一人残されたソルティアの皇子——フォルドは深く息をついて体から力を抜いた。
何かあったのか、最初苛立っていたようだが、今回は随分と情報を得ることができた。
初めてあの女に会ったのは、ここでこの状態で目覚めた時だった。
状況が判らず、混乱する自分に『其方の為に特別に用意した
そして『ここは神話の中に埋もれた〈
それを知ったフォルドは一か八か
自分の体の中にこの体の本来の
だが、
——どうやら、上手くいっていたようだな……
その事にフォルドは安堵した。あの白銀の髪の女の言うように、彼にとっては酷な事だと判ってはいるが、自分が身動きできない以上仕方なかった。彼女の企みを阻止する為には。
既に王宮内にも手を伸ばしているかもしれないと判った以上、それは尚更だった。
さっき心当たりがあるだろうと言われて、フォルドは言葉に詰まった。
確かに三年前の「継承の選儀」で〈
最初はソーレスに選ばれ損ねた従兄の度を超した腹いせだと思っていた。
でも、従者に騙されて殺されかけた一件で、自分を亡き者にして新たな次代の王を望む者がいるのだと気付かされた。
けれどそれが誰なのか、その者は巧み正体を隠して尻尾を掴ませることはなかった。
ロドルバンやエイル達は証拠はないが、その首謀者が従兄の侍従長だと確信しているようだった。
そして、それに手を貸している者がいるとも考えていた。その最有力候補に伯父ルゴスを上げ、警戒していたのも知っていた。
けれど、それでも信じていた。あの伯父が本気で事を為す気なら、
先程の女の言葉の真偽を確かめる
——それにしても、何故彼女はああも僕を憎むのだろう……
体を取り換えるなどという手の込んだ真似をして自分をここに捕らえ、〈
ああやって逐一外の情報を教えに来るのも、知りながら何もできない自分の反応を見て
それに最後のあの言葉、力の
でもそれが何故なのかまるで判らない。今まで彼女に会ったことも恨まれる憶えもフォルドにはなかった。
ただ、彼女が姿を消す前に輝いた額のサークレットの宝石に、フォルドは妙な既視感を覚えていた。
——あれは、もしかしたら……いや、それならあの色は……
アルビナの女の消えた空間を見やり、フォルドは自らの思考の檻に囚われていった。
その様子を、いつの間にか戻って来ていた小鳥達が、木の梢から小首を傾げて下ろしていた。
これで本当に第一章は終わりです。
次から第二章《