自分の手をおでこよりも少し上の辺りに。そうすると甲側が私の顔に近い側になってほんの少しだけ暗くなる。でも、その間の指をちょっとだけ広げながら、首を上に傾けるのと一緒に顔の向きも同じくするみたいにしている。でも、指の外側がそっち側、太陽の光の色に染まりかけてる。でも、私は小さく口を開けながら瞼を下ろして目の見えている範囲を狭めただけ。
でも、開いてるそこから出ていく息の音は全然聞こえなくて。代わりにあるのは自然だと里の中に生えてると思う木だったり雑草だったりが風で揺れてる音くらい。そんな中で、私はほんのちょっとな周囲の石畳を下駄で叩く音だったり、近くの家の中で物同士がぶつかってるのかなって思う音を聞くだけにしてた。
ただ、指の間の隙間から覗く空。そっちの方で何の色にも染まらないままずっと私たちの方へと光を照らし続けてる太陽。その下に雲が浮かんでいる様子も見えてて。曲げてた肘を目いっぱいそっちに向けて伸ばしながら、背伸びする動きと一緒に首を上へと向ける。ただ、それ以外には何もないのに、ただただ息を強く締め付けながら目を閉じて、わずかに体がぷるぷると震えちゃう感覚まで味わいながらいた。でも、それが切れるところで強く息を吐きながら全身を勢いよく前に倒しちゃった。
続けて、両方の膝の上に手を突いて何度も呼吸を繰り返す。おでこを隠している髪の毛が前にわずかにぷらんって開いた所でそれを整えながら体勢を戻してた。下の唇で上のを押し込んでいるまま、その右と左を強くへこませてるみたいにしてた。でもそれもすぐに辞めて、首を上に向けて瞼をちょっとだけ下げてる感じにしたまま小さく口を開けてるけど、そんな動きも遠くから高い声が何度も繰り返し聞こえたから、肩を引き締める感じでそこを上へと持ち上げる動きをしてから目を大きく開いちゃってた。
さらに、息を強く出さないようにしてたのを素早く止めてたのを鼻から吐き出して。両方の唇を強く閉じながら顔の前に手を当てた状態で口だったり瞼だったりを大きく動かすのを何回も繰り返す。ただ、聞こえている声はどんどんおっきくなってて。それを耳に入れながら曲げた膝の上に両方の手を乗っけながら一度頭を振りながら頭を下へと向けた。
一瞬だけ目を大きく開けた表情をしたけど、でも、そこ以外にはどこにも力を入れてない様子。それをじっとただただ続けている私に対して、足の間から影がいくつもどんどんと入ってくる。それで、私のの形と混じり合うみたいになってた。
「ハレ、おはよう」
「ハレちゃん、おはよう」
「ハレさん、おはようございます」
最初に聞こえてきたのはすっごく高いので、語尾が来るたびにその音がおっきくなるみたいなので。それに続いて聞こえてきたのは、最後が来る一個前の文字を引き延ばす声を何度も続けて聞こえて来てた。
そして、その二人以外の女の子だったり先生も続々とやってくる。手を挙げてる子もいるし、両手を小さく振りながらこっちに近づいてくる子も。そして、一番大きい人は両手の指を自分の体の前で重ね、ほんのちょっとだけ口の両方の端っこを上へと持っていくみたいに。
でも、それに対して私は目線を垂らすみたいにしそうになっちゃったけど、一度そこを閉じてから続けて手を当てて硬いとこを押し付ける感じに。それから言葉じゃない声だけのをちょっとの間だけ伸ばすのを口から出して挨拶をした。
「おはようございます」
頭を下げる動きをまずはしてから、それを起こして。首を傾けて頭だけを横に倒す。でも、斜め後ろぎりぎりで、こっちの顔が見えるくらいの位置にいる子も、私の方をみんな見てくれてて。少しだけ出来てたはずのそっちとの距離がだいぶ縮まったせいで、私は目で見てる範囲にはもうみんなだけがいるみたいに感じる。
その、体温も感じちゃいそうなくらいの距離にいる子たちを両方の唇に力を入れながら目を開けてる感じで、交互に先生も入れて全員を順番に見る感じにしてみた。
「ハレさんがいてくれるととても安心します」
ただ立ってた私に対して、他の子の向こうにいる先生は目をぱっちり開きながらまっすぐにこっちを大人の身長から見下ろしてるみたいにしたまま、あっさりと言葉を出してた。それを聞いた後、みんなも言葉を止めている間があって。私は視線が一斉にぶつけられてるのを感じて下唇を口の内側に噛みしめる表情をしてるだけの時間がほんの一瞬だけ出来そうな気がしちゃう。
「あはは、そうですか……」
すぐに声を出して、口で鼻とかその辺りを引っ張るみたいにしてた表情を元に戻して目を細くしてる間、他の子がそうだよみたいな言葉を出してたり、私の腕の所に絡んできたりしてて。それの勢いに従う感じで私はほんのちょっとだけ体を倒すみたいにしてた。
その時は、目を糸みたいな形にするみたいに細してたけど、でも、傾いたのが戻って行く間。体が反れたせいかもだけど、ほんの数秒間だけ、そっちの方で、先生の後ろの方で、顔も体も背けたまま視線だけをこっちを見つめてる子と目が合った。紺色っぽい髪の毛をしてるその子。でも、その女の子はすぐに視線をこっちから反らし、相手から見てまっすぐ方向、私から見たら横の方を見たまま、先生の影に隠れちゃった。
「ハレ? どしたの?」
私の横から聞こえてきた声に対して少しだけ返事が出来ずにいた。でも、息が一瞬だけ止まって何もしないで、ただいるだけにしてたのに気づいて。慌てながら早口な声を出しながらそっちに体を向けながらいると、辺りが急に動いたみたいに見えた。
「皆さん、繰り返しになりますが、この基本を覚えることがまずは御巫になるための第一歩ですからね。忘れずに」
畳の上をわずかに踏みしめる音を立てながらゆっくりと、一歩ずつ歩いてる先生の足音と声だけを聴きながらいる。寺子屋の庭に繋がってる障子が開けっ放しになってるけど、そっちから聞こえて来るのは水や木々がほんのちょっとだけ揺れてる風の音だけで。私の頬杖になってる肘の方に強く力を入れても、木で出来てると思う机がきしむ音も聞こえない。それのせいで目を垂らしたまま、ただ教科書の上に滑るみたいに描かれている文字を順番にそれだけで追ってく。
でも、そこに書いてある文字たちは筆が流れてく感じに見える一方で、みんな同じ縦長の四角の中に入ってるくらいの大きさで描かれてる。こっちが一度瞬きした後も一切変わる様子を見せない。
ただ、その間もずっと等間隔で同じ足音がしていて、ちょっとだけ顔も向かいそうになったけど、一旦元に戻して視線だけでそっちの様子を確認。でも、御巫としての衣装とは違う身軽そうな、あんまり柄も装飾もない恰好のまま私の隣を通り過ぎていく間も、一切早さも歩幅も変えないまままっすぐに足を進めてく。
それから私は視線をまっすぐに戻す。そっちには、先生がいつも使ってる机と、その後ろにある生け花の先端に小さなピンク色の花が付いている様子と、その横の掛け軸が達筆すぎて何が何だかわからない文字っぽいのの様子を細めにして見る。でも、そっちの方にある障子は締まったままになってるせいもあって、部屋の中ではほとんど薄暗いままになってた。
ただ、気づいたら足音と声で先生がまたこっちへと向けてゆっくりと一歩ずつ歩いて来てる音が聞こえてきて、続けてほんのわずかに頭の角度を変える感じで、顎を上へと持っていってた。また、首を使わずに唇だけでそれを引っ込めて目同士を近づけるみたいに、瞼の辺りで力を入れる。でも、それでも見えている物が霞んだり範囲が変わったりはしない。
その中に先生が入ってきて正座する様子に気づいたところで頬杖してる手に頭の体重を全部かける感じに倒してたところから、出来るだけまっすぐに戻す。ただ、それでほんの少しだけ口が開きそうになってたのに、強く力を入れて元に戻した。
「隣人を大切に。あなたたちがここにきて色んなことを学び、いずれ大御巫になるための儀式を受けてもらいます。それまで、自分を高め合ってくれる友の存在は必要不可欠。自分の視点だけでは気づかない事にも気づかせてくれる。そんな友人のことを常に感謝の気持ちを忘れずに」
その言葉を終わったのにみんなも気づいたのか、一斉に紙をめくる音がしてた。そして、私もそれに遅れて同じ動きをすることに。でも、それに続けて特に意識してないけど、ため息を付こうとしちゃってて。その最初の息の音だけでも、けっこう大きく辺りに響きそうになっちゃってたのに後から感じ取っちゃって、ちょっとだけ頭を持ち上げながら息をため込むみたいにした。
ただ、それもそれで結構苦しくて、頭がぱんぱんになる前に出来るだけ音を立てないようにしながらゆっくりと鼻から空気を吐きだす。口の中の空気がだいぶなくなったら、そこも音もなく開く感じにした。
「御巫の儀式の時もそうですが、あなたたち若い世代が生きていく間には、様々な試練が待ち受けているでしょう。そのたびに、助けとなるのは私ではありません。心の中に思い浮かべてみてください。友達のことを。自然と心が温かくなるはずです」
そう話している間、私たち生徒のことを交互に見る感じで視線を次から次へと動かし続けている先生。それに気づいて私も教科書を見ている方からおでこを使って視線を上へと持っていく感じにするけど、でも、もうすでに私の前は通り過ぎてるっぽくてまた右の列にいる子の方を見てるみたい。
ただ、その後またこっち側を見てきた気がしたのに、そっちは私とは少しずれてもう少し奥の方を見てるみたいにしてる。でも、こっちはこっちで一度鼻から音を間違って出しちゃったり、背中を猫背にしちゃってた。だけど、それに気づいても私はずっとそのまま頭下げている状態から一切変わらないままにしておいた。
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