さん。見ての通り、まだ学生で未熟なところも多々あります。どうか、娘の事よろしくお願いいたします」

「ええ。あの二人なら大丈夫でしょう」

「……」

 

中野さんの言葉に母さんは微笑みながら返答し、父さんは黙って頷いた。

その光景を見て、薫さんは扇子を広げて達郎さんに指示を出した。

 

「よし!達郎、例のものを!」

「はっ!」

 

ん?例のもの?

薫さんが指示を出すと、達郎さんは一枚の紙を中野さんの前のテーブルに置いた。

 

「これは……なるほど...何故印鑑を持ってくるように言われたのかが納得しましたよ」

 

呆れながらも中野さんはペンを走らせ最後に捺印をすると、それを預かった達郎さんは次に父さんと母さんの前にその紙を置いた。

 

「……全く……今井さんはお人が悪い…」

「あらあら♪準備万端ね♪」

 

既に観念している父さんが笑いながら紙にペンを走らせると捺印を押して達郎さんに預けた。

その達郎さんが僕と五月の間にしゃがみ、その紙をテーブルに置いた。

 

「こ、これって…!!」

「──っ!」

 

置かれた紙を見て僕と五月は驚いてしまった。

 

「何々?何なの?」

「気になるなぁ…」

「──っ!嘘!?」

 

ことりと一花が気になると口にしながらも、後ろのメンバー全員が僕と五月の前にある紙を覗き込んだ。

すると、芹菜さんも驚きの声をあげた。

何を隠そう、その紙の左上には『婚姻届』と書かれているのだ。

 

「マジ!?」

「わあぁぁ~…私始めて見たよおぉぁ~…」

「そりゃ、誰だって初めて見るわよ」

 

二乃も驚きの声をあげ、結愛は初めて見ると興奮していた。そんな中、飛鳥は結愛の言葉に冷静にツッコミをいれていた。

 

「お父さんとカズヒコさんのお父さんの名前が書かれてる…」

「え!?じゃあ、これに先生と五月がお互いに名前とか書いたら…」

 

興奮気味に話す三玖と四葉の言葉をきっかけに、達郎さんに渡されたペンで五月は記入を始めた。

 

「おっ…!五月ちゃんってば勢いあるねぇ♪」

「当たり前です。こんな…こんな事が……」

「五月…」

 

一花のからかいの言葉に真剣に返す五月であったが、涙声になっており、そんな五月を三玖は愛おしそうに見ていた。

そして、涙目ながらもしっかりと書いた五月は僕にペンを渡してきた。

それをニッコリと受け取って僕も記入を始めた。

 

「お兄ちゃん書き間違えないでよ?」

「分かってるよ」

「手、震えてますよ」

「うるさいなぁ!」

 

ことりと飛鳥の面白がる声を受けながらもしっかりと書き終えた。そして、僕と五月は予め用意していた印鑑を使って捺印をした。

 

「おめでとうございます。これで後は役所に提出すればお二人はご夫婦となられます」

 

達郎さんの言葉に後ろのメンバーから歓声が上がった。

 

「あ…あの…」

 

そんな時に五月から達郎さんに声がかかった。

 

「はい?何でしょう?」

「提出なのですが……別の日では駄目でしょうか?」

 

五月の言葉に驚き、達郎さんは薫さんを見た。

 

「ほお?それは何時だ?」

「……五月六日でお願いしたいです」

「「「「「───っ!」」」」」

 

五月の言葉に他の姉妹は勿論、中野さんも驚いている。

 

「ふむ…何かしらの縁があるように思えるな。和彦殿はどうされる?」

「僕は構いませんよ。むしろその日が僕も良いと思います」

 

薫さんの質問に僕は笑顔で答えた。

 

「そうか。なら、それまでは我が家で大事に預かっておこう。達郎頼むぞ」

「はっ!」

 

薫さんから指示を受けた達郎さんは大切に扱うように婚姻届を持って移動した。

その瞬間五月以外の姉妹達が五月に抱きつき始めた。

 

「何よ?あんたも中々やるじゃない」

「うん…!あの日を選ぶなんて、さすが五月…」

「だね!でも良かったあぁぁ~…」

「うん。五月ちゃんおめでとう」

「ありがとうございます!」

 

姉妹達に囲まれた五月は涙を流しながらお礼を伝えた。

その周りのメンバーもお祝いムードで芹菜さんも拍手をしている。

父さんと母さん、それに中野さんもどこかホッと一息置いてる様子である。

憂達今井家の面々と綾那も笑みを浮かべていた。

そんな中──

 

「あ……あのおぉぉ~…」

 

芹菜さんのお父さんがおずおずと手を挙げた。

 

「どうされた?立川殿」

「い…いえ!とても良い雰囲気だとは思うのですが……我々は何故呼ばれたのかな…と……」

 

もっともな事を芹菜さんのお父さんは薫さんに伝えた。

当たり前である。他人の結婚報告に何故自分達が呼ばれなければならないのか、と思うのも無理はない。

 

「ふっ…ここからがそなた達に関係する話なのだよ」

「は?」

 

薫さんは笑みを浮かべながら説明すると、芹菜さんのお父さんは疑問を返した。

 

「今のはほんの小手調べといったもの。まあ、今のが認められなければ、次の話に進めなかったのだがな!はっはっはっ!」

 

そして薫さんは豪快に笑いながら、まだまだ続きがあると説明した。

 

「?これ以外にも何かあると?」

「ああ。お二つの家には申し訳ないが、俺としては次の話の方が重要だ」

 

父さんの問いに薫さんはニヤリと笑みを浮かべながら答えた。

そんな薫さんの答えを聞いた僕達は、お祝いムードから一転。元の位置に戻って真剣な顔で座った。

 

「あらあら♪面白そうね♪」

「はぁぁ…私は嫌な予感しかありませんよ…」

 

面白そうと話す母さんの後ろで、おじさんは頭を抱えながらため息をついていた。

 

「今井さん。その話には私もいなければ?」

「ああ。中野殿にもいてもらわなければならんな」

「……」

 

中野さんが席を外すか聞くと、薫さんはそのままいるように伝えた為に、また中野さんは静かに目を瞑った。

 

「さて、ここからは誰が進行する?」

「私が」

 

薫さんの言葉に即座に五月が手を挙げた。

 

「五月。僕がやっても…」

「いいえ。これは私が考えた事ですので」

 

僕の提案を断った五月は立ち上がると、少し前に行きまた正座で座った。

 

「今井様。木下様。吉浦様。立花様。立川様。そして、お父さん。皆様に私からお願いしたいことがあります」

 

真剣な顔で呼んだ人の顔を見ながら、背筋を伸ばし五月の話が始まるのだった。

 

 




今回の投稿も読んでいただきありがとうございます。

今回の投稿で見事和彦と五月が籍を置くことが出来ました。
ちょっと呆気なさもありましたが、ダラダラと続くよりは良いかなと思い、このように書かせていただきました。

それにしても吉浦家は楽しそうで愉快な家ですね。健介の気苦労が見えてきてしまいます。勿論茂の苦労さも。
そして、何の躊躇もなく父親の顔に蹴りを入れようとすることりもことりで、少々怖いところも見えてしまいました(^_^;)

さて、次回がいよいよ今回の集会の本筋となります。

次回の投稿は4月30日を予定しております。
次回の投稿も読んでいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

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