「キリエ~吸血聖女~」二次創作読み物   作:桁石スミオ

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 杉村麦太先生「キリエ~吸血聖女~」と、吾峠呼世晴先生「鬼滅の刃」のクロスオーバー書き物の『中編』として執筆。作品世界は「キリエ~吸血聖女~」、そこに「鬼滅の刃」から煉獄杏寿郎が来訪者として登場する物語の続編。前作『閃光少女【前編】』 https://syosetu.org/novel/315521/33.html からの続き。2023年9月脱稿。
 タイトルは、東京事変「閃光少女」より。
 登場人物:「キリエ~吸血聖女~」より、サンタミカエラとアンナロッテ。「鬼滅の刃」より、煉獄杏寿郎。他、サブキャラ(オリキャラ)とモブキャラ多数。隠しゲスト1名。
 注:小説ではなく、台本風読み物です。

同一内容を、下記サイトにも掲載しております。
 pixiv: https://www.pixiv.net/novel/member.php?id=323663


【挿絵表示】



閃光少女【中編】ー1

「キリエ~吸血聖女~」×「鬼滅の刃」クロスオーバー脚本風読み物

【 閃光少女(中編)】

 

 

★ (午後10時頃)サンフランシスコ・モンゴメリー地区・グランドホテル・ロビーへの階段

 

 グランドホテル正面玄関のホールを囲むように、客室へ昇る左右2本の階段がある。

 フロントからロビーを抜け、その左側の階段を上がっているアンナロッテ。

 ふと、上から降りてくる杏寿郎に気が付き、足を停める。

 いつもの隊服に、炎をあしらった羽織を纏い、腰には日輪刀を携えている。

 杏寿郎もアンナロッテに気付き、一度階段途中で立ち止まる。

 3段ほど間を空け、向かい合うふたり。

 

アンナロッテ「まだお休みにならないのですか?」

杏寿郎「(頷き)街を回って来る」

アンナロッテ「(少し間を置き)何か気になることが?」

杏寿郎「うむ。気配が明瞭ではないが、随所から感ずることがあってな。何かあったら、報告する」

アンナロッテ「判りました。お気を付けて」

 

 緩やかに口角を上げたまま、再度首を縦に振り、階段を降り出す杏寿郎。

 アンナロッテと擦れ違い、そのままロビーを横切り、正面玄関の扉を開ける。

 そして、ギイ、という蝶番が軋む音を残し、夜の闇へと消えていく。

 見えなくなるまで、背中を暫く見詰めているアンナロッテ。

 それから、右手人差し指を曲げて顎に当て、何かを考える仕草。

 

 

★ (30分後)カリフォルニアストリート・路上

 

 真夜中近くの、人通りのないカリフォルニアストリート。

 等間隔で点在する街灯だけが、夜の闇に浮かぶ。

 その歩道を、急ぎ足で通行する人影。

 『上海唐飯店』のウェイトレスの少女。

 今は普段着らしきワンピースに、カーディガンを羽織っている。

 冷えてきた空気に、身体を縮めるような動作で歩く。

 チャイナタウンへの通り、デュポンストリートとの交差点に近付いている。

 突然。

 ブウォン・・・という、羽音のような音が湧く。

 ビクッ!と、思わず立ち止まる少女。

 音が鳴った後方を振り返り、街灯の間の闇に目を凝らす。

 誰もいない。

 少女が訝し気な表情を向けた、途端。

 今度は通りの向かい側の付近に、ブォン・・・と、気味の悪い音。

 ハッ!と、少女がそちら側に目線を放る。

 5ヤードほどの道を挟んだ、対岸の歩道上に、薄黒い影が揺らぐ。

 人のようにも見えるが、はっきりと確認出来ない、朧な風体。

 少女が身を固くし、目を丸くしてそれを凝視する。

 

飯店のウェイトレス「(震える声で)だ・・・誰デスか!?」

 

 音が止み、影が消える。

 時間が停止したように、その周辺の雰囲気が凍て付く。

 だが、次の瞬間。

 少女の背後の空間が、ゆら、と歪む。

 モヤァ・・・と、漆黒の人型の影が再出現。

 その方向に振り返る少女の両眼が、見開かれて固まる。

 

飯店のウェイトレス「(声を引き攣らせ)はわッ・・・!」

 

 少女の脚が竦み、動かない。

 影から、明確な像を成して、真っ黒な腕が伸びてくる。

 直後。

 2ブロック後方の通りの角から、炎が湧き上がる。

 ボオオオオッ!と、紅蓮の波形が、螺旋を描いて一気に接近。

 黒い影と少女の間の空間に、刹那で跳び込んでくる。

 ガッキ――――ンッ!と、硬い物同志がぶつかり合う音。

 炎の帯が解かれ、中から杏寿郎が出現。

 彼は日輪刀を抜いており、何かを弾いた模様。

 具現化された黒い腕が、反るような軌跡で大きく返っていく。

 他の姿は不明瞭な、腕だけが宙に浮かんでいるよう。

 その手の五指の先には、長い、鋭利な、恐竜の如き太い爪が生えている。

 杏寿郎、凄まじく鋭利な眼光で、それを睨む。

 既に彼は、日輪刀を正眼に構え直している。

 一拍の、後。

 ブウォン・・・と気味の悪い音を残し、黒い腕も、影も消滅。

 ウェイトレスの少女は、呼吸も忘れたように凝固し、ただ視界を向けている。

 影が失せてから、刀を構えたまま周囲を見回す杏寿郎。

 暫くの、間。

 更に、そのまま。

 杏寿郎、漸く静かに構えを解き、日輪刀を、カシュン、と鞘に納める。

 そして身体を起こし、振り向いて口角を上げる。

 

杏寿郎「怪我はないか? 給仕少女!」

飯店のウェイトレス「(息を飲んで)アナタは、昨日のお客サン・・・(はぁーっ、と安堵の息をつき)何だか判らないケド、救けられマシタ・・・」

杏寿郎「昨今、この辺りで不審な者がうろついていると聞いてな! 深夜のひとり歩きは危険だ! 俺が送ろう! どちらまで行かれる?」

飯店のウェイトレス「(安堵した笑顔で)店の二階が私の住まいデス。折角なんでお世話掛けマス!」

 

 杏寿郎と少女が、並んで歩道を歩き始める。

 得体の知れない恐怖から解放された様子で、にこやかな笑みを浮かべるウェイトレスの少女。

 

飯店のウェイトレス「(杏寿郎の横顔を見詰め)お客サン、ジャパンのサムライだったんですね! カッコ良かったデス!」

杏寿郎「(明るい声で)侍ではない! 鬼殺隊だ!」

 

 だが、口調とは真逆に、杏寿郎の視線は周辺へ射るように向けられている。

 次の襲撃に備えるが如く。

 ふたりが交差点の角を曲がり、デュポンストリートへと進路を変える。

 そこから距離を置いたカリフォルニアストリートの路上の空域が、一瞬だけ歪む。

 

 

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