IS 二つ目の祈り   作:スワンプ2

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4.5 幕間:鉄と影

「これだけの起動で気絶……か」

薄暗い部屋、IS学園地下の隠されたアリーナガレージで織斑千冬が先日の戦闘データを眺めていた。

 

「戦闘状態で4分を超える稼働は初めてです。 それに、記録されているデータストーム量もIS学園に来る前より増大しています」

 

「よくやったと褒めてやるべきか、無理をするなと叱るべきなのか……」

 

細目永人のデータログは彼のIS適正の低さだけでなく肉体へのダメージも記録されていた。

千冬は頭を抱えた。教師としては、安全を省みず戦った彼を叱らなければならない。

だがIS学園教師としてではなく一人の戦士としては――それが自らにはるかに劣るものであっても、すべてを出し切った彼を咎めることができなかった。

 

「先生は怒る方を、私が褒めてあげます」

 

そんな千冬の心をいざ知らず、水色の髪をした少女の提案が千冬をわずかに苛立たせた

 

「いいとこどりか?楯無」

 

にらみを利かされた少女は首をすくめて反論する。

 

「まさか。織斑先生は叱るほうがお得意かと」

 

明らかな挑発、それを千冬が取り合うことはなかった。

 

「褒めることがあれば褒める、それだけだ」

 

それにしても、と千冬が楯無に切り返す。

 

「妹の部屋割りと言い、お前はあいつに何を求めている」

 

千冬には確信があった、更識楯無は細目永人に特別な感情を抱いている。

それが恋愛的なものではないことを祈っていた、日本を背負う暗部の長――更識家の当主が一エージェントに特別な感情を抱くべきではない。と

 

「ただの気まぐれですよ、先生」

 

「……違うな」

 

そして、楯無がただの気まぐれで妹を他人に任せないことも知っていた。

 

「お前は細目永人に同情している」

 

釘をさす言葉、目を逸らす彼女。

 

「彼が聞いたら呆れるでしょうね」

 

どうでもいい、と彼は言うだろう

任務遂行がすべてだ、と

 

「はぁ……まあいい、飼い犬に手を嚙まれるなよ」

 

「エイト君はそんなことしませんよ」

 

信じてますから、と口元を扇子で隠しながら楯無が嘯く。

 

「だろうな」

 

少なくとも数年はだが、と千冬は付け加えた。

 

織斑千冬は永人が楯無に従う理由を、彼が国家のエージェントである原因も知っていた。

 

「細目ルイスとその兄弟が日本政府に保護される限り、細目永人はこれに従属し織斑一夏を護衛する……か。あまりいい気はしない」

 

「おっしゃる通りです」

 

「細目には話したのか?」

 

千冬の問いかけに彼女は知らないふりをして答えた。

 

「何をです?」

 

そのしらじらしい言葉に、千冬はにじみ出る怒りを隠せなかった。

大人げないことは理解していた、それでも到底受け入れることなどできなかった。

 

 

「とぼけるな、お前が……」

――――お前が、それを命じたということを

 

千冬の言葉に、更識楯無は答えず部屋を後にした。




2日に一話くらいの感覚で更新したいですよね(多分できないです)
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