そこは、無限に広がる暗黒の空間だった。
その中を、独り晶は漂っていた。
——うっ……
が、その瞳は虚ろで、ただ目の前に広がる漆黒の空間をぼんやりと映しているに過ぎなかった。
そして、どの位そこにそうしていたのだろう。
不意に、瞳に光が宿った。
定まっていなかった焦点がはっきりとする。
——ここは……何処だ?
晶は目を
何処を見回しても、見えるものは、闇、闇、闇——
上下はおろか方向も、距離感さえもない。まるで宇宙空間に放り出された様な感じだ。が、不思議なことに光のないこの空間で、何故か自分の姿だけは見える、着ていた筈の学生服も下着すらも身に付けていない。生まれた時のままの姿が。
ここが本当に宇宙空間なら、晶はとっくの昔に死んでいる。いや、それとも既に死んでしまっているのか……
それすらも、晶には判別が付かなかった。
が、そんなこと今はどうでもいい。
とにかく、一刻も早くこのねっとりと体にまとわり付く漆黒の闇と、耳に痛いほどの静寂の中から抜け出したかった。夜でも人工の光が溢れ、テレビやラジオ、洗濯機に掃除機等の絶え間ない生活騒音の渦の中で暮らしてきた晶にとって、一切の光や音を排除した闇や静寂は耐え難いものだったのだ。
晶はこの闇から逃れようと、手足を必死にばたつかせた。
その姿は、宇宙遊泳というより、海で溺れ、無我夢中で水をかき分けている人のそれに似ていた。ただ、それと決定的に違うことは、晶の場合、その死に物狂いの努力が全く報われていないという事だった。
現に、晶はさっき居た場所からどれだけ進んだのか、いや、それ以前に本当に進んでいるのかさえも判っていなかった。もっとも、距離感や時間の感覚さえも麻痺させる尽きることのないこの漆黒の闇の中では、それも無理はない。そして、それらが全て徒労に過ぎないと悟った時には、晶の全身はクタクタになっていた。もう指一本動かすのも億劫だった。
——なんで、こんな事になったんだろう…
闇に漂いながら、晶はここに至るまでを思い起こした。
——俺は……確か、学校のグラウンドにいたんだ。井原と一緒に。そして…
そして……
更に記憶を手繰り寄せようとする。
そこへ、
ねっとりと闇が体に絡み付き、何か得体の知れない力がグイッと晶の体を引っ張った。
上へか、下へか、それとも前方? 後方?
それすらも判らずにどんどんと引っ張られていく。
晶はぎょっとして、咄嗟にそれに
この上更にわけの分からない所へ連れて行かれたのでは堪らない。
が、無駄だった。
晶を引っ張る力は弱まるどころか強くなっていく一方だった。
——と、
いきなり、鈍い衝撃が全身を貫いたかと思うと、晶の体は光の中に投げ出されていた。
眼前に、パアっと光と色のパノラマが広がる。
晶は、眩しさに一瞬目がくらんだ。
その時、
勝ち誇った様に高らかに
だが、それらが何なのか、気をとめる間もなく晶の意識は色とりどりに乱舞する光の渦の中に呑み込まれていった。