ROM専に戻ろうかな…。
完結させてから。
…ていうか名前って………必要なものですね。
「あぁ…そんな………私の愛し子が…。嘘よ…そんな………嘘よ…。嘘、嘘よ。」
辺りに散らばっているらしい、私には見えない、さっきまで足元の島みたいな何かから生えていた、魚みたいな奴と帽子みたいな奴の残滓をかき集める白い髪の子供。
うわごとのように呟くのは、今さっき"自分の子供"にアホみたいな威力の攻撃をされた私の母親。
「よくあんな馬鹿でかい攻撃喰らってピンピンしてるよな…相変わらずバケモンだな。」
正直な感想だ。私じゃ"アレ"をくらってすぐに雑魚の心配…消し飛んでるから心配もクソもないか…。
「貴女は悲しく無いの?幼き子の命が消えたのよ?」
ヒステリックに叫ぶ母親。
…キツイなこういうの。
あと、そんなこと言ったらアイツらのも、だろ?
お前に一撃入れるために命が消えてたよ。
…なんて、浮かびはしたがそれらの言葉は頑張って飲み込んだ。
えと、なんとか黙らせたいが…。
「お前が見出して、産み出そうとした奴だろ?お前が作った奴だしなぁ…なんとも…。」
うん。なかなか無難な返答だと思う。
「私はこの子達の悲願を叶える為に…。」
はぁ…。
相変わらず、押し付けがましいな。
なんて思ってみて、気付いたが、少し落ち着いた。
さきほど命の危機に至っていたからか、なんとなく刺々しい思考になっていたのが落ち着いてくる。
「…お前が会うのを許したから、あの子が攻撃できて、お前の言う愛し子が死んだんだろ?」
そう言いながら海に浮かぶ、主砲に目を向ける。
「しっかしアイツらも、よくやるよなぁ…。こんなんにさせてでもお前を殺そうとしてるんだから。」
おちゃらけて言ってはいるが、かなり心に来ている。
目を瞑れば、操り人形みたいな様子で私に向かって話しかけていたアイツが目に浮かぶ。
アイツも…いや、あの子も、私の母親が余計な事をしなければ今も幸せに…なんて、なんで私は余計に辛くなる事考えているんだろうな………。
はぁ…。
「あの子が…私を?………なんで?私はあの子の悲願を…!!」
あいかわらず、独りよがりだ。何一つ相手の立場を考えない幼稚な主張。
幼稚なのは見た目通りだが…。
まぁ、死んだやつの思念も見えるからな。
そうなると、死んでしまった奴と生きている奴、どっちが重要かとか、決められないんだろう。
今回はまぁ…多数決で決めれただけ良かったのか?
いや、良くはないが…。
「それはあの子自身のなのか?それとも周りのか?」
私の言うあの子は、私に向かって色々無茶振りしてきた奴だ。
お前の言うあの子はアレだろ?人間の怨念だろ?それが見えて会話ができるお前は、あの子、なんて言うが、まぁ会話がすれ違いそうになる。…それはそれとして。
こっからはお説教だな。
…普通のそれと比べて、立場は逆だがな。
「…周りのよ。」
あぁ、知ってるよ。
そうじゃなきゃお前を打つ時にあんな顔しないさ。
本当に…。
悲しいもんだ。あの子とは仲良く出来そうだったのにな…。
「それじゃあアイツのを叶える為じゃ無い。アイツの周りの奴らの怨念が、こっち側にし易かったからそうしたんだろ?アイツもかわいそうだよ。な?アイツ自身は何もお前に何かしてもらう必要なんてなかったのに…。最後はお前の産んだ、いや、お前が産み直した怨念に突き動かされて、お前を撃った。………悲しそうな顔だったなぁ…こっちまで辛くなる。お前もそう思うだろ?」
「そ、そんな………私は…。」
あらら…これ以上は駄々捏ねられるな。
自分の過ちから逃避する為に駄々を捏ねる。
どこまでいっても子供は子供なんだよな…。
そいつが命を簡単に歪められるんだから、直視したくない事になるのも分かる。
…せめて可哀想だからって、人間の犯罪者の怨念を使うのはやめて欲しいものだ。
アイツらは酷い。大人なくせして子供みたいに自分以外の何かに原因があるって本気で思ってやがる。そういうのやめて欲しい。教育に悪い。
本気で思ってるから私の母親が信じちまうんだよ…。本当に教育に悪い。
「はいはい。そーゆーのは海の底ね。はーい、バイバーイ。また会おうな………お母さん。」
これ以上海の上にいられても、ここら辺のお前の言う愛し子がお前の駄々の余波で死にまくるだけだから底に帰って頂いて。
「…私は、酷い事をしたの?」
はぁー………。
本当にやるせないな。
あの子は悪意ですらなく、むしろ善意から人外にさせられて………ま、艦娘になった時点で人外か。
それにしたって…なんだ。えと、人類側から選択の余地がない状態で人類から見て敵な奴にさせられたんだから………。
えと………。
あの子が元人類の元艦娘のせいで説明が面倒だ。
とにかくだ。
「そらな。あの子からしたら頼んでもない事をさせられたんだからな。」
これだ。これが結論。
「でも…愛し子の周りの子たちにお願いされたから…。」
はぁ………。
それは、そうなんだろうな。
それに間違いはないだろう。
でもな。でもなんだよ。
「それをあの子が許したか?」
「ううん。だって、周りの子が、愛し子とお話がしたいから、ああやってして欲しいって…言ってたから………。」
余計にダメだろ…っていうか酷いもんだな。人間も。
最後のあの子の顔を見るに、うちの母親を騙して、まだ幼いあの子を犠牲に私らに復讐しようだなんて。
「悪い人に騙されたってこと?」
「うぅ…それは…。」
「あの子が最後にあんな悲しそうな顔してたのは、お母さんがああした怨念が、あの子の意思を無視して、無理矢理してたからでしょ?」
「あ………ぅん。」
「だよね?じゃあ誰が、何をしちゃダメだった?」
「わたしが…わたしが………うぅ…。」
「今は泣かないの…。誰が。何を。しちゃダメだったの?」
「わたしがぁ、わるいひとにだまされちゃったことぉ…。」
「じゃあさ。次からはどうする?」
「もう、だまされないぃ。」
「そのためには?」
「………分かんない…。」
「もう怨念には耳を貸さないの。分かった?」
「うん。もうあの子達の声はきかない。」
そう言って耳を塞ぐ私のお母さん。
「うん。そうするの。もうあの子の声は聞いちゃダメだよ?」
「うん…そうする。」
普通に聞こえているじゃないか…と、思いつつもお母さんの言葉に嘘が混じっていない事に安堵する。
これならもう新たな犠牲者は増えないだろう。
「じゃあ、また、会いにくるね。お母さん。」
「うん…。」
頷きながら返事をするお母さんの足元から大きな音が鳴りだす。
海が裂け、耳を塞ぎながら、顔を後悔一色に染めたまま、海に沈んでいく私のお母さん。
そして元に戻る海。
「それが続けばいいんだけど………。」
誰にいうでもなく、独り言ちる。
はぁー………。
全く…子育てとはままならない。
まぁ、私が一応、一応娘なのだが…。
お母さんは子供として生まれたそうだ。
そして子供のまま私を産み。皆を産んだ。
それでもいつまで経っても子供だった。
子供として生まれてしまったから。
姿形が変わらなければ、その中身も変わらない。
私は生まれたその時から、
私も、子供ならもっと幸せだったのだろうか…。
いや、怨念の塊が思うことじゃないな………。
はぁぁぁ………。
人間一人で、一週間か、長くて二週間はかわいそうな奴は、生まれない。
それでもお母さんはすぐに立ち直って、かわいそうな奴をもっとかわいそうな目に遭わせる。
悲願を叶える機会を与えるのか、安らかに眠らせてやるのか…。
どっちが正しいのやら…。
私には分からんよ。
な?勇敢な人の子。
そう言って私は、主砲だけになった、人の子を持ち上げ、抱き抱える。優しく、優しく。まるで我が子にするように。
ま、私が知ってる母親なんて、お母さんしか知らないけど。
この子を少しでも供養してあげたい。
私がこの子にしてあげられること………。
あ!そうだ!名前を決めてやろう!名前がないとかわいそうだからな!ま、艦娘の名前も人の名前も今のお前には合わないだろう?
そうだなぁ…。私と同じ言葉は入れたいな…。
なんて考えながら、私はこの子を撫でる。
お前がしくじらなければ、迎えに行ったのが危険に晒されることもなかったろうに…なんて、大人気ない事考えてごめんなぁ…見りゃ分かるほどに子供なのに…ごめんな。
私よりデカい奴って言われた時もすっとぼけてごめんなぁ…夢に出られる奴なんてあいつ以外居ないのに…。デカい奴なら…たぶん頭の中身の代わりかなんか知らんけど、私よりデカい奴も居る。居る。
とりあえず一緒に待とうな。お前が余計な仕事を押し付けた奴をな。
ハハッ!冗談だよ。
アイツも優しいからな。すぐに仲良くなれるぞ。
楽しみだな?
…私の愛し子。
いつまで経っても帰ってこない事を受けて、早速愛し子では亡くなる模様。
…火葬してあげてるだけ優しいね。
お疲れ様でした。