父と子と聖霊のなんちゃら   作:NJ

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腰痛きつい…まさかこの歳でアラフィフの苦労を知るとは
みんなも年末年始だからってハッスルしすぎちゃダメだぞ!





断章 虚無に残りしもの

 

 

 ───南米異聞帯

 ミクトラン最下層、シバルバー

 

 かつて、今は亡きカーンの王がORTを打倒し封じた場所で、彼らは相対していた。

 

 方や汎人類史を取り戻すべく白紙化地球を奔走するノウム・(新たなる)カルデア。

 

 そしてそれを代表する人類最後のマスター、藤丸立香と彼のファーストサーヴァント、マシュ・キリエライト。かの万能の天才の後継機として設計された第二のレオナルド・ダ・ヴィンチ。

 

 方や南米異聞帯を担当するクリプター(秘匿者)であり、かつてのフィニス・(旧き)カルデアAチームのメンバーであった男。

 

 デイビット・ゼム・ヴォイド。

 異端揃いの時計塔伝承科の中でも更に異彩を放った『人型の虚無』とも称されし非人間。

 

 そして、本来は敵でありながら紆余曲折(なんやかんや)あってここまでカルデアに同行してしまった自称地球大統領U-オルガマリー。

 

 煮えたぎる火の海(マントル)の上に張られた空想樹の根を足場に向かい合い、死闘を繰り広げる両者。

 

 デイビットのサーヴァントである全能神テスカトリポカを撃破こそしたものの、未知の異能をもって地球外の存在を召喚するデイビットにカルデアも苦戦させられ、決定打を見出せずにいた。

 

 そうしている間にもデイビットの足は停止状態のORTへと向かう。

 現在ORTは仮死状態にはあるが、彼とテスカトリポカによる入念な準備で既に再起動まであと一押しの状態だ。

 

 そして、デイビットとORTの接触によってその一押しは果たされる。

 

「──────────」

 

 永遠にも思えるほど永く短い数秒間。

 その間に、デイビットはここに至るまでの動機(はじまり)を改めて確認し始める。

 

 

 

─────

───

 

 

 

 彼の父は、魔術師ではなかった。

 

 ただ、セム族のオーパーツ等の発掘・研究に関してのエキスパートとして時計塔の歴々と肩を並べるほどの人物として一目置かれ、時計塔に研究室を与えられていた。

 

 その中には、セム由来(天使の遺物)ではないものもチラホラと。

 

 それらはハタから見ればオーパーツとは到底思えない…子供の玩具にも劣るような物品の数々だったが、父はそれを他の発掘品と並べて大事に扱っていた。

 

 未知の素材で作られた紙切れに、これまた未知の顔料で描かれた子供の落書きを。

 

 現代には存在していない絶滅した樹木で作られた子供用の食器を。

 

 紀元前に作られたであろう粘土細工の不出来な人形を。

 

 父は言った。

 

『これはきっと、特別なものではない』

 

『魔術的にも考古学的な価値も恐らく存在しないだろう』

 

『だが、それでも大切にしなくてはならない理由がある』

 

『時計塔の彼らには決して理解できない、特別な───』

 

 実際、これらは時計塔のロードをはじめとした多くの研究者の目に留まったが、すぐに全員興味を失くしてしまった。

 

 調べれば調べるほど、これらの物品の無価値さに気づいてしまったのだ。

 

 未知の素材で作られているだけで、それ以外の特殊な部分は何一つ見られなかったからだ。

 

 何かしらの概念武装というわけでもない。

 加護も呪いも何もない。

 

 本当に、何もなかった(・・・・・・)

 

 ただ希少な素材を、価値も分からぬ古代の愚者が無駄使いして作り上げたガラクタと烙印を押して放り捨てた。

 

 だが、父だけはそれを大事にしていた。

 

 だから、彼も…父の息子(◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎)もそれを大事にした。

 

 父と◼︎◼︎が『輪』によってこの世から消滅しても、残されたそれを手元に置き続けた。

 

 それが『善いこと』だと、特に根拠もなくそう判断したから。

 

 父がそうしたように、作業用のテーブルの片隅でケースに保管していつでも鑑賞できるようにしていた。

 

 作業的な食事という名の栄養補給の時のお供にする程度には、大事にしていた。

 

 そうして、いつもと変わらず時計塔で仕事を終え、その晩は研究室で夜を明かそうと質素な晩餐のパンを退屈そうに齧っていた。

 

 伝承科の知己が贈り物で貰ったが自分は下戸だからと押し付けられたワインを、特に好きというわけでもないが…今日くらいはと一杯だけ口にした。

 

 目の前の『食器(・・)()向き合う(・・・・)形で(・・)

 

 

 

 

 

ドクン

 

 

 

 

 

 その時、彼は見た。

 

 “真理”を

 

 あの“扉”を。

 

 そして、その前に座る───

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく来たな。◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎・◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎」

 

「歓迎しよう───我が末裔(にんげん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 皮肉にも、時計塔に所属する者の中で、“そこ”に到達できたのは彼の父と────どの魔術師よりも非人間と見なされた彼だけだった。

 

 

 

──────

───

 

 

 

 

「やっと倒せた!」

「デイビットは!?」

 

「遅い。2秒遅かったなカルデア」

 

 どうにか外宇宙の使徒を撃破したカルデア。

 が、デイビットは既に墓穴の目前であった。

 

「1秒でもあれば私のプラズマで────!」

 

 させまいと放たれるオルガマリーの一撃。

 それは吸い込まれるように彼に着弾し…煙のように霧散した。

 

「───な!?」

 

「無駄だ。異星の神の攻撃は俺には通じない」

 

 驚愕に表情を歪める全員を前に、デイビットは胸元を曝け出す。

 

「何故なら、ここに異星の神の心臓(・・・・・・・)があるからだ」

 

 そこには、力強く脈打つ異形の臓器があった。

 

 そして、デイビットは語る。

 ORTを復活させる上での保険(プランB)として異星の神の心臓をテスカトリポカに奪わせたこと。

 しかし、そのままでは異星の神本人に気づかれてしまう事を危惧して自身に移植。問題なく活動している状態だと誤認させて時間稼ぎをしたこと。

 

 愕然とするオルガマリーとカルデアを他所にとうとうORTが眠る穴へと辿り着いたデイビット。

 

「待て!」

 

「遅い。 俺との交戦に乗った時点でそちらの敗北だ」

 

 ORTまで、あと一歩。

 

「だが、最後に───一番はじめの質問を返しておこうキリエライト」

 

「俺の目的は『秩序の維持』と『解放』だ。それが人類にとって…そしてかの者(・・・)にとって善いことだと判断した」

 

 更に続けて衝撃の事実を明かす。

 この事件を引き起こしたすべての元凶たる「異星」の正体を。

 そして、断片的ながら前所長マリスビリーの狂気から生まれた計画を。

 

 カルデアに勧誘され、それを知らされた時に「地球を犠牲にしてでもカルデアスを宇宙の為に破壊しなくてはならない」と決意した事を。

 

 だが、そこにデイビットはもう一つ目的を加えた。

 

 

「そして、もう一つの目的は───ORTを利用してエデンを…『あの木』を完全に破壊することだ」

 

 

「…なんだって?」

 

 予想外のワードの登場に先ほどとは異なる困惑を見せるカルデア。

 だが、生憎とデイビットにはもう時間(・・)()なかった(・・・・)

 

「悪いが、もう説明する時間は無くなった。後はお前達が自分の目と耳で確かめると良い」

 

 そして最後の一歩を踏み出し…

 

「待っ────」

 

「急ぐんだなカルデア」

 

 

 

 

 

「『真理』が完成すれば、もはや誰にも聖四文字(◼︎◼︎◼︎◼︎)を止められなくなる」

 

「ORTにもカルデアスにも」

 

「他ならぬ、(ヤツ)自身にもな」

 

 

 

 

 

 そして、セムの男は闇に消えた。

 

 起動するORT、取り残されたカルデア。

 始まった滅亡へのカウントダウン。

 

 それでも、道は示された。

 

 その先に待つ者が、何者であったとしても。

 

 彼らには、進む以外の選択肢は無かった。

 




ついでに冬木の麻婆もパンとワインのお供に麻婆食ってたら偶然条件満たしてデイビットと同じもの見てたりする
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