~ぼっちな俺の家にロボットの女の子が来た結果、その女が想像以上のやべーやつだったため、最悪の陰謀に巻き込まれます~機械創世記・MaKina   作:ハーレム好き男

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22+ 瘧病看病のノスタルジア

 

「旬くんからは……、ないんですか?」

 

 旬の目をいちべつして、細々とした声で言った。

 

「俺から?……はっ」

 

 胸の締め付けが一気に強くなる。

 

「俺から……」

 

 マキナの口を注視してしまう。

 

 その柔らかそうな質感に、艶やかで淡い薄紅色。

 

 夕暮れは、いっそう口の情緒を鮮やかに見せた。

 

「……俺から、だよな」

 

 いや違う、唇じゃなくて頬にするんだよ。

 

 と、胸の内で自分の頬を叩く。

 

「俺もしないと……」

 

 身体の中に熱い芯が突き刺さったようだ。

 

 目の奥、耳の外側、顎の輪郭、全て常軌を逸した熱さを感じる。

 

「(……ここでしないと、ダメなんだよな)」

 

 マキナが旬にしたように、腕を動かそうとした。

 

「……あれ、身体が」

 

 動かない。

 

 身体が異常に熱くて、だるくて、なんだか力が入らない。

 

 視界がぼやけて、マキナの顔がよく見えない。

 

「はぁっ、はぁっ」

 

「旬くん?大丈夫ですか?」

 

 身体の制御がきかず、息がどんどん荒くなる。

 

 ダメだ、これは

 

「死ぬっ……」

 

 熱だ。それもかなり重症な。

 

「旬くん!?」

 

 

 〇

 

 

 何が起きたのか分からなかったが、旬は気づくと天井を見上げていた。

 

 枕の布はぐっしょりと湿っているのを後頭部で感じられるし、自分の額に大量に冷たい汗のつぶが浮かんでいるのも感じられる。

 

「旬くん!……旬くん!目が覚めたんですか!?」

 

 必死に俺の事を揺するマキナ。

 

「…………ごめん、倒れちゃったのか。俺」

 

「急に倒れるから心配したのです!」

 

「マキナにはおんぶにだっこだな。ほんと」

 

 自分を見下ろすマキナの顔を見て、思い出す。

 

 短い間にあった、たくさんの出来事。

 

 ……エクスに殺されそうになった時、逃げるのを助けてくれた。

 

 ……ペトラ、ミカ、アンと仲良くできたのは、マキナが架け橋となってくれたからだった。

 

 ……エニグマで勝つことができたのは、マキナのおかげだった。

 

 ……デウスが池袋を襲撃した時は、暴走した機関兵を止めてくれて、多くの人の命を救うことができた。

 

 ……パソコン部に入るきっかけも、マキナだった。

 

 ……そんな事実らより大切なこと、“マキナは俺を初めて愛してくれた”こと。

 

 マキナは、旬にとって、無くてはならない存在にすらなっていたのだ。

 

「そういえば、ベッドで寝たいって言ってたよな」

 

 旬はふと思い出した。

 

「はい、そうですけど何の関係が……」

 

「一緒に寝よう。マキナなら風邪は大丈夫だろうから」

 

「きゅっ」

 

 変な声を出して、顔を赤くするマキナ。

 

「ほら、入りなよ」

 

 旬は、体を壁際に寄せ、被った布団を手で開いて、その中にマキナを招く。

 

「おっ、お邪魔、します……」

 

 マキナは、旬に向かい合うようにしてその中へ入った。

 

 2人で寝るベッドは、すこし所狭くて、息苦しい。でも幸せだ。

 

 目と鼻の先にある。

 

 綺麗な目、繊細な息遣い、暖かい体温がそこにある。

 

「……ベッドで男女一緒に寝るのは、いけないことなんじゃないんですか」

 

 マキナは、向かい合っていた目線を逸らした。

 

 そういえば、いままでそうマキナに言い聞かせていたな。

 

「好き同士なら、いいらしいよ」

 

「……それはすこし違う好きじゃないんですか」

 

「ううん、家族とのスキンシップも大切だって。家庭科で習ったよ」

 

 マキナがもじもじと足を動かしているのか、布団もそれに合わせて動く。

 

「んっ、もう寝てください。病人のくせに」

 

 マキナは目を合わせようとしない。

 

「はいはい、寝るよ」

 

 そうして旬は瞳を閉じて、マキナの感覚に包まれながら眠りについた。

 

 ベッドの中では、旬の細い寝息だけが聞こえる。

 

「……言ってただけなのに本気にしちゃうなんて。ばか」

 

 そう、小さく呟いているのもかすかに聞こえた。

 

「……私がもたないじゃないですか」

 

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