~ぼっちな俺の家にロボットの女の子が来た結果、その女が想像以上のやべーやつだったため、最悪の陰謀に巻き込まれます~機械創世記・MaKina   作:ハーレム好き男

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6+ 帰巣法則のアナトリー

 

 日は、すっかり出ている。

 

「はい、はい。すみません、家庭の事情で。はい、はい、失礼します」

 

 耳に携帯をあて、誰かと連絡をとっているのは旬だった。

 

 職員室へ、学校を休む旨の連絡をしていた。

 

「はい、休めたよ」

 

「行きたかったな……」

 

 彼女は、口をとがらせて下を向いていた。

 

「ごめんな。俺、来なければよかった」

 

「……私ね、実は見目さんの位置、分からないんです」

 

 遠くを見ながらマキナが言った。

 

「そう……なのか。なんで嘘なんて」

 

「エクスのこと、説明するつもり無かったから」

 

 すこし微笑んでいたが、旬の方は向かなかった。

 

 彼女は普通話す時必ず目を見て話すから、旬は不思議な感覚を覚えた。

 

「ああ、あの蜘蛛。トラッキングできるんだもんな」

 

「しかも私、わかってたんですよ」

 

「何を?」

 

「改造ドローンが、見目さんを襲うこと」

 

「そう、なのか」

 

 旬は、マキナが何者なのか分かったつもりだった。

 

 でも、そうじゃない。

 

 マキナは、ずっとずっと違う世界で、ひとりで“生きてい“て、何かをするために行動している。

 

 マキナのことは、結局分からない。

 

 友達にも、家族にも、なれないのかもしれない。

 

 “俺”は、旬は、1人だった。

 

「……だから、謝らないでください。私にも、落ち度はありますから」

 

「そっか」

 

「さあ、帰りましょう。もうすっかり朝ですから!お腹すいたし!」

 

 マキナが旬に手を差し伸べ、にこっと軽快に笑った。

 

 旬にとって、この笑顔は、希望で、宝物だ。

 

 偽物か、嘘か、それすら分からない宝物。

 

 雨雲におおわれた旬の世界に、一筋差した救いの光。

 

 旬は、その手を取った。

 

「……俺は!」

 

「へっ?」

 

 旬は手を、いままでまともに握ったことの無い“人”の手を、精一杯力を込めて握った。

 

「俺は、まだマキナが何も言えなくてもいい。それでいいんだ。でも俺も力になりたい!」

 

 その手をぐっと胸元に手繰り寄せ、マキナとの顔の距離が近くなる。

 

「あっ、ちょっ」

 

「ひとりが辛いことは、俺が1番わかってるから。マキナを、絶対にひとりにさせない」

 

 一直線、マキナの瞳を見る。

 

 旬がひとり。それはすなわち、マキナもひとりということ。

 

 マキナが感じている孤独を、“俺”が埋めたい。

 

「だから、ひとりになろうとしないでくれ」

 

 旬は、マキナを分からないと感じる反面、よっぽど信頼していたのだ。

 

 旬に好意的なマキナ。その存在を信頼していた。

 

「……俺を、頼って」

 

「……」

 

 マキナはそのまま旬から目を逸らして、動かなくなった。

 

「いや、、ごめんマキナ。急にびっくりさせ……」

 

「ぴひゅぅ……」

 

 マキナは、突然後ろに倒れる。

 

 その顔は、蒸されたかのように真っ赤になっていた。

 

「あぶなっ!」

 

 旬が後ろに手を回し、後頭部が地面に衝突するのを辛うじて阻止できた。

 

「……か」

 

「危ないなぁ」

 

 ボソボソとマキナは何かを言いながら、顔を手で覆い隠していた。

 

「……ばーか」

 

 

 

 

 

 

「いっぱいコンビニで買ったし、これで晩アンド朝飯ってことで」

 

「いえーい!」

 

「食べていいぞー」

 

 あの後、無事2人は家に帰ることが出来た。

 

 始発の電車で移動し、コンビニで食糧調達し、家に帰ってきた。

 

「わぁ、おにぎり……」

 

 コンビニのありふれたおにぎりを見つめ、目を輝かせる。

 

「こういうのには疎いのな」

 

「いえ、知ってはいるのですが、目の前にすると圧巻……」

 

「お、おう」

 

 その包装を取ろうと、マキナはあちこちを破こうとするが開けられない様子だ。

 

「むむむ……」

 

「どれ、貸してみ……」

 

「ああっ!」

 

 旬が手を伸ばした瞬間、マキナの持っていたおにぎりが炸裂した。

 

 真っ二つにちぎれ、床に落下する。

 

 2つは対の方向へと吹き飛んでいく。

 

「ふんっ!」

 

 旬は、男と対峙した時の瞬間を見る力を使って、両手でしっかりおにぎりを受け止めた。

 

 あの時から、旬はあらゆる物の移動に注目することで、その物がそれからどう動くのか何となく予知できるようになっていた。

 

 しかもその瞬間は、旬にとって超低速で時間が流れているように感じる。

 

 何故かは分からないが、旬にはこの不思議な力が使えるようになっていた。

 

「すごっ!」

 

「なんか、出来るようになってたんだよ」

 

「出来るように?」

 

「ああ、エクスと一悶着あってからなんだが……」

 

「そんな不思議なことあるんですね」

 

「マキナもなんだか分からないのか」

 

「ええ、全く。今度は嘘じゃありませんよ」

 

「そうか……」

 

 ローテーブルに割れたおにぎりを置く。

 

「丁度2つになったので、食べましょう?一緒に」

 

「ああ」

 

「『あーん』っていうんですか?それ、して欲しいです!」

 

「えぇ……」

 

 旬は、少し照れくさかった。

 

「んっ……一般的にだな、俺たちみたいな歳の人間はしないっていうか」

 

「そうなんですか……」

 

 悲しそうな顔をする。

 

「ごめんごめん!するから!」

 

 学校に行かせてあげられなかったことに、旬は罪悪感を感じていた。

 

「はい」

 

 旬は片手で床に手をつき、片手でおにぎりを上めで持った。

 

「やった」

 

 やや大きめに口を開けるマキナ。

 

 口の中は艶やかな赤で、若干湿っているようにも見える。

 

 見れば見るほど、人間だ。

 

「なにじっと見てるんですか?」

 

「ああ、ごめん。ぼーっとしてた」

 

「もう、しっかりしてください」

 

 マキナという存在との向き合い方。

 

 それは、“仲間”という形。

 

「はい、じゃあこのおにぎりは、仲間の証」

 

「というと?」

 

「お互いに食べさせあって、仲間の契とするんだよ」

 

「仲間……?」

 

 マキナは旬の顔を見て、不思議そうな表情をした。

 

「そうだ、これから俺とマキナはお互いを助け合う仲間」

 

「そう……ですね!」

 

 そう言って目を閉じ、くすっと笑った。

 

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