アーサス   作:飛鳥 螢

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第一章 《 陽 の 国(ソルティア) 》 Ⅳ ー神 話(1)ー

 遙か太古の昔、神代の時代。

 創世神ファルミレーティラは、じきに産まれいでる我が子達の為に、神々の住まう楽園の外れに、新たに育児場として広大な大地を造り、〈神々の揺籠(アーサス)〉と名付けた。

 そして、大地の中央でこんこんと湧き上がる〈生命の水(アクアティア)〉を湛えた〈聖なる湖(アクア・ヴィダ)〉の中頃にある小島の〈生命の丘(ヴィルドヒル)〉に〈命の樹(エリオス)〉の若木を植え、我が子達の誕生を待った。

 やがて、ヴィルドヒルのエリオスがすくすくと育ち、アクア・ヴィダに浮かぶ小島を覆い隠すようにたわわに枝を張った。

 そして、緑なす葉が枝一杯に繁った頃、アクアティアの湧き出す湖の底から、四個の気泡が湖面へ向かって上がってきた。

 その気泡はアクアティアの中で光を反射し、キラキラと虹色に輝きながら、まるで揺籠のように揺れながらゆっくりと浮かんで来た。

 最初に浮かんで来た気泡が弾けて産まれいでたのは、銀糸の髪に黒曜石の瞳を持つ乙女。

 次に弾けた気泡には、黄金の髪に紺碧玉の瞳をした若者。

 そして次に産まれいでたのは、紅蓮の髪と琥珀の瞳を持つ乙女。

 最後に弾けた気泡からは、萌葱の髪に翡翠の瞳をした乙女が産まれいでた。

 一の乙女の名はチュルミネール。慎ましやかな月光の女神。

 二の乙女の名はヴァンデミーネ。爽やかな清風の女神。

 末の乙女の名はフェリューリア。たおやかな緑樹の女神。

 そして、唯一の若者の名はソルブレイ。朗らかな陽光の男神。

 物静かな一の女神チュルミネールと大人しい末の女神フェリューリアは静寂を好み、姉妹神はエリオスの木陰で静かな語らいの時を共有し、快活な二の女神ヴァンデミーネは躍動を好み、頼もしい兄神であるソルブレイと共にアーサスの大地中を駆け回るのを常としていた。

 こうして、産まれたばかりの四人の神達は、まず創世神ファルミレーティラの用意したこの地で、神としての役割を担うまでの一時を、心穏やかに楽しく過ごしたのだった。

 そして時は満ち、それぞれの務めを担って年若い神達がアーサスの地を離れる時、彼等は自分達を慈しみ育ててくれたこの大地を、自らの土地を持たず、神々の楽園の片隅で細々と暮らしていた、まだ生まれたばかりの「人」という種の手に委ねて去っていた。

 四神等にアーサスの大地を譲られた「人」達は、豊かで慈愛に満ちたこの地で瞬く間に増え育ち、アーサス中に溢れていった。

 この地を離れた年若い神達は、神々の楽園でそれぞれの務めを果たしながら、時々暇を見つけては楽園からアーサスの地で暮らしを営む「人」達を窺い見、人々の成長を頼もしく見守っていた。

 




 「ソルブレイ神」を、
 「ソロプレイ神」と読み間違えた奴がいた。
 かくして、ここに「ぼっち神」が誕生した。

 とある神界での姉弟妹神の会話。
「今まで気付いてあげられなくて、ごめんなさいね」(←心の奥底からの同情)
「………」
「ぼ、ぼっちって、ぼっちって……、あーははははっ」(←(はらわた)(よじ)れる程の爆笑)
「………」
「姉さま、そんなに笑っては、兄さまが可哀想です」(←愁いを帯びた憐憫に満ちた眼差し)
「………我は、我は『ぼっち』ではぬぁーいっっっ」(←魂の叫び)

 注)本編には関係ありません。
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