遙か太古の昔、神代の時代。
創世神ファルミレーティラは、じきに産まれいでる我が子達の為に、神々の住まう楽園の外れに、新たに育児場として広大な大地を造り、〈
そして、大地の中央でこんこんと湧き上がる〈
やがて、ヴィルドヒルのエリオスがすくすくと育ち、アクア・ヴィダに浮かぶ小島を覆い隠すようにたわわに枝を張った。
そして、緑なす葉が枝一杯に繁った頃、アクアティアの湧き出す湖の底から、四個の気泡が湖面へ向かって上がってきた。
その気泡はアクアティアの中で光を反射し、キラキラと虹色に輝きながら、まるで揺籠のように揺れながらゆっくりと浮かんで来た。
最初に浮かんで来た気泡が弾けて産まれいでたのは、銀糸の髪に黒曜石の瞳を持つ乙女。
次に弾けた気泡には、黄金の髪に紺碧玉の瞳をした若者。
そして次に産まれいでたのは、紅蓮の髪と琥珀の瞳を持つ乙女。
最後に弾けた気泡からは、萌葱の髪に翡翠の瞳をした乙女が産まれいでた。
一の乙女の名はチュルミネール。慎ましやかな月光の女神。
二の乙女の名はヴァンデミーネ。爽やかな清風の女神。
末の乙女の名はフェリューリア。たおやかな緑樹の女神。
そして、唯一の若者の名はソルブレイ。朗らかな陽光の男神。
物静かな一の女神チュルミネールと大人しい末の女神フェリューリアは静寂を好み、姉妹神はエリオスの木陰で静かな語らいの時を共有し、快活な二の女神ヴァンデミーネは躍動を好み、頼もしい兄神であるソルブレイと共にアーサスの大地中を駆け回るのを常としていた。
こうして、産まれたばかりの四人の神達は、まず創世神ファルミレーティラの用意したこの地で、神としての役割を担うまでの一時を、心穏やかに楽しく過ごしたのだった。
そして時は満ち、それぞれの務めを担って年若い神達がアーサスの地を離れる時、彼等は自分達を慈しみ育ててくれたこの大地を、自らの土地を持たず、神々の楽園の片隅で細々と暮らしていた、まだ生まれたばかりの「人」という種の手に委ねて去っていた。
四神等にアーサスの大地を譲られた「人」達は、豊かで慈愛に満ちたこの地で瞬く間に増え育ち、アーサス中に溢れていった。
この地を離れた年若い神達は、神々の楽園でそれぞれの務めを果たしながら、時々暇を見つけては楽園からアーサスの地で暮らしを営む「人」達を窺い見、人々の成長を頼もしく見守っていた。
「ソルブレイ神」を、
「ソロプレイ神」と読み間違えた奴がいた。
かくして、ここに「ぼっち神」が誕生した。
とある神界での姉弟妹神の会話。
「今まで気付いてあげられなくて、ごめんなさいね」(←心の奥底からの同情)
「………」
「ぼ、ぼっちって、ぼっちって……、あーははははっ」(←
「………」
「姉さま、そんなに笑っては、兄さまが可哀想です」(←愁いを帯びた憐憫に満ちた眼差し)
「………我は、我は『ぼっち』ではぬぁーいっっっ」(←魂の叫び)
注)本編には関係ありません。