~ぼっちな俺の家にロボットの女の子が来た結果、その女が想像以上のやべーやつだったため、最悪の陰謀に巻き込まれます~機械創世記・MaKina 作:ハーレム好き男
「へぇ、私と同じ名前だぁ」
その機械神を見上げ、マキナは唖然とした顔をしている。
どうやら、機械神は活動しているのではなく、ここにあるだけのオブジェクトのようだ。
そして、
「これは……」
「なんか変な見た目ですね」
マキナが自分の服を見て、ため息をつく。
それは、エクスが着ていたスーツを彷彿とさせる、黒いピチッしたバトルスーツ。
そして、マキナがそれを着ている様子を直視するのは旬には恥ずかしかった。
女性用のバトルスーツには、胸部に装甲がついているが、それ以外の足や腰周りはあらわになったままだからだ。
思わず旬は目をそらす。
「ん?どうしたんですか?」
「いや、なんでもない……」
たしかにマキナの言うように変な服装だが、動きやすいことにかなり特化しているのか、身体の軽さすら覚える。
かなりリアルな感覚だ。
「……こいつは、ゲームマスター。なんだよな?」
「ええ、なにやら武器をくれるみたいですよ?」
旬はそう言われると、マキナに向けていた目線を自分の下へ下ろした。
そして旬の目の前に、光る板のようなものが出現した。
しかし手で取ろうとしても、指が透ける。
『武器を選択してください』
『・ピストル
・アサルトライフル
・ショットガン
・サブマシンガン』
銃の画像とともに、その名称が載せられている。
その上に、50と数字が書かれており、1秒ごとにその数字が減っていっている。
50秒を数えてタイムオーバーを教えるタイマーだろう。
旬は、迷わずピストルを選んだ。
アサルトライフルやサブマシンガンは、反動が大きいため取り扱いが難しく、ショットガンは銃身が1番巨大なため、これも外した。
結果、1番簡単そうな、オートマチックのピストルが使いやすいと結論付けた。
ピストルの部分を指で触れると、光の板は光る砂みたいになって、瓦礫の破片が交じった風と共に去っていく。
板が消えた瞬間、旬の手に画像どうりのピストルが握られた。
「おっ、思ったより大きい」
マキナも選んだらしく、その手には黒いアサルトライフルが握られている。
「旬くん、なにそれちっさーい」
「うっせぇな。そんなデカい銃持っても、俺には扱える自信がねーんだよ」
「マキナちゃんには楽勝なのです」
『SURVIVE』
生き残れ。
機械神の前に現れた光の板に書かれている。
要するに、この銃でアンとミカのことを撃ち抜けばいいのだろう。
しかし、相手はこのゲーセンのランカー。
そう簡単には行かない。
旬は、ハンドガンのグリップを強く握り、安全装置を外して、マキナと共に荒れ果てた東京を探索する。
〇
硝煙は嗅いだことはないが、硝煙の匂いが鼻腔をつくというのは、こういう感覚なのだろう。
道路は荒れ果て、街灯の硝子は割られ、車はあちこちで壁にぶつかり煙を上げている。
そんな状況なのに、妙に無人で静かなのが旬を不安にさせた。
旬が先導して、荒れ果てた道路の歩道を歩き、できるだけ壁沿いの遮蔽物が多いところを通る。
「にしても、ここ入り組んでますね。細かい路地とかから来られたら終わりですよ」
「そうだな、どこから来るかも分からないのか」
後ろを振り向くと、建物の隙間の路地から、今にもアンが狙撃してくるんじゃないかと考えてしまう。
「しかも、私も全然力が出ないのです」
「というと?」
「普段ならこんぐらいの建物、飛び乗れるのに……」
「マキナの身体能力も、常人レベルに補正されるのか」
「恐らく。ほんと不便ったらありゃしないです」
垂直にぴょんぴょんと飛ぼうとする素振りをするが、普段のような馬鹿力は期待できなそうだ。
「今回は、マキナには頼りっぱなしになれないってことか」
「私をなめないでくださいよ。人の子ぐらい簡単にひねってあげます」
「だといいが……」
旬とマキナの靴が妙に響いて、不安な気持ちになる。
すると、後ろから2人を襲う
大量の銃声。
その無慈悲な音は地面を抉り取った。
「気付かれたぞ、隠れろ!」
幸運なことに、その場に恐らく車であっただろう残骸があったので、それを飛び越え、その裏に隠れた。
撃ち抜かれた旬たちの足元には、しっかりと複数の弾痕が残っている。
「だいぶ後ろから。ということは、相手はマップを把握しきってるってことか……」
恐らく、俺たちが油断しきってる所で裏を取り、一瞬で片をつけるつもりだったのだろう。
しかも路地の側からいけば、足音も抑えて詰めることができる。
「撃ってきたのは誰でしょう。見る余裕がありませんでした」
「とりあえず、俺がここは何とかする!」
旬は、半身だけ車から乗り出して撃たれた方向に撃った。
どこにいるのかは分からないが、牽制のためにとりあえず撃つ。
すると、旬の視界の下部に残弾数と思われる数字が現れていた。
そして残弾数は、10発から6発に減った。
「入り組みすぎて、どこから来るのやらです……」
「多分、撃つ場所を変えるんだろう!路地から移動するなら、時間がかかるはず。早く俺達も余裕のある場所へ!」
全速力で戦場の真ん中を駆け抜けた。
もしかしたら今撃ち抜かれてしまうかもしれない。
その恐怖が旬を全力にさせる。
「はぁっ、はぁっ」
頬を風が引き裂いてしまいそうなほど、空気が硬直している。
少し走ると、入れそうな建物を発見した。
上の階に辺りを撃ち下ろせそうな窓があり、ここを取れば戦術的アドバンテージを取れると旬は確信していた。
走った勢いそのままで、肩を使い、扉を突破する。
「やりましたね!撃たれないかひやひやしましたよ……」
「ひとまず、上へあがるぞ」
「はい!」
古く汚れたグレーの階段を上ると、そこには酷く散らかった部屋が広がっていた。
事務机が並び、紙が散乱している。
その最奥には、旬の腰上ぐらいの高さに窓が張られている。
「うわっ、ほこりがっ……」
「旬さんの部屋に似てます……ね」
「早く窓から外見ろ!」
マキナが窓の外を小走りで確認しにいく。
「……1人。奥の方に。さっきいた車に隠れている」
「もう1人は!?」
「見つからないです……。気配すらない」
「車にいるのは、アンさんかな」
「気付かないうちに、撃ちます」
「おい、待っ……」
銃をしっかり肩で構え、サイトを覗くその表情は、あの鋼鉄の顔。
それに気付いたのもつかの間、マキナの銃声から眩しい光が発せられた。
寂しい部屋に響く大音量の銃声に、激しく光るマズルフラッシュ。
ライフルに撃ち抜かれた、無数の硝子。
マキナの掃射は、車の残骸とその周りを貫き尽くした。
「ライフル弾の貫通……」
先程車の裏に隠れてやり過ごせたのは、ライフル弾のような貫通性がなかったからだ。
「ここは、奴から負けないポジションだ。ここを取れば」
「ここを取ればなんだって?」
汗をかきたいぐらい暑いはずなのに、なぜかその瞬間冷たくなった。
なぜならすぐ近くで無情な銃口が向けられて、その主は
「アン……!」
アンが片手でピストルを握り、肩を一直線に旬の方向へ揃えて、引き金を指にかけている。
「ふっ!」
マキナはそれに瞬時に気づき、後方のアンへ蹴りを繰り出す。
「気付くか」
それを見たアンは、空中へ銃を放り投げ、全身を逸らすように地面に手をつけ回転し、マキナの蹴りを寸前で交わした。
それにより、銃口が旬から外れる。
「今!今だ!」
旬は握っていたピストルをアンに向け、数発乾いた弾丸を放つ。
「……そんなの」
手を地に付けた状態で身体が回転するのが見えた。
「見切れてる」
旬の放った弾丸は、至近距離からだったのにも関わらず、身体の合間にある虚空に吸い込まれるようにして消えていった。
「なんっ、だって」
その時、旬はあの『瞬間を見る力』を使おうとした。
しかし、あの時のように状況が見えない。
相手の動き、空気の動き、自分の動き。
何も、見れない。
「はぁっ!」
真っ白になった旬の頭に蹴りが打ち込まれた。
身体を逆さにしたのは、この蹴りも計算されてのことだったのだ。
「へぶっ!」
その蹴りは、明らかに常人の強さでは無い。
肉体面での強度が常人レベルに合わせられているのなら、ありえないほどの衝撃。
旬は、並べられた事務机に縫い付けられていた糸の如く叩きつけられた。
「ふごっ!(強っ!)」
旬を蹴った後、体勢を調える過程で空中に留めた銃を取る。
それをすぐさまマキナへ向けたが、マキナもそれに応じて長銃を片手でもってアンへ向けた。
お互いが、お互いへ銃を突き付け、命を握りあっている。
「やっぱあんた、人間じゃない」
「全然、人間ですが」
毅然とした態度をとる2人に流れる、乾燥した空気は旬の身体を自然に包み込んだ。