国土の大半を草原で占められているエルティアは、部族ごとに一つの
ケリアの部族は、今の時期はまだ南のソルティア寄りのネヴィラの森近くの草原に邑を構えていた。
「ほら、見えてきたぜ。あれがケリアの邑だよ」
後ろを振り返り、シグが付いてくるショウ達に声を掛ける。
それを聞くまでもなく、前方の草原の中に大中小取り混ぜた天幕のような物が、周りを丸太の柵に囲まれて立ち並んでいるのがショウ達からも見えた。
その柵近くで白っぽい四つ足の動物の群れが、のんびりと草を
エルドは柵の手前で一角獣を止め、門の近くにいたケリアの若者に声を掛けた。
「族長はいる?」
「ああ、ウィドのエルドじゃないか」
応えた暗赤色の髪の若者は、
「こいつらはお婆様の客人だよ。で、族長は?」
「族長なら井戸の所だ」
エルドの返答に納得した若者は邑の中央を示した。
「ありがと」
礼を言って一角獣を門番の若者に預けると、エルドは弟とショウ達を伴って邑の中央に向かった。
エルティアの邑は草原に湧き出た水を利用して井戸を造り、その周りに天幕の家を建てて集落の形を成していた。
邑の中央にある広場の真ん中に位置する井戸端で、暗紅色の濃い髭面の初老の男が
「族長、また厄介になるよ」
「おお、やっと戻ったか。エルド、シグ」
「この者達は?」
「ショウとアルフィーネ。お婆様の客人だよ」
「ほう。それで、もう森での用は済んだのか?」
エルドの答えに軽く目を細め、バサムは意味深に問い返した。
「多分ね」と、エルドは曖昧に応える。
「それより、オーシグルの群れを一つ潰したから、血に興奮した奴等でネヴィラの森は今ちょっと物騒になっている。暫くは近づかない方がいいよ」
「オーシグルの群れを潰したぁ? お前がか!?」
バサムは驚きに大きく目を見開き、傍にいた若者が思わず頓狂な声を上げた。
エルドが大人顔負けの狩りの腕の持ち主でも、あの獰猛な森の蛮人の群れを潰すなど、いくら何でも無謀過ぎるだろう。
「違うよ。やったのはあいつだよ」
驚かれたエルドは心外そうに、後ろにいる黄金の髪の少年を顎で示した。
「しかも、たった一人で。ヌルルの実すら持たずにさ」
「は?」
何処の自殺志願者だ、それは。無謀どころか、最初から餌になる気満々じゃないか。
思わずケリアの男達はソルティアの少年を見た。
「冗談だろ、それ」
「あたしも最初見た時、冗談だと思ったよ」
肩を