タイトルは、東京事変「閃光少女」より。
登場人物:「キリエ~吸血聖女~」より、サンタミカエラとアンナロッテ。「鬼滅の刃」より、煉獄杏寿郎。他サブキャラとモブキャラ多数。
注:小説ではなく、台本風読み物です。残酷なシーンあり。
同一内容を、下記サイトにも掲載しております。
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【挿絵表示】
「キリエ~吸血聖女~」×「鬼滅の刃」クロスオーバー脚本風読み物
【 閃光少女(前編)】
★ 1872年・アメリカ合衆国・カリフォルニア州・サンフランシスコ・フェリー桟橋
穏やかに晴れた、午後。
無数の煉瓦造りと木造の建屋が、所狭しと密集するアメリカ有数の大都市、サンフランシスコ。
何本もの、木造の巨大な桟橋がサンフランシスコ湾に突き出す、波止場。
黒塗りの蒸気船が停留されていたり、様々な船が何艘も海を行き交う。
波止場の一角、小型船を停泊出来る小規模の桟橋の一本。
ガスモーターボートが横付けされ、足場板が渡される。
そこに、ひょいっ、と軽やかな足取りで跳び乗り、桟橋に立つサンタミカエラ。
続いて、アンナロッテ、そして杏寿郎がボートから降りる。
操縦室には、ペストマスクを装着した防疫修道会兵士が残り、機器の点検を行っている模様。
サンタミカエラ、満面の笑み。
そして、両腕と両脚を交互に、行進するように大きく振りながら、陸へと歩いていく。
鼻歌混じりに、楽しそうに。
サンタミカエラ「(振り返り)アニキ! 早く来いよ!」
彼女の後方を並んで歩き、その背に目線を投げているアンナロッテと杏寿郎。
アンナロッテ[面の奥から]「(ふう、と息をつき)そう急かしてはいけませんよ」
杏寿郎「構わん! 追いていくのでそのまま進んでくれ!」
サンタミカエラ「(にっ、と笑顔で)おう!」
サンタミカエラ、再び前を向き、マーチさながらに歩みを進める。
アンナロッテと杏寿郎、通常の歩行速度で、その後に続く。
アンナロッテ[面の奥から]「(杏寿郎を見て)申し訳ありません、エンバシラ。あの子は気分屋でして」
杏寿郎「いや! 元気があって大変よろしい!」
アンナロッテ[面の奥から]「とは言え、初対面の時との対応が正反対ですからね・・・」
歩を進めながら、一度振り返って湾の沖合に浮かぶ島影を見詰めるアンナロッテ。
★ 【回想】(1時間前)サンフランシスコ・イェルバ=ブエナ島・アメリカ陸軍基地
サンフランシスコ湾内、オークランドとサンフランシスコを結んだ中程に島がある。
周囲2マイル半ほどの、イェルバ=ブエナ島。
そこの一角、崖を削り取ったような海沿いの敷地。
木造の簡素な二階建ての建屋や、倉庫と思しき背の高い建屋が数軒並ぶ。
細長い敷地の前庭を挟んで、海側に桟橋が突き出ている。
そこにガスモーターボートが繋ぎ止められており、数名が陸に向かって歩いている。
先導する1名の防疫修道会兵士、後にアンナロッテと杏寿郎が並んで続く。
その後方に離れて歩くサンタミカエラ、不機嫌極まりない表情。
両手を頭の後ろで組み、ふたりの背中に据えた視線を投げ、口を尖らせている。
敷地内に翻る星条旗と陸軍旗を見遣る杏寿郎。
杏寿郎「米国軍の基地があるとはな! よもや!」
アンナロッテ[面の奥から]「最近設営されたのですよ。アメリカ陸軍は今、我々防疫修道会とは協力関係にあります。ここの基地から北米の軍へ、対吸血鬼戦用の弾薬を供給しているのです。今日は、次の補給量の確認で寄りました。セニョールの案内の途中で申し訳ありませんが、船の出航まで2日ありますから、立ち寄らせて頂きました」
杏寿郎「(頷き)気にするな! 反って面倒を掛けて申し訳ない! アンナロッテ女史!」
杏寿郎、歩みを停めずに振り向き、サンタミカエラに視線を投げる。
杏寿郎「君にも手間を掛けるな! サンタミカエラ少女!」
きっ、と鋭く睨み返すサンタミカエラ。
聞こえないくらい小さく舌打ちし、苛立たし気な顔を見せる。
サンタミカエラ「(突き放すように)・・・今更女呼びしても遅ェよ」
それでも、杏寿郎は変わらず悠然とした笑みを浮かべている。
一度サンタミカエラに視線を送り、それから杏寿郎に顔を向けるアンナロッテ。
アンナロッテ[面の奥から]「(頭を下げ)失礼ばかりで・・・お詫びいたします、セニョール」
杏寿郎「(アンナロッテを見て、爽快に)いや! 礼を失したのは俺だ! 謝らないでくれ!」
アンナロッテ[面の奥から]「(顔を上げ)しかし・・・」
杏寿郎「それよりも! “セニョール”とはどういう意味なのだ?」
アンナロッテ[面の奥から]「ああ、スペイン語で、男性を呼ぶ時の名称なのですが・・・(少し考えて)セニョール煉獄は、ハポンでは確か『キサツタイ』という組織に属してらっしゃいますよね。そこでの役職や、階級はどう呼ばれてますか?」
杏寿郎「(胸を張り)柱だ! 俺は炎柱!」
アンナロッテ[面の奥から]「『エンバシラ』・・・初めて聞く階級ですね。私はラーラマリア葬兵少佐を、司令官を意味する『コマンダンテ』と呼ばせて頂いてます。セニョール煉獄のことは『エンバシラ』と呼ばせて下さいますか?」
杏寿郎「(大きく首を上下に振って)うむ! 是非そう呼んでくれ!」
サンタミカエラ、距離を置いて追いていき、不満そうに眉を顰めている。
サンタミカエラ《ちぇっ・・・和気藹々としやがって・・・》
大らかな雰囲気で、時折笑みを見せ、アンナロッテと会話している杏寿郎。
そんな彼の横顔に目線を繋ぎ、じっ、と見詰めるサンタミカエラ。
杏寿郎の曇りのない表情、快活で良く響く声。
サンタミカエラ《悪気がねェのは解ってんだけど・・・》
サンタミカエラ、目線を外して少しだけ俯く。
桟橋から前庭に全員が足を踏み入れた時、左側奥の建屋の入口が、キイッ、と開く。
中から小走りで、中年男性の軍人が出て来る。
髪型を八二に分け、ふさふさとした口髭を蓄えており、上級士官の軍服。
ただ、目線が忙しなく動いており、眉を八の字に寄せて、挙動不審な仕草。
明らかに、心ここにあらずといった様子。
突然。
こちらに気が付いた士官、ビクウッ!と肩を跳ねさせて凝り固まる。
それから、やや速足で敷地内を歩いて、アンナロッテたちに近寄っていく。
上級士官「(驚いたままの口調で)こ、これは七会士の!」
アンナロッテ[面の奥から]「ご無沙汰しております、大尉。(訝しげに)何かありましたか?」
上級士官「実は・・・狂血病に罹患した兵士が1名、亡くなりまして、遺体の処置をしている最中でして・・・」
直後。
更に奥の方、倉庫のような建物の中より、男性の野太い絶叫。
一斉に、その場の全員の視界が向けられる。
サンタミカエラ「(はっ、と顔を向け)悲鳴?」