少女と花嫁   作:吉月和玖

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149.五つ子誕生日

『誕生日おめでとうー!!』

 

パンッ...パッ...パンッ...!

 

たくさんの人達からのお祝いの言葉と同時にあちこちからクラッカーが鳴らされた。

今日は五月五日。五月達五つ子の誕生日である。

本来は中野家のマンションでパーティーを行う筈ではあったのだが、今井家別邸の洋室仕様の広間にて立食形式でのパーティーが開かれる事になったのだ。

何故この別邸で行われる事になったのかと言うと......五月から聞いた僕との情事の話で、他の皆が我慢出来ないと主張してきたので、昨日は一日かけて全員の相手をここ別邸でしたからだ。

本当に我ながらよく相手をシきったものだよ...

因みにこの別邸を含め、私有地の出入口までの一帯全ての土地も何故か今井家から僕へと譲渡された。

最初話を聞いた時は訳が分からずで、家だけ貰うのも気が引けたのもあり断ろうとしたのだが、笑顔の憂と葵さんに押しきられてしまったのだ。

しかし、まさか葵さんが本当の今井家継承者で、薫さんが婿入りしていたとは...

土地の譲渡の手続きの時に何故薫さんがいないのか気になったのだが、自分が今井家の継承者であるので問題ない、と笑顔で葵さんが話したので驚いたものである。

因みに薫さんにも念の為確認したが、そういえば話してなかったな、と笑いながら説明された。その時に、薫さんにも様付けはいらないと言われているので薫さんと呼ぶ事になっている。

 

「美味しい♪これみんなで作ったの?」

「そうだよ♪私と飛鳥と結愛ちゃんと芹菜さんの四人で作ったんだから。ち、な、み、に♪」

 

テーブル一杯に並ぶ料理を口にしながら美味しいと話す一花に、ことりは笑顔で飛鳥達四人で料理をしたと話した。そして、その後もったいぶる様に口にしたことりは、そのまま横にいた上杉の右腕に抱きついた。

 

「中央にあるホールケーキは、風太郎君とらいはちゃんの手作りなんだよ♪」

「おい!いちいちくっつくな!」

 

上杉の右腕に抱きついたことりは、嬉しそうにテーブル中央にあるホールケーキは上杉とらいはさんの手作りだと話した。

因みに抱きつかれた上杉はことりを引き離そうとしているが、ことりの力強さに敵わないようである。

 

「えぇ~...♡良いじゃん、私達の仲なんだしっ♡」

「駄目だよことり。フータロー君が嫌がることしちゃ♪フータロー君はお姉さんとが良いんだよね♡」

 

ことりを引き離そうとする上杉にことりは幸せそうな笑みを向けているが、それを許さない一花が反対側の上杉の左腕に自身の腕を絡ませて頭も上杉に擦りよせている。

 

「いや、お前もだな......っ!!」

 

ことりと一花の二人に腕を絡ませられて困った顔をしている上杉だったが、何かを感じ取ったのか目を見開いて辺りをキョロキョロし始めた。

その元凶であるのが二人の殺気である。

一人目はうちの父だ。

 

「ちょっとあの男に挨拶してこようか」

「あなた?」

「───っ!いやー、よく見たら好青年じゃあないか。お、文香。この料理も美味しそうだぞ」

 

こめかみをピクピクさせながら上杉に近づこうとした父さんであったが、母さんの一言に青ざめて上杉を褒めると母さんに料理を勧めている。

 

「はぁぁ...こいつに学習能力は無いのか...」

「ふふふ...いいじゃない。見ていて面白いわ」

 

そんなうちの両親のやり取りを見ていたおじさんが頭を抱えながらため息を吐くと、おじさんの隣で美海(みなみ)さんがクスクスと右手で口を押さえて笑っている。

美海さんは、切れ長でややタレ目がちなアーモンドアイ、くっきりした二重まぶたなど、目元が特徴的である。優しげで落ち着いた雰囲気の中に華やかさも合わせ持った顔立ちをしている。茶色がかった髪色で腰まであるロングヘアー、高身長で僕の口元位に美海さんの目元があるので、軽く目線を上げてくるだけで目が合う位だ。スレンダーな体型で、学生時代でのスポーツで培われた健康的なプロポーションは周囲から褒められる事も多いそうだ。かく言う母さんも羨ましがっている。

まあ、母さんも十分にスタイル良いんだけどね。

学生時代の美海さんは文武両道で周りの人間への人当たりも良く美人であることから『女神』と呼ばれていたとか。

そんな美海さんも今年で三十六。しかし近くで笑顔を向けられるとドキッとする事もある。それだけ美人なのだ。

おじさんとの夫婦仲は良好で、それもありおじさんと会いたいが為に一昨日に地元からこちらに来て父さん達と同じように今井家本邸に泊まっている。

本当におじさんといい、夫婦揃ってうちの夫婦に振り回されていて申し訳ない気持ちだ。

ちなみに、美海さんはおばさん呼びを嫌うので下の名前で呼んでいる。一度呼んだ時の笑顔と言う名のあの威圧は今でも鮮明に覚えている。

そんな美海さんは、僕の視線に気づくとニッコリと笑みを浮かべてこちらを見てきた。そんな美海さんから僕は慌てて顔を逸らした。

美海さんを見てしまうと、一昨日の美海さんとの事を思い出してしまいどうも気まずくなってしまう。

五月や他の皆が言うには、母さんを筆頭に美海さんと葵さんと紬さんから()()()()()()()()()()()があったそうで、それを五月達は許したそうだ。

何だかなぁ...

そしてもう一つの原因であるマルオさん。

特に表情に変化は無いがもう目から殺気がだだ漏れである。

それを近くにいる薫さんと葵さんが宥めており、上杉とらいはさんの父親である勇也(いさなり)さんが笑っている。

 

「はっはっはっ!いやー、うちの息子もやるもんだなぁ」

「うむうむ。実に羨ましい限りだな」

「あら。貴方は羨ましいのですか?」

「い、いや!例え話なだけであってだな...!」

「はぁぁ...全く...」

 

微笑ましい今井家夫婦と勇也さんの横でマルオさんは、ただただため息しか出ないようである。

そんな中何故かチラチラと葵さんがこちらを見ている。多分、昨日五月達にお願いした事が関係してるのだろう。

本当に大丈夫なのだろうか...

 

「そ、それにしても、凄いですね!上杉さんがお料理だなんて!」

 

そこで場の雰囲気を和ませようと、殺気の原因を理解している四葉が話題を変えようと奮起していた。

 

「えっ!?ま、まあな。俺にはお前たち全員の分のプレゼントの用意など出来んからな」

「えへへ。お兄ちゃんかなり頑張ってたんだよ。今回は憂さんが用意してくれたパティシエの人に教えてもらいながら作ったんだ♪」

 

辺りをキョロキョロしていた上杉であったが、ことりと一花に腕を取られたまま四葉の問いに答えた。すると、らいはさんが憂の用意したパティシエの人に教えてもらいながらも頑張ってケーキを作ったとご機嫌な様子で語った。

 

「へえぇ~、しかしあんたがケーキをねぇ。やる時はやるのね」

「ふふふ...嬉しいよフータロー。ありがとう」

「そうですね。これは味わって食べないといけません」

 

らいはさんの言葉をきっかけに五つ子が笑顔で上杉にお礼を伝えたので、上杉は恥ずかしそうに目線を上へと逸らしていた。

 

「もう...♡恥ずかしがってる風太郎君も可愛いなぁ~♡」

「後でお姉さんにあーんしてもらっても良いんだよ♡」

「だあぁぁっ...!いいからお前らはいい加減に離れろ!」

 

恥ずかしがる上杉を見たことりと一花は、更に上杉の腕に自身の胸を押しつけるようにくっついてくるので離れるように二人に文句を言うも、ことりと一花は気にせず離れないでいた。

 

「あはは♪上杉君も大変だ♪」

「本当よね。学校でもトップクラスの人気女子二人に好かれてるんだもん。どっちを選ぶんだろ」

 

そんな様子を面白そうに近くで見ていた佐伯と森下がクスクスと笑いながら話している。

 

「くっそぉー!何で上杉なんかに!」

「まあまあ、落ち着きたまえ前田君。それだけ彼には、僕達には無い魅力というものがあるのさ」

 

そして、別のところでは前田が上杉の状況に悔しそうにしているところに、武田が前田の右肩を右手でトントンと叩きながら前田を抑えるように話している。

今回のパーティーには、ことりの親友でもある佐伯と森下。それに、最近では上杉と交流が増えている前田と武田も招待している。

この四人も初めにここに来た時には言葉にならずで、車の中で固まっていたそうだ。

そして招待している者がもう一人おり──

 

「み、みみみ、三玖さん!」

「ん?どうしたの、タダヨシ?」

 

それが忠義である。

僕の弟子でもあり、五つ子とは二乃と三玖と四葉とも交流もありで呼んでみたのだが、二つ返事で返答があった。

 

「誕生日おめでとうございます!これ、つまらない物ですがどうぞ!」

「凄ぉい...綺麗な花束。ありがとうタダヨシ。部屋に飾っておくね」

「はうっ...!」

 

忠義が用意した花束を受け取った三玖は、本当に嬉しそうな笑顔を忠義に向けたので、忠義は胸を右手で押えて目を見開いて固まってしまった。

大丈夫か、あいつ?

 

「あら。三玖にだけなの?一応私たちも誕生日なんだけど?」

 

そこにニヤニヤしながら二乃が忠義に話しかけた。

 

「ぐっ...!そう言われると思いましたので、皆さんにもご用意しております」

 

二乃の言葉に忠義は、三玖よりも少ないながらも花束を全員分用意していた様で一人一人に渡していった。

 

「あら、気が利くじゃない♪」

「ししし。ありがとうございます!本多さん!」

「え?私たちまで良かったの?」

「そうですね。私と一花は特に本多君との交流もありませんし」

 

そんな忠義の行動に二乃と四葉は嬉しそうに受け取るも、一花と五月は戸惑いながら受け取った。

 

「お二人とは確かに交流はありませんが、三玖さんの大切な姉妹であることには変わりませんから!」

「ふふっ...君って中々良い男の子だね♪ありがと♪」

「ありがとうございます。これからも、三人と仲良くしてあげてください」

 

一花と五月の言葉に忠義は、真剣な表情で答えたので忠義に笑みを浮かべてお礼を伝えた。

 

「それにしても、和彦からのプレゼントは皆同じ物なんだよね?五月には特別な物とか無かったの?」

 

そんな感じで暫く各々で楽しんでいた所に、飛鳥が五月に僕からの誕生日プレゼントが皆と同じだと確認した。

僕から五つ子皆にプレゼントしたのは天然石のブレスレット。五人各々に色違いの同じデザインで渡している。一花には黄色。二乃には紫。三玖には青。四葉には緑。五月には赤といった形で、パーティー前に渡したからか、一花も含めて既に五人の左手首に着けられている。

 

「ええ。特には。私としましてはこれで良かったのではないかと思っております」

 

飛鳥の問いに五月は自身の手首に着けられてブレスレットを見ながらそう答えた。

 

「それに......その......一番欲しいプレゼントは明日貰えますので...」

 

すると五月は続けざまに顔を赤らめて俯きながらそう答えた。

 

「あはは♪そうだよねぇ~。これはお義姉ちゃんだけの特別なプレゼントだもんね♪」

「だねぇ~。羨ましいなぁ」

 

そんな五月に後ろから抱きしめながらことりが上機嫌に話すと、近くの結愛も羨ましそうに笑顔で答えた。そんな結愛の言葉に続くように周りもどんどんと賑やかになっていった。

因みに、今日出席している佐伯に森下に前田に武田、忠義には僕と五月が明日籍を設ける事を伝えている。

最初は冗談だろという雰囲気だったのだが、他の五つ子の姉妹やことりが肯定した為に、本当である事に気づき驚かれながらもお祝いされている。

 

「和彦さんはあちらに参加されないのですか?」

 

そんな楽しそうな五つ子とその友人達などの学生達の様子を少し離れた場所から見ていた僕に、笑みを浮かべてシャンパンのグラスを持った()()とそのご両親の三人が近づいてきた。

昨日の行為を交えてから僕は、芹菜の事をプライベートでは呼び捨てするようにしている。芹菜は僕の事をさん付けのままにするそうだ。まあ、行為中は呼び捨てになるのだが、そのギャップも中々可愛いところではある。

 

「いえ、まあ...今は同年代で盛り上がった方が良いかなと...それより芹菜のご両親も来ていただきありがとうございます」

 

芹菜には学生達で盛り上がってる時に教師である僕が混ざるのはどうかと、苦笑いで返しそのまま芹菜のご両親に頭を下げた。

 

「いやいや、私もあの会から薫様にゴルフや釣りなどに招待されましてね。その場で色々な方との伝手(つて)が出来たんですよ。いやぁ~、五月さんがうちの芹菜と和彦さんとの関係を許していただけて感謝しかありませんよ。そんな五月さんのお誕生日を祝わない訳にはいきませんからね」

 

そんな僕に対して芹菜の父である修二(しゅうじ)さんが右手で自分の頭を撫でながら上機嫌に答えてきた。

そりゃまあ、薫さんと一緒にいればどこぞの重鎮とも仲良くなるよね...

 

「もう!調子の良い事ばかり言って!この人ってばうちでは偉い人達と話して胃が痛いっていつも泣いてるんですよ」

「ちょっ...!紬ッ!それは今言う事じゃないだろ...」

 

上機嫌に話す修二さんに対して紬さんは、クスクスと右手を自分の口に当てて笑いながら修二さんの現状を伝えるので、修二さんは慌てて紬さんに止めてくれと恥ずかしがりながら伝え顔を赤くした。

 

「あはは...最初はそんなものですよ。僕も大学時代に父に連れられて色々な食事会に参加しましたけど、緊張で味が分からなかったものです」

「和彦さんでもそんな事あるんですね!?」

 

そんな修二さんを擁護するように自分の大学生時代にあった話を三人に伝えた。すると芹菜さんからは驚きの声があがり、紬さんも驚きの顔でいた。

 

「当たり前だよ。ただ、修二さんはすぐに慣れますよ。何と言っても一番凄い薫さんを近くで見ていくのですから」

「あははっ...確かに!薫様に比べればと言われればそうですな。和彦さんにそう言ってもらえると心が軽くなります」

 

僕の言葉に修二さんもホッとした顔で答え、隣の紬さんはどこか嬉しそうに僕を見ていた。

うぐっ...!

昨日の話もありそんな紬さんの顔にもドキドキしてしまう自分がいた。

 

「お話し中失礼いたします。和彦様。お飲み物のお代わりをお持ちいたしました」

 

そこに飲み物のグラスをいくつかトレイに乗せた彩里が姿勢正しくして声をかけてきた。

 

「ありがとう彩里。後、急な準備もしてくれて悪かったね。他の皆にも些細ではあるけど、僕の手作りのお菓子を用意してるから配ってあげて」

「はっ!私達の事をそこまで思っていただき感謝の念しかございません」

 

空になったコップをトレイに置きながら、ワインの入ったグラスを受け取りながら、急な今日の準備に協力してくれたお礼を伝えた。そして、そんな彼女達に用意した僕の手作りお菓子を皆に配るように伝えると、真面目な顔の彩里は頭を下げながらお礼を伝えてきた。

 

「本当は謝礼金を渡したかったんだけど、生憎と僕にはそこまでのお金が無くてね。申し訳ないよ」

「そ、そんなっ!和彦様のお手にて作られたお菓子であれば(みな)喜びましょう!お礼とは、何もお金が全てではありません。給料分の働きはしておりますので、そういったお気持ちだけでも我々は嬉しく思うのです」

 

本当は謝礼金を渡したかったが、僕には用意が出来ず。代わりに手作りのお菓子で申し訳ないと彩里に伝えると、彩里はすぐに否定し、その心だけでも嬉しく思うと、彩里にしては珍しく笑みを浮かべて伝えてきた。

 

「そっか。もし彼女達...勿論彩里も含めてだけど。まだ欲しかったら言ってね。喜んで作るから」

「ほ、本当でしょうか!?」

「へ?う...うん...」

 

彩里が珍しく興奮した顔で近づいてきたので、驚きながらもそれに肯定した。

 

「はっ!コホンッ...失礼いたしました。この家で働くメイド達は、和彦様の事を尊敬し、お慕いしている者達で構成されておりますので、その和彦様のお手製であれば(みな)喜びましょう。その......勿論...私もですが...」

 

僕の驚きの顔に我に返った彩里は、この家を担当するメイド達が僕を想ってくれている人達で構成されている事を伝え、その僕の手作りであれば皆が喜ぶと伝えてきた。そして最後には、顔を赤くして、顔をやや下に向けながら彩里も嬉しいと伝えてきた。

 

「そっか。じゃあ、尚更皆にガッカリさせないように振る舞っていくよ。彩里。何か変な所があったら主従関係とか関係なく遠慮無く言ってね。君の事は頼りにしてるから」

「~~~っ...!は、はい!では、私は他の方達の所に行かせていただきますので、これで」

 

何か不備な所があれば遠慮無く言ってほしいと、頼りにしている事を添えて笑顔で伝えると、慌てて他の仕事に向かっていった。

 

「何か悪いことでも言っちゃったかな?」

「はぁぁ...これは、皆とまた集会をしないとね」

 

僕の言葉に芹菜はため息をつきながら、右手を右頬に当てながら呟くのだった。

 

・・・・・

 

「マルオさん」

「ん?」

 

暫く時間を過ごした僕は五つ子達の父親でもあるマルオさんに声をかけた。

声をかけられたマルオさんは背筋を伸ばして立っており、右手にはワインの入ったグラスを持っていた。

 

「この度は娘さん達のお誕生日おめでとうございます」

 

僕の声に振り返ったマルオさんに僕は改めて五つ子の誕生日のお祝いを伝え頭を下げた。

 

「ふっ...ありがとう。しかし、その言葉は娘達に直接言った方が良いのではないかね?」

「ははは...彼女達には今朝さんざん伝えたので...」

 

マルオさんには珍しく微笑みを浮かべると、僕のお礼に対してありがとうと答えた。しかし、それは五つ子達に直接言った方が良いのではないかと伝えてきた。

確かに今日のパーティーで僕は彼女達に近づいてもいないのでそう言われてもおかしくない。

とは言え、今朝起きてから五人にさんざんお祝いを伝えたし、ハグやキスもせがまれたので問題ないと伝えた。ハグやキスの事は言わないが。

 

「ふふふ...確かに今朝の皆さんは大変はしゃいでおられましたからね。和彦様も大変だったかと」

「ですね。朝から師匠の周りは五人で囲んでたので我々の入る隙もありませんでした」

 

そこに先程までは五つ子の近くにいた憂が、開かれた扇子で口元を隠し微笑みながら綾那を連れ添い近づいてきた。憂の傍にいた綾那は、憂の言葉に笑顔で肯定をしている。

因みに五つ子達は、上杉とらいはさんお手製のケーキを皆で美味しそうに食べている。

 

「あらあら...和彦さんも大変ですわね」

「はっはっはっ!全くだ。毎年こうでは大変だろう」

 

そこにマルオさんの近くにいた葵さんと薫さんが笑いながら話しかけてきた。

 

「まあ、大変ではありますが、彼女達の笑顔が守れるのであればどうと言う事はありませんよ」

 

そんな二人の言葉に僕は、友人達に囲まれ笑顔で溢れている五人を見ながら笑みを浮かべた。

 

「そうかい...」

 

そんな僕に満足したのか、マルオさんはワイングラスを傾けて飲み始めた。

 

「あら。中野さんがお酒を飲まれたところ初めて見ましたわ」

「言われてみればそうだな。中野殿はお酒飲めないと思ってたよ」

「......確かに苦手ではありますが、特別な時には飲むようにしてるのです」

 

葵さんと薫さんがマルオさんのお酒を飲むところに驚いていると、マルオさんから特別な時にだけ飲むと答えが返ってきた。そしてマルオさんはそのまままたワイングラスを傾けた。

いつか二人で飲む日が来れば......そう思いながら僕もワイングラスを傾けるのだった。

 

 




今回の投稿も読んでいただきありがとうございます。

今回は五つ子の誕生日パーティーのお話を書かせていただきました。
学校の友人達だけではなく、吉浦家、立花家、今井家、立川家の親御さん達も集まった豪華なパーティーとなりました。
最初は、風太郎の誕生日プレゼントは原作通りに修学旅行でのアルバムにしようかと思っていたのですが、ここまでの仲までなっている事とことりの存在があれば、五つ子の誕生日を知らなかったではすまないと思い、らいはとの合作であるホールケーキとさせていただきました。

因みに、ちらほらと前回のお話からこの五つ子の誕生日まで色々あった様な話が出ている様ではありますが、そちらは(裏)のお話で書かせていただきます。
(裏)が読めない方は申し訳ありませんm(_ _)m

次回はとうとう婚姻届を提出するお話です。

次回の投稿は6月15日を予定しております。
次回の投稿も読んでいただけば幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

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