地縛(但しARC-Vの)使いでダークシグナー擬き主の5D's 作:クォーターシェル
結局目ぼしいパーツが見つからなかった俺達は、サテライトでも嘗てのゼロリバースの被害が大きかった地域に存在するダイダロスブリッジの側に住んでいるクロウ・ホーガンを訪ねることになった。
クロウは嘗てロバート・ピアスンという男と共にDホイールの開発をやっていた。ピアスンの死後はその活動を止め、子供達と一緒に暮らしているが彼の所ならDホイールのパーツがある筈なので、一応知り合いである彼に頼むことにした。勿論ただでは無く、この間の『赤き目の狂戦士団』から入手した連中の盗品カードを手土産にしてだ。
「しかし、あのMデコの奴譲ってくれるかなぁ?」
「まあ、結構カード持って来たし、ブラックバードの予備パーツとは言わずともまともなパーツは譲ってくれると思うぞ」
と会話する俺とセクト。俺達とクロウは先も言った通り、知らぬ仲ではない。クロウの所の子供が悪漢に絡まれていたのを助けたことから、彼と知り合った。彼とも何度かデュエルしたのだが、俺も本気を出していないとはいえ高確率でボコボコにされている。だって相手は5D'sでもトップクラスのカードパワーの持ち主だもん。環境の頂点に立ったこともあるBFはキツイって……
まあそれは置いといて、ダイダロスブリッジに来た俺達はクロウの姿を見つける。
「おーい!クロウ!」
「ん?頼にセクトにあゆみか?どうしたぞろぞろと」
と言うクロウ。俺はクロウに所有しているDホイールのパーツを譲ってほしい旨を伝える。そしてカードを出した。
「ほお……こんなにどうしたんだ?俺みたいにセキュリティの保管庫に忍び込んだのか?」
と言うクロウにセクトは
「一緒にするなよ。これは頼がデュエルギャングの連中からせしめたんだよ」
と返す。それにクロウは
「それもそれで大概な気がするが……」
と言う。俺は
「まあ、一応これらは盗品だし、腐った悪党の手にあるより、子供達の元にあるほうがいいだろう?」
と言った。あゆみは
「お願いします……Dホイールのパーツを分けてください……」
と言う。クロウは
「わかったわかったよ、これだけ積まれちゃ引き換え無しって訳には行かないもんな。使ってないパーツをやるよ」
と言った。俺達は「ありがとう」と礼を言う。クロウは
「しっかしセクト、お前Dホイールのメインエンジンは持ってないんだろ?それじゃあいくらパーツを集めても仕方ないと思うんだがよ」
とセクトに言う。そう、実はセクトはDホイールのガワは組み立ててはいるものの、肝心のメインエンジンは入手してないのだ。しかしサテライトでは、偶にDホイールのパーツは手に入ることはあっても、流石に動くメインエンジンは入ってこないのだ。
このサテライトで自前のDホイールを持っている遊星やクロウの方が珍しいのだ。それ対してセクトは、
「うっ……俺だってホントはエンジンを手に入れたいんだけどさ、やっぱシティの方じゃないと入手できないか?」
と俯く。
「そうだなぁ……俺もブラックバードのエンジン1つ分しかねえし、サテライトじゃあ動くDホイールを手に入れるのはやっぱ難しいと思うぞ」
とクロウ。その言葉を聞いてセクトはますますへこむ。
「ああ~!シティに行ってみたいなぁ~!そうすればDホイールのエンジンも手に入るかもしれないのになあ」
と言うセクトに俺は
「今じゃサテライトの住人が勝手にシティに入る事は許可されてないからな。機を待つしかないな」
と言う。時期的にそろそろ5D's本編が始まる頃だと思うので、それによりシティとサテライトを自由に行き来できるようになる時まで待つしかないだろう。
「機を待つって何時まで待てばいいんだよ頼」
「さあ、何時までだろうな?」
と俺はセクトをはぐらかす。あゆみは
「シティですか……」
と呟く。俺は
「あゆみもシティに渡りたいのか?」
と聞いてみる。するとあゆみは首を横に振りながら
「いえ、私は頼さんとセクトさんがいるならこのサテライトでもいいです」
と言った。俺はそれに
「まあ、俺達とずっと一緒ってわけにもいかないだろ。いつかはあゆみもサテライトを出て行く時が来るだろうし」
と返した。俺の言葉を聞いたあゆみは少し寂しげな表情を浮かべる。俺はそんな彼女の頭を撫でると、
「大丈夫だよ。このサテライトで生きていくのは難しいけど、セクトのDホイーラーになる夢を叶える手伝いはするし、このサテライトで暮らしていくことはできる」
と彼女に言った。
「はい!」
と笑顔を見せるあゆみ。その後俺達はカードとパーツを交換して、自分達のアジトに戻るのだった。
◇ ◇ ◇
それから数日後のある夜。眠れなかった俺は、遠くにあるシティの夜景が見える場所に来ていた。煌びやかな摩天楼と光をボーっと見ていると普通の人間には聞こえない音で俺に話しかける者がいる。
『おい頼、もう物語が動き出してんだぞ。何時までもサテライトで燻ってんじゃねえ』
その言葉に俺は言葉を返す。
「そうは言うけどジラス。俺は此処でやっていくんで精一杯なんだ。物語に関わっていく余裕は無いよ」
と。話しかけて来たのはデュエルモンスターズのカードの精霊の地縛戒隷 ジオグラシャ=ラボラスだ。何時の頃からか、カードの精霊の声が聞こえるようになり、こっそりデッキの精霊と偶に会話するようになった。中でも良く話すのがジオグラシャ=ラボラスで、長いので縮めてジラスと読んでいる。
このジラス、話を聞くとどうにも遊戯王ARC-Vの世界からやってきたようで、この世界に地縛神の気配を感じて来たのだそうだ。そして俺と接触したことにより、自分の居た世界やこの世界の物語が俺の前世でアニメになってたことを知ったらしい。それでどうするのかと問うと、ジラス曰く『戦いたい』らしい。ジラスはシンクロ次元における自分の出自を語ってくれた。
シンクロ次元には赤き竜も地縛神も一応存在していたらしい。これらはそもそも劇中では5000年周期の中の休眠状態にあり人間達が何をしてようと、基本的に目覚める事は無かったそうだ。しかし融合次元から到来した男、ジャン・ミシェル・ロジェによって状況は少し変わったのだ。彼は融合次元・アカデミアからの高い技術力を持っておりシンクロ次元・シティの上層部に巧みに近づき、自分も権力者として収まった。
そしてシンクロ次元の調査を続けたロジェは、赤き竜の勢力と冥界の王の勢力の対決のことを知りこれを自分の戦力として利用しようと目論んだ。そうしてシンクロ次元における伝説の類を追っていき。地縛神達が封じられるナスカの地に至ったらしい。そこでロジェは大規模な研究を行い。地の底で眠っていた地縛神の力を異界の技術をもって一応の制御に成功したらしい。抽出された力はカードとしては地縛神とは似ても似つかないカード達になっていった。
これが遊戯王ARC-Vに登場する【地縛】らしい。そして、その事態に赤き竜も黙っておらず影からジャックのカードを強化したりしていたらしいのだが、結局地縛を使ったセルゲイは敗れた挙句に破壊され、ロジェも行方不明になり、ロジェが構想していた地縛神とシグナ―の竜を支配下に置く計画はとん挫したそうだ。
その後、持ち主が居なくなった地縛達は冥界の王の下へ還れるかと思ったが次元暴走に巻き込まれ、こちらの世界に渡って来たのだそうだ。そして、ジラスの願いは
『もっともっと色んなデュエリストと闘いてえ……』
というもので、俺はなんでそんなに戦いたいんだ?と問うとジラスは
『だってさあ!俺のデュエル数生まれてから1回で負けなんだぞ!?こんな戦績で成仏できるかよ!』
と叫んだ。俺は
「そう言われてもなぁ……」
と困ったように呟く。ジラスは続けて
『頼む!お前のデッキに俺を入れてくれ!そうすりゃあ俺の実力でお前を守ってやるからさあ!そうすれば他の連中とも戦えるし、なあ良いだろ?』
と叫ぶ。俺は「う~む」と腕を組んで悩む。確かに、この世界ではデュエルというものはとても重要だ。大切なここ一番と言う時に、勝敗は運命を大きく左右する。
それ故に、俺はカードを大切にしているしデッキを組む時もなるべくバランスの良い構成になるように心掛けている。ジラスは強力なカードだが、その分デメリットもあるし、デッキに入れるとしてもこの世界で生き抜くためには最低限の力が必要になるだろう。
それに、すこし気になることがある。俺はジラスに前の持ち主、セルゲイ・ヴォルコフのことをどう思ってたのか聞いてみた。ジラスは
『まあ、哀れな奴だったよ。俺と会う前から悪党だったようだが、俺がセルゲイの奴に会った時は既にあいつ身体中をいじくられてて、文字通りロジェのお人形さ。俺も最初は「何やってんだこいつ」って思ったけどな。まあ、結局俺達があいつと共に戦ったのは数回きりってのは残念だ』
と言った。
どうやらジラスは、セルゲイのデッキに入っていた時、セルゲイを気に入っていたらしく、彼なりに気にかけていたらしい。
「なあ、ジラス。もしも俺が、仮にだけど、ジラスをデッキに入れたとする。そしたら、俺はどうなる?」
と俺。するとジラスは
『そりゃあお前は俺に引っ張られちまって、この世界の人間じゃなくなっちまうかもな』
と言った。俺は
「まあ、俺は元々異邦人みたいなものだし、その程度なら何とかしてみるよ」
と答えた。そうして俺はジラスがデッキに入る事を許可した。
「よろしくな、ジラス」
『おうよ』
こうして、俺のデッキにジオグラシャ=ラボラスが加わったのであった。
◇ ◇ ◇
こうして時は今に至る。シティの夜景を尻目に俺とジラスは話していた。
『お前もうそろそろシティの方で不動遊星とジャック・アトラスのライディングデュエルが始まるぞ。観に行かねえのかよ』
「気にならないと言われれば嘘になるけど、ここからどうやって彼らが決闘疾走してる場所に追いつくのよ?」
原作の時期的にまだ序盤の方の展開だ。しかし俺は原作の展開に積極的に首を突っ込みたくない。それこそ世界の存亡が懸かっているのを何とかしたのが原作だ。俺は別に破滅願望者じゃない。
『普通に飛べばいいじゃん』
とジラス。
「えー、やだよ。目立つじゃん。というか、俺は目立ちたく無いんだよ。そもそも此処まで来るのも大変だし……」
と俺。ジラスは呆れた様子で
『ったく、ホントこの件に関しては消極的だな……じゃあ、勝手にいくよ。お前の身体を借りてな!』
とジラスが言うと、俺の片方の眼が黒くなり顔にも赤いマーカーが刻まれる。普通は鏡を見ないと変化に気づけないが、最近だと感覚で分かる。更に、俺の背中から地縛戒隷 ジオグラシャ=ラボラスの様な翼が生えて来た。しかもさっきから俺の身体の自由が利かない。
「ちょっ、待て!お前、まさか!」
と言いかけた所で俺の意識は途切れた。
目を覚ますと、そこはシティにあるスタジアムの内部だった。俺は急いで服を確認する。幸いなことに着ていたものはそのままだったのでひとまず安心した。
「おい、ジラス!居るんだろ!出てこい!この馬鹿野郎!!」
と俺は叫ぶ。すると、ジラスが
『おっ、やっと目覚めたみたいだな。いや~、なかなか良い景色だぜ?シティの街並みが一望できて、最高だろ?』
と話しかけてくる。俺は
「気絶してたんで分からなかったよ……しかしこのスタジアムはまさか……?」
と辺りを見回す。ジラスが
『お前の予想通りさ。選手入場のお時間の様だ』
と言ったのを聞きながら、何かが走行してくる音が聞こえた。そして深夜のスタジアムの内部に赤と白、2台のDホイールが走り込んで来た。……!あのDホイールの形状、間違いない!不動遊星とジャック・アトラスだ!!スタジアム内を走行する2人は俺達の存在には気づかずそのままライディングデュエルが始まった。
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