~ぼっちな俺の家にロボットの女の子が来た結果、その女が想像以上のやべーやつだったため、最悪の陰謀に巻き込まれます~機械創世記・MaKina 作:ハーレム好き男
あの後、旬は恐ろしくなって教室に逃げ帰り、弁当を食べて溜飲を下そうとした。
完食してしばらくすると、マキナが教室に戻ってくる。
そして、旬を見つけるとそのままその方向へ小走りする。
「旬くん!友達ができたのです!」
「そ、そうか。よかったな」
「今度お家にも呼ぶことになったのです!」
「は、はぁ」
「いいですよね!?」
マキナが満面の笑顔で旬に迫る。
「……それは圧力って言ってだな」
「でも私もう呼んじゃいましたし」
「……ああ、いいよもう。借りはあるし」
「やった!」
旬は、マキナに折れてばっかりだった。
でも、内心こう言っている旬が1番喜んでいたのかもしれない。
「その子に旬くんのことも紹介するのです!」
「好きにしろ」
「はーい」
そうしてマキナは自分の席へそそくさと帰っていった。
そして、自席につくと周りのクラスメイトがマキナに話しかける。
「……あいつと何話してきたの?」
「んー、友達になりましたよ」
「やめときなよ!ろくな奴じゃないんだから」
「しかも、中等部からいい噂ないしね」
また次々とペトラの悪口大会が繰り広げられていく。
「四羽さんもそう思うよね?」
そう言った生徒の視線を辿ると、そこには気の強そうな短髪の女子が居た。
髪は顎より上で切り揃えられていて、身長は他の女子よりやや高め。
このクラスの学級委員、
「アタシはペトラはどーでもいいけど、あいつと仲良くしてるのが気に食わないわね」
その時、四羽は旬をギロリと睨んできた。
「……旬くんのことですか?」
「だってあいつ、ずーっと黙って辛気臭い陰キャなんだもん」
周りで笑いが巻き起こる。
「気味悪くて私も近づきたくないわ」
「あいつ、真紀奈ちゃんの面影なんてほとんどないじゃんね」
「こそこそ廊下に呼ぶところとか陰キャっぽくて無理だわ」
「兄妹なのかは知らないけど、アタシはあいつ好きじゃないね」
笑いの嵐はさらに強くなっていく。
マキナが下を向いていて、顔が見えない。
「……」
旬はやりきれないその場を、どうすることも出来なかった。
○
5、6限が終わり、ホームルームも終了。
「ねーねー真紀奈ちゃん、帰り遊びいこうよー」
「ねー、この前結局来てくれなかったし、今度こそ!」
「私は……」
その時、四羽がマキナの前に立ちはだかった。
「兄妹だからって、あんな気味悪いやつ庇わなくていいんだよ。真紀奈さん。ウチらと仲良くしといた方が絶対楽しいって」
肩に手を当て、顔を近づける。
詰め寄るような形で、マキナにそう言った。
「……私……」
マキナが拳を握りしめ、苦しそうにしている。
旬は思わず、立ち上がった。
そのままつかつかとマキナの方へ歩き、周りの生徒の間を半ば無理やり通って、四羽の横に立った。
「悪い、一緒に帰るんだ。どいてくれ」
旬はマキナの手を握り、
「何?お前」
「さぁマキナ、行くぞ」
「……」
俯くマキナの手を引きながら、睨んでくる四羽を無視して教室を後にした。
○
そのままノンストップで校門まで歩いた。
あの教室から逃げるように。
夕焼けは、2人に長い影を作っていた。
「ごめんな。俺のせいで嫌な思いさせて」
「……」
「あれが普通なんだよ。そんな気にとめなくていいんだ」
「……」
「ちょっと慣れないかもだけど、学校ではアイツらと仲良くしとけば間違いな……」
「……黙ってください」
旬の言葉に食らいつくようにしてマキナは言った。
鋭い言葉を直接マキナに言われるのは、初めてだった。
「あ、ああ」
校門を出ると、マキナが来るのを待っていたかのようにペトラと、その従者2人が居た。
「あら、真紀奈さんと……、貴方が旬さんですの?」
「ああ、はい」
「真紀奈さんは……、具合が悪くて?」
「いや、ちょっと……、軽くクラスで揉めちゃって。あは……」
その瞬間、旬の頬に強烈な痛みが走った。
旬の頬を、マキナが叩いたのである。
軽い破裂音と共に来る強い衝撃と痛みに、旬は思わずよろけてしまう。
旬は、一瞬何が何だか分からなくなってしまった。
「ではペトラちゃん。帰りましょうか」
マキナはそのまま振り返って言った。
「えっ、どうしたんですの?」
「……」
マキナはニコニコと笑ったまま、何も言わない。
「……詮索しないでおきますわ。帰りますわよ。ミカ、アン」
ペトラと従者、そしてマキナは、4人で旬と逆の家路に進んで行った。
○
ひとりで帰る途中、道草を食う旬。
旬は、久しぶりのひとりの時間を、公園のベンチで味わった。
そして、何故こうなったか、何回も何回も脳みその中であの状況反芻した。
あの状況で無理やりな行動をしたからか?
初めの悪い雰囲気の時になにもしなかったからか?
いや違う。
『仲間』。旬と、マキナは仲間なのだ。
しかし、旬は社会の上では上手くやり抜くため、マキナを上手くやり抜かせようとするあまり、自分に嘘をつき、マキナに嘘をつくという“裏切り”をしたのだ。
本当は、旬も辛かった。
その辛さを、自信のなさという言い訳でくしゃくしゃにして丸め、マキナを思いやるという自分勝手な思いでそれを投石していた。
仲間に辛さを押し付け、裏切ったのだ。
マキナも自分のことを信用してくれていたのに。
俺は、どうしようもないやつだ。
そんな言葉が頭の中で響いている。
「俺は……、どうしようもない……」
「大丈夫ですか……?」
「うわっ!?だれっ!?」
振り向くと、後ろにはペトラの従者の1人であった女子が立っていた。
「すみません。びっくりさせて……」
「ああ、アルバートさんの……」
「はい。ミカと申します。以後お見知り置きを……」
ポニーテールの、大人しそうで普通そうな女の子だ。
身長は少し高く、前髪を眉が隠れるように切りそろえている。
すこし髪色が明るいのは、恐らく地毛だろう。
赤っぽく、橙っぽくもある髪色。
夕焼けに反射して、髪が風景に馴染む。
「横にお座りしても……?」
「ええ、もちろん」
「失礼します……」
礼儀正しさが、細かな所作で認識できる、
あのペトラとは反対に、繊細で弱い声だ。
「ミカさんは、どうしてここに?」
「旬様が心配だから、尾行しろと……」
「ああ、そんな。大丈夫ですよ」
「でも、大丈夫じゃ、無さそうでした……!」
旬の目を見て、か細い声で精一杯の主張をしている。
「あはは、ごめんなさい」
「私もびっくりしちゃいました……。急に真紀奈さんが貴方をぶつものだから……」
「俺もびっくりしましたよ」
「何があったのか、差し支えなければお教えいただけますか……?」
そうして、旬は事のあらましを話した。
「そうだったのですね。お嬢様への悪口と、旬様への悪口を……しかもかなり酷い……」
「なぜペトラさんはあんなに言われているんですか?見た感じ悪そうな人ではないですけど」
とりあえず、旬が気になっていたことを聞いた。
「……私、お嬢様とは中等部で同じクラスだったんですよ」
そのまま、ミカは話し続ける。