ハレ~太陽の少女~   作:コンテナ店子@コミケ出ます

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このシリーズも次回で最終回です


第24話 「勝手に踊ってろ」

 夜周囲が暗くなってるのもあって、私が歩くのと一緒に周囲の涼しい風が体に当たるみたいで、火照ってるそこの温度がそれでだんだん冷まされて行くのを自分でも感じる。ほんのちょっとだけ口を開けたまま首を倒す感じで顔を上に向けてて。その状態を一切崩さず体を左右に振るような動きを肩からさせてるまま両足を1歩ずつ動かしてた。

 

 私がずっと顔を上に向けてるけど、御鏡の家もある丘は道の反対側にあるせいもあって視界の中には入ってこなくて。ちょっとだけ目を細くしながらいる中で見えているのは、ただ雲もほとんどなくなって、星の1つ1つがきれいに見えてる空の光景だけ。でも、自分の息をちょっとだけ強く吐く感じにしてみたら、そっちの方に最初はいい勢いで出て行ったけど、だんだんとゆっくりになって上の方にその白いのが広がってくのを見るだけになった。

 

 ただ、それで気づいたら足が止まってたのを早歩きで進めたりしてたら、いつの間にか御剣の家の門がもう目の前に来てて。そこの前で手紙を確認してる従者の人がいるのに気づいた。そしたら、向こうが自分の手に持ってるそれの方に目線を向けてたのを数秒間だけ続けてたのから、斜め上にもってく感じで視線を上げてて。その結果私の視線とぶつかる。

 

 こっちが何もしてないのに対して、向こうが急に高い声を上げながら何度も音を上手く出せない感じで声を繰り返してから私の名前を呼んできて。続けて首より上の辺りで短くまとめてる髪の毛を上へとふわっと持ち上げるみたいな動きと一緒に、頭を下げながら謝ってた。

 

 ただ、それを見てると私は自分の胸の前辺りに手を持っていくと一緒に小さく声を伸ばす感じで出して。一緒に視線を横へと向けながら指をだんだん下に持っていく。それから数秒後に、「それじゃあ行くね」とだけ言って、そそくさと足を早歩きめに進めながら体を前のめりにして進んで行った。

 

 

 私が自分の家の中をただ普通にいつも通りの足取り、床の上に足を置くたびにその音がちょっとだけ聞こえるくらいに進んでたら、従者の人と自然とすれ違う。でも、そのたびに私が体を横向きにさせて避けようとしたら、向こうの方が先に素早い勢いで背中を壁にくっつける感じで体の向きを変えてた。それに対して私はちょっとだけ首を使って頭を下げながら横を通ってく。でも、それに対しても向こうはただただずっと両方の手をお腹の前でくっつけるまま頭を下げてるだけだった。

 

 そして、自分の部屋まで一番短い距離で廊下だったり縁側を歩いて行ったつもりだったけど、でも同じ感じになるのを何回も繰り返すことになる。それのせいもあって、自分の部屋に入った瞬間、私は自分の体を勢いよく畳の上にまっすぐに落っことすことになった。

 

 ただ、その状態で顔を畳と平行に倒してると、両方の口に力を入れないまま紡いでて、瞼を軽く落っことすみたいにしてるのを一切隠さないでいるだけで。周囲から細かい足取りでずっと足音が聞こえて来るだけじゃなくて、誰かの話声の隙間から、鋭いような返事が一斉に出てるみたいなのも聞こえて来てた。

 

 その状態で私は、畳の冷たい感覚に体全体と手のひらまで含めてずっと伏せてた。

 

 

 しばらくして自分の部屋から出てきたら、御剣家の敷地の端っこの方にある池をただただ眺めながら家の足音や話声を遠く聞いてた。ここにきて片手だけを石の上に付いた状態で勢いよくその上に飛び乗って。その瞬間にちょっとだけ出した後は、まったく声を出さないでいて。それだけでなく、胡坐をかいて池を囲ってる石の中でも一番大きい物の上に座ると、何も動かないでいる。さらに、それは左側の肘を同じ側の足の上に突いて、その状態でさらに握りこぶしの上に頬を乗っけてるのも全く同じであった。

 

 ただ、垂れ下げている目線の下の方にある水面ではゆっくりと鯉がひれを動かしながら泳いでて、それによって水面がほんのちょっとだけ揺れてるのか揺れてないのかわからない様子をこっちに見せていた。白を中心としてるその様子の中に、赤い模様を不規則な感じで描いてるそれだけど、その様子をよく見ると模様のさらに上に鱗が網目を作るようになってて、それは周囲の黒い色に染まらずにただただ私の方からゆっくりと離れていくように進んで行くだけだった。

 

 向こうが勝手に私の視界からいなくなると、そのわずかな水面の揺れがあるのかないのかの瀬戸際の辺りを繰り返している様子だけが視界の中に残る。そこには奥に敷き詰められてるはずの石すらも何も見えなくて。変化しているのは遠くの方で聞こえて来てる従者の人たちがせわしなく働き続けてる足音だったり料理器具が動いている音だったりくらい。そんな中で、私はただただまっすぐに水面だけを見続けてた。

 

 

 ずっと同じ感覚で箸を動かしながら、取り皿の中に残ってる細かい豆腐をつまんでは食べて、またつまんでは食べてを繰り返す。ただ、その瞬間に聞こえてる食器同士がぶつかり合う音も、辺りで他の人たちがしゃべってる音に一切負けない形で確かに聞こえ続けてた。ただ私はその茶色いすり鉢状になってるそれの上に層を作る感じで描かれてる輪っかと、長机の上に置きっぱなしになってる茶わん蒸しだったりお漬物だったりお魚の切り身だったりの様子だけを見るままただただずっと食事を進めてる。

 

 一方で、私のすぐ横の所では母さまとこの前とはまた別の親戚の人が一緒に話しながらまた音を一切隠さずに笑っているのが聞こえて来てて。でも、私はただ豆腐がなくなった小鉢を置いたら、漬物を一切れだけ拾ってご飯の上に乗っけると、それも一緒に1つまみだけ取って、口の中に入れたらすぐに箸を抜いた。

 

「そうだ、ハレ。もうじき大御巫の儀の日よね」

 

 その声が聞こえた瞬間、まだ途中で止まってた箸で挟んでたお米を一旦お茶碗の上に置いて。続けて箸置きの上に箸を乗っけてから母さまの方に視線を向ける。背中をまっすぐに伸ばしたら、両方の手を下へと落っことしているそっちの様子を斜め上に顔を向ける感じで見つめてる数秒の間に、箸置きがわずかな高い音を立てている音がする。

 

 それ以外だと、大広間の障子の向こうを歩いている従者の人が早歩きくらいの早さで足を動かしてる音だけがこっちにも聞こえて来てた。

 

「はい。母さま、日々練習も続けてます」

 

 私も相手と同じような姿勢で首の傾きだけを変えてさらっとその言葉を出す。その間、音に合わせて顎の位置だけを微妙に変えながら上下に動かし続けてるだけにしてた。でも、その間、視線を目だけでまっすぐに相手を見つめるだけで、それ以外の物は何も見ずにいた。

 

 向こうも向こうで、ただしばらく私を見ている方に首だけを使って視線を向けてると思ったけど、一度笑うみたいな声を出すのに続けて、鼻から息を吐くのと一緒に体を起こす。そしたら一度だけ私の名前を呼ぶと、そのままこっちも歩いていく後を付いて行って。机の長い辺の中心部分と同じ座標の辺りで一緒に並んで立つことになる。

 

 その状態で視線を一周させるみたいにしてる私に対して、そっちにいる私よりも年下の小っちゃい子も、母さまよりも年上のおばさんも、みんな一心に私の方を見てきてて。見渡す間ですら口を強く閉じちゃうような感覚を味わう。

 

 ただ、それに対して、そっちにいる人たちはただ首を上に向けるような感じで、みんな表情を特に作らずにただただ私たちの方をしんとしたまま見つめてた。

 

「そう、御剣の家はもちろん、それ以外の里の物も、みんなの前で、あなたの立派な舞踊が披露されることを楽しみにしているわ」

 

 話を進めていながらこっちの背中に手を当ててた母様。一方で、その瞬間だけそっちに私も視線を向ける感じになるけど、それ以外の時はただただ視線をまっすぐに私は障子に取り付けられた格子のきれいな色をしている様子だけを見つめるみたいに。ただただまっすぐに口を紡ぎ、両方の手を落っことしてまっすぐに立ってる。

 

 その間も、周囲を照らしてる数々のろうそくであったり行燈の灯りは、わずかに揺らいでいるようで、半紙越しであったとしても、その中の炎がわずかに伸びたり縮んだりしている様子を一切隠さない。

 

 この部屋にいる全員は、私の体も含めてその揺らぎに照らされていたりいなかったりを繰り返してた。

 

「ハレ、みんなに一言」

 

 私のことを見下ろすような首の角度をしてる母さまと一瞬だけ視線を合わせると、すぐに私は足を動かして一歩前に出る。それと共に、今もつけっぱなしになってた御剣の家紋が揺れて胸元にぶつかって。その硬い感覚が体の中に浸透するみたいになる。でも、それに対してただ下の唇を上のに押し付けておくだけにした。

 

 続けて、そっちにいる人たちが一斉に私の方へと視線を向けて来てて。ただ、やっぱりそっちの人たちは私のことをまっすぐに見て来てるだけで、さっきと全く変わる様子なんかない。母さまの様子を1回だけ確認してから、一度口の中の空気を飲み込むみたいにして、小さく話し出す。

 

「えっと……」

 

 視線を左右に動かしながら声を出すけど、でも、それで何かが変わる訳でもなく。周囲から聞こえてる音はほんのわずかに衣擦れのがするくらい。数秒だけ開けてから、私は脇を限界まで締めて、両方の手で家紋をぶら下げてる紐を握る。そして、その4つを握りつぶすくらいの力を入れながら、声を出した。

 

「今年こそは、精一杯、自分の実力を出し切って、私を支えてくれる人の気持ちに、応えようと思います」

 

 その声が終わると一緒に、一気に周囲に拍手が巻き起こる。ほとんど乱れるところなんて全くないその音。

 

 一方、それに対して、私は一礼だけすると、母さまに続いて自分の座布団の上に戻ることに。それで歩いてる間、ふぅと一瞬だけ声が混ざりそうなくらいの大きなため息を出してから、口の両端を上に持ち上げて。ただまっすぐに歩いてった。




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