貴方がLv1から2に上がるまでに必要な経験値は【6億4873万5213】だと言われてしまい勇者パーティからは【使えない】宣言されてしまった村娘ですけど仕方がないのでレベルを上げずに最強になります!! 作:カイトGT
私が連れて行かれたのは、森の中にひっそりと佇む小さな人間達の隠れ里でした。
皆独特な衣装を着込んでおり、まるで忍者のような風貌です。
いや...、よく考えると私に気配を悟らせない時点で彼女が【忍】の者である事を疑うべきでした。
しかし、こう言う奴らの隠密性能が物凄く高いのだと身をもって体験できたのは幸運かもしれません。
少女が私を引きずって帰ってきた時には皆から歓迎されていました。
「おおっ! プラル様が新たな生贄を仕留めてこられた!!」
「これで半年程はこの地に平和が約束される!」
「プラル姫万歳!! ホビット族万歳!!」
民衆の言葉を聞いてここがホビット族の隠れ里という事がわかりました。
しかし...、民衆の声を聴いているとなんだか嫌な気分になってしまう。
恐らく、ホビット達の会話の全てが生贄だの平和の約束だのと言う血生臭い物だからでしょうか?。
会話の断片を繋ぎ合わせてみると、どうやら私は何者かの生贄にされるべくここに連れてこられたようです。
私を拘束していたピンク髪のホビットは【プラル】と言う名前みたいで、私をそのまま地下牢に連れて行きました。
〜地下牢〜
私を投獄すると彼女は牢屋の外から私を見つめています。
そして可哀想な者を見るような目で私に声をかけてくるのでした。
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「ごめんなさい...、貴女にはここで生贄になって貰います」
突然そのような事を言われても私は動じない。
さっきからそう言う話題を聞いていたし、ここに連れてこられる間にも目の前にいるホビット族の少女【プラル】も呟いていたしね。
あまりにも堂々とした私の立ち振る舞いに彼女の方が少しだけ動じていました。
「...突然こんな事を言われても貴女は取り乱さないのですね...」
「まあね、こう言う面倒ごとに巻き込まれるのには慣れてるし、生贄とか言われても毎日命を賭して生きている私達からすればそう言うやりとりはいくらでも聞いてきたし」
そう、冒険者なんて言う保険や安全が全く効かない職業を営んでいれば当然そういうやりとりも自然に耳に入ってくる。
あまり気分の良い物ではないが、【クレイトン】でも奴隷の売買市などを見てきた私にとってそういった現実がまかり通る世の中なのだと自覚はしています。
「...貴女の名前はなんて言うのですか?」
「ケロナ」
「ケロナですか...」
「今から生贄になる人の名前なんて聞いてどうするの?」
「...」
彼女は一瞬口籠もったが、その後で再び口を動かし始める。
「生贄になる人の名前は1人たりとも忘れません...、私達ホビット族を救う為に散っていく命なのですから...」
そう言いながら彼女が牢屋の前にある木の板を指さしました。
そこには、数十にも渡る名前が掘られていました。
「まさか...、あそこに掘られている名前全部...」
「そうです、私が捕らえてきた生贄の名前です」
お互いにくらい気持ちになってしまったが、生贄になるのならせめて自分がどうして生贄にならなくてはならないのか聞いておきたくなりました。
「...だったらさ、せめて私が生贄になる理由を教えてくれないかな? 生贄に対してそこまでしてくれるのならそれくらい教えてくれても良くない?」
「...分かりました」
彼女はそう呟くと静かに説明し始めるのでした。