貴方がLv1から2に上がるまでに必要な経験値は【6億4873万5213】だと言われてしまい勇者パーティからは【使えない】宣言されてしまった村娘ですけど仕方がないのでレベルを上げずに最強になります!!   作:カイトGT

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静かなる怒り・討伐完了

 地に倒れ伏し安らかに眠る【テンペストウルフ】に目をやっていると、ディールが声をかけてきた。

 

「やったな! 嬢ちゃん、というかあんたあんなに強かったんだな! まるで高レベルの【魔女】かかなりの修行を積んだ【聖女】並の魔法力だったぞ!」

 

 そう答えられても嬉しくなどない。

 

「取り逃がした...!」

 

 ギュッと拳を握りしめながら聖典を逃してしまった事に後悔の念を抱く私。

 

 そんな私を見て動揺している彼にとって、なぜこんなにも私が怒っているのか分からないだろう。

 

 彼にしてみれば【テンペストウルフ】を倒しただけでも充分な収益があるのだろうが、私にとってそれだけでは不充分なのだ。

 

「なんで嬢ちゃんがそんなに怒ってるか知んないけどよ、取り敢えずこいつをギルドに運ぼうぜ、きっと大騒ぎするだろうよ、【テンペストウルフ】のレベルは40〜60程度の大物だからな! この辺には生息するはずがない生き物だから報奨金も物凄いだろうし、レベルもかなり上がるかもしれんぞ!!」

 

 ウキウキしながら死体を運び用意を整えるディールとは対照的に、私の心境は静かなる怒りで燃え盛っている。

 

(...逃してしまった)

 

 その言葉が何度も頭の中で連鎖するのだが、彼の一言で少しだけ考えが変わる。

 

「まあなんだ、嬢ちゃんがあの綺麗な本に何かしらの執念を燃やしているのはよくわかったが、今は頭を落ち着かせて休もうぜ、報奨金は絶対沢山とってくるって約束するからそれで美味いものでも食べような!」

 

「...そうだね」

 

 私はふうっと一息吐いて自分を落ち着かせた。

 

 彼のおかげで行き場のない怒りを鎮められたのだ。

 

 しかし、あの本のせいで私達の村が崩壊したのは紛れもない事実なので、いつかは破壊してやると胸に誓うのでした。

 

✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎

 

 私達がギルドに戻ると思った以上の賑わいを見せた。

 

「わっ!! これって【テンペストウルフ】ですか!? よく討伐できましたね!!、ここら辺の冒険者では手も足も出ない程強力な魔物なのに!!」

 

 ギルドの職員さんが大声でそう言うと、皆も一眼【テンペストウルフ】の姿を見ようと集まってくる。

 

「これが【テンペストウルフ】か...」

 

「ディールとこのパーティがこいつを討伐したんだとよ、俺なら50万ゴールド貰ったってやりたくない相手だ」

 

「たしかにな...、命には変えられん」

 

 次々にそういった声をあげる中、当人のディールはレベルがどれくらい上がったのか確認していた。

 

 そして私の方に手を置いてこう呟く。

 

「嬢ちゃんありがとうな、一気にレベルが30台まで上がった、他の2人も相当レベルが上がったから感謝する」

 

 などと言われたので少し複雑な心境になる。

 

「...私は一レベルも上がらなかったけどね」

 

 そう、サラも一気にレベル40まで上がったと言うのに、私だけは未だにレベルが1のままだったのだ。

 

 勿論レベル1なので転職もできない。

 

「あれだけの大物をやっておいてレベルが上がらないのか?」

 

 と彼には変な目で見られてしまうが気にしない事にしよう。

 

「まあ、いいや、これ今回の報酬な」

 

 と言われて渡された額は...。

 

 5()0()()()()()()だった!!。

 

 そこで初めて私の顔に表情が戻る。

 

「えっ!? こんなに貰っていいの!?」

 

「ああ、勿論だ、今回のMVPは紛れもなく嬢ちゃんなんだからな、俺たちはおこぼれを貰えただけでも充分ってもんだ!」

 

 などと言いつつもちゃっかり20万ゴールド以上手に持っているのが分かり静かに笑う私。

 

「お互いにいい商談になったと言う訳ね」

 

「まあ...、そう言う訳だ」

 

 お互いの目を長めながら微笑みあう私たち。

 

「っでだ、嬢ちゃんに話があるんだが...」

 

「何?」

 

「よければもうしばらく同じパーティで仕事をしないか? お嬢ちゃんがいれば俺達ももうちょっと上のランクに挑戦できるんだよ、そっちもお金を稼げて一石二鳥だろ? どうだ? 悪い話ではあるまい?」

 

 そう言われたのでしばらく考えてから彼にある条件を出してみた。

 

「じゃあサラの魔法の練習に付き合ってくれないか? あの子はまだ魔術師として経験が浅いんだ、ディールの紹介でいいから熟練の魔術師にしばらくつきっきりで魔法を伝授させてやってほしい」

 

 私の条件を聞いた彼は喜んで首を縦に振る。

 

「そんな事でいいならお安いごようだ、すぐに手配しよう!」

 

「交渉成立、しばらく厄介になる」

 

「それはこっちのセリフだぜ、よろしく頼むな! 嬢ちゃん...いやケロナ!」

 

 彼が初めて私の名前を呼んでくれた事に対し、ちょっぴり嬉しくなってしまう私なのでした。

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