~ぼっちな俺の家にロボットの女の子が来た結果、その女が想像以上のやべーやつだったため、最悪の陰謀に巻き込まれます~機械創世記・MaKina   作:ハーレム好き男

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19 盟友集約のアルケウス

 

「アンー!」

 

 そして、こちらも隠れていたミカがアンの所にすぐさま駆け寄り、抱きついた。

 

「ほんとに心配した……。よかった、無事で……」

 

「だったらお嬢様に変なメッセージ送らないで。馬鹿」

 

「あっ、ばれちゃった……」

 

 辺りの緊張は解け、アンとミカの表情には綻びが見えている。

 

「……よっと!一件落着ー」

 

 上空からマキナが降ってきて、旬の元に着地する。

 

 アンとミカはそれを見た途端、目が点になった。

 

「旬くん、デウスを倒しちゃったんですか?凄いですね!さすが仲間です!」

 

「えぇ……」

 

 ミカの空いた口が塞がらない。

 

 そしてマキナの手には、いくつかアラクネが抱えられていた。

 

「あ、ああ。まぁ半分アンがやったけどな」

 

「アンって、アンってあの怖い人ですか!?」

 

「……横にいるぞ」

 

「んんっ……」

 

 気まずそうに眉をしかめる。

 

「ああっ、ごめんなさいです!アン様!」

 

「んん、いいの。僕もやりすぎたから」

 

 何故あそこまでアンが敵対的だったのか、旬にはその事情が分かっていた。

 

「……真紀奈って、ほんとに人間じゃないんだ」

 

「えっ、なんのことですか?まっ、まさか私が人間じゃないなんて……」

 

「アン、人には言えない事情もあるよ……」

 

 そう言って、ミカはアンの顔を見た。

 

 1番驚いていたミカがこちらの事情を察して気を遣ってくれたのが、旬には嬉しかった。

 

「まぁ、俺からも詳しくは言えない。今のところは」

 

 起き上がって、服を手で払いながら言う。

 

 謎のロボット集団の陰謀に巻き込まれているなんて信じるわけがないし、言う必要がない。

 

 今回の1件で、あいつらが彼女らを消すという暴挙に出ないで欲しいが。

 

「……僕も助けて貰ったし、追求はしないでおく」

 

「ありがとうね、真紀奈様……」

 

「あっ、ああ、はい!ありがとうございます!」

 

 マキナの焦ってる顔も、久しぶりに見るような感じがする。

 

 ひとまず、誰も負傷者が出なかったことにほっと安心した。

 

 しかし、マキナの正体が事実上バレてしまったのは、この際二の次だ。

 

 2人のこれからの安否を、旬は誰よりも気にしていた。

 

「まぁ、もう夜も遅いから帰りなよ。俺たちはこいつのこと調べなきゃいけないからさ」

 

 エニグマのこと。

 

 ラプラスの悪魔のこと。

 

 マキナとエクス、トリニティのこと。

 

 “父なる神”と、“聖霊”のこと。

 

 分からないことが多すぎた。

 

「じゃあ、帰るね」

 

「また学校で、お2人とも……」

 

「じゃあお友達2人は、なんかあったら俺に言えや。店にいっからよ」

 

「ありがとうございます。2人とも、じゃあね」

 

 アンとミカは手を繋いで、駅の方向へと消えてった。

 

 そうして、ゲームセンターの前にはマキナと旬だけになった。

 

 無機質な街灯の明かりだけが、2人を照らしている。

 

「……とりあえず、こいつ壊します」

 

 マキナは手を肩に添え、大きく肩を回している。

 

 回すと言うより、回転させている。

 

「ちょっ、ちょっとまった!」

 

「なんですか?こいつに慈悲なんていりますか?」

 

 旬にそう問うマキナの目つきは、何気ない、世間話をしているようだった。

 

「いや、仮に兄妹だろ?なんでエクスの時は躊躇ったのに今回だけ」

 

「……だってデウスは」

 

 マキナの肩の回転がとまり、唇を震わせながらしゃがみ込んだ。

 

「小さいころに、死んでいるのです」

 

 それを聞いた旬は、デウスの言ったことをもう一度想起させる。

 

「トリニティには、3人のヒューマノイドの子がいるって……」

 

「それは、嘘です。……ヒューマノイドになれたのは、私と、エクスだけ。デウスは……」

 

 マキナはそう言うと、旬の方を見た。

 

 旬を見上げるマキナの目は悲しみに歪み、今にも溢れ出してしまいそうだった。

 

 しかし、ヒューマノイドのマキナには涙を流すことは出来ない。

 

「デウスは、ちっちゃい頃、ヒューマノイド化の施術で死んじゃったんですよ」

 

「……そう、なのか」

 

「んっ……ごめんなさい。私らしくもなく」

 

「謝るな。お前が悲しいなら、謝る必要はない」

 

 しばらく2人はしゃがみこみ、デウスと言われていたオートマタを目の前に、お互いに身体を寄せあった。

 

 街灯の明かりが消えかかったり、急に明るくなったりして、2人の影が多様に変化していった。

 

「……多分この前の事件も、今回の事件も、トリニティが絡んでます。そして私は、現在トリニティの反乱分子として、エクスやこいつに狙われているのだと思います」

 

 マキナは、真剣な面持ちで旬に話し続けた。

 

 “父なる神”と呼ばれるヒューマノイドを作った開発者らと、ヒューマノイドら“神の子”。

 

 そして、そのヒューマノイドが体験したデータやログが“聖霊”。

 

 “トリニティ”は、“父なる神”らが“聖霊”を回収するためにあるMIA内の極秘組織であること。

 

 エクスや偽デウスが行っていた事は、全て“父なる神”らの命令だと言うこと。

 

 自分も、トリニティの一員だったこと。

 

 それにより、アラクネの位置が分かっていたこと。

 

 旬のもとに送られたのも、“恐らく”、聖霊を回収するための任務だったこと。

 

 それの詳細な内容も、記憶を消されていて分からないということ。

 

 エニグマとラプラスの悪魔、トリニティの真の目的については、何も知らないこと。

 

 マキナは、エクスとの時、旬に何も知らないと嘘をついていたこと。

 

 それらを全て話し、旬に嘘のことを謝った。

 

「ごめんなさい。旬くんを巻き込みたくなかったんです」

 

「ああ、いいよ。それに、こうやって話してくれたから結果論、何も悪く無いわけだし」

 

 マキナはそれを聞くと、顔がぱっと明るくなった。

 

「それでは、こいつの頭をぐちゃぐちゃにひねり潰して……」

 

「グロいからやめろよ!……とりあえず、ここに放置するわけにもいかないからな。どうしようか」

 

「じゃあ全身を折りたたんで小さく……」

 

「だからグロいって!」

 

「えー、じゃあ野ざらしですか?」

 

「野ざらしにしとけば、また戦うことになるよな。どうしたら……」

 

 旬は、眉間に指を当てて考える。

 

 すると、横から何気ない返答が返ってきた。

 

「また戦えばいいじゃないですか、今度は喋る間もなくぶっ壊します」

 

「おお、そうか……」

 

「こいつ、弱いですよ。悪魔がなんとかって言ってましたけど、全然見えてないじゃないですか。ばーか!べー」

 

 目を閉じている男にむかって、下まぶたを指で引き下げ舌を出す挑発的なポーズをする。

 

「また、友達が危険に晒されたら……」

 

「……旬くん。なんか明るくなりましたよね」

 

「ああ、そうだな。友達なんて、前までいなかったし」

 

「同時に守るものも増えましたね」

 

「友達を失うのは、怖いもんだよ」

 

「私も……」

 

 急に顔を赤らめ、旬から目線を外した。

 

「旬くんがいなくなったら、悲しいのです」

 

 そっぽを向くその目は、少しだけ緩んでいるように見える。

 

「なっ、なに急に!どうしたんだよ!」

 

「……なんでもないですよ!それに、トリニティが特定の民間人を殺害するとは思えません」

 

「どうしてだ?」

 

「アラクネで操作できるロボットやオートマタは、民間人皆殺し、みたいに不特定な行動は出来ます。

 

 ですが、公務ドローンの整備が厳重になった以上、特定の人を暗殺するみたいなことは、大量に配備するか、自立したヒューマノイドが直接手を下さない限り不可能です」

 

「……殺すとすれば、エクスかデウスだけか」

 

「ヒューマノイドと言えども、家に押し入って人殺しなんてすれば目立ちまくりですから、ないでしょうね」

 

「問題がないなら、いいんだが」

 

 旬の胸には、不安の黒いモヤがかかりっぱなしだった。

 

「完璧なマキナちゃんがいれば、全員無事なのです!」

 

「……任せたぞ。マキナ」

 

 マキナだったら、アラクネの反応を受け取り、暗殺を未遂させることは容易だろう。

 

 その時旬は、マキナを仲間として信頼することを思い出した。

 

 マキナは、全員守ると言ってくれている。

 

 俺は、それを信頼するしかない。

 

 旬は湧き出る不安を無理やり押さえ込み、デウスを放置して2人で帰ることにした。

 

 駅までの道は、妙に細く見えた。

 

 

 

 

「……“デウス”が、人間より破壊されました。復旧をお願いします」

 

「……そして交戦時、3人の一般人に姿を見られたようです。今から3人を排除します」

 

「……排除する必要はない、と」

 

「……かしこまりました。“主よ”」

 

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