~ぼっちな俺の家にロボットの女の子が来た結果、その女が想像以上のやべーやつだったため、最悪の陰謀に巻き込まれます~機械創世記・MaKina 作:ハーレム好き男
「旬くんからは……、ないんですか?」
旬の目をいちべつして、細々とした声で言った。
「俺から?……はっ」
胸の締め付けが一気に強くなる。
「俺から……」
マキナの口を注視してしまう。
その柔らかそうな質感に、艶やかで淡い薄紅色。
夕暮れは、いっそう口の情緒を鮮やかに見せた。
「……俺から、だよな」
いや違う、唇じゃなくて頬にするんだよ。
と、胸の内で自分の頬を叩く。
「俺もしないと……」
身体の中に熱い芯が突き刺さったようだ。
目の奥、耳の外側、顎の輪郭、全て常軌を逸した熱さを感じる。
「(……ここでしないと、ダメなんだよな)」
マキナが旬にしたように、腕を動かそうとした。
「……あれ、身体が」
動かない。
身体が異常に熱くて、だるくて、なんだか力が入らない。
視界がぼやけて、マキナの顔がよく見えない。
「はぁっ、はぁっ」
「旬くん?大丈夫ですか?」
身体の制御がきかず、息がどんどん荒くなる。
ダメだ、これは
「死ぬっ……」
熱だ。それもかなり重症な。
「旬くん!?」
〇
何が起きたのか分からなかったが、旬は気づくと天井を見上げていた。
枕の布はぐっしょりと湿っているのを後頭部で感じられるし、自分の額に大量に冷たい汗のつぶが浮かんでいるのも感じられる。
「旬くん!……旬くん!目が覚めたんですか!?」
必死に俺の事を揺するマキナ。
「…………ごめん、倒れちゃったのか。俺」
「急に倒れるから心配したのです!」
「マキナにはおんぶにだっこだな。ほんと」
自分を見下ろすマキナの顔を見て、思い出す。
短い間にあった、たくさんの出来事。
……エクスに殺されそうになった時、逃げるのを助けてくれた。
……ペトラ、ミカ、アンと仲良くできたのは、マキナが架け橋となってくれたからだった。
……エニグマで勝つことができたのは、マキナのおかげだった。
……デウスが池袋を襲撃した時は、暴走した機関兵を止めてくれて、多くの人の命を救うことができた。
……パソコン部に入るきっかけも、マキナだった。
……そんな事実らより大切なこと、“マキナは俺を初めて愛してくれた”こと。
マキナは、旬にとって、無くてはならない存在にすらなっていたのだ。
「そういえば、ベッドで寝たいって言ってたよな」
旬はふと思い出した。
「はい、そうですけど何の関係が……」
「一緒に寝よう。マキナなら風邪は大丈夫だろうから」
「きゅっ」
変な声を出して、顔を赤くするマキナ。
「ほら、入りなよ」
旬は、体を壁際に寄せ、被った布団を手で開いて、その中にマキナを招く。
「おっ、お邪魔、します……」
マキナは、旬に向かい合うようにしてその中へ入った。
2人で寝るベッドは、すこし所狭くて、息苦しい。でも幸せだ。
目と鼻の先にある。
綺麗な目、繊細な息遣い、暖かい体温がそこにある。
「……ベッドで男女一緒に寝るのは、いけないことなんじゃないんですか」
マキナは、向かい合っていた目線を逸らした。
そういえば、いままでそうマキナに言い聞かせていたな。
「好き同士なら、いいらしいよ」
「……それはすこし違う好きじゃないんですか」
「ううん、家族とのスキンシップも大切だって。家庭科で習ったよ」
マキナがもじもじと足を動かしているのか、布団もそれに合わせて動く。
「んっ、もう寝てください。病人のくせに」
マキナは目を合わせようとしない。
「はいはい、寝るよ」
そうして旬は瞳を閉じて、マキナの感覚に包まれながら眠りについた。
ベッドの中では、旬の細い寝息だけが聞こえる。
「……言ってただけなのに本気にしちゃうなんて。ばか」
そう、小さく呟いているのもかすかに聞こえた。
「……私がもたないじゃないですか」