アーサス   作:飛鳥 螢

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第一章 《 陽 の 国(ソルティア) 》 Ⅶ ―転 機(1)―

 明るい陽差しが開いた窓より部屋一杯に差し込み、外の庭園に咲く花々の甘やかな香りが風に運ばれてレースのカーテンを揺らす。

 所在なげに居間の窓の外に目をやると、アルフィーネはそっと小さな溜息を漏らした。

「フォルド様はまだ鍛錬をしておられるのか?」

 隣室の従者の控えの間よりやってきた禿頭の老人が、浮かぬ顔をして窓の外を眺める亜麻色の髪の少女に尋ねた。

「はい、昼食を取ってからはずっと……」

「目覚めてからはさっぱりじゃったが、ようやくやる気が出て良き事じゃな」

 宰相一家との茶会の後、フォルドは今まで何かと理由を付けて全然しなかった剣の稽古を精力的にやり始めたのだ。

 ロドルバンは不思議に思ったものの、茶会での経緯(いきさつ)を聞いて成程と納得した。そして暫くエイルと共にフォルドの体調を見つつ一通り剣術を復習(さら)う手伝いをしていたのだ。

 元々向こうの世界でも剣道をやっていた晶は、竹刀と剣の違いがあって多少まごついたが、直ぐに剣の振り方も様になった。

 今はある程度勘を取り戻し、庭園の小川の辺りで一人黙々と晶は鍛錬に励んでいた。

「でも、急にあんなに激しく動いては。折角良くなられたのに、またお体に障らないかと…」

「なぁに、男子たるもの、時には多少無茶をしてでもやらねばならぬ事があるのじゃよ」

 と、フォルドの体を気遣うアルフィーネに意味ありげな視線を向けた。

「こと、お主の事となれば、尚更にな」

「わ、わたしの?」

「そうじゃ。あれ程やる気の無かった剣の鍛錬をする気になったのは、サウアー様に負けた悔しさより、お主を自分の力だけで守れなかった不甲斐なさからじゃよ」

 驚くアルフィーネに、ロドルバンは今までの態度から察したフォルドの心情を暴露した。

「お主に対し、ぎくしゃくした態度を取るのもその所為じゃ。自分の不甲斐ない姿をお主に見られて恥ずかしかったのだろう」

 若いのう、とロドルバンは訳知り顔で顎髭を撫でながら呟いた。

「………」

 あの時サウアー達を退けたのは、結局は駆けつけたエイル達だった。だが、それも先に皇子が助けてくれなかったら間に合わなかっただろう。

 ——あの時以来、皇子の態度が何処かよそよそしくなったように感じて、淋しく思っていたけど、そんな風に想っていたなんて……

 アルフィーネは心の(わだかま)りが取れ、温かい想いに満たされていくのを感じて自然と笑みが零れる。

 それをロドルバンは満足そうに見やった。

 これでやっとここ最近重苦しかった雰囲気も良くなると。

 カタリっと音がし、開いた窓の扉から〈陽の剣(ソーレス)〉を片手に疲れた足取りで、今話題の主が部屋に入ってきた。

 居間のテーブル上に置かれた水差しに目を留める。

「お()れしますね」

 皇子が飲み物を欲しがっているのだと直ぐに察し、アルフィーネはコップの中に水差しの冷えたレーネの蜜水を(そそ)いだ。

「——ありがとう」

 ぎこちなくアルフィーネに礼を言い、晶は差し出されたコップを受け取るとそれを飲み干して小さく息をついた。

「汗を流すのであれば、お湯の用意は出来ていますので浴室の方へどうぞ」

「あ、ああ……」

 最近見せなくなった笑顔で言うアルフィーネに、晶はやや呆気に取られた。

 あの一件以来、どうしても気まずくて素っ気ない態度を取ってしまい、アルフィーネに哀しい表情(かお)をさせてしまっていた。

 それで自己嫌悪に陥り、更に気まずくなってどうしたらいいか判らなくなっていたのだ。それなのに、自分の態度は変わらないのに、どういう心境の変化なのだろうか。

 理由(わけ)が分からず途惑ったものの、今はとても疲れていたし、早く汗を流したかった。

 




 パソコンが壊れました。何の前触れもなく突然に。
 前日まで普通に動いていたのに、次の日パソコンの電源を入れたらもうファイルが開かなくなっていました。
 オフィス関連のソフトが全部吹っ飛んでいたようです。話では稀にあるらしく、その対策もあるみたいですが、直らなければ意味がありません。
 唯一の救いはファイルの中が無事だったことでしょうか。これまで吹っ飛んでいたら立ち直れませんでした。結構先まで書き貯めていたので、それを全部思い出すのはまず無理。今頃小説書くのを止めてた可能性大でしたね。
 結局何をやっても復旧しないので、急遽新しいパソコンを買うことになり、痛い出費と新しいパソコンを使えるようにする諸々の面倒臭い手続きに心底泣きました。
 一先ず続きが書けるようになりましたが、二度とこんな事がないように願います。
 マジで!!
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