「これが人間のやることかよぉ!?」
「人の心はないんか……(震え)」
原作よりも殺意マシマシな鬼殺隊という非人道的な事すら躊躇わない連中相手に生き延びようとする鬼のお話。
※原作の復讐しながら手段を選ぶ心優しい鬼退治は無いので、原作キャラのアンチ・ヘイト苦手な方はブラウザバック推奨です。
とある鬼の始祖は言った。
「鬼殺隊とは異常者の集まりである」
それを読んだ読者はこう思った筈だ。どの口でそれを言ってるんだと……
だが鬼として転生者となった青年は被害を受ける側になったからこそ思い知ることになる。
「これが人間のやることかよぉ!」
これは殺意マシマシな鬼殺隊という恐ろしい組織に狙われることになる男の物語である。
とある宗教団体、万世極楽教。
上弦の弐という鬼の中でも上から数えた方が強い鬼が教祖を行っている組織である。
鬼絶対殺すマンこと鬼殺隊が拠点の分かっており、柱という最高戦力ですら返り討ちにする鬼が潜伏している場所にわざわざ鬼の最も有利な夜の時間に仕掛けるだろうか?
否!
ドォォォン!
真っ昼間の中で突如、拠点の一つが大爆発を起こす。幸いにも拠点は人並み外れた場所にあった為に、爆発が他の民家に飛び火することはなかったが、中にいた人間達は別である。
爆発に巻き込まれ、即死した者。
「痛ぇ…痛ぇよ……」
手足が吹き飛び、うめき声を上げる重傷者。
「誰かぁ!子供が怪我をしてるんです!」
比較的軽症で子供の身を案じる母親。
阿鼻叫喚の地獄絵図がそこにあった。だかそこで終わるならまだ幸せだろう。
ザザッ
崩壊した宗教団体へ押し寄せる刀を帯刀した背中に殺の字が刻まれた隊服を着た集団が現れる。そして指揮官らしき男が部下達に命じる。
「建物は吹き飛ばし、日光から逃れないようにした。ここにいる連中は鬼に資金援助をして助長する鬼畜共だ。鬼は駆逐すべきだ」
指揮官は抜刀して切っ先を崩壊した拠点へ向ける。
「鬼は一人も生かすな!鬼は皆殺しだ!」
「「「「オオォォォォォ!」」」」
彼等は抜刀し、目の前にいる鬼に魂を売った連中を一人残らず頸を切り落とす。
女子供が泣き叫ぼうが関係なく彼等は慈悲なく殺す。
人を人とも思わぬ程に鬼への憎悪に燃えた異常者達。
鬼殺隊、鬼より恐ろしい組織である。
「全く、鬼殺隊には困らされるよ。今月で拠点を爆破されたの10件目だよ」
「相変わらず鬼殺隊の民度はおかしいな」
とある執務室。そこで書類仕事をしている青年に楽しそうに語るのは白髪に虹色の瞳を持ち、左右の瞳に【上弦】【弐】という文字が刻まれた男、童磨である。
「無抵抗な人間を切り捨てて、爆発で吹き飛ばなかった金銀財宝は巻き上げるなんてどっちが正義の味方か分からないよね」
「政府公認の殺戮集団だ。初めから正義など存在しない」
「あれ、鬼殺隊って政府非公認組織じゃなかったっけ?」
「表向きは非公認だが、裏ではガッツリ癒着している。そうでなければあんな爆破テロを頻繁に起こして足取りが掴めぬわけがないよ」
「うわぁ……聞きたくないなぁ」
童磨は青年の言葉に言葉とは裏腹に笑顔で言う。本来ならば自分の所有物を壊されれば怒るのが普通なのに笑って答える。
感情の欠落している証拠だろう。
「どうしたら良いと思うレイア殿?」
「何故私に聞く。童磨殿」
「そんな釣れないことを言うなよぉ。同じ上弦の弐だった吉見じゃないか〜」
童磨が書類仕事をしていた青年の肩に腕を乗せて馴れ馴れしく言う。
「私は引退した元上弦の弐だ。血戦で勝ち続ける貴方程強くはない」
「またまた〜知ってるよ。稀血の安定供給と黒死牟殿や猗窩座殿などと鍛錬を欠かさず行うことで現役と変わらない強さを維持しているってこと」
「私も無惨様と同じく不変を好み、劣化を嫌うからな」
童磨の言葉に淡々と答える。
レイア・ブラッドレイ、白髪に赤目のアルビノの風貌をした彼は黒死牟に次ぐ古参でありながら、元上弦の弐まで登り上げた武人である。
「間者が紛れているのは明らかだから、まずは捉えた連中に吐かせて間引きが妥当だろう」
「ああ、拠点を襲った連中を捕らえたんだっけ。鬼殺隊相手に呼吸を覚えさせた人間を率いて戦わせるだなんて回りくどいことするよね」
「日中では鬼共はまともに動けないからな。その為に私は日中でも活動出来る軍隊を作ったのだから」
レイアは万世極楽教の爆破テロの後に現れた鬼殺隊達をテロリスト集団として制圧する部隊を率いて彼等を何人か捕虜として捕らえた。
呼吸法を覚えさせ、鬼より恐ろしい殺戮集団こと鬼殺隊を制圧する大義名分を掲げた部隊、通称"帝鬼軍"を率いる総帥である。
同じく政府公認組織であり、帝鬼軍と鬼殺隊は犬猿の仲と言える存在である。
「情報は私が吐かせよう。童磨殿もやられたらやり返したいだろう」
「アハハ、そんなわけないじゃないか。何時も通り俺は救ってあげるだけだよ」
「まあいい。情報を吐かせたら送るから準備しておいてくれ」
「は〜い」
レイア・ブラッドレイは執務室を後にし、捕らえた捕虜のいる牢屋へと向かう。
そこには猿ぐつわを噛ませられ、拘束された鬼殺隊の者達がいた。
牢屋にいながら拘束されている理由は、呼吸術を使える連中をそのまま捕らえるなどしていれば牢屋の鉄パイプを捩じ切ってでも脱獄をするからである。
牢屋の門番達も鬼殺隊の連中よりもライオンを捕らえる方が可愛げがあるという共通認識レベルだ。
「情報を吐かせる。鍵を開けろ」
「ハッ!」
門番は牢屋の鍵を開け、レイアが中に入ると入口は閉められる。扉をすぐ閉めるのは、以前開放したタイミングで縄を引き千切って牢屋にタックルをかまして脱走仕掛けた鬼殺隊の人間がいたからだ。
そして捕らえられた女性鬼殺隊の猿ぐつわを外すと……
ペッ!
「相変わらず鬼殺隊の民度はおかしいな」
猿ぐつわを外された女性隊士は真っ先にレイアの顔へ唾を飛ばして来ており、レイアはそれを躱しながら口にする。
躱された女はすかさずベロを伸ばし、口を大きく開けて噛み切ろうとするも……
「ムグッ!?」
「猿ぐつわを外されたら唾を吐いてから即自害とは全く無惨様の言う通り、頭のおかしい連中だ」
開いた口に右手二本指を突っ込んで口が閉じるのを防ぐ。勿論本気で噛みちぎろうと女性隊士はしているのだが、鬼の強靭な身体を持つレイアの指を一般隊士が噛みちぎるのは不可能である。
「貴様には鬼殺隊の仲間達と知っている拠点を吐いてもらう」
「ングゥゥ!!」
殺意の籠もった眼差しで睨まれるが、レイアは気にしない。レイアは左人差し指の爪で親指の腹を切り、血を女性隊士の舌に垂らす。すると女性隊士の舌に垂れた血が浸透し、赤い紋様が刻まれる。
「んグゥ!ムグゥ!?」
「血鬼術・血の盟約」
レイアは血鬼術の名を口にし、口に突っ込んでいた指を抜く。指を抜かれた女性隊士は直ぐ様舌を噛みちぎろうとするも、自分の意志に反して口が動かず、困惑する。
「まず当主の名を知ってるか?」
「誰が貴様なんかに……知らない……!?」
女性隊士は答えるつもりがなかったのだが、意に反して正直に答えてしまったことに驚愕する。
「術式開示だ。俺の血で紋様を付けた相手に行動の強制を課す能力だ。そして能力を知ることで効力は増していく」
「なっ!?」
「貴様に課すのは俺の質問に偽りなく答えること。拷問されると思ったか?拷問された相手の言葉に信憑性は低い。だからそういう能力を作ったまでだ」
「っく、殺せ……」
「やはり鬼殺隊は異常者の集まりだな」
時代を先取りした女騎士のくっ殺プレイをしてくる女性隊士に呆れてレイアは口にする。
こうしてレイアは今日も鬼より恐ろしい鬼殺隊から情報収集をするのであった。
レイア・ブラッドレイ
階級:元上弦の弐
現在:帝鬼軍総帥
…オリ主。黒死牟と同時期に鬼になった最古参の存在であり、元上弦の弐。現在は上弦の弐という地位を返還しており、帝鬼軍という組織を率いる組織の長である。
上弦の弐を返還しながら生き永らえているのは、彼が黒死牟以外の鬼には不敗だったことと、制限ありとはいえ日光を克服した鬼であるからである。
人の外皮を纏うことで鬼の能力を使えない代わりに日光を浴びても消滅しない。但し鬼の再生力を持たないので、頸を切らずとも死亡する。それ故に日光のある場所では弱体化するのを克服出来てないので無惨からは吸収されてない。
血鬼術は血を操る能力。血を剣や弾丸として放ったり、血を媒介とした術式を扱える。相手の動きを止めたり、強制を課す制約を課したり可能。