私が艦娘になって2日目。
もう、夜だぁ………。
色々あった、ありすぎた。死ぬかと思った。頭から煙を吹き出して死ぬかと思った。多分、頭が沸騰してた。
いや昨日の夜、寮に案内されたと思ったら同世代の子が…それもみんなめちゃめちゃ可愛い子が…沢山いて、?ってなってたらいつの間にか黒髪ロングの朝潮さん?と、満潮ちゃんと同じ部屋で寝てた。
?
朝潮さんは自分の事お姉ちゃんって言ってたけど…いや、分からん。姉妹になるの?姉妹カン…艦?…姉妹艦??……いや分からん。満潮ちゃんもお姉ちゃんらしい…。
余計分からん……。
えと…で…えっと?確か…満潮ちゃんにとっても朝潮さんはお姉ちゃんで、私にも一人妹が居て……。他にも姉が居て?………。
???
えっと………子沢山ですね?
えっと……で、朝起きたら白衣着たおいちゃんがわんさか居て…なんか、連れてかれそうになったはず……ダメだぁ…頭が真っ白になっててなんも覚えて無い…。
えと、その後は確か…佐伯さん?だっけ、確か憲兵さんの。その人と、なんかでっかい建物に行った。山かなって思った。小さめの山くらいデカかった。
なんだっけ…スパイ?未確認がうんたら庵野がうんたら…これが?これが…ごにょごにょごにょごにょ………。
陰口が辛かった。
その後に尋問?取り調べ?みたいなのされて…嘘は言ってない。…はず、分からん。頭ぐっちゃぐちゃで、でまかせも言ったような……いや、やっぱり言ってない。ちゃんと本当の事を言ったはず。多分。
で、それが終わったらまた、白衣のおいちゃんに囲まれて……私…何された?何か……な、なに………思い出せない………怖くなってきた……。もうやめた。考えない。
白衣のおいちゃんにジロジロ見られた後は確か…あれ?
特に何もしてない?あれ?なのに何にも考えられないくらいずっと疲れて………。
あ、今までの分か。
そらね、色々あったしね。うん。納得。
うーん………寝よっかな…。
「あ、あの!」
「アッハイ。」
「あの、あの、わ、私とお話しない?」
………え?んと…あ?…朝潮さん?
「いいですよ?」
「?」
「???」
ん?良いよーって、今…。
あれ?私今良いよって言ったっけ?
「えと、どうぞ……。」
「あ、えと、う、うん。えっとね…。?…………??」
「えと、え?」
ど、どうしたのかな?私今なんかした?
…なんか、凄い見覚えがある…って言うかもう目にこびりついてる顔になっちゃった。
「えと、その、お、お名前は?」
「?」
ナマエ……名前?…私の名前?
私……名前?私の名前………。
朝潮さん。満潮ちゃん。………。私の本名……じゃないよね?
えと、名前…名前…名前……。名前。…………?。
「?」
ここはもう正直に言うか…。
「えっとぉ……その、わ、分かんないです……。」
「???」
「?」
朝潮さんで二回目………。
「な、名前?」
「名前。」
「ぇ……。」
「名前。」
「わかんない?」
「分かんない。」
「?」
「?」
「「???」」
首がかっくんかっくんしててちょっと面白い。あと可愛い。すごく。
…私もおんなじことになってるんだろうけど。
「えと…名前?」
「?」
「なんか…付ける?」
「?」
付ける……なんか?……名前を付ける?
……ありがたいお話なのかな?
「えと、お、お願いします。」
「う、うん。ま、任せて!………。」
「アッハイ。」
どのくらい経ったかな?もう、一時間近く……。あ、ダメ…ねむ…疲れが…。
むにゃむにゃ…。疲れがドッと………。
いや、全体を通してずっと疲れたが?
心休まる瞬間など無いも同然、というかまさにそうだが?
………なんか。目、覚めた。どうしたものか……。
朝潮さんは……うんうん唸りながら頭ゆらゆらさせてて可愛い。髪が、ゆらゆらー…。うん、可愛い。
……まだかかりそう。
朝潮さん。…もうちゃんでいいか。
朝潮ちゃん。
パジャマはパステルカラーの紫。可愛い。
私のパジャマ…お家だとお母さんのお下がりのジャージだよ…しかも中学の…紺色の…濃紺の…。差が…差が……。
でもここだと朝潮ちゃんとお揃いなの!
…ちょっとぶかぶか…いや、そうでも無いかな?
可愛い!すごく可愛い!今!私!可愛い!嬉しい!
えへへ…だめぇ…顔が緩んで……にへーってなっちゃう…えへへ……。
………チラッ…。
まだまだかぁ…。………うーん…。する事がない……。
うーん…うーん…。
「うー…うー…うー…」
……唸りながら考えてくれてる…。優しい。
うぅ…ま、待つ!
しばらくして、朝潮ちゃんがこちらを真っ直ぐ見つめている。
私はなんとなく見つめ返す。
「「………」」
なにこれ?
「えと、どうしたの?」
「え!?な、なんとなく…かな?」
「えと、そう?」
「そう。」
「そう…」
なにこれ?
「ね、名前ってどうなったの?」
「えっと、それなんだけどね…。」
「うん。」
「やっぱり私じゃ役不足かなって……。」
「ヤクブソク」
「うん。だからもっと…その、司令官とかに……。」
「シレイカン」
「うん。司令官に。」
「シレイカン?」
「…司令官、分からないの?」
「うん…誰?」
「えっとね、あの、こう、なんか白い服着た人。」
「シロイフク」
「うん。白い服。」
「分かったかも。満潮ちゃんが提督って呼んでた人でしょ?」
「そう!その人が司令官!」
「えへへ。」
へぇ……あの人司令官って呼ばせる趣味もあるのね…。
「……ねぇ、あのさ……私の事、朝潮ちゃんって呼んでくれない?」
「ん?朝潮ちゃんでしょ?」
「???」
「?」
朝潮ちゃん三回目。
「「???」」
その後、私は名前のことをすっかり忘れて、ぐっすり寝たのだった。
お疲れ様でした。