貴方がLv1から2に上がるまでに必要な経験値は【6億4873万5213】だと言われてしまい勇者パーティからは【使えない】宣言されてしまった村娘ですけど仕方がないのでレベルを上げずに最強になります!! 作:カイトGT
「ガハッ!!」
「キィア様!!」
遂に勇者達が押され始める。
しかもマーカイルは戦ってもいないのに...だ。
奴は空中に佇んでただただ私たちが力尽きるまでの流れを楽しんでいるように見える。
「どうしたんですか? まさか勇者様ともあろうお方が【傀儡使】ごときに敗北を喫するとでも言うのかな?」
煽り性能の高い言葉を選びキィアの怒りを買っている彼は悪魔のようにケラケラと笑う。
「くそっ...」
跪くキィアに僧侶の娘が回復魔法をかける。
「大丈夫ですか!? キィア様!!」
「サンキュー、ステラ」
金髪の僧侶に回復させて貰ったキィアは再び剣を取り周りの人形を破壊していく。
しかし、次の瞬間にサラが声を上げた。
「勇者様!! その人形は壊しちゃダメ!!」
「何っ!?」
彼女の声に一歩退く勇者。
「なぜだ!? ケロナの妹よ」
私はキィアが切り裂こうとした人形をよ〜く眺めているとその理由が分かった。
「あれは...トミーおじさん?」
私は目を疑ったがそうにしか見えない。
トミーおじさんとは私がくるまでの短い間だったが両親のいないサラの面倒を見てくれた気のいい人だ。
血のつながりがなくても幼いサラのことを放っておけなくてなんとなく面倒を見ていたらしい。
私が生活の基盤を安定させるまでつきっきりで村の仕事を教えてくれたのもトミーおじさんなので私達にしてみれば頭の上がらない人物である事に間違いない。
そんなトミーおじさんが今やマーカイルの傀儡となって私たちに襲いかかってくると言う現実に目を逸らしたくなる。
「くそっ! これじゃ戦えない!」
トミーおじさんの人形に手も足も出ない様子の勇者様を見てニヤつくマーカイル。
「くくく...、貴様ら人間はいつもそうだ、大事な人間を人形にして襲わせれば何もできずに死んでいく...、何という愚かな種族なのだ...と笑わずにはいられないな」
まるで人間の心がないかのような笑い声をあげる彼を見て勇者はある作戦を立てるのでした。
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「一度撤退する」
そう呟く勇者を見て私は驚いたのだが、勇者パーティ全員がその指示に同意していた。
「あまりにも敵の能力が強力すぎる!! これは俺たち4人だけでは対処できない! 王都に置いてきた仲間達と共に戦わなくては勝利は得られない!」
その言葉を聞いたマーカイルは不敵に笑う。
「この状況から逃げられるとでも思っているのか?」
瞬時に大量の人形を私達の周りに集めて逃げ場を封じる。
村にも戦える若者が何人かいた筈なのだが、気がつけば勇者パーティ以外に人影は見えなかった。
つまり、この村の人間は全て人形に変えられてしまったという事でもある。
その答えに辿り着くと自分の無力さに腹が立ってくるのだが、せめてサラだけでも守り通そうとしっかり抱きしめた。
サラの命が助かると言うのであれば、撤退にも意味はある。
たとえこの場で奴を倒せなかったとしても、いつかきっとこの人達が倒してくれるので一般市民的に言えば『撤退』と言う言葉は生き残る為の道標なのかもしれない。
「テクア!! 【移動呪文】の準備を!! 他の者はテクアを全力で守れ!!」
勇者の言葉と共に魔術師を守る攻防線が繰り広げられるのでした。