タイトルは、東京事変「閃光少女」より。
登場人物:「キリエ~吸血聖女~」より、サンタミカエラとアンナロッテ。「鬼滅の刃」より、煉獄杏寿郎。他、サブキャラ(オリキャラ)とモブキャラ多数。隠しゲスト1名。
注:小説ではなく、台本風読み物です。
同一内容を、下記サイトにも掲載しております。
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【挿絵表示】
「キリエ~吸血聖女~」×「鬼滅の刃」クロスオーバー脚本風読み物
【 閃光少女(中編)】
★ (午後10時頃)サンフランシスコ・モンゴメリー地区・グランドホテル・ロビーへの階段
グランドホテル正面玄関のホールを囲むように、客室へ昇る左右2本の階段がある。
フロントからロビーを抜け、その左側の階段を上がっているアンナロッテ。
ふと、上から降りてくる杏寿郎に気が付き、足を停める。
いつもの隊服に、炎をあしらった羽織を纏い、腰には日輪刀を携えている。
杏寿郎もアンナロッテに気付き、一度階段途中で立ち止まる。
3段ほど間を空け、向かい合うふたり。
アンナロッテ「まだお休みにならないのですか?」
杏寿郎「(頷き)街を回って来る」
アンナロッテ「(少し間を置き)何か気になることが?」
杏寿郎「うむ。気配が明瞭ではないが、随所から感ずることがあってな。何かあったら、報告する」
アンナロッテ「判りました。お気を付けて」
緩やかに口角を上げたまま、再度首を縦に振り、階段を降り出す杏寿郎。
アンナロッテと擦れ違い、そのままロビーを横切り、正面玄関の扉を開ける。
そして、ギイ、という蝶番が軋む音を残し、夜の闇へと消えていく。
見えなくなるまで、背中を暫く見詰めているアンナロッテ。
それから、右手人差し指を曲げて顎に当て、何かを考える仕草。
★ (30分後)カリフォルニアストリート・路上
真夜中近くの、人通りのないカリフォルニアストリート。
等間隔で点在する街灯だけが、夜の闇に浮かぶ。
その歩道を、急ぎ足で通行する人影。
『上海唐飯店』のウェイトレスの少女。
今は普段着らしきワンピースに、カーディガンを羽織っている。
冷えてきた空気に、身体を縮めるような動作で歩く。
チャイナタウンへの通り、デュポンストリートとの交差点に近付いている。
突然。
ブウォン・・・という、羽音のような音が湧く。
ビクッ!と、思わず立ち止まる少女。
音が鳴った後方を振り返り、街灯の間の闇に目を凝らす。
誰もいない。
少女が訝し気な表情を向けた、途端。
今度は通りの向かい側の付近に、ブォン・・・と、気味の悪い音。
ハッ!と、少女がそちら側に目線を放る。
5ヤードほどの道を挟んだ、対岸の歩道上に、薄黒い影が揺らぐ。
人のようにも見えるが、はっきりと確認出来ない、朧な風体。
少女が身を固くし、目を丸くしてそれを凝視する。
飯店のウェイトレス「(震える声で)だ・・・誰デスか!?」
音が止み、影が消える。
時間が停止したように、その周辺の雰囲気が凍て付く。
だが、次の瞬間。
少女の背後の空間が、ゆら、と歪む。
モヤァ・・・と、漆黒の人型の影が再出現。
その方向に振り返る少女の両眼が、見開かれて固まる。
飯店のウェイトレス「(声を引き攣らせ)はわッ・・・!」
少女の脚が竦み、動かない。
影から、明確な像を成して、真っ黒な腕が伸びてくる。
直後。
2ブロック後方の通りの角から、炎が湧き上がる。
ボオオオオッ!と、紅蓮の波形が、螺旋を描いて一気に接近。
黒い影と少女の間の空間に、刹那で跳び込んでくる。
ガッキ――――ンッ!と、硬い物同志がぶつかり合う音。
炎の帯が解かれ、中から杏寿郎が出現。
彼は日輪刀を抜いており、何かを弾いた模様。
具現化された黒い腕が、反るような軌跡で大きく返っていく。
他の姿は不明瞭な、腕だけが宙に浮かんでいるよう。
その手の五指の先には、長い、鋭利な、恐竜の如き太い爪が生えている。
杏寿郎、凄まじく鋭利な眼光で、それを睨む。
既に彼は、日輪刀を正眼に構え直している。
一拍の、後。
ブウォン・・・と気味の悪い音を残し、黒い腕も、影も消滅。
ウェイトレスの少女は、呼吸も忘れたように凝固し、ただ視界を向けている。
影が失せてから、刀を構えたまま周囲を見回す杏寿郎。
暫くの、間。
更に、そのまま。
杏寿郎、漸く静かに構えを解き、日輪刀を、カシュン、と鞘に納める。
そして身体を起こし、振り向いて口角を上げる。
杏寿郎「怪我はないか? 給仕少女!」
飯店のウェイトレス「(息を飲んで)アナタは、昨日のお客サン・・・(はぁーっ、と安堵の息をつき)何だか判らないケド、救けられマシタ・・・」
杏寿郎「昨今、この辺りで不審な者がうろついていると聞いてな! 深夜のひとり歩きは危険だ! 俺が送ろう! どちらまで行かれる?」
飯店のウェイトレス「(安堵した笑顔で)店の二階が私の住まいデス。折角なんでお世話掛けマス!」
杏寿郎と少女が、並んで歩道を歩き始める。
得体の知れない恐怖から解放された様子で、にこやかな笑みを浮かべるウェイトレスの少女。
飯店のウェイトレス「(杏寿郎の横顔を見詰め)お客サン、ジャパンのサムライだったんですね! カッコ良かったデス!」
杏寿郎「(明るい声で)侍ではない! 鬼殺隊だ!」
だが、口調とは真逆に、杏寿郎の視線は周辺へ射るように向けられている。
次の襲撃に備えるが如く。
ふたりが交差点の角を曲がり、デュポンストリートへと進路を変える。
そこから距離を置いたカリフォルニアストリートの路上の空域が、一瞬だけ歪む。