アーサス   作:飛鳥 螢

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第三章 《 昏 の 国(アルティア) 》 Ⅲ —市 場(ファレス)(3)—

 結局ショウは折れた剣を下取りに出して、四割り引いた値段で新しい剣を手に入れた。

 その後も旅に必要な物の買い出しは続いた。人数が増えるとそれだけ入り用な物も増える。

 昨日の内に欲しい物は書き出してあるし、金も万が一の事を考えて、ショウ一人が持つより分散させた方がいいという事で、それぞれに分けて持っている。

 剣の購入で思った以上に時間が掛かってしまった四人は、昼までと時間に制限があるので、二手に分かれて買う事にした。

 流石にここに来れば何でも揃うと言われているだけあって、種類も品数も豊富で、中にはアルティアの特産だろうか、初めて見るような物も多かった。

 所狭しと様々な露店が軒を並べ、ただ並んだ商品を見るだけでも結構楽しい。

 エルティアの姉弟と別れたショウは、アルフィーネと一緒にそれらを見て回り、必要な物を買っていく。

 そして最後に見つけた薬屋の露店で、アルフィーネがそこの(あるじ)と熱心に話をし出した。

 専門的な事は解らないショウはその邪魔をしないように少し離れ、隣の露店に並ぶ品々を興味深そうに眺めていた。

 こんな風に女の子と二人きりで、露店を覗きながら買い物をするというのは、ショウにとって初めの体験だった。向こうの世界でだってやったことがない。

 ——これって、いわゆるデートってヤツだよな……

 ふとそう思ったものの、意識しているのが自分だけでは虚しいだけだ。

 チラリと薬屋の親父と熱心に話をする連れの少女を見やり、ショウは小さく溜息をつく。

 ——喋り方、全然変わらないもんなぁ……

 エルド達とは既に打ち解けて砕けた口調で喋るのに、自分だけ未だに王宮にいた頃と殆ど変わらない。

 もう(なかみ)がフォルドとは別人だと判ったのだから、そこら辺も変えてくれないだろうか。一人だけだと距離を置かれているというか、疎外感が半端ないのだ。

 取り留めなくショウがそんな事を考えていると、ふと誰かの視線を感じて振り返った。

 若草色と珈琲色の髪をした自分よりやや年若く見える少女達が、さっと顔を(そむ)けてわざとらしく傍の露店の商品を手に取る。

 更に視線を巡らすと、似たような感じの者達があちこちにいた。こちらの様子をじっと窺い、目が合いそうになると慌てて逸らすのだ。

 ——一体何なんだ?

 一瞬頭に疑問符を浮かべたショウだったが、立ち寄ったエルティアの(むら)で似たような事があったのを思い出すと、疲れたように嘆息した。

 フォルドの体でモテても全然嬉しくないし、この容姿の所為でアルフィーネには一歩も二歩も距離を取られていると思うと、なんだかとても遣る瀬無い。

「あ、あの——」

 不意に背後から声を掛けられた。

 黄昏(たそがれ)ていたショウはハッとして振り返ると、そこに自分と同年代の枯葉色の髪の少女と、それより少し年上らしい深緑の髪をした女性がいた。

 少女の方は頬をほんのりと赤めらせ、不安そうにしながらも何か期待するような目をショウに向けている。

 この表情は見た事がある。出城巡りの途中立ち寄った町長宅で、自分を皇子(フォルド)だと信じ切って憧れに胸を膨らませていた町長の娘達が同じような表情(かお)をしていた。

「俺に何か用でも?」

 内心でうんざりしながらも、ショウはそれを顔に出さないようにして訊く。

 途端に少女の顔がパァっと輝いたものの、恥ずかしそうにもじもじしている。

 隣にいる連れの女性が、少女の背中を促すように小突く。

 それに押され、枯葉色の髪の少女は意を決して口を開いた。

「あ、あの、用というか、その、『ウスラの店』を、知らないかと思って……」

 意気込むように少女が言うと、深緑の髪の女性が補足するように言葉を継ぐ。

「私達、今日初めてファレスに来たんですけど、連れの者とはぐれてしまって」

「それで、そういう時の為に、待合場所を決めていたの」

「でも、ここは思っていた以上に大きくて、人も多いので、そこが何処かよく分からなくて」

「それで、貴方がそこを知ってたら、教えてほしいと思って……」

 と、交互に自分達の状況を説明し、期待の籠った目をショウに向ける。

「いや、俺もここに来たのは今日が初めてだし、全部見て回ったわけじゃないから」

 その店の事は知らないと、申し訳なさそうにショウが言う。

 二人はチラリとお互いに視線を交わし、ソルティアの少年に目を向けると、枯葉色の髪の少女がゴクリと喉を鳴らして口を開いた。

「だったら、一緒にその店を探してくれない?」

「え?」

「あの、私達背が低いから、その店を探すにしても、人混みの中では看板もよく見えないの」

 唐突なお願いに目を丸めたショウに、二人は必死に訴える。

「でも、貴方は背が高いし、よく目立つから、もし人混みで離れても見失う事もないでしょう?」

「お願いします。私達を助けてください」

「え、え~と……」

 枯葉色の髪の少女に(すが)る様な潤んだ目を向けられ、ショウは返答に詰まった。

 常々祖母には「困っている婦女子がいたら、どんな事をしても助けてやるのが(おとこ)というものだよ」と言われていた。

 自分一人なら別に手伝ってもいいかと思うが、今は連れがいる身だ。約束もあるし、時間的余裕も余りない。すぐにその露店が見付かればいいが、このファレスの広さを考えると楽観視はできなかった。

 どうしたらいいか悩んでいると、話がまとまったのか、幾つかの薬と薬草の束を手に入れてアルフィーネがやって来た。

「どうかしましたか?」

 不思議そうに困惑顔のショウと、自分を見てぎょっとしたような顔をするアルティアの女性二人を交互に見る。

「あ、ああ、実は——」

 ほっとしたように、ショウは今までの話を掻い摘んで彼女に話す。

 それを聞いて、アルフィーネは近くの露店を示した。

「それでしたら、ここで店を出している人に聞いた方が早いと思いますよ」

 待ち合わせに使う程の店なら、毎回ファレスに店を出しているのだろう。そういう露店は大体いつも同じ場所に店を構える。でなければ待合場所には使えないからだ。

「で、でも、そんな事聞いて、いらない物を買わされたりしたら困るし……」

「それなら、わたしが聞いてきましょうか?」

 渋る少女にアルフィーネが申し出る。

 丁度今買い物をしてきたところだ。あの薬屋の露店なら尋ねるだけでも嫌な顔をしないだろう。

「その露店は何を扱っていて、何という名なんですか?」

 同じ店名でも扱っている商品が違う場合があるのだ。

「い、いえ、やっぱりいいわ」

「え、ええ。自分達で聞いてみるから」

 何故か慌てたように彼女達はアルフィーネの申し出を断ると、そそくさと人混みの中に紛れて行く。

 あれ程必死になって自分に救いを求めていたのに、やけにあっさりと行ってしまった二人を、ショウはやや唖然として見送った。

 それを見て、アルフィーネは仕方なそうに溜息をつく。

「気を付けてくださいね。ショウ」

「え? 気を付けるって、何を?」

 言われた事が分からないで頭に疑問符を浮かべるショウに、アルフィーネは更に嘆息した。

「あの人達、有りもしない露店探しにショウを付き合わせるつもりだったんですよ」

 だからその露店の事を詳しく聞き出そうとしたら慌てたのだ。

「なんでそんな事を……」

「連れ回している間に、貴方に気に入って貰おうと考えたんでしょう」

「どうして?」

「ショウは見た目は勿論、育ちも良さそうに見えますから」

 実際肉体(からだ)は極上のフォルドのものだ。それに加え向こうの世界でも祖母に厳しく躾けられていた所為で、ソルティアの王宮でもフォルドらしく振る舞う事にそれほど苦労はしなかった。

 つまりショウ自身、無自覚に何気ない立ち振る舞いが無駄に良かったのだ。ただ立っているだけでも、何処となく上品に見えてしまう程に。それがこんな国の外れにあるファレスに一人ぼんやりしていれば、護衛とはぐれた他国の物好きな金持ちの子息にしか見えないだろう。

「それに少し話せば、人が良くて世慣れしてないのはすぐに判りますから、(くみ)(やす)いと思われたんだと思います」

 そうしてショウが気を許した処で人気のない所に誘い込み、乱暴されたと騒いで責任を取らせるつもりだったのだろう。傷物にされた自分を娶って一生面倒見るようにと。

 この世界(アーサス)では十五歳で一人前と見做される。

 男の婚期は職業によってまちまちだが、生活に困らない金持ちなら早婚が当たり前だった。女性も早ければ成人と同時に家庭に入り、遅くても二十歳前には嫁ぎ先が決まっているのが普通だ。

 さっき話しかけてきた少女の歳は、大体ショウと変わらないように見えた。つまりこのままでは行き遅れになってしまうのだ。

 そこへ隙だらけの金持ちそうな黄金のカモが自分のテリトリーに迷い込んで来たとなれば、人に獲られるのを黙って見ているという選択肢は彼女にはなかっただろう。一緒にいた女性はその手助けをしていたわけだ。

 なのに、独りだと思っていた彼に少女の連れがいたので二人は驚き、更にアルフィーネの言外の迫力に押されて逃げたのだ。

「………」

 ——なんだそれ、怖すぎるだろ。

 自分の常識の埒外(らちがい)の事を指摘され、ショウは戦慄した。まさか彼女達にそんな風(上等な獲物)に見られていたとは。

 もっともエルティアでも、そんな事があってもおかしくはなかったのだが、ヴァンデミーネの巫女の曾孫であるエルドと、常に傍にいるアルフィーネの存在が抑止力となって、今までショウは無事でいられたのだ。でなかったら、人のいる邑に立ち寄る度に毎夜夜這いを掛けられ、おちおち寝てもいられなかっただろう。

 見た目だけならまだしも、優良物件(結婚相手)として狙われていたと知って、ショウは思わずフォルドの従妹のことを思い出し、ゾッとした。

 そしてある事に気付き、ゴクリと喉を鳴らしてアルフィーネを見る。

 彼女もさっきの少女と大差ない年齢だ。フォルドに想いを寄せているのは知っているけれど、アルフィーネも適齢期なら、もしかしたらとショウは思ってしまったのだ。

 その態度にショウが何を考えているか察したアルフィーネは、少しムッとしたような表情になった。

「わたしには将来を誓った相手はまだいません」

「あ、ああ、そうなのか」

 あからさまにホッとした様にショウが呟く。

 それを見て、アルフィーネは世間一般とは異なる王宮の結婚事情を説明する。

「大体王宮で働く女性は、結婚より仕事を優先する人が多いんです」

「えっ、そうなのか?」

「ええ、仕事によっては代わりの人がいない場合もありますから」

 そんな時は仕事優先で、結婚やその他個人の事情など考慮される事は無い。

 エイルに引き取られたアルフィーネは、厳密には王宮で働いてはいなかった。母親譲りの亜麻色の髪は辺境ではともかく、金髪しかいない王宮では必要以上に人目を引く。

 エイルはその事で養い子が奇異の目で見られ嫌な思いをしないよう、自分の身の回りの世話をさせる事で、人が多く行き交う王宮内にあまり出入りしないでいいようにしてくれていたのだ。

 それが侍従長の他に信用できる者が彼女しかいなかった所為で、急遽意識不明のフォルドの世話をする侍女として、アルフィーネは王宮に仕えるようになったのである。

「そうか……」

 フォルドが命を狙われていたと知り、漸くあの王宮での窮屈な生活の意味が分かったショウは、何とも言えない表情になった。

「とにかく、ショウはまだ色々と慣れていないんですから、知らない人に話しかけられても、簡単に信じたりしないでくださいね」

「……分かった、気を付けるよ」

 とはいえ、どう気を付ければいいのか、さっぱり分からないショウだった。

 その様子に、やっぱり自分がしっかりしなければと、アルフィーネは決意を新たにした。

「じゃあ、今のこと、エルド達には内緒にしておきますね」

「あ、ああ、頼むよ」

 こんな事あの二人に知られたら、何を言われるか分かったもんじゃない。呆れられるのはまだいい方で、これをネタに何時までも揶揄(からか)われる可能性の方が大きかった。

「それじゃあ、これも内緒ですよ」

 情けなさそうな表情(かお)をするショウに悪戯っぽい笑みを浮かべ、アルフィーネは拳大の袋の中から小さな塊を取り出した。

 それは薄緑がかった琥珀の塊を砕いた欠片のようである。何となくべっ甲飴に似ていた。

「なんだこれ?」

「ピニアっていう、蜂蜜に香草や薬草の汁を入れて煮詰めて固めたものだそうです。すっとした甘さがあって、疲れた時食べると元気が出るんだそうです」

「へぇ」

 アルフィーネの説明に興味を引かれたショウは、掌に乗せられたそれを口の中に放った。

 硬くて噛むには骨が折れそうだが、舐めると香草などの独特の風味と蜂蜜の甘さが口内一杯に広がった。

「確かに甘いけど、香草の風味がくどさを押さえてるから結構イケるな」

「はい、疲れた時食べてください」

 にっこりと微笑み、アルフィーネはピニアの袋をショウに差し出した。

 いつも無理ばかりさせているので、何か体に良い物がないかさっき露店の(あるじ)に色々と訊いて、これを勧められたのだ。

 ちょっと好みの分かれる味だと言われたのだが、気に入ってもらえて良かったと、アルフィーネはホッと胸を撫で下ろす。

「ああ、ありがとう」

 エルド達に内緒ということは、自分の為だけにわざわざこれを買ってくれたのだろう。

 アルフィーネの気遣いが嬉しく、ショウはそれを大事そうにベルトポーチの中にしまった。

「それで、これで全部か?」

「はい、ここに書いてある分は揃っています」

 木紙に書かれた商品名と、手元にある品物を照らし合わせてアルフィーネが頷く。

 二人が買ったのは薬と薬草の他に旅に必要な細々(こまごま)としたものだった。

 中にはこんな物必要なのかと首を捻るような物もあったが、エルドが必要だというのならきっとそうなのだろう。

 ショウはそれについて深く考えるのは止めておいた。

「じゃあ、さっき見かけた露店で、美味そうなもの買って戻るか」

 待ち合わせ場所はマドラの男の露店前で、各々昼食を買って来る事になっていた。

 食料を売っている露店の中には、ついでに軽食やお菓子に飲み物も作って売っている所もあったのだ。

 二人は今来た道を戻って、美味しい匂いを漂わせている露店の方に向かう。

 そこで色々と気に入った物を買い込み、待ち合わせ場所に急いだ。

 その途中の立ち並ぶ露店の一角で、不意に甲高いハスキーな少女の声が響き渡った。

「これ全部で、百銅貨三枚もするっていうのかい!?」

 何処かで聞いた事のあるような声に、ショウとアルフィーネは思わず足を止めて辺りを見回した。

「ほらここ、よく見てみなよ。こんなに不純物が混じってるじゃないか」

 と、なおも聞こえてくる。

 その声を頼りに二人は露店の間をすり抜けて、声の主を捜した。

 ショウの黄金に輝く髪もかなり目立っているが、燃え上がる焔のような(あか)い髪のエルドも結構目立つ。

 程なく油などを扱っている露店の前で、中年の親父とやり合っているエルドを見つけた。

「こんなの、混じってるうちにはいらんよ」

 難癖付けられた中年の親父が、余裕の声で応える。

「うちなんかまだ良心的な方さ。他で買ったら倍は確実にするからな」

「本当に? 絶対そうだと言えるのかい?」

「もちろんだとも、わしゃここら辺では正直者で通っているんだからな」

 と、押し問答はまだ続いている。

「おい、シグ」

 ショウは露店一つ分ほど離れた所で傍観している、ソバカス面の少年に走り寄った。

「兄貴、そっちの買い物はもう終わったのかい?」

「ああ、全部な。それよりも、エルドの奴どうしたんだ?」

 シグに応え、ショウは露店の親父と舌戦を繰り広げる朱毛(あかげ)の少女を見ながら声を潜めて訊く。

 剣を手に入れた後、エルドには無理して値切る事はないと言っておいた筈なのだが。

「どうって、普通に買い物してるだけだけど」

「普通じゃないだろ。また思いっ切り値切ってんだろ」

 ショウが言うように、エルドは行く先々で値切り倒していた。

 元々このファレスは商人主催のものではなく、最寄りの集落の者達が品物を持ち寄ってできた素人の集まりの市場だ。一応値段の相場はあるにはあるが、交渉次第では幾らでも安くできるのだ。

 実際ショウ達も買い物の途中、露店先で値段交渉をしている人をよく見かけていた。

 ただ、そういった事に慣れていないショウ達は、値切る代わりに幾つかの露店を見て回って、一番安くて品が良さそうな物を買っていた。

「あっちの露店じゃ、この壺一つで銅貨十五枚だったようだけど」

 エルドが目を(すが)めて恰幅の良い男に鋭い視線を突き刺す。

 だが、(こた)えた様子もなく露店の親父はしゃあしゃあと言葉を返した。

「あそこは品が良くないからな。その分安いんだよ」

「見た処、ここと大して変わらないようだったけどね」

 中々終わらない処か、小狡そうな笑みを浮かべてのらりくらりと言い返す露店の主に、エルドの声もどんどんトゲトゲしくなっていく。

 ここまで激しい値段交渉は珍しいのか、その声を聞き付けて人がまた集まってきた。

「おい、エルド——」

「無駄だよ、兄貴」

 流石にやり過ぎだと()めさせようとしたショウを、シグが()めた。

「ああなったらもう止まんないよ。姉ちゃん負けず嫌いだから。それに、あれが趣味みたいなもんだしね」

「え!? さっきお前、俺に恩を感じたからって言ってなかったか?」

「そうだけど、元々姉ちゃんはああいった駆け引きって、大好きなんだよ」

 だから半分以上自分の趣味でやっているようなものだ。

「もうこうなったら、気が済むまで好きにやらせた方がいいぜ」

 途中で止めようものなら、後が怖い。

 肩を竦め、悟り切ったようにシグが言う。

「そうは言ってもなぁ、俺はもうこれ以上目立ちたくないぞ」

 買い物していた時よりも更に感じる周りの視線に、ショウは居心地の悪さを覚えてぼやいた。

 集まって来る野次馬の中には、人混みでも一際目立つショウの黄金の髪に思わず目を(みは)る者も多かったのだ。

 やはりソルティアから遠いこの地では、この色合いの髪は相当珍しいらしい。その上容姿が極上とくれば注目を集めないわけがない。

 実はショウが気づいてなかっただけで、このファレスに入ってからずっとそうだったのだ。そこに赤味かがった橙色の髪をしたシグが傍にいるから余計目立っていた。

 ——どうしてもうちょっと平凡な見てくれに生まれてくれなかったんだよ。

 今更遅いがそっとマントのフードを被り、ショウは何度目になるか分からないフォルドへの愚痴を思いっ切り心の中で零した。

 




 お久しぶりです。
 前回これを上げた直後思いっ切り体調が崩れ、酷い目に合いました。
 今は体調も元に戻り元気になりましたが、健康の有難さをしみじみと感じる今日この頃です。
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