しかも0時にも間に合わず( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)
今後とも頑張っていきますので、よろしくいただければ幸いです。
「やったじゃんことり!」
「うん...!最後の凄かった...!」
ことりが試合を終え、ことりがベンチに戻って来ると一花や三玖の言葉を皮切りに笑顔で全員がことりを出迎えた。
「へっへっへー♪まあねぇ〜」
そんなことりは上機嫌な顔で皆の出迎えを受けていた。
「ったく。途中、殺気立つかと思って冷や冷やしてたぞ」
「うっ....」
図星なのでことりは僕の言葉に反論が出来ないようであった。
「ま、まあまあ。ことり。よく頑張りましたね。
僕とことりの間に入りながら五月が、ことりの頭を撫でながらそんな言葉をかけた。
「やーん♪もう、流石義姉さん優しいなぁ〜♪大好き!」
そんな五月にことりは嬉しそうに抱きしめたのだが、五月はそんなことりを優しく抱きしめ返していた。
「あははは、五月ってばちゃんとお姉ちゃんできてるじゃん!」
「ふふっ、そだね。もしかしたら、そういうお姉ちゃん的な事をしたかったからとか?」
「むぅぅぅ、失礼ですよ一花!」
五月の態度にしっかりと姉をしていると四葉が笑いながら話すも、一花は同意しながらもただお姉ちゃんがしたかっただけじゃないかと言ったので、それに対して五月は失礼だと頬を膨らませて文句を言い返していた。
「それで?ことりさん。最後に闘気を全身に纏っていたのを両腕と両足に集中させましたね?あれは?」
そんな仲良く話している五つ子とことりに割って入るように、葵さんが最後のことりの攻撃について確認してきた。
「え!?ことりさん!そんな事してたの!?」
恐らく気づいてたのは、僕と葵さんくらいだろう。結愛が驚きながらことりに問いかけるも、四葉と憂も驚きの表情になって皆と同じようにことりに集中した。
「あはは...流石は葵様ですね。兄さん以外に気づく人がいるとは思いませんでした。いえ、恐らくあの人も...」
葵さんの言葉にことりは、右手で頭をかきながら呆れ気味に葵さんを称賛すると、真剣な表情でうつむき加減に恐らく太原さんの事を言っているのだろう、そう口にした。
「まあ、あのまま烈火で攻めても良かったのですが、これって足や手に集めればもっと早く強く攻撃できるんじゃないの?って思ってやってみたらできちゃったって感じです。いやー、何事も挑戦心が大事だよね」
「あんたら兄妹は寄ってたかって本番に思いついた事してんじゃないわよ」
笑いながら説明することりに、二乃から呆れ気味にツッコミが入った。
まあ、それに関しては何も言い返せないからそのままスルーする事にする。
「とは言えまだまだ改良の余地ありだな。帰ったら色々考えてみよう」
「うん♪よろしくね、兄さん♪」
まだまだ使い慣れてない所も見受けられるので、帰ってから動画を観たりなどで対応を考える事をことりに伝えると、ことりからは明るい声が返ってきてそのまま自分の場所に座った。
「あれでまだまだなのですか?」
「あはは...私たちには理解できない世界だね」
そんな中、芹菜と小百合から自分達ではついていけないという言葉が綴られたが、こればかりはまあ仕方のない事だろう。
「私はまだまだ強くなるよぉ〜♪4人とも置いてかれないでね♪」
「ししし!私だってまだまだ強くなりますから!」
「ふふっ。これは、情けない試合をする訳にはいきませんね」
「えぇぇぇっ...!?私もなんですか!?」
ことりは自分の場所に座ると、他の4人に発破をかけた。
すると、四葉からは笑いながら自分も強くなると返事があり、綾那からは、試合の準備が整った様で、立ち上がりながら笑みを零した返事が返っていた。
そこに、伊井からは自分もなのかと驚きの声が上がった。
「当たり前じゃん。みんなは仲間でもあり、個人戦ではライバルなんだよ。皆で全国いくよ!」
「あははは...これは頑張らないといけないわね」
個人戦では、県予選上位五名までが全国への切符を勝ち取る事が出来る。ことりの考えではその五人を旭高校で埋めるようである。
相変わず目標は高くだな。
「綾那」
ことりに呆れながらも中央に向かう綾那に僕は声をかけた。
「はい」
すると、綾那はいつもの調子で返事をしてこちらに振り返った。
うん。心配はしてなかったけど緊張とかはしてない様だな。
「さっきも伝えたけど、綾那には綾那にしか持っていないものがある。だから、いつも通りの綾那の実力を存分に発揮してくると良い」
「はい!」
僕の言葉にしっかりと返事をした綾那は、また中央に向かって歩み始めた。
「一つの試練ですわね」
「ああ。けど、きっと綾那なら乗り越えてくれるさ」
そんな綾那の背中を見ながら憂が僕に近づいてきて、緊張気味に話しかけてきたので、僕は笑顔で答えるのだった。
〜綾那side〜
女子団体戦中堅戦。
綾那は何とか食らいつく形で相手選手飯尾と試合を展開していた。
(はぁっ...はぁっ...やはり中学と高校とでは違う!ことりさんや四葉さんだけがライバルと思っていましたが、体力や技量も違う。そして、何より私の事を相当研究している!これが高校の空手の試合!)
現在残り二十秒。綾那が一ポイントに対して相手の飯尾が三ポイント。
前の試合二試合に比べて白熱な試合が行われており、両ベンチからも声援が送られていた。
中学個人戦では敵知らずの綾那ではあったが、雪斗の研究の成果もありか、綾那にとってはかなりやりにくい状態で試合が続いており、このままでは時間がくるまで相手の飯尾が守りに徹して試合が終わってしまうと誰もが思っていた。
(スピードもパワーも高校一年生とは思えない!けど、太原コーチの言われた通りに動いたら問題なく試合を動かせた。後はこのまま守りに徹すれば良い。先取も取ってるし問題ないはず!)
飯尾が先取している事から、綾那からしてみればこの残り二十秒で一本を取るかしないといけない状況でもあった。
そんな綾那の試合を憂は、右手で扇子を握りしめながら心配そうに観ていた。
(ま、今まで綾那がことりとかの部員以外に負けたところを見た事ないからだろうけど。ここまで心配な表情を出してる憂は初めて見るな)
一方の和彦は、周りが必死に声援を送っている中一人冷静に試合を見守っていた。彼はまだ綾那の勝利を諦めていなかったからだ。
そこにお互いに組み合ったままだった為に、主審より二人に離れるように伝えて、離れたところで綾那はチラッと和彦を見た。
(──っ!師匠はまだ諦めていない!いつもの穏やかな表情で観てくれている...私は......)
そこで綾那は達郎に初めて和彦の試合の動画を観せてもらった時の事を思い出していた。
〜七年前・綾那side〜
「はっ!やっ!たぁ!」
幼い頃の綾那は、師でもあり祖父でもある達郎に空手の指導を受けていた。
「うむ!良い型だ。この調子で今後も励むように」
「はい!」
達郎からの笑顔の言葉に、綾那も笑顔でしっかりと返事をした。
「そうだ。綾那に観せたい試合動画がある。汗を流したら憂様の部屋に来なさい」
「わかりました!」
達郎の言葉に答えた綾那は、シャワーで汗を流すと私服に着替え、憂と達郎が待つであろう、憂の部屋へと向かった。
「失礼します。綾那にございます」
『綾那?入りなさい』
障子の外から声をかけた綾那に憂が返事をして入室を許可されたので、綾那は跪きながら障子をゆっくりと開け、そのまま部屋に入り、跪いた状態にて障子を閉め、その場に正座で座った。
「お
そして、綾那はその場で正座のまま頭を下げた。幼いながらも立派な所業である。
「まったく。
「ええ。ご当主様もたいそう気に入っておりましてな」
綾那の行動に呆れながらも、憂は達郎に先を促した。
すると、達郎はテレビをセットして、動画を再生した。
「これは?」
「こちらは今年度の全日本選手権個人の決勝にございます」
「では、観せたいものとはあの太原選手でしょうか?」
試合開始前の動画が流れているのを観た憂が達郎に問いかけると、この動画が七年前の全日本空手選手権個人の決勝であると答えた。
その達郎の言葉に綾那は、観せたいものが太原雪斗の試合であるのかと質問した。
それもそのはず。雪斗は去年までこの試合を三連覇しており、その事を綾那も知っているからだ。
「いや違う。理由は知らないが太原殿は今回の試合に出場されていない。なので別の選手だ。右の青の選手に注目ください」
綾那の問いに達郎は否定して、画面右に映っている青年に注目する様に憂と綾那に伝えた。
『はじめ!』
達郎の言葉を皮切りに試合が開始され、両選手共に構え相手の様子を伺うように間合いを取っていた。
「なんと綺麗な構え!この方は!?」
「うむ。吉浦和彦殿だ。今年大学に入学したばかりで、中学から高校の試合まで負け無しでこの全日本選手権決勝まで来られた方だ」
「「なっ...!!」」
達郎の言葉に驚いた憂と綾那は、食い入るように画面を集中して観始めた。
そして、試合は和彦の初優勝で幕を閉じた。つまり、この試合でも、和彦はまた負け無しだったのだ。
「す...すごい試合でした。相手の攻撃を全ていなし、カウンターで攻撃する。その攻撃も構えも全ての型が美しかったです」
動画が終わると綾那が真っ先に試合の感想を口にした。そんな綾那は真剣な顔で、試合の流れを頭の中で再現しているようだった。
「素晴らしい方ですわ!」
すると、憂がバッとその場に立ち上がり、興奮気味に話した。
「試合内容まではまだよく分かりませんが、なんと言ってもあの笑み!」
「笑み?」
憂の興奮する言葉に綾那は不思議そうに問いかけた。
「綾那!?見ていなかったのですか!?あの方は、どんな時にでも笑みを絶やさず、真に楽しそうに試合をしておりました。自らポイントを取られてもです!」
「──っ!!」
「ほっほっほっ。流石は憂様ですな」
綾那の問いに憂は楽しそうに今の和彦の試合状況を伝えた。
すると、自分はそこまで見ておらず、試合で笑みを零すものなのかという疑問に頭を打たれた。
そんな綾那とは逆に、そこに気づいた憂を笑いながら称賛した。
「何でも。この吉浦殿のモットーは試合を楽しむ、だそうでしてな。どんな試合でも楽しく試合をする事を求めているそうですぞ」
「試合を...楽しく......?」
達郎の言葉に綾那はついていけていなかった。
何故なら試合とは勝つか負けるかの真剣勝負の場。そんなものを果たして楽しむ事が出来るのか、と考えたからである。
その後も、時間を見ては憂と綾那は和彦の試合を観る事が日課となるのだった。
〜綾那side〜
(試合を楽しむ...か...)
当時の事を思い出していた綾那は、今まで結局試合を楽しむ事はなかったと考えていた。
むしろ、ことりに惨敗してからは勝ちに拘って試合に望んでいたくらいだ。
(そういえば、四葉さんにことりさんは、稽古の時から楽しそうな顔でしたね。ふふふ、師匠であれば、『ここからどうやって逆転しようかな』、と楽しそうに笑うでしょうね)
そう考えた綾那は、思い浮かんだ和彦の笑みに釣られるように口角を上げて笑みを浮かべて構えた。いつもの美しい構えで。
(──っ!笑ってる?この状況で?何か秘策でもあるの?それにさっきと雰囲気が全く変わってる!)
そんな綾那の態度に、相手の飯尾は警戒しつつも自分も構えた。
「全く...あの方は人を育てるのまでお上手とは......」
そんな二人の構えを見て、雪斗は呆れ気味に言葉を漏らした。
「コーチ?」
「ああ。すまん。気にするな」
そんな言葉が気になった部員が雪斗に声をかけるも、綾那の状況の変化に気づいていないであろう部員に雪斗は気にしない様に伝えた。
(はぁぁ...まさか、この土壇場で
雪斗はそのまま右手で口を隠しながら、二人の試合状況を見守っていた。
「──っ!先生!」
旭高校サイドでも綾那の変化に気づいた者がいた。四葉である。
その四葉は、確認するように、振り返りながら和彦に確認した。
「ああ。入ったな」
「?入ったとは?」
和彦の言葉に四葉は嬉しくなりまた試合に目を戻したが、和彦の左隣に座っていた五月は不思議そうな顔を和彦に向けていた。
「綾那は無我の境地に入った」
「──っ!真ですか!?和彦様!?」
和彦の言葉に、和彦の後ろに立っていた憂から驚きの言葉で問いかけられた。
「ああ。さあぁぁて、どう出る?綾那」
憂の驚きにいつもの表情で答えた和彦は、これからの展開に面白そうに見入っていた。
(何でしょう...相手の動きがいつも以上にスローモーションに見えています。これであれば、
警戒に入った飯尾の右拳による正拳突きがいつも以上に遅く見える綾那は、今の自分の状態に気づいていないようであった。
それでも冷静に、綾那は次の行動に移す事が出来た。
飯尾の右拳による正拳突きが見事に明後日の方向に流されたのだ。
『───っ!!』
それを見た者全員が驚きの表情となっていた。
(何!?何で私は全然違う方向に突きを入れてるの!?)
攻撃をした飯尾が一番驚き何も考えられない状態となっていた。
そこに、間髪入れず綾那の右上段蹴りが飯尾の左頭部を襲った。
ドンッ...!
「一本!」
それを見た主審が右手を上げながら合図を入れた。そして──
ビーーーッ...
この試合の終了のブザーが鳴るのだった。
今回の投稿も読んでいただきありがとうございます。
今回は女子団体戦中堅戦である綾那の試合を書かせていただきました。
中学ではことり以外には負け知らずの綾那ではありましたが、雪斗の研究に、高校生という体力などで苦戦を強いられる事になりましたね。
そこで頭を過ぎったのが、やはり和彦の存在。
和彦の空手はいつも楽しくのモットーを思い出した綾那は、今まで出来なかった楽しむ空手を心にし、見事逆転勝利を納めました。
さて、次回は残りの直華と康恵の試合を書かせていただければと思っております。
次回の投稿は8月25日を予定しております。
次回の投稿も読んでいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。