唸りを上げて鋭利なかぎ爪が目前に迫る。
それを剣で撥ね上げ、ショウは鋭く斬撃を浴びせた。
吼えるような断末魔の声が森の中に響き渡る。
それに混じって風切る音が耳朶を打った。
斜め前からオーシグルの強靭な腕が、ショウの顔面目掛けて振り下ろされる。
瞬時にショウは地を蹴って後ろに跳び退いた。
眼前すれすれを鋭いかぎ爪が切り裂いていく。
パラリと前髪が数本、空を舞った。
それに構わず即座に踏み込み、ショウはオーシグルに横薙ぎに剣を一閃させた。
そして、絶叫を背に次へと体を返す。
ショウはオーシグルの攻撃を紙一重で
森の蛮人達は、目の前で瞬く間に仲間が次々と斃されていくのを見て、恐れ
それは仲間が
オーシグルの鋭いかぎ爪が空を裂いて一閃する。
刹那、ショウは身を沈めた。
オーシグルの太い腕が、頭上ぎりぎりの処で空しく宙を切った。
勢い余り、オーシグルがよろける。
すかさずショウはオーシグルの胸を剣で薙ぎ払った。
絶叫を放ち、オーシグルがショウに倒れかかる。
横に跳び退き、ショウはそれを避けた。
そこへ、新たな一撃。
別のオーシグルの毛むくじゃらな左腕が迫る。
咄嗟にショウは傍らの樹木の反対側に回り込んだ。
生木を裂く音と共に木片が飛び散る。
見ると、幹の半分近くが抉り取られていた。
たった一撃で凄まじい破壊力だ。
こんなのをまともに喰らったらひとたまりもない。
それを見てぞっとしたショウの足が一瞬止まる。
背後から容赦なくオーシグルが飛び掛かって来た。
ハッとして、ショウは振り返った。
剣を構え直す暇がない。
思わずショウは
右腕に鋭い痛みが走る。
オーシグルの鋭いかぎ爪が
服が裂け、鮮血が
「うぅっ……」
右腕を押さえ、ショウは呻いた。
オーシグルは勝ち誇ったように一声吼え、獲物に
同時に横っ飛びに地に転がり、ショウはぎりぎりでそれを回避した。
ばっと跳ね起き、両手で剣を構え直す。
が、右腕にうまく力が入らない。
ショウを引き裂こうと、二方からオーシグルのかぎ爪が迫り来る。
一方を躱し、もう一方のかぎ爪を掻い潜って、ショウはオーシグルの喉元に剣を突き刺した。
肉を貫く感触に、激痛が重なる。
「つっ……」
痛みに気を取られ、一瞬動きが鈍くなる。
「皇子っ!!」
アルフィーネの悲鳴と、猛り狂う咆哮が同時に耳朶を打つ。
剣を返して構えようとするが、間に合わない。
オーシグルが眼前に迫っていた。
鋭い牙とかぎ爪がショウを襲う。
「くっ」
反射的にショウは剣の柄頭をオーシグルの鼻面に叩き込んだ。
それをモロに受け、オーシグルは呻き声を上げてたたらを踏む。
そこへ、びんっと何かが傍らの樹木に突き刺さる音がし、むっとする強烈な刺激臭が鼻を突いた。
次の瞬間、森の蛮人達の間から悲鳴が沸き起こる。
オーシグル達が鼻を
ショウは呆気に取られ、それを見送った。
一体何がどうなったのかよく分らないが、どうやら助かったらしい。
その場にへたり込み、ショウは深く安堵の息を吐いた。