~ぼっちな俺の家にロボットの女の子が来た結果、その女が想像以上のやべーやつだったため、最悪の陰謀に巻き込まれます~機械創世記・MaKina   作:ハーレム好き男

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14 神人双璧のプロエリウム

 

「……へ?」

 

 マキナが、アンを見て首を傾げる。

 

「ぼけっとするな。やるぞ」

 

「……はい。わかりました」

 

「アン、ちょっと……」

 

「うるさい」

 

「んんっ……」

 

 ミカは引っ込み思案なため、アンの高圧的な態度に押し込まれてしまう。

 

 旬はその状況がいまいち飲み込めず、俯瞰していた。

 

「この曲だ」

 

「……すごい速い曲ですね」

 

「(これ、最難関曲じゃ……)」

 

 先程プレイした曲のレベルが9と書かれていたが、これは16+と表記されている。

 

 旬は、これが難しいこと身に染みて分かっていた。

 

 というのも、旬もこのリズムゲームの手練なのだ。

 

『GAME START』

 

 先程の倍の量、それよりも多いエフェクトがマキナとアンの手に襲いかかる。

 

「さっきよりちょっと難しくなってますね……」

 

「……」

 

 2人の、全く同じタイミングの同じ動きはもはや美しさすら覚える。

 

「……まだオールパーフェクト」

 

 旬は、マキナを応援してやまなかった。

 

 曲は中盤戦、アンの動きには少し疲れが見える。

 

「……ふひぃ」

 

「うん、よしよし」

 

 ミカは、相変わらずペトラをおんぶして、あやしている。

 

「ちょっと楽しくなって来ましたっ!」

 

「……」

 

 しばらくして、2人の動きと、曲の演奏が同時に止まる。

 

『GAME CLEAR』

 

「結果は……」

 

「どちらも、オールパーフェクト!?」

 

 ギラギラと7色に光る文字が、空中に飛びてた。

 

 そこには、『DOUBLE ALL PERFECT!!』と書かれている。

 

 マキナは、元気よくガッツポーズした。

 

「やった!」

 

「……フン」

 

 むっとした顔で、アンはゲーム機からすっと離れる。

 

「(俺でも歯が立たないのに……)」

 

 2人の圧倒的ゲームセンスに、旬は圧倒される。

 

「次、行くぞ」

 

「……はい」

 

 マキナは、高圧的な態度には弱かった。

 

 旬やペトラに強く威圧されることが無いからだ。

 

 マキナとアンは、アンを先頭に別のゲーム機の所へ行ってしまった。

 

「……大丈夫ですかね。あの2人」

 

「いつもあんなに喧嘩っ早い感じじゃないんですけど……。本当にごめんなさい……」

 

 ミカは今、ペトラを背負っているので浅く頭を下げることしか出来ないが、反省深そうに目を閉じていた。

 

「いえいえ、大丈夫ですよ。マキナもさっきのゲーム、楽しんでたみたいですし」

 

「……お嬢様が寝てしまったからなのもあるかもしれません……」

 

「まぁ、次のゲーム見に行きましょうか」

 

「はい……」

 

 また3人もそのまま2人の後を追う。

 

「これ」

 

「……わかりました」

 

 2人は、ゲーム機の前についた椅子に座る。

 

 マキナが左の1P側。

 

 アンが右の2P側だ。

 

「これは……」

 

 格ゲー。格闘ゲーム。

 

 かつて様々なジャンルが開拓され、ゲーム競技の幕を切り開いた伝説的ゲームジャンル。

 

 しかし格闘ゲームは、複雑な操作性とセオリー的な立ち回りが存在するため、初心者が勝つことは困難。

 

「(本気で勝ちにいってるじゃん)」

 

「私、アンとこのゲームをよくやるのですが、あんまり上手くできないんですよね……」

 

「ははは……(普段から初心者ボコしてんのかよ……)」

 

 2人が、スティック型のコントローラーと8つのボタンに手をかける。

 

「……」

 

「……」

 

 マキナが選んだのは、華奢で足の長い、長髪の女キャラクター。

 

 アンが選んだのは、筋骨隆々のプロレスラーのような男キャラクター。

 

『Fight!』

 

 ボタンとスティックを激しく弾く音が、ほかのゲーム機の音に混ざっているのにも関わらず、少し離れているこちらまで聞こえてくる。

 

 マキナは、アンの手さばきをちらちらと見ながらプレイしているように見えた。

 

 2人の攻防が、拮抗した状態で続く。

 

 こちらまで勢いよく伝わる気迫だ。

 

「あんた、やってたの?」

 

「初めてなのです」

 

「……ちっ」

 

 眉間に皺を寄せ、瞼を震わせた。

 

「あっ」

 

 その瞬間、アンのキャラクターがマキナの防御を一瞬崩した。

 

「……」

 

 そこから始まる、アンの必殺のコンボ。

 

 それに為す術なく崩されるマキナ。

 

「わっ、やばっ」

 

「……なめんな」

 

『2P WIN』

 

「あーっ!負けちゃった……」

 

「……」

 

「(途中まで手加減してたとはいえ、コマンドは愚かガードも分からないだろうに、よく戦えたな……)」

 

 格ゲーは、全ゲームの中で敷居が高い方とされる。

 

 それをアンのプレイを見まねである程度学習してしまったということ。

 

 マキナの高スペックさが伺えた。

 

「真紀奈様も十分凄かったですよ……」

 

「そうですかー?えへへ」

 

「……」

 

 マキナとミカが談笑する横で、無言のうちに立って2人を睨んでいるアン。

 

 それは、2人とアンの人間性の対比のようにも見えた。

 

「……あ!」

 

 マキナが何かを見つけたのか、格ゲー台のある反対方向に向かって指をさした。

 

「なんですかあれ、箱みたいなやつ」

 

 鉄の箱

 

「何だっけ、めっちゃ話題になってた……」

 

「エニグマ。全神経統合型ゲーム機」

 

 ENIGMA。Entire-Nerve-Integrated-Game-MAchineの略称系。

 

 鉄の箱のような、異質な外見。

 

 中にベッドが4つ連なったような構造をしていて、中で横になり、備えられているヘッドギアを装着することで、ゲーム世界へ入ることのできるゲーム機。

 

 というのがとあるゲームセンターに存在すると一時期まことしやかに囁かれていた。正に謎のゲーム。

 

 あるのがここのゲーセンだったとは、旬も知らなかった。

 

「どこにも置いてない幻のゲーム機だった筈じゃなかったですか?」

 

「ここにだけ置いてある。だからここをミカに言ったんです」

 

 鉄の箱が佇むエリアの壁には、街にある電子標識、データを表示する掲示板のようなものが掛けてあった。

 

「……スコアボードのようなものがありますね」

 

「どれどれ……」

 

『1位 ANRIEL 1000 over win

 2位 MICHAEL 1000 over win

 3位 ……』

 

「アンリエルと、ミカエルっていうのは……」

 

「私達です……。2対2のゲームなのですが、事実上アンが強すぎるので、アンが2トップみたいなものです……」

 

 確かに、ミカがこんな物々しい見た目のゲームを嬉々としてやり込むとは思えない。

 

「次は、これで勝負なのですか?アンさん」

 

「そうだ」

 

 そう言い捨てた後、アンはエニグマの自動ドアを開け、鉄の箱に入っていった。

 

「私も行きますー」

 

 マキナも、アンの入った反対側から箱へ入る。

 

「そういえば、エニグマってどういうゲームなんですか?」

 

「実際の銃撃戦を模した、たくてぃかるしゅーてぃんぐ?とアンが言っていました」

 

「へぇ、面白そうだなぁ」

 

「4人居ないとプレイ出来ないので、私もするとしたら、お嬢様をどうしたら……」

 

「んんっ……。私なら、クマさんと一緒に待ってますわ。ミカも遊んでよろしくてよ」

 

 ミカの背中のペトラが、眠そうながらも目覚め、そう言う。

 

 背中からペトラを下ろすと、大きく伸びをした。

 

「わかりました、お嬢様。では旬様。参りましょうか」

 

 ペトラはさっき来た方向へ消えていった。

 

 2人で、ミカはアンの方へ、旬はマキナの方へ入った。

 

 旬は、エニグマの自動ドアを開けて驚いた。

 

 中はうっすらと照明がついているだけで、ほとんど真っ暗と言っていい。

 

 おそらく、左右で2人分ずつ部屋が別れていて、もうひとつの部屋にアンとミカが居るのだろう。

 

 その中でマキナは、どうしていたかというと、

 

「すー、すー……」

 

 目を閉じて、完全に寝ていた。

 

「寝るなよマキナ」

 

「はっ、ごめんなさい」

 

 うっすらながら、マキナの肌の白は確認できる。

 

 その眉目秀麗、つややかな口元は、暗くても分かった。

 

「このヘッドギアをつけるんだったよな」

 

「はい、そうらしいですね」

 

 ヘッドレストの上に乗せられた、ヘルメットのような形の装置。

 

 これが、エニグマへ入るためのヘッドギアだ。

 

「これを頭につけるんですか?」

 

「そうみたいだな」

 

 マキナの小さな顔が、すっぽりとヘッドギアにはまる。

 

「わぁ、何も見えない」

 

「俺も……」

 

 旬も装着すると、エニグマの照明が完全に消えた。

 

「全プレイヤーノ神経接続ヲ確認。エニグマ、起動シマシタ。扉ヲ、施錠シマス」

 

 ヘッドギアの内側に、施錠音が潜り込む。

 

「リンク、スタート」

 

 すると、視界がいきなり明るくなり目が眩んだ。

 

「うっ、なんだ……」

 

 その目の開けれないほどの閃光は、しばらく続く。

 

「くっ……」

 

 その後、閃光が晴れ、目の前に広がるのは

 

「はっ」

 

 荒れ果てた市街戦の戦場と、上がる狼煙。

 

 ここは、東京か?

 

 しかし、ここはゲームの世界。ゲームの中に来たのだ。

 

 そして、

 

「ゲームマスター……、デウス・エクス・マキナ……」

 

 目の前に立ちはだかる、異形の姿をしたもの。

 

 おおよそ人間では無い。旬の倍ぐらいの身体にボロ布を全身にまとい、両肩に喜劇と悲劇の仮面が象られている。

 

 そして、肩と並行になっている首のない頭についていたのは、十字架の描かれた、顔のない仮面。

 

『「ゲームマスター」機械神、デウス・エクス・マキナ』

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