《
その北側の棟の二階の一角にある自分の部屋で、エイルはテーブルの上に積み上げた書物の山から新しい本を取り、パラパラとページを捲り熱心に書かれてある内容に目を通していた。
謎の〈
先日
あくまで伝承としてであって、それ以上の記述はなかったのだ。
エイルとしてはもっと詳しい——できればその力、特に他者同士の魂換えの方法について知りたかった。例えば行使する為にどんな条件が必要なのか。
そして、魂換えした人間を元に戻せるのか。戻せるなら、どうやれば出来るのかなどだ。
「やはり、手持ちの
読んでいた本を閉じ、エイルは深く嘆息した。
以前読んだものと同じような書物があるとしたら、後は神殿か、王宮の書庫だろう。その二つの書庫の膨大な量の書物の中から、その一冊を探すしかなさそうだった。
その手間を考えると、なんだか気が遠くなってきた。
——お婆様なら、きっと全て判っているのだろうけど……
訊いたところで、絶対に教えてくれないに違いない。
それくらい自分の力で調べてみろと、自分をどやしつけるエラドラの姿まで克明に想像できて、エイルは溜息をついた。
不意に開け放たれた窓の外、梢に群れる鳥達が賑やかに
そちらに目を向けると同時に、ざっと部屋の中に飛び込んで来るモノがいた。
器用にエイルを避けてくるりと部屋の中を一周すると、テーブルの近くにある止まり木に降り立ち、
どうも今までで一番早く戻って来た事を自慢しているらしかった。
「ルーク」
エイルはそれを褒めるどころが、冷ややかに止まり木に掴まるピクトを睨んだ。
「いきなり部屋の中に飛び込んではいけないと、何度言ったらわかるんだ」
どうやら以前王の部屋に飛び込んだあのピクトらしい。よく見ると、
しかし、当の本人は
早く戻ったんだからそれくらいいいじゃないかと。
「それとこれとは別問題だよ。大体君は——」
と、エイルが説教モードに入り出すと、ルークは慌てて自分の足の筒を
早く見なくていいのかと。
「——ったく」
確かにそうなので、仕方なくエイルは文句の数々を呑み込み、ピクトの足の筒から木紙を取り出した。