川沿いに丘陵の谷間を通り抜け、その先に広がる鬱蒼とした森を前にしてゲッシュは憮然となった。
その先は行く手を阻むように樹々の間にはうっそりと下生えが繁っていた。
人の侵入を拒むそれらの中に一筋、人ひとり通れる程の幅に下生えが刈られ、踏み荒らされている。
川沿いの地面にうっすらと付いていた足跡は、そこで消えていた。
この刈られた下生えの跡を辿れば追跡は容易だが、面倒この上もない。
ゲッシュは周囲を見回し、丘陵の斜面に生えるある樹に目を留めた。
常緑樹の灌木だ。深緑の葉の間から二フィア程の若草色した楕円の実が房状に付いているのが見える。
斜面を登り、ゲッシュは実の付いたその枝を無造作に折った。
あの後、ネールの出城からフェデルへと向かうフォルド皇子の一行の姿を、物陰からサウアーの従者の一人と共に確認したゲッシュは盛大に舌打ちした。
クノックがあの一行にフォルド皇子が居ないと断言したからだ。
標的の顔が判らない以上、皇子の顔を知るあの高慢ちきな王族の一行と今後も行動を共にするしかない。とっとと縁を切りたかった彼にしてみれば最悪だった。
あの時、フォルド皇子の姿絵を貰う前に、あの男がしゃしゃり出て話がややこしくなり、結局貰い損なったのが悔やまれる。
もっとも、それはサウアー達にしても同じだろう。
とはいえ、出城の騎士達が捜していた少年がやはりフォルドだったと判ったものの、行方が判らないのでは追って行きようがない。
「ならば、出城から出てきた騎士を捕まえて吐かせればいいだろう」
「サウアー様、それは——」
事も無げに言うサウアーに、従者の二人は顔を
自分達の存在を出城の連中に知られる訳にはいかない以上、捕らえた騎士は生かしたままにはできない。
確かに既に騎士一人殺しているし、この国の世継ぎの君を手に掛けようとしているのだ。今更死体の一人や二人増えたところで大差ないだろう。
しかし、そうだとしても、更に罪を重ねる事にクノック達は躊躇した。
「まぁ、確かにそれしかなさそうだが、本当にやるのか?」
ゲッシュにとってはどうでもいい事だが、一応訊いてみた。
それにサウアーは
「当然だ。何としてもフォルドの奴から〈
その為なら、自国の騎士を何人手に掛けようと構わなかった。
「そうか、ならば適当に捕まえてやる」
人の命を顧みないサウアーを冷ややかに見返し、ゲッシュは
クノックもアガスも、結局