「う……ぁ……」
ベッドの上で、荒い息をしながら
あの後、塔の上でへたり込んだ晶は、そのまま意識を手放した。
元々一週間も意識不明で衰弱していた体で動き回った上に、自分はあの時死んだのだと自覚してしまった精神的ショックが重り、晶はそのまま高熱を出して寝込んでしまったのだ。
高熱に冒されて朦朧とした意識の中で、脳裡に懐かしい人達の声が聞こえる。
『お前は本気さえ出せばできる奴なんだが、俺に似てのんびりしてるからなぁ。ま、なんだな、人間体が基本だからな、急にあれこれやって詰め込んで体を壊しては何にもならん。まぁ、無理せずに二ヶ年計画位でやっていけば、そのうちもの好きな大学がいれてくれるさ』
『そうよ、晶。予備校の二、三校掛け持ちする位のお金、すぐに稼いであげるから心配しなくて大丈夫よ』
三年生になって初めて受けたやる気なしの模試の結果を見て、何か悟った様に自分の肩を叩いてしみじみとした口調で言った親父に、親指立てて片目をつぶりながら豪快に請け合った母さん。そして——
『諦めなければ、何事も為せば成るもんだよ』
——でも、ばあちゃん。俺はもう……
どんなに頑張ったところで、元に戻れやしないんだ——
『いや、戻れる。君さえ諦めなければ』
やるせなさそうに脳裡の祖母に応えた晶に、不意に何処かで聞いた様な男の声が割り込んできた。
——誰だ?
『君の
晶の問いに応えず、声は淡々と言葉を継いだ。
『〈
——え? 全き姿に戻るって……
どういう意味だ?
『僕はここより動けない。だから僕の半身よ、君の方から僕の許へ——…』
と、声は一方的に言いつのり、段々とその声は小さくなっていく。
——あ、おいっ、まだ訊きたいことが……
思わず晶は、声の方に手を伸ばして叫んだ。
「待ってくれっ!」
「皇子っ」
「え?」
声と共に目の前に亜麻色の髪の少女の顔が現れ、晶は呆気に取られた。
つと、少女のセピア色の瞳から涙が溢れ、頬を濡らす。
「良かった…、目覚められて…本当に……」
涙を流す少女の顔は憔悴し、疲労の色が濃かった。
きっと自分が目覚めるまで、一睡もせずに看病してくれたんだろう。
——こんなにも俺は、この子に心配掛けてしまってたんだ…
「ご…めん、心配…させて…」
「いいえ、皇子が目覚めてくだされば、それで十分です」
涙を拭い、にっこりと笑みを浮かべた少女を見て、晶はふっと微笑んでまた目を閉じた。
体がとてもだるくて重く感じ、無性に眠くてしょうがなかった。
高熱を出し、何日も生死の境を
ただ、一度目覚めたことにより、体は少しずつ快方へと向かっていった。
何度か目を覚ましては眠るを繰り返し、その間ずっとアルフィーネの手厚い看護を受けたお陰で、ようやく晶はベッドの上に起き上がれる程に回復した。