さて、お休みも終わったことですし…。
響さんと時雨さんを見つけて感謝と謝罪を伝えなければ………!!
昨日のお風呂のうちに、明日の朝は響さんと時雨さんを探して感謝と謝罪を伝えるから、走り込みには行けないというお話はしてある。
あー…私って早起きなんだった…それも相当。
うん。みんなが起きる時間を待とう…具体的に言うと6時くらい…。
えっと、マルロクマルマル?だっけ?いつか慣れるのかなこの言い方…。
………。
廊下に掛かっている時計を確認する。
やっとマルロクマルマルになった………。
多分そろそろ………。
お?長良さんが言うにラッパの音がー…。
あ、鳴った。
ふーん………これがラッパの音ね…。
少し経ってみんなが出てくるのか、がちゃがちゃと扉の音が聞こえてくる。
開いた扉から現れる人達…子達は私の顔を一瞥したあと、食堂のほうへ歩いていく。
響さんと時雨さんは大抵二人で居て、片方が白い子だから分かりやすいと、長良さんが教えてくれた。
響さんと時雨さんは………。
あ、あれは!
ふぅー…。緊張する。
「あ、あの!」
「ん…どうしたのかな?」
黒髪で、こう…クールな感じの方が、いち早くこちらに意識を向ける。
「あの、私、一昨日、助けてもらって、あと、私、一人で行っちゃって、その、ごめんなさい!」
「ふふ…いいよ。それより無事でよかったよ。もしうつぶせだったら、僕らが見つけていたのは…なんて…無事で何より。それぐらいかな。」
「ハラショー。」
はら?
白い髪の美少女が、はらしょと、黒髪の方の発言に同意するように言う。
…なんとなく白い子が自慢げな気がする。
………はっ!
「ありがとうございました!」
「うん。その感謝は助けたことかな?さっきも言った通り、僕からは無事でよかった…これだけだよ。」
「私もそう思うよ。あ、そう言えば…司令官が詳細を聞きたいって、言ってたよ。」
提督さんが?
「そうなんですね。教えていただき、ありがとうございます!行ってきます!」
謝罪と感謝は出来た。したりないけど………。
とにかく提督さんにお呼ばれされたので行かなきゃ。
「朝ごはんはもう食べたのかい?」
「あ!朝ごはん食べてからにします…。」
すっかり忘れていた。
また感謝する事が増えた。
「はは!じゃあ一緒にどうかな?」
「はい!お願いします!」
「ハラショー。」
相変わらず白い子は、はらしょ?を言うと自慢げになる。
「へぇ~…ハラショーはロシア語なんですね。」
「私には
「響さんはすごいですね!」
「ハラショー。」
食堂までの道中。
白い子が響さんで、自分の事を僕と言っていた子が時雨さん。
ハラショーはロシア語で、色々な含みを持つ言葉らしい。
「はらしょー。」
「ハラショー。」
「そろそろ通信だよ。二人とも。」
「「ハラショー。」」
二人してハラショーすると、時雨さんは「くくっ」っと、堪えるように笑った。
『こちら高雄よ。司令官からの編成をお伝えするわ。第一艦隊は───』
「私たち三人は近海警備だね。じゃあ、僕たちは君が提督とお話をしてからだけど。」
「す、すみません…。」
申し訳ない…。
「大丈夫だよ。さ、司令官のもとへ行こうか。」
「はい!」
提督さんの居る部屋の前に立ち、ノックを………する前に深呼吸。
ふー………。
すー………。
はー………。
すー………。
はー………。
「よし!」
コンコン
「失礼します!」
「お、よく来てくれた。昨日のうちに呼ぶつもりだったんだが………な?」
「えっと、満潮ちゃんが今日は休み!って………。」
あれは驚いた。
満潮ちゃんのテンションが高くって。
「あぁ、本当は私が話す予定はなかったんだがな…。」
「えと、お疲れ様でした。」
「あぁ、ありがとう。…さて、本題だ。」
「あ、はい。」
「一昨日。君は…。君はこの鎮守府からさほど離れていない場所で深海棲艦と交戦。これを退けた後、大破した状態で発見され、あの二人に救助された。間違いないか?」
「はい。」
「聞きたいことはここからだ。」
「はい。」
「なぜ、いや。ここは私の領分か…。」
「はい?」
「なんでもない。君が交戦した深海棲艦の特徴を教えてくれ。」
特徴…確か………。
「えっと、ツルツルしてて、なんか、ツルツルの周りの空気が赤くなっているしんかいせいかんでした。」
「そうか…。そうか…。近海にてエリートの敵と会敵…。掃討されたからこそこの鎮守府が…。漏れた?いや、近海警備は怠らなかった…。」
「えと…提督さん?」
ぶつぶつってかがっつり聞こえる………そうとう?漏れた?
てかエリートって何?
もしかして私、すごいの倒しちゃった?
「すまない。話は以上だ。ありがとう。今日も頑張ってくれ。」
「あ、はい。失礼しました!」
緊張した。すごく緊張した。
提督さんの部屋から出ると、二人が駆け寄って来る。
「お疲れ様。」
「お疲れ。早速、僕たちの初任務だ。」
「はい!頑張ります!」
「気合を入れすぎて、一人で行かないでくれよ?」
「うぐ…。」
痛いとこを突かれる…。
「冗談だよ。」
響さんは表情に出ないのか…冗談には聞こえなかった…。
………注意されても仕方ないし…。
「さ、僕たちも早めに海に行こうか。」
「す、すみません…。」
私が提督さんとお話してたから…。
二人がこそこそと話す。
だからがっつり聞こえるんだって…。
あ、二人にはわかんないか。
「うーん、意地悪しすぎたかな?」
「大丈夫だと思うよ。私が思うに彼女はかなり図太い。」
「はは、一応初対面だろうに。」
「私の太ももは太くありません!」
「…ほら?」
「うん。かもね…。」
仲良く私を弄るのもここまでです!
「さぁ、工廠に着きましたよ。」
「そうだね。」
「じゃあ、行こうか。みんなで。」
「…。」
まだ、弄られるの?
「すねないでくれよ。初めての航海が切羽詰まった救助になるなんて、思いもしなかったんだから。」
拗ねたわけじゃないが…痛いとこを突かれる。
申し訳ない。
「うぐ…すみません。」
「冗談だよ。」
「…分かりずらいですよ………。」
指摘されても仕方ないから余計に…。
「ごめんね。」
謝られてしまった。
「うぐ、いえ…私が悪いので…。」
「…いつの間にか海に出ていたね。」
「はい………。」
いつの間に?
ダメだ、お話していると周りが見えない………。
「それじゃ、近海警備だ。」
「所定の位置についてから哨戒だね。」
「紹介?」
「警戒しようねって感じ。一昨日、深海棲艦が現れたんだからさ。」
あ、エリートなツルツルが出たから…。
「はい!頑張ります!」
「気合い十分だね。」
「頑張った後な気もするけど…。」
「そのとうりだね。」
「まだ居るかもですよ。ちゃんと哨戒しましょう。」
「分かっているとも。海は危険だ。慢心はないよ。」
「僕も分かっているよ。」
ならば良し!
「さぁ、行きましょう!」
近海警備終了。
問題は特に無く。エリートなツルツルも普通のツルツルも居なかった。
エリートなツルツルがどんなのかも分かんないけど…。
「終わりましたね。何事も無く。」
「そうだね。何事も無く。」
「帰ろうか。僕たちの鎮守府に。」
そんな大層な事があった訳じゃないような…。
まぁ、無事に終わったし万々歳だよね。
「そうですね。でも、警戒は怠らないようにしましょう。帰り道にいるかもしれないですし。」
「そうかな…。…うん。そうだね。最後まで、気を抜かないようにしよう。」
「うーん…。」
時雨さんが難しい顔をして唸っている。
なにか気になる事でもあったのだろうか…。
「時雨さん、どうかされましたか?」
「いや、問題ないよ。僕も警戒するから。」
「帰ろうか。私達の鎮守府に。」
「まぁ、話してるうちに着きそうですけど…。」
見えてきたし………。
「「帰ってきたね。私達(僕達)の鎮守府に。」」
「ブフッ…。」
息ぴったり。
お疲れ様でした。