~ぼっちな俺の家にロボットの女の子が来た結果、その女が想像以上のやべーやつだったため、最悪の陰謀に巻き込まれます~機械創世記・MaKina   作:ハーレム好き男

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11 交友促進のサジェスチョン

 

「意外と重いな。これかなり入ってるぞ……」

 

「そうですか?筋肉不足なんじゃ……」

 

「持ててないわけじゃないから!」

 

 その無地の大きなダンボール箱を、マキナは軽々と2つも持ち上げている。

 

「食材って仰ってたけど、俺料理なんてしたことないぞ」

 

「えっ、嘘ですよね」

 

「ほんとだが」

 

「17年間、どうやってご飯食べてきたんですか……」

 

 初めてマキナの呆れ顔を見た。

 

「コンビニだよ。食い合わせ考えれば、バランスも取れる」

 

「そういうものなんでしょうか」

 

「はい、ドア開けるぞ」

 

 片手でダンボールを持ち、ドアを開け、マキナを先に中へ入れた。

 

「腕プルプルしてる」

 

「うっさい」

 

「人間って弱いのです」

 

「うっさいなぁ!」

 

 部屋に入ったマキナは、ダンボールを下ろし、キッチンの前にダンボールを並べた。

 

 旬の部屋の間取りはワンルームなため、ダンボールを置くとすぐに通路は埋まってしまう。

 

 冷蔵庫は一応あるが、この量の食材が入るほど巨大じゃない。

 

 ペトラの認識と、俺たちの実状のギャップが如実に現れている。

 

「そういえば、家の事ってなんか話したのか?」

 

「いえ、旬くんが言って欲しくないって思うだろうから言いませんでしたよ」

 

「説明するのムズいもんな、この家」

 

「ええ」

 

 旬も、マキナの置いたダンボールに重ねるように置く。

 

 その時、ふと下の箱に黒い文字が手書きされているのが見えた。

 

「ん?なんか書いてないか?」

 

『ちゃんと栄養のあるもの食べてくださいまし!!Petraちゃんより』

 

 端正な品のある字で記されていたから、余計に旬に響く。

 

「耳が痛いな……」

 

 その文字の上にかぶさらないよう、重ねず横に箱を置いた。

 

「ふんふーん」

 

 ベッドの上に座り、退屈そうに足をパタパタとさせるマキナ。

 

「……マキナは、なにか暇つぶし用に欲しいものないのか」

 

 キッチンからマキナの方を見て言った。

 

「暇つぶし?暇つぶし……」

 

「携帯は身分証とかの関係があって厳しいかもだが、なにか欲しいものがあったら買うから伝えてくれ」

 

 マキナに娯楽を教えてあげたいという、旬の親切心だった。

 

「東京に行った時に見かけたのですが、あれはなんて言うのでしょうか……」

 

 目をきゅっと閉じて、顎を手に当てて考えるマキナ。

 

「あの、キラキラ光ってて、ピロピロ~、ピュイン!みたい音が鳴ってて……」

 

「何だそれ……」

 

「なんて言ったらいいのかわからないのです」

 

 独特な音が聞こえる、キラキラ光っている場所。

 

「もしかして……」

 

『ゲームセンター』

 

 画像検索して、その画面をマキナに見せた。

 

「これです!これ!熊の人形が檻にとじめられていました!」

 

「ゲーセン、いいな。今度いこうか」

 

「ペトラちゃんも誘いたいのです!」

 

「うむ、検討しよう」

 

 マキナは旬に、満面の笑顔を見せた。

 

「……お腹すきました」

 

「まだ箱は開けてないから、開けてきな」

 

「分かりました!今日は私が料理するのです!」

 

「出来るのか?マキナに」

 

「私は、完璧スーパーロボットなのです!御茶の子さいさいですよ!」

 

 腰に手をあてながら胸を張ってそう言った。

 

「じゃあ、任せたぞ」

 

 

 

 

 

 

「なんでこうなってしまったのか……」

 

 いや、よく良く考えれば、料理の“り”の子音すらないようなロボットの女の子に、まともに料理が出来るわけがないのは自明だ。

 

「すみません……」

 

「いやいや、いいんだよ。食べるし」

 

「いただきまーす」

 

「いただきま、す……」

 

 皿に盛られているのは、暗黒物質と名前をつけるのが相応しい見た目をしている固形物。

 

 丸っぽい形をしていたのだろうが、その面影が全くなく、真っ黒い割れた炭のような様子だ。

 

「一体何を作ろうとしていたんだ?」

 

 旬は、助けを乞うようにマキナの顔を見た。

 

「適当になにか焼けば、食べれる物になるかなと……」

 

 助けは無いのだと、その一言は旬を絶望に突き落とす。

 

「何を焼いたんだか……」

 

「私も、なんて名前か分からなかったのです」

 

「いやそういう事じゃなくて……」

 

 箸を入れると、ザクザクという感触が指に伝わる。

 

「マキナが作ってくれたし、食べないと……」

 

 その暗黒物質を、恐る恐る口に運ぶ。

 

「んっ、意外といけますね」

 

 一切恐れる様子もなく暗黒物質を頬張ったマキナは、頷きながらそれを咀嚼している。

 

「おっ、そうなのかじゃあ……」

 

 旬もそれに続いて口に入れた。

 

 その瞬間、口に広がるのは、口内が何かで真っ黒に汚染されたかのような苦味と、鼻腔を物凄い勢いで通り抜ける焦げ臭さ。

 

 舌を指すなんていう甘っちょろい言葉では表現し尽くせない。もはや、舌を焼き切るといった所だろうか。

 

「んぐっ!」

 

 だが、それを吐き出すまいと口を手で覆った。

 

「ん?どうされたんですか?」

 

「んぐぐっ、ふぐぐんぐっ!」

 

 身体の循環が、その暗黒物質を取り入れることを生理的に拒んでるような感覚までする。

 

 飲み込もうとしても、一切受け付けないので困った。

 

「ふんぐっ!!」

 

 最期の力を振り絞り、それを飲み込むことには成功した。

 

 ほぼ噛んでいない、固形の暗黒物質が通過するのを感じる。

 

「あっ……」

 

 その瞬間、旬は後ろに受身なしで倒れた。

 

 後頭部をぶつけたが、そんなのは今の旬にはどうでもいい。それぐらい、暗黒物質を飲み込むことがつらかったのだ。

 

「旬くん!大丈夫ですか!?」

 

「だ……、だいじょ……」

 

「水!水飲ませますね!」

 

 マキナはコップをキッチンから取ってきて、水道水を注ぎ、それを旬の口にあてがった。

 

 旬の頭を持って、しっかり飲めるように支えてあげている。

 

「飲んでください!」

 

「み……、みず……」

 

 旬は、本能でその水にありついた。

 

「んっ、んっ」

 

 黒く汚染された口内や食道が、一気に浄化される。

 

「あっ……ありがとう」

 

「大丈夫ですか!?」

 

「生き返ったよ……」

 

「なんかげっそりしてますけど!」

 

「え、嘘……。まぁ治るから……」

 

「ごめんなさい……。私の料理が下手なあまりに……」

 

「ううん、作ってくれただけで十分うれしい……よ……」

 

 旬がそう言うと、彼の身体の力が一気に抜けた。

 

「はっ……。旬くん!旬くーん!」

 

 その時、既に旬は事切れていた……。

 

 

 

 

 

 

 屋上前、昼食を食べながら扉前の階段にて。

 

「って事があったのです……。ペトラちゃんにも旬くんにも申し訳ないのです……」

 

「誰しも最初はそういう失敗をするものですわよ。気を落とさないでくださいまし」

 

 後日、マキナはペトラに昨日の晩御飯での出来事について話していた。

 

「旬さんは今日いらしていますの?」

 

「はい!来てますよ!」

 

「それは良かったですわ!挨拶に参らないと!」

 

 マキナとペトラは昼食を食べ終わった後、旬のクラスへと階段を降りた。

 

「旬さーん!」

 

 教室の中の旬へ、2人が手を振る。

 

「……」

 

  タブレットの画面を呆然と眺めるだけで、そっちへ気付く気配がない。

 

「気付かないですわ……」

 

「今日の朝も体調が優れなそうで、ずっとぼーっとしていたのです」

 

「あら、それは大丈夫ですの?」

 

「旬さんは弱いので、大丈夫じゃないかもなのです」

 

「お腹が弱いのですね、かわいそうですわ……」

 

「お腹だけじゃなく、全般的にです」

 

「病弱なのですね……」

 

「あの、なんの話を……?」

 

 旬は扉に手をかけ、苦笑いしながら2人に話しかけた。

 

「わぁっ!?旬くん音もなく!」

 

「ごきげんよう!旬さん!お身体のほうはご無事で?」

 

「まず俺、腹弱くも病弱でもないですから……。マキナが昨日のことを言ったんですか?」

 

 マキナは旬を見て、にこにこ顔で 数回頷いた。

 

「ええ。丸焦げになったニンニクを食べさせたら、倒れたと仰っていたので心配したのですわ。無事なら安心ですわね!」

 

「あれニンニクだったんだ……。」

 

「あっそうだ!3人で集まったら話したいと思ってた事があったのです!」

 

 マキナは手を前に組んで、改まって2人に話す。

 

「なんだ?」

 

「3人で……、東京へ遊びに行きたいのです!」

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