アオのハコ短編集(仮)   作:扇町グロシア

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BLUE SURFACER

 顔だけ野郎、胡散臭いイケメン、モテそうなだけでモテない奴。その笑顔が信用できないとか散々に言われてきたけれど、何だかんだで俺はそれを楽しんでいる。

 虫も殺さぬ顔して、笑顔で毒を吐く。ろくに話も聞かず相槌だけ打ち、愛想良くして作り笑い。そんなのも、俺だから。

 自分らしくなんて、どういうものだかは知らない。でもこの生き方が気持ちいいから、それで良い。

 こんな俺は好かないだろうし、こんな生き方は許せないのは分かる。

 だからってさぁ、あんまり嫌わないで欲しいんだけど。

 

 いつもヘラヘラしてて薄っぺらい、そりゃそうだろうよ。如何にも頑張ってます、みたいな暑苦しいのは性に合わない。軽いノリで良いだろう、悩んだってどうにもなるもんじゃない。今が楽しいならそれで十全だ。――そう思わないと、やってられるかよ。

 気がつけばナツは何処の馬の骨だか分からない後輩と付き合いだしていて、結局俺は相手にもされていなかった。まあそりゃ、あれがいなくても同じだったかもしれないけどさ。留学してもっと自分を磨けば振り向いてくれるかも、なんてただの一人相撲を取ってただけ。忘れていなかったけど寂しがりもせず、ナツは一年ぶりの俺にも普通に接してくれた。つまりは、そういう事なんだ。友達ではあっても、特別ではない。

 まったく、いっそ笑えるな。

 もっと本気になっていたら、俺はこうなっていなかったりしたんだろう。でもま俺は俺なんだし、変わらないかな。

 うまく言えないけど、まあいいやそれで良いんじゃない?

 努力を惜しんでいる気はない、やれる限りはやる。それが通用しないなら諦めて次へ、が俺だ。やりもしないで無理だと嘆くのは怠慢だし卑怯だと思う、限界はあるからそれを弁えはするけれど。出来なかったなら仕方がない、切り替えて行こう。それを逃避と言うのなら、俺はどうしたらいいんだろう。

 ま、どうでもいいか。

 ――それこそ藤木のヤツ、拗らせたせいでやらかしてるし。クラスは違えどナツに気があるのは知っていた、でもあれは俺以上に動かなかったのだ。何処かで冷めてしまえば良かったのに、思い詰めて大爆発。やれやれだよ、ああいうのは。

 

 本当にお前は世渡り上手だ、とは言われる。世渡り上手の罰当たり、とも言われるけど。セコい計算も早い、これも才能ってやつだ。

 散々悩んでみてもホント何にもなりゃしないよ、今を楽しめればそれで良い。楽に楽に適当に、適度に汗水垂らしながら生きていく。なんだかんだ言ったって俺は俺にしかなれない。

 別に逃げちゃいないんだ、真っ直ぐ現実ってのを見据えてるだけで。

 そうやって生きてる俺から見ると、みんな余りにも余計なものを背負いすぎてる。特にナツは相当だな、それでも歩みを止めないのが不思議なくらいに。手先が器用だと生きる方が不器用になるったって、限度があるだろう。

 良いんだよ、楽に楽に適当で。自信があるときだけ胸はって無茶もするけど、基本は無理しない。悩んだって時間の無駄、それくらいでいてほしい。

 なんだかんだ言ったって、俺はまだナツが好きだから。あんまり気負って苦しんでる姿は見たくないけど、でもナツはナツだからなぁ。

 とは言え今のナツにはもう頼る相手がいるから、俺に相談なんかしてくれはしない。

 別に良いんだけどね、一緒に悩むなんてのは柄じゃない。

 今日も明日も軽く楽しく、ヘラヘラ笑って生きていく。辛くても悲しくても、薄っぺらい顔だけ野郎として。

 それでこそ、そうだからこその俺だから。

  

 

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