「やっぱ、あそこを行くしかないかのか……」
気が進まなそうにショウは呟いた。
あの森を見た時、昔剣道の稽古が休みの時に父親に連れて行かれたキャンプで、薪を現地調達するとか言って近くの森に連れ込まれ、危うく父親共々遭難しそうになった事を思い出したのだ。
あんな見るからに鬱蒼とした森の中を行くのかと思うと、想像するだけでうんざりする。
「はい。ルナーバ河が駄目となると、この川を遡るしかないと思います」
頷き、その先に何があるか知らないアルフィーネは、もっともな意見を言った。
確かにこの先の森を抜けるにしても、川に沿っていけば迷うことがなくて一番安全だといえる。
「じゃあ、準備でき次第出発しよう。何とか日暮れまでに、この先にある森を抜けたいからな」
腹を決めるとショウは早速準備に取りかかった。
人目に付かないように、少し離れた樹の陰に繋いでおいた二頭の一角獣から、鞍と
二頭は川辺に近寄ると水を飲んで喉を潤し、近場の草を
これなら二頭を見ても野生の一角獣だと思い、不審がられないだろう。
外した馬具は、そこら辺の葦の繁みの中にまとめて隠しておく。たとえ後で見つかったとしても、その時自分達はもうここにはいない。
そしてショウは、剣と判らないようにしっかりと布を巻き付けた〈
ソルティアの宝剣は、この世界を混乱に
他国に行っても身バレの最たるモノである。本当はそんな
ショウはソーレスの代わりに、ネールの出城で失敬してきた剣を腰に佩き、手には
その間にアルフィーネも長い髪を後ろで縛ってまとめ、マントのフードの中に入れて髪が枝などに引っ掛からないようにして、小さくまとめた自分の荷物を背負う。
二人とも準備が済むと、川を遡って丘陵地の谷間を抜け、その先にあった森に分け入った。
見渡す限り鬱蒼と立ち並ぶ樹木は、木漏れ陽すら通しそうにない。森というより、樹木でできた洞窟といった方が良さそうな不気味さがある。だが、川がこの中を通っているならば、行くしかないだろう。
—《
戦いに赴く準備を進めるとある四人の男の会話—
「お前、そろそろその剣どうにかしろよ」
「どうにかって?」
「だから、そんなボロい剣じゃなく、お前の為に特別に鍛えて貰った剣があるだろ。それに〈
「嫌だ。〈
「確かに。力の
「そうだね。力の
「………」
「剣に名を付けるくらいだから、それだけその剣に愛着があるのは判るけど、これから戦いは更に激しくなる。底上げできる時にしないで、後で悔いたくはないだろう」
「………」
「そうだな。その剣はもう十分戦ってくれた。そろそろ休ませてやってもいいのではないか?」
「——判ったよ。皆の言う通りだ。俺の我儘で皆を危険な目に合わせたくないからな」
「じゃあ、気が変わらないうちに力の
「それは嫌だ」
「なんで?」
「俺は剣の名はソーレスって決めてるんだ。これだけは譲れない」
「変な処でこだわるな、お前」
「だって、その方が何となく格好いいだろ」
「………」
「……ま、まあ、いいじゃないか。本人がそれがいいと言ってるのだから」
「そうだね。私達の場合考えるのが面倒だから、
「それを言ったらお
つまり、《
そして、仲間が強く言わなければ、今頃そこら辺で簡単に手に入るただのボロい剣が、宝剣として後世に伝わることになったかもしれない。
他の国の祖王の武器名は、祖王達が考えるのを面倒臭がって力の