少女と花嫁   作:吉月和玖

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34.結びの伝説

~二乃side~

 

ゴォォォォォ…

 

林間学校三日目の夜。広場ではキャンプファイヤーが行われている。キャンプファイヤーでは最後のダンス以外にも催し物があり、今では色々な生徒がそれぞれ出し物を行っていた。

しかし、生徒の心は最後のダンスのことに向かっていた。

 

「最後のダンスどうする~~?」

「俺、今から誘っちゃおっかな!」

 

(みな)がダンスの話で盛り上がっているところに冷めた目で見ている者がいた。二乃である。

 

「くだらないわ」

 

冷めた目でダンスに向けて楽しそうに話している生徒達を見ながらそんな言葉が漏れた。

 

「あれ、二乃どうしたの?」

「男の子と踊るってテンション上がってたじゃん」

 

そんな態度の二乃に疑問に思った友達の二人が二乃に声をかけてきた。友達が言っている男の子というのはもちろん風太郎がカツラを被った姿の金太郎のことである。

彼をダンスに誘ってからは二乃はご機嫌で、男の子をダンスに誘ったと友達にも言っていたのだ。

 

「…フられちゃったわ」

 

・・・・・

 

風太郎が倒れて部屋に隔離されることになった時、風太郎は二乃に声をかけた。

 

「金太郎の奴な…その…外せない用事ができたらしい。スキー場でたまたま会って頼まれたんだ」

「やっぱり…彼だったんだ…」

 

実は二乃はスキー場で金太郎を見かけたのだ。

金太郎と会うことが出来た林間学校二日目の肝試しでのこと。金太郎に会った二乃は、金太郎のおでこに小さな傷があるのに気付き、いつも持ち歩いていた絆創膏を貼ってあげたのだが、その絆創膏をスキー場で落とした男の子を発見した。

後ろ姿でしか見ていないが、金太郎に貼ってあげた絆創膏は特徴的な柄があり、その絆創膏は自分が貼ってあげたものだと二乃はすぐに気づいたのだ。

そこを追及された金太郎こと風太郎は焦ってその場から逃げ出し、三玖が隠れていたかまくらに匿ってもらうことで金太郎が風太郎であるということがバレずに済んだのだ。

 

「ってことは嫌われちゃったかな…少し重たかったかしら」

「ん…いや…」

 

自分の誘いに来てくれないことに、二乃は自分が嫌われたから来ないのだと思って落ち込んでしまった。

実際は、金太郎である風太郎が高熱のためにキャンプファイヤーそのものに参加できなくなったのだから、風太郎としては何とも言えない状況となってしまった。

 

「まぁ待つだけ待ってみるわ」

「あれは…」

「上杉、何をしてるんだ!早く休みなさい!」

 

風太郎の目からも落ち込んでいる事が分かっていたので、やはり金太郎の正体が自分であると明かそうと思った矢先、学年主任の木下先生に声をかけられ、それも出来なくなった。

自分の限界も来ていることから部屋に向かうなか、風太郎は二乃に言葉をかけた。

 

「悪い。元気出せよ」

 

・・・・・

 

(一番元気のないあんたが言うなっての。恩着せがましく心配なんかして…少しは自分の心配しなさいよ)

 

先ほどの風太郎とのやり取りを思い出しながら、大きく燃え上がっている焚き火を眺めそんな言葉が心の中に出る二乃。

 

『信じていいのよね?』

『ああ』

 

風太郎が隔離された部屋に向かう背中に二乃が問いかけたら、風太郎からそう返事があった。

 

「…ムカつく」

 

そう呟いた二乃の元にメッセージが届いた。それを見た二乃はキャンプファイヤーの会場から離れるように歩みを進めた。

 

「ちょっ、二乃どこ行くの?」

「ちょっとトイレ」

「早くしないとダンス始まっちゃうよー」

 

友達の言葉を背に、二乃はトイレではなくある場所に向かうのだった。

 


 

~ことりside~

 

二乃がいた場所とは違う所で、ことりは友達の森下智子(もりしたともこ)佐伯加奈(さえきかな)の三人でキャンプファイヤーの催し物を楽しんでいた。

 

「そういえばことりって上杉君とダンス踊る予定だったよね?」

 

そこに智子が確認するようにことりに聞いてきた。

 

「うんそうだよ。ただ、風太郎君熱で倒れちゃったから踊ることはできなくなっちゃったんだけどね」

「え?そうなの?」

 

風太郎が熱で倒れたことはほんの一部しか知らないことなので、ことりの言葉に加奈は驚いた。

 

「それじゃあどうするのダンス?相手がいないと見るや誘いに来る人いるかもよ」

「うーん…」

 

智子の言葉にどうするか考えているところに、スマホにメッセージが届いた。これは二乃に届いたメッセージと同じものである。

 

『上杉の看病、今は僕が診てるから何かあればまた連絡する』

 

和彦からのメッセージではあるのだが、そのメッセージを見た瞬間ニコッとことりは笑顔になった。その笑顔はどちらかと言えば何かを閃いたといった顔である。

 

「ごめん、私風太郎君のところにお見舞い行ってくるよ」

「え?上杉君のところ?」

「でも、先生がいるんじゃない?」

 

ことりの発言に智子と加奈は心配そうに答えた。

 

「大丈夫。今は兄さんが付いてるみたいだから多少融通利かせてくれるよ。それに、風太郎君が熱で寝込んでる時にキャンプファイヤーなんて楽しめないしね」

 

そう言うや否や、ことりはキャンプファイヤーの会場から離れて行ってしまった。

それをただ眺めることしかできなかった二人はある事が頭を過った。

 

「ねえ智子。ことりって上杉君のこと、どう想ってると思う?」

「うーん…ことりは前に上杉君は友達だって言ってたから、加奈が思ってるようなことはないと思うけど…」

「でも、友達とは言えさぁ、わざわざ看病に行ったりする?同性の友達なら分かるけど、異性だよ?」

「そうなんだよねぇ…」

 

智子と加奈では思うところに若干の違いはあれど、ことりの風太郎に対する想いに考えさせるところがあった。とはいえ、大事な友達のことだ。勝手に自分達で感じたことを他の人に言い触らすということは二人とも考えてはいなかった。

 


 

~一花・三玖side~

 

広場から少し離れた場所。階段があるのだが、その階段に一花は誰よりも暖かい格好をして座り、皆が楽しんでいるところを見ていた。

一花が暖かい格好で階段に座り休んでいるのには訳があった。それは一花も風太郎と同様に風邪を引いて、林間学校三日目はずっと寝込んでいたからである。風太郎と違い、一花はスキーには参加せず一日寝ていたこともあり歩き回れる程度には回復していた。

 

ぴたっ

 

「わ」

 

そんな一花の頬に温かい何かが当てられたので、一花はビックリして声が出てしまった。

 

「あげる。風邪は水分補給が大事」

「へー…ホットもあるんだ…」

 

一花の頬に温かいものを当てていたのは三玖で、その温かいものというのは抹茶ソーダの缶であったのだ。

抹茶ソーダのホット…一花が言うようにホットまであるのには驚きである。

 

ぴと

 

「!」

 

そんな驚きの表情をしていた一花のおでこに三玖は自らのおでこを当てた。どうやら熱を測っているようである。

 

「治ってる」

「やっぱり…私がフータロー君にうつしちゃったかなぁ」

 

風太郎が高熱で倒れてしまったのは、自分の風邪がうつってしまったからと一花は考えており自らを責めていたのだ。

 

「フータローは最初からおかしかった」

「えっ」

「今にして思えばずっと具合が悪かったんだと思う。もっとよく見てあげてたら…私も自分のことで必死だったから」

 

一花のおでこから自身のおでこを離しながら、三玖は自分が気づいた風太郎の変化を伝えた。

 

「……ねぇ一花これ見て」

 

そこで三玖はスマホに写し出された画像を一花に見せた。

 

「これは?」

「うん。さっきことりから送ってもらったの。先生とことりは今日の自由参加は登山だったから。その時に撮ったんだって」

 

三玖のスマホに送られた画像は色々とあり、登山中に発見した植物だったり山々の景色だったり様々であった。

そして一つの画像のところで三玖は切り替えるのを止めた。

 

「これって、ことりと先生のツーショット写真だね」

「うん……」

 

三玖が止めた画像には一花が言った通り和彦とことりが仲良く写っていた。

 

「私ね、この写真を見たときことりを羨ましいって思ったの」

「羨ましい?」

「うん。私もこうやって先生とツーショットで写真撮りたいなって…ことりは妹なんだから当たり前なのにね」

 

そこで三玖はふふっと自笑気味に笑った。

 

(独り占めはしたい。この感情にもう嘘はつけない)

 

「私は先生が……和彦先生が好き。この気持ちはもう止められない。相手が立川先生だって負けたくない…!」

「三玖…」

 

まっすぐに見つめながら伝えてきた三玖に一花は圧倒されてしまった。今まで、ここまでに自分の気持ちを伝えてきたことは三玖にはなかったからである。

三玖は自分の気持ちを伝えた後に一花の両手を包み込むように握った。

 

「私は自分の気持ちをしっかり持てたよ。だから一花も自分の気持ちに正直になって」

「え…?」

 

三玖のそんな言葉に一花はドキッとしてしまった。

 

「一花が言ったんだよ。この関係がずっと続くとは限らないんだって」

「あ…」

 

三玖は一花の両手を握る力を強めながら、林間学校二日目の朝に旅館のエントランスで一花に言われた言葉を言い返した。

 

「私は私の恋に一生懸命になる。だから一花も…」

 

そこで一花は自然に笑みが出てきた。

すると、三玖が持ってきてくれた抹茶ソーダの缶を開けゴクゴクと飲みだした。

 

「うーん…絶妙にまずい…」

「そ、そうかな?」

「でも効力バツグンだよ。ありがとね」

 

抹茶ソーダのホットは確かに不味いのかもしれない。だが、三玖の気持ちが入っているのか一花の心を突き動かす効力はたくさん入っていたようだ。

そこに二人のスマホに着信が入った。内容は二乃とことりに来たメッセージと同様だ。

 

「ふふっ、じゃあ行こうかな。三玖も来るよね?」

「うん」

 

二人は立ち上がると、キャンプファイヤーの会場とは別の方向に歩みを進めるのだった。

 


 

~四葉・五月side~

 

(私が余計なことを考えて一花のふりをしなければ…)

 

五月は宿舎の中を歩きながら風太郎の倒れた原因について考えていた。

五月は風太郎に自分達姉妹のことをちゃんと見てくれているのか確認するため、風邪で寝込んでいる一花の協力のもと一花に変装をしてスキーをしている風太郎に近づいた。

変装といってもフードを深く被り、ゴーグルにマスクをするといったものである。これは効果抜群で他の姉妹にも五月であることがバレなかった。

そんな中、五月が咄嗟に風太郎のことを『上杉君』と呼んだことで風太郎に正体を見破られたのだ。

それも、姉妹皆の前で正体を明かすということを選ばず、リフトに二人で乗って正体を当てるという方法を風太郎は選んだのだ。おそらく、どういう理由かは分からないが姉妹に内緒にするぐらいの事なので、皆の前では言わないといった風太郎の優しさから来た行動なのかもしれない。その行動に五月は、自分のことを見てくれているという真相と同時に嬉しくなっていた。

だが、正体を見破る前から体調を悪くしていた風太郎が無理をしてでも二人きりになったことで風邪が悪化してしまったのだ。そこに五月は自責の念を抱いていた。

 

風太郎の荷物を隔離している部屋に持って来るように頼まれ、それを買って出た四葉の手伝いのために、今風太郎の部屋に着いた五月は部屋の中を覗き込んだ。

 

「四葉、荷物はまだ…」

 

するとそこには何かをじっと見つめたまま立ち尽くしている四葉の姿があった。

 

「四葉…?」

 

五月が声をかけると四葉は持っていた栞を五月に差し出してきた。

 

「これ…上杉さんのしおり…付箋やメモがたくさん。こんなに楽しみにしてたのに…具合の悪い上杉さんを無理に連れまわして、台無しにしちゃった」

 

下を向いたままの四葉は五月に顔を向けることもなく、淡々と言葉を口にした。

実際に林間学校三日目が始まった朝。風太郎は体調があまりよろしくなかったので寝ようとしたところに、四葉が部屋まで押し掛けてきて風太郎をスキーに連れ出したのだ。

四葉はその事を後悔しているのかもしれない。

そんな四葉の言葉を聞きながら五月は風太郎の栞を開いて読み進んでいった。

 

「……」

「私が余計なことしたから」

 

その間も四葉の後悔の念は収まることはなかった。

 

「!」

 

そんな時、五月は一つのメモを栞の中で見つけた。

 

「結局のところ、上杉君がどう感じたのか何を考えているのか、本人に聞かないとわかりません。ただ…無駄ではなかったはずですよ」

 

そのメモを四葉に見せるように五月は言葉を紡ぐ。

そのメモには……

 

『らいはへの土産話

 ・楽しかったこと

  車内でのゲームなど

  旅館の探検をしたこと

  四葉に手伝ってもらった肝試し

  【候補】三日目のスキー

      (四葉が教えてくれるらしい)

  ・

  ・

  ・

  ・

  ・

                    』

 

「!」

 

そのメモを見た四葉の目に少しずつ力が戻ってきた。

 

「これ…本当かな…三玖は寂しい終わり方って言ってたけど、楽しかったのかな…」

「さあ」

 

四葉の質問にどうでしょうといった答えを五月はするも、その顔はどこか笑っているようだった。

そこで四葉はある決心をする。

 

「上杉さんに聞いてみる!」

「え、今からですか!?」

「こっそり行けば大丈夫だって」

 

そう四葉が言ったところで二人のスマホに着信が入った。

 

「!吉浦先生が上杉さんの看病変わったって!」

「おそらく私たちが後でこっそり来ることも織り込み済みなのでしょうね。あの方はどこかそういった先読みが鋭いところもありますし」

「なら問題ないね!行こっ、五月!」

 

こうなった四葉の行動力は凄く、さっさと行ってしまった。そんな四葉の背中を見つめながら呟いた。

 

「私も四葉みたいにまっすぐ聞くことができるのでしょうか…」

 


 

上杉の額の上に置いているタオルを水に浸し、それを絞ってからまた元の位置に戻した。これくらいしかやれることはないが、何もやらないよりはましだろう。

窓の外からは賑やかな声も聞こえてくるのでキャンプファイヤーも始まったのかもしれない。ここの部屋の窓からは広場の様子を確認することができないので細かな情報は分からないが。

ずっと座っているのもキツいので立ち上がり窓から外を見てみる。キャンプファイヤーの焚き火の灯りは見えるがそれだけだ。音楽が少し聞こえてくるのでダンスが始まったのかもしれない。

 

コンコン

 

窓の外を見ていたら部屋のドアがノックされた。

 

「ん?誰だろう...」

 

他の先生方が様子を見に来てくれたのかもしれない。そんな思いでドアを開けるとそこにはことりと中野姉妹五人の姿があった。

 

「来ちゃった、兄さん」

「はぁぁ…本当に来るとはね」

 

看病に付いた事を六人に連絡した時からそうじゃないかなっとは思ってたけど、まさか六人とも来るとはね。

 

「いや-、まさか同じ時間に皆揃うなんて驚きだよ」

「本当よ」

「私は二乃が来ているのにビックリした」

「わ、私はよく効くお守りを貸そうと思っただけ!」

 

三玖の疑問に二乃がミサンガを掲げながら恥ずかしそうに答えた。

あれ?たしかミサンガと言えば、温泉で上杉がらいはさんの手作りがあるって教えてくれたっけ。良く良く縁があるんだな。

 

「私たちもフータロー君が心配で来たんだよね三玖」

「うん…」

「私もなんだ。風太郎君が寝込んでるのにキャンプファイヤーを楽しめないよ」

「えへへ、なんか嬉しいな。全員で同じこと考えてたんだね」

「私は違うって言ってるでしょ!」

 

(みな)(みな)上杉のことを心配してここに来たってことか。あの二乃や五月まで。

そんな中五月が風太郎の寝ているベッドの脇まで進んで話しかけた。

 

「上杉君。みんなあなたに元気になってもらいたいと思ってます。まだ私には、あなたがどんな人なのか分かりませんが...目が覚めたら...教えてください。あなたのことを」

 

その言葉に五月以外の女子が(みな)笑顔で風太郎の事を見ている。そして誰かが合図をする訳でもなく、姉妹全員が同時に五月の傍に集まってきた。それに続いてことりはベッドを挟んで五つ子の反対側にしゃがみこむ。僕はそんな様子を窓際で見ていた。

外のキャンプファイヤーは佳境を迎えているのか、より一層盛り上がっている声が聞こえてきている。

そして、

 

『3、2、1...』

 

カウントダウンが始まったようで、この部屋まで聞こえてきた。

そう言えばことりが言っていたな。キャンプファイヤーの伝説。改めて聞いた時はちょっと変わってたけど。

 

『結びの伝説。キャンプファイヤーの結びの瞬間、手を結んでいた二人は、生涯を添い遂げる縁で結ばれるという』

 

『0!』

 

その瞬間、外からは歓声が上がっていた。

そして、上杉の左手にはそれぞれの指を中野姉妹五人の手で結ばれている。親指を一花。人差し指を二乃。中指を三玖。薬指を四葉。小指を五月、といった具合である。そして、右手はことりがそっと手を添えている。

 

「あの時もずっと耐えていたんだね。私も周りが見えてなかったよ」

「らしくないこと言ってないで、早くいつもの調子に戻りなさい」

「私たち六人がついてるよ」

「私のパワーで元気になってください!」

「私も。風太郎君の元気な姿を早く見たいよ」

「この三日間の林間学校、あなたは何を感じましたか?」

 

六人それぞれが声をかけると上杉がムクッと起きあがった。

 

「風太郎君!」

 

起きあがった上杉に対して、ことりが真っ先に声をかけた。

 

「わっ」

「起きた…」

 

ことりに次いで三玖と一花が声を漏らした。

 

「元気になったんですね」

「おまじないすごーい!」

 

さらに五月と四葉も続き、上杉が起きあがったことで次々と声をかけている。とはいえ、さすがに病人の前ではうるさいかもしれない。

 

「…るせぇ…」

「「「「「「え?」」」」」」

「うるせぇ!寝られないだろ!」

 

やはりと言うべきか。上杉は大声をあげて寝られないことを主張した。

その声を機にドタバタと六人は部屋から出ていった。叫ぶだけの元気が戻ったと安心したのかもしれない。

 

「ハァ…ハァ…」

「悪いね。皆上杉を心配してたから通したけど止めておくべきだったかもね」

「いえ…これだけの姿を見せればあいつらも少しは安心するでしょうし」

 

そう言いながらふぅーと上杉は息を吐いた。

 

「ほら、ここからはもう誰も来ないからゆっくり眠りな」

「はい…」

 

上杉は再び布団に入るとそのまま目を瞑りすぐさま眠りについてしまった。

僕は、先ほど起きあがったことで落ちたタオルをまた水で冷やして上杉の額に乗せてあげた。そして、交代の先生が来るまでしばらく診ていた。

キャンプファイヤーの伝説…もし本当だったら上杉は誰と結ばれるんだろうね。

心の中でそう問いかけるのだった。

 

 




今回の投稿も読んでいただきありがとうございます。

今回は五つ子とことり六人のそれぞれの事を書いた後に、風太郎のところにお見舞いに来たお話を書かせていただきました。
今回はいつものお話より若干長めに書かせていただいております。
六人それぞれの思いがある中、林間学校はこれにて閉幕とさせていただきます。

それでは次回の投稿も読んでいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

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